【移住者インタビュー】最新号
【第40回】 特定非営利活動法人高田暮舎 石田 裕夏 さん
『理想の環境を求めて 家族で決めた陸前高田への移住』

新潟県出身
陸前高田市 地域おこし協力隊
特定非営利活動法人高田暮舎
インタビュー実施日:2025年3月10日
-ご出身と現在の活動について教えてください。
新潟県の長岡市の出身で、高校を卒業するまでは地元で過ごしていました。進学のタイミングで地元を離れ、陸前高田市に移住するまでの直近5年間は京都府に住んでいました。
現在は、陸前高田市の地域おこし協力隊員として特定非営利活動法人高田暮舎に勤務し、移住コンシェルジュとして移住者のサポート等の業務を担当しています。
-陸前高田市に移住される前はどのようなことをなさっていたのですか。
夫の地元である京都府に家族で住んでいました。今のように移住に関わる仕事をしていたわけではなく、子育てをしながら、事務系の職に就いていました。

-移住する前を振り返って、岩手県の印象はどうでしたか?
東日本大震災に関するイメージが強かったです。私自身、2011年の3月から3年間東京に住んでいたのですが、ちょうど新潟から東京に引っ越す前日に震災が発生しました。当時、テレビのニュースを見た時に被災地の映像が流れていてとても驚いたことを覚えています。それまで岩手を訪れたことはなかったのですが、そのことが強く印象に残っています。
-陸前高田市に移住することを決めたきっかけ・タイミングについて教えてください。
初めに移住をしたいと言い出したのは私ではなく夫の方でした。京都では夫の実家の近くに住んでいたのですが、人がとても多い地域であり、そういった環境に夫はストレスを感じていたようでしたし、私ももっとのんびりしたところに住みたいという考えはずっと持っていました。加えて、京都の夏はとても暑く、夫が暑がりだったこともあって、夏でも涼しく過ごしやすい気候の地域に移住したいという話になりました。
移住先は、夏でも涼しい東北地方で、かつ、私が雪国出身で雪が降る地域の大変さを知っていたこともあり、雪があまり積もらない地域を希望した結果、東北地方の太平洋側の地域から探すことに決めました。
夫がいろんな自治体の相談窓口に問い合わせてくれて、候補地をさらに絞っていきました。陸前高田市は、今お世話になっている高田暮舎に相談したのですが、その時初めて陸前高田市が移住定住の取組に力を入れていることを知り、先輩移住者が多くいることも安心感につながって、移住を考えるきっかけとなりました。
-移住するにあたって、どのようなことを重視しましたか?
「自分たちがその土地で生活するイメージができるかどうか」ということを重視しました。
移住する前には、京都から家族で移住先の候補地を視察したのですが、陸前高田を訪れた際、山と海の間に盆地が広がる開放的な町の様子が、求めているものにすごく近いと感じました。高田暮舎も訪ねて、当時の移住コンシェルジュの方にいろいろお話を聞いたのですが、そういった移住者のサポートもしっかりしているという点も移住の決め手になりました。
-陸前高田市への移住を考えてから、どれくらいで実現されましたか?
大体半年くらいだったと思います。2022年の6月頃に移住したいと考え始めてからすぐに動き出し、9月には候補地の視察にいき、次の年の2月には移住しました。
-移住に当たって県や市の支援制度は利用しましたか?
制度は調べてみましたが、首都圏からの移住を対象にしたものが多く、特に利用したものはありませんでした。
-移住するときに大変だったことはありますか?
住む場所を探すのが意外と大変でした。市営住宅に応募して入居できたのですが、賃貸だと思ったよりも家賃が高く、お手頃な物件は少ないんだなと驚きました。
また、我が家の場合は子どももいたので荷物も多く、荷造り・荷ほどきなど引越し作業も大変でした。
-移住してから驚いたこと、不便だと感じることはありますか?
ゴミを出す際、ゴミ袋に名前を書くことに驚きました。病院で診察を受ける際にも名前で呼び出されて、京都では受付番号で呼びだされていたので、始めはとても驚きました。
ものすごく不便だと感じることはあまりないのですが、移動手段として車はないと日常生活に困る気がします。また、病院もあるにはあるのですが、専門科が限られていたり、診察日が限られていたりといった点は不便かなと感じました。
-どんな時に移住してよかったと感じますか?
私は、今見えているこの高田の景色がすごく好きです。京都に住んでいた時は、外に出ても、建物が密集していたり高いビルがあったりして、とても窮屈に感じていました。
陸前高田市は、普段当たり前に生活している環境の中にも程よく自然があり、どこを見てもきれいな景色が楽しめます。移住して3年目になりますが、この景色はやはり特別に感じています。

