【移住者インタビュー】最新号

ページ番号1053516  更新日 令和6年12月13日

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【第39回】USCOFFEE(アスコーヒー) 植田 真治 さん

『やりたかったことに挑戦 自分の店をみんなが集まれる場所に』

植田 真治(うえた しんじ)さん

植田 真治(うえた しんじ)さん

釜石市出身
飲食業(カフェ)

インタビュー実施日:2024年11月19日

 

-ご出身と現在の取組について教えてください。

 出身は釜石市です。現在は、住田町に移り住んで、今年の9月にオープンしたばかりですが、コーヒーとドーナツを提供するカフェを営んでいます。

 

-気仙に来る前はどのようなことに取り組んでいましたか。

 東日本大震災がきっかけで、地元である釜石市に戻ってきました。高校卒業後に東京の大学へ進学し、卒業後は東京都内でサラリーマンをしていたのですが、震災で実家が被災してしまったことから、平成23年8月に釜石に帰ってきて、仮設住宅に暮らしながら、釜石市役所に勤めていました。市役所では、観光振興に関する業務や、復興事業に係る用地買収の業務などを担当しました。

 

-住田町に移住することになったきっかけを教えてください。

 結婚を機に、妻と一緒に住む場所として選んだのが住田町でした。妻は花巻市出身なのですが、震災後、私が釜石市に戻るタイミングで、一緒にこちらに戻って来て、住田町で働いていました。結婚した当時、私は釜石市に勤めていたため、釜石市と住田町、どちらに住むか悩んだのですが、妻と相談して住田町を選びました。

 

-移住するにあたって、何か重視したことはありますか。

 移住する際、地域の方々が優しく受け入れてくれて、歓迎されたのを覚えています。私としても地域に入りやすく、ここに住みたいなと素直に感じました。職場から遠くなるため、通勤などが大変になるとも考えましたが、将来的に子どもが生まれたときのことを考えた時に、子育てするにもいい環境だと思い、移住を決めました。

 

-移住を考えてから、どれくらいの期間で実際に移住しましたか。

 移住することを決めてから、住むところを探すのに、結構時間がかかりました。住田町は民間のアパート等が少なく、物件選びに非常に苦労しました。私たちは、タイミングよく公営住宅に空きが出たため、そちらに住むことにしたのですが、この点は住田町の課題のように感じました。

 

-移住にあたって、県や町の支援制度は利用しましたか。

 その当時は特に支援の制度等は気にしておらず、利用しませんでした。

 

-移住するときに大変だったことはどんなことですか。

 “大変”ということでもないのですが、同じ岩手県で、さらにはすぐ隣の釜石市からの移住でしたが、それでも地域のルールが少しずつ違っているなと感じました。独特な風習などもあり、面白くもあるのですが、新しく来る人の中には「ハードルが高い」と感じてしまう人もいるかもしれません。私たちでも、そういったルールや風習に馴染むのに少し時間がかかったので、遠い土地から来る人達は慣れるまでより時間がかかるかなと思います。

 

-住田町に移住してよかったと感じるのはどんな時ですか。

 とても住みやすいと感じています。地域の雰囲気というか、商店街を歩いていてもみんな声をかけてくれますし、子どもたちは、地域のお年寄りを自分のおじいちゃんやおばあちゃんのように感じているようです。私と妻が忙しいときは、地域の方が子どもたちを預かってくれることもあり、本当に地域で子どもたちを育ててくれているというのを感じています。

 

 

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子どもたちと町内を散歩する植田さん夫妻

 

-逆に、移住してから驚いたことや、不便だなと感じたところはありますか。

 住んでいて不便に思うようなことはないのですが、気になるのはアクセスの悪さです。例えば、関東から友達を呼びたくても、交通の問題や宿泊施設の少なさから簡単には呼べないなと思ってしまいます。同じことは、大船渡市や陸前高田市にも言えると思うのですが、沿岸部の課題のような気がします。

 

-移住後、現在のお店をオープンしたきっかけを教えてください。

 元々、いつかは自分のお店を持ちたいと考えていたのですが、復興関係の仕事も落ち着いてきたこと、実家を再建することができたこと、そして子どもが生まれたことと、いろいろなタイミングが重なったことがきっかけになりました。子どもには自分の好きなように生きてもらいたいと考えた時に、自分だって好きなことをやらなきゃだめだなと思い、決心しました。

