平成31年2月県議会定例会知事演述
平成31年2月県議会定例会知事演述の動画
1 はじめに
本日、ここに第16回県議会定例会が開会されるに当たり、今後の県政運営について、私の所信の一端を申し上げます。
2011年3月11日、かけがえのない多くの命が失われた東日本大震災津波の発生から、間もなく8年が経とうとしています。
また、26名の貴い命を奪った平成28年台風第10号災害の発生から、間もなく2年半が経とうとしています。
改めて、犠牲になられた方々の御冥福をお祈りし、いまだ、応急仮設住宅等で不自由な暮らしを余儀なくされている方々をはじめ、被害を受けられた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
また、昨年は、6月に大阪府北部を震源とする地震が発生して以降、西日本を中心とする平成30年7月豪雨、非常に強い勢力のまま上陸した台風第21号、平成30年北海道胆振東部地震など、日本各地で大きな災害に見舞われた年となりました。
改めて、これらの災害で犠牲になられた方々に深く哀悼の意を表し、また、被災された皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
二度と同じ悲しみを繰り返さないという決意のもと、引き続き、強靱な県土づくりに徹底して取り組み、安全・安心な地域社会を構築して参ります。
2 東日本大震災津波・平成28年台風第10号災害からの復旧・復興
(東日本大震災津波からの復旧・復興の成果と課題)
東日本大震災津波の発災以降、復興計画に基づき、被災者一人ひとりに寄り添った支援を行いながら、一日も早い復興を目指し、取り組んで参りました。
復興まちづくり事業は約9割が完了しました。
三陸沿岸道路の唐桑高田道路や吉浜釜石道路などが順次開通し、来月には、東北横断自動車道釜石秋田線が全線開通します。
被災した県立病院や公立学校の校舎は全て復旧し、災害公営住宅は約95%が完成しました。多くの被災事業所が事業を再開し、大型商業施設や共同店舗が開業するなど、新しいまちづくりが進んでいます。
ガントリークレーン整備や外貿定期コンテナ航路の開設など、港湾の機能拡充が進み、取扱貨物量は東日本大震災津波前に比べ増加し、本県初となるフェリー航路も開設されました。
昨年の「復興に関する意識調査」では、沿岸部において、調査開始以降初めて、県全体の復旧・復興について「進んでいると感じる」方々の割合が最も多くなるなど、復興の実感は着実に広がりつつあります。
一方、依然として2,827人の方々が応急仮設住宅等での生活を余儀なくされています。また、こころと体の健康づくりや、新たなコミュニティ形成の支援など、安心して心豊かに暮らせる生活環境の整備を進める必要があります。
さらに、水産業や商店街の再生、中小企業における事業再開後の販路回復に向けた支援に、引き続き取り組むことが必要です。
県や被災市町村において復興事業を着実に進め、また、将来の適切な維持管理に対応していくためには、技術系を中心とした職員の確保・育成が課題です。さらに、年月の経過とともに、記憶の風化が懸念されることから、教訓や復興のプロセスを県民的、かつ全国的に共有していくことが必要です。
引き続き、被災者一人ひとりに寄り添った支援を行いながら、ビルド・バック・ベター、三陸のより良い復興を進めて参ります。
(平成28年台風第10号災害からの復旧・復興の成果と課題)
平成28年台風第10号災害による被害は、本県を襲った近年の水害として過去最大のものとなり、東日本大震災津波からの復興に取り組む被災地に更なる苦しみをもたらしました。
発災以降、被災市町村と連携し、県独自の補助金制度や自由度の高い交付金の創設など、スピード感を持ちながら支援に取り組んで参りました。
観光や物産振興分野に続き、生活再建に向けた動きが着実に進んでいます。