-移住してみて改めて、気仙地域はどんなところだと思いましたか?
移住する前は、一般的な田舎とか人が少ない地域について、閉塞的なイメージもあり、心配していたのですが、移住してみたらそんなことは全く感じませんでした。こちらに来てから知り合いもでき、家族ぐるみで良くしてもらっていますし、地域の人たちも気さくで、移住者に対してもよそ者扱いなどはせずに、温かく迎えてくれる方が多いなと感じました。
また、移住前は、夫の実家の近くに住んでおり、子育てする上で近くに頼れる家族がいるという環境がすごく心強かったのですが、移住することでそれがなくなってしまうことをとても不安に感じていました。でも、こちらに来てから、私の母親くらい世代の知り合いの方もできて、「何か困ったことがあったらいつでも頼ってね」と言ってくださっています。こちらには、血のつながった家族はいませんが、頼ってもいいんだと思える方がいてくださることが、とてもうれしく、ありがたく感じています。

-気仙地域の好きな場所、景色を教えてください。
家族ではよく公園に遊びに行きます。陸前高田市内だと「まちなか広場」、大船渡市だと「夢海公園」がお気に入りです。大きい遊具もあり、子どもも楽しめるのでおすすめです。
まだ行ったことがないのですが、住田町の「滝観洞」も気になっているので、今度子どもと一緒に行ってみたいと思っています。

-現在のお仕事、移住者へのサポートについて詳しく教えてください!
特定非営利活動法人では、移住者を希望する方、移住した方へのサポートを行っています。
移住希望者については、電話やメール、ZOOM等を活用しながら、移住に関するお問い合わせや相談に対応しています。実際に現地の見学を希望される方には、仕事の関係や住居等、興味がある内容をお聞きし、個別に見学場所を設定して現地を案内するといったサポートも行っています。
こちらに移住してきた後も、随時相談を受け付けているほか、定期的に「高田暮らし交流会」という移住者と地域の人に参加いただける交流会を開催しており、移住者同士のつながりですとか、地元の方とのつながりを持てるような取組を実施しています。
また、年に1、2回ほど、移住希望者を対象とした移住体験プログラムも実施しており、2泊3日の行程で、陸前高田市の魅力を体験できるプログラムとなっています。

-今後の目標や、やりたいことを教えてください!
私自身が、子どもを連れて家族で移住してきているので、同じように子どもを連れた移住者の方を増やしたいですし、そのための新しい取組もできたらと考えています。陸前高田市は子育てするのにもとてもいい環境なので、そのことをもっと知っていただきたいです。
プライベートでは、私も家族も温泉が大好きなので、県内の市町村を巡りながら、各地にある温泉を制覇してみたいです。
-移住を考えている方にメッセージをお願いします!
移住は決して簡単な決断ではないと思います。夫とも、人生は一度きりだし後悔がないように生きたいねと、よく話しているのですが、移住してみて、仮にその土地が合わなかったとしても、それは失敗ではなくて、そのことを知れたという一つの経験になるのだと思います。移住を考えている方には、自分の人生を豊かにする選択の一つとして、挑戦してみてほしいと思います。
【特定非営利活動法人高田暮舎のご紹介】
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受付時間 9時00分~18時00分(定休日は土日祝)
電話番号 080-6292-3865
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