 町の移住・定住支援制度があったことも、大きかったです。この店舗兼住宅も、定住促進住宅のような形で町から借りているのですが、元々は薬局だった空き家を町が取得して、住宅部分を改修していただいて、店舗だった部分は自由に使えるというものだったので、私たちにはぴったりな物件でした。

 コーヒーが好きだったことと、この地域には喫茶店のような、地域のみんなが集まれる場所がなかったので、そういった場所があってもいいかなと思い、カフェを始めることにしました。

 

-お店のオープンに当たって、住田町の定住支援制度を活用したとのことですが、その他に活用した制度などはありましたか。

 岩手県「木づかい宣言」事業者に登録していただき、店舗の改装に県産木材を使用した際に、補助金が交付されるという制度(「いわての木があふれる空間づくり事業補助金」)を活用することができました。県産木材を取り入れたことで、お店も明るく、いい雰囲気になりました。

 また、住田町では、起業したい人を支援する制度もあり、私も奨励金をいただくことができました。

 

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県産の木材をふんだんに使用した明るくてお洒落な店内

 

-お店のことを教えてください!

 初めにお話ししたとおり、コーヒーとドーナツを提供しています。コーヒーは、まだそれほど多くの種類を提供できているわけではありませんが、今後は世界中のいろいろな国のコーヒー豆を仕入れて、それぞれの国の特徴や違いを味わっていただけるよう提供していきたいと考えています。

 また、コーヒーが苦手な方や、お子様など、コーヒーが飲めない方も当然いらっしゃいます。そういった方にも来ていただけるように、ドーナツも常時10種類ほどを御用意しておりますので、気軽に楽しんでもらえたら嬉しいです。

 お店の内装も、たくさん木を使うことで住田町の商店街の雰囲気を邪魔しないように気を付けつつ、商店街を臨めるような造りにして、中からも外からも楽しめるというコンセプトで造り上げました。

 

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自慢の手作りドーナツは売り切れてしまうことも ぜひ早めのご来店を

 

-気仙地域に来て、この地域はどんなところだと感じましたか。

 住んでいるのは住田町ですが、隣の大船渡市、陸前高田市も生活圏としてちょうどいい距離にあるなと感じています。住んでいる人たちも、外から来た人を拒むようなことはありませんし、それぞれの市町でうまく連携し合えているような気がします。

 

-気仙で好きな場所、景色はどこですか?

 子どもができてからは、よく公園に行くようになったのですが、大船渡市の「夢海公園」や、陸前高田市の「まちなか広場」は、周辺で買い物や食事もできるので、家族のお気に入りスポットになっています。

 

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大船渡市大船渡町の「夢海公園」 週末は子ども連れの家族で賑わう

 

-これからの目標、やりたいことを教えてください!

 まずは今のお店を頑張ることが第一ですが、住田の商店街が元気になるようなことがしたいです。例えば、商店街に新しいお店をオープンするとか、おそらく自分のやりたいことはその時その時で変わってくると思うのですが、やりたいことにすぐ挑戦できるようにしたいと思っています。

 私は、他の地域の人というよりも、住田に住んでいる人に楽しんでもらいたいので、住田の人に食べてもらう、楽しんでもらえることを考えていきたいと思っています。交通が不便で、来たくてもお店に来られない高齢の方向けの配達サービスなんかもできればいいなと考えています。

 

-最後に、移住を考えている方にメッセージをお願いいたします!

 移住すると考えた時に、きついなと感じる部分もあるかと思いますが、こちらの地域の方々は受け入れるマインドがありますので、そこは心配しなくてもいいですし、来た時には温かく迎え入れてくれると思います。

一方で、どうしても地域特有の風習などはありますので、そういった風習や文化の違いなども受け入れて、楽しむことができれば、この地域の魅力にどっぷりつかることができるのではないかと思います。

 また、やりたいことは何でも挑戦できる環境でもあるので、そういった部分も魅力の一つだと思います。

 

【お店紹介】

USCOFFEE(アスコーヒー)

 住   所  岩手県気仙郡住田町世田米字世田米駅124-3

 営業時間  11時00分~17時00分 (定休日は毎週水曜日、毎月第一土・日曜日)

 電話番号  080-5685-6593

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このページに関するお問い合わせ

沿岸広域振興局経営企画部大船渡地域振興センター  地域振興課
〒022-8502 岩手県大船渡市猪川町字前田6-1
電話番号:0192-27-9911(内線番号:305) ファクス番号:0192-27-1395
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