被害が最も大きかった岩泉町では、災害公営住宅の整備が進み、春には、入居が開始される予定です。また、ほぼ全ての公共土木施設と農林水産関係施設の災害復旧工事に着手し、完成に向け、取組を進めています。
一方、被災市町の復旧・復興に要する財源やマンパワーの確保が引き続き課題です。国に対し、被災市町の幅広い財政需要に対する特段の措置を講じるよう働きかけを継続し、また、技術職員の派遣や県内市町村と連携した人材確保を進めていく必要があります。
さらに、県北・沿岸圏域においては、全県に先行して人口減少が進行していることから、復旧・復興の取組と併せ、将来を見据えた地域経済の基盤強化を図ることが必要です。
引き続き、被災市町と連携し、力強く復興を推進して参ります。
3 ふるさと振興の推進
本年4月30日、天皇陛下の御退位により、「平成」が終わります。
天皇皇后両陛下には、東日本大震災津波の被災地御見舞のために御来県いただき、温かいお言葉や励ましのお言葉を賜り、被災者のみならず、県民に大きな勇気を与えていただきました。
また、平成9年、1997年の全国豊かな海づくり大会、平成28年、2016年の希望郷いわて国体の開催に際し、御臨席賜り、県内各地で多くの県民と親しく接していただきましたことは、県民にとって忘れることができません。
改めて御礼申し上げます。
(国内外の社会経済情勢の変化)
「平成」における国際情勢を振り返りますと、東西冷戦終了後も地域紛争が各地で生じ、平和な世界秩序の構築に向けた模索が続いています。
世界経済は、グローバル化やイノベーションが進展し、中国やインドをはじめとする新興国が急速な経済成長を遂げ、アジアを中心とした繁栄の30年でありました。我が国の貿易構造も変化し、中国を中心とするアジア向け輸出が増加基調をたどり、また、訪日外国人旅行者も大きく増加しました。
国内に目を向けますと、阪神・淡路大震災や東日本大震災津波をはじめ、自然災害が激化しています。
GDPはバブル崩壊後に成長が鈍化し、世界経済の拡大の中で、日本の経済成長率の低さが際立っています。
また、国と地方のあり方が大きく見直された時代でもありますが、平成初頭から取り組まれてきた地方分権改革は、今なお途上にあり、近年、東京一極集中が加速しています。
一方、地方では、人口減少は進んでいますが、住民の工夫と努力により、生活や仕事を向上させる力強い取組が進められ、文化芸術やスポーツで、地方の力を大いに高めるような、地域づくりの発展がありました。
「平成」から次の元号へと移行する節目に当たり、地方こそ、人々の暮らしやなりわいの現場であり、地方において仕事と生活を着実に向上させることこそが、国の発展となり、ひいては、国際的な問題の解決、そして世界平和につながるということを、私たちは胸に刻むべきではないでしょうか。
(岩手県の取組とその成果)
平成21年、2009年に「いわて県民計画」を、平成27年、2015年には「岩手県ふるさと振興総合戦略」を策定し、オール岩手で、施策を推進してきました。
自動車や半導体関連産業など、ものづくり分野を中心に、企業誘致と地場企業振興の両面から取り組み、その結果、北上川流域地域において、東芝メモリ株式会社の新工場建設や株式会社デンソー岩手の大規模増設など、産業の集積が一層加速し、地場企業の新規参入や取引拡大といった好循環が生まれています。
また、上海国際博覧会への南部鉄器の出展を契機に、中国をはじめ、成長するアジア市場において、本県の伝統的工芸品の認知度が向上しています。
いわて花巻空港では、昨年8月に、台湾との間で、本県初となる国際定期便が就航し、先月には上海便が開設され、外国人旅行者の増加による観光や経済への好影響が見込まれます。
昭和後期から取り組まれてきたインフラの整備は、今まさに花開き、軌道に乗る産業振興や観光振興の礎となっています。
県産農林水産物の評価が全国的に高まっており、特に、関係者の長年にわたる地道な研究開発が結実した、本県待望の水稲オリジナル新品種、「金色の風」と「銀河のしずく」は、全国の消費者から高い支持を得ています。
医療を担う人づくりを進め、人口10万人当たりの病院勤務医師数が増加し、また、地域包括ケアシステム構築に向けた取組が進んでいます。
さらに、県立療育センターと県立盛岡となん支援学校を開所、開校し、障がいがある児童生徒一人ひとりに応じた総合的な支援体制を強化しています。
平泉の文化遺産と橋野鉄鉱山が世界遺産に登録されるなど、本県の文化遺産の価値が世界的に認められています。また、希望郷いわて国体・希望郷いわて大会は、県民の底力と様々なつながりの力を結集し、大成功を収めました。
さらに、文化芸術やスポーツにおいて、本県ゆかりの人々が国内外で活躍しています。特に、平成生まれの岩手の若者たちが輝きを放っており、新元号時代の希望です。
4 「新元号元年」の岩手
本年5月1日、皇太子殿下の御即位により、新元号が始まります。
「新元号元年」は、本県にとっても、いくつかの重要な点で、未来に向かう出発の年となります。
(三陸防災復興プロジェクト2019)
来月23日、釜石・宮古間を含む、三陸鉄道「リアス線」が開通します。県民が待ち望んだ、この歴史的な日を契機とし、夏には、三陸地域全体を舞台とする広域的・総合的な防災復興行事「三陸防災復興プロジェクト2019」を実施します。
復興に力強く取り組んでいる地域の姿を発信し、記憶と教訓を伝え、国内外の防災力向上に貢献したいと思います。さらに、本プロジェクトを契機に、防災と復興を核とする持続的な地域振興を推進し、新たな三陸の創造へとつなげて参ります。
(ラグビーワールドカップ2019TM釜石開催)
9月には、いよいよラグビーワールドカップ2019TM日本大会が開幕し、本県では、釜石鵜住居復興スタジアムにおいて、熱戦が繰り広げられます。
万全を期して大会本番を迎えられるよう、釜石市と共に、引き続き、機運醸成や受入態勢の整備を進め、全国、そして世界との新たな絆を生み出す機会となるよう、取り組んで参ります。
(ILCの実現)
ILC・国際リニアコライダーの実現に向けた国内での検討が、いよいよ大詰めを迎えています。
いち早い政府の前向きな意思表示に向けて、これまで積み重ねてきた取組の成果を総結集し、必要なことは全てやり切る考えで、関係機関・団体と一致団結し、全力で取り組んで参ります。
(地域戦略の展開)
人口減少をはじめ様々な地域課題の解決のためには、県内各地域に、特徴を生かした取組を展開することが重要です。
産業集積が進む北上川流域地域では、新たな雇用創出に対応し、働きやすく、暮らしやすい地域を創造していきます。
復興により、まちづくりや交通ネットワークが大きく進展した三陸地域では、社会資源を生かした産業振興を進め、持続的に発展する地域を創造していきます。
特徴的な地域産業や豊富な再生可能エネルギー資源を有する県北地域では、豊かな資源を生かした地域振興を進め、あらゆる世代がいきいきと暮らす地域を創造して参ります。
(「いわて県民計画(2019~2028)」の提案)
現行の「いわて県民計画」と「岩手県東日本大震災津波復興計画」は、今年度で共に計画期間が終了します。
昨年度来、次期総合計画の策定に向け、県民の皆さんに幅広い参画をいただきながら、議論を行ってきました。
今般、最終案を取りまとめ、「いわて県民計画(2019~2028)」として、今議会において議決をいただくべく、提案をいたしました。
新元号とともに、新しい「いわて県民計画」のもと、岩手の新たな歩みを始めたいと思います。
5 平成31(2019)年度の主要施策の概要
以下、平成31年度、2019年度の具体的な施策の内容について申し上げます。
(復興の推進)
はじめに、東日本大震災津波からの復興の取組です。
まず、「安全の確保」として、防潮堤等の津波対策施設や水門・陸こうの自動閉鎖システムの整備を進め、多重防災型まちづくりを推進します。また、災害に強いライフラインや、太陽光、水素などを活用した自立・分散型エネルギー供給体制の構築を図ります。
被災地における安全・安心を確保するため、警察官による訪問活動などを通じた、事件・事故の未然防止に取り組みます。また、三陸沿岸道路等の延伸に伴い、交通量の増加が見込まれることから、高速道路交通警察隊の体制強化や、復興関連事業所等の運転者に対する安全教育を推進します。
原子力発電所事故に起因する放射線に対する県民の不安解消に向け、農林業系副産物の処理加速化に向けた技術的支援や、放射線量、食品の安全性などの情報発信に、引き続き取り組みます。あわせて、実態に即した十分な賠償が実現するよう、市町村等と連携し、東京電力ホールディングス株式会社に対する交渉を継続して行います。
復興道路の整備は、かつてないスピードで進められており、来年度には、三陸沿岸道路の宮古以南の開通が予定されています。引き続き、災害に強い道路ネットワークの構築に取り組みます。
また、港湾の機能強化に向け、国による湾口防波堤の整備と併せ、港湾施設の整備を進め、さらに、フェリーやコンテナ航路の利用拡大に取り組んで参ります。
次に、「暮らしの再建」として、一人ひとりが一日も早く安定した生活に戻ることができるよう、内陸部を含む災害公営住宅の早期完成を目指し、整備を進めます。また、市町村と連携し、持ち家による住宅再建を、引き続き支援します。
さらに、「被災者相談支援センター」や「いわて内陸避難者支援センター」における一人ひとりに寄り添った支援や、再建先でのコミュニティ形成が円滑に進むよう、コーディネーターや支援員の配置、被災者の「心の復興」を後押しする民間団体の取組に対する支援を継続します。
三陸鉄道「リアス線」の持続的な運営確保を図るため、「鉄道事業再構築実施計画」に基づき、関係市町村と連携しながら、利用促進を含めた支援を実施します。また、バス路線の維持・確保に向けて、国に対し、被災市町村における復興まちづくりが完了するまでの被災地特例制度の継続や補助対象の拡大を、引き続き、働きかけて参ります。
地域の医療機関や社会福祉施設の機能充実を図り、新たなまちづくりにおける、質の高い保健・医療・福祉サービスの継続的な提供体制を整備します。また、「岩手県こころのケアセンター」や「いわてこどもケアセンター」を拠点とした相談対応や、生活支援相談員の配置による見守り活動など、きめ細かなこころと体のケアに取り組みます。
県民の学びの場となる、「県立野外活動センター」の移転復旧を進めます。
また、被災した児童生徒に対する、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる心のサポート体制の充実や、いわての学び希望基金等による進学・修学支援を継続します。さらに、「いわての復興教育」プログラムの見直しによる副読本の改訂など、教科横断的な復興教育を推進して参ります。
次に、「なりわいの再生」として、基幹産業である水産業の再生に向け、「いわて水産アカデミー」の開講による地域漁業をリードする人材の確保・育成、高度衛生品質管理体制の構築による水産物の高付加価値化や、漁港施設の防災・減災対策に取り組みます。
また、原木しいたけの産地再生を図るため、引き続き、出荷制限の解除に向けた取組を進めながら、意欲的な生産者の規模拡大に対する支援や新規参入者の確保・育成に取り組みます。
中小企業の本格的な事業再開、経営の安定化を図るため、本設事業所への移転や二重債務問題の解決、販路開拓や売上向上に向けた取組を支援します。また、仮設店舗から本設への円滑な移行等により、商店街を核とするにぎわいを創出し、さらに、被災地における起業や新事業の展開など、新たなチャレンジを促進します。
「三陸DMOセンター」を中心に、観光人材の育成や地域資源を生かした観光コンテンツの磨き上げ、高付加価値型・広域周遊滞在型の旅行商品の造成を促進し、「観光で稼ぐ三陸」のモデルを構築します。
また、三陸ジオパークを活用した教育、保護・保全、ジオツーリズムなどの取組を通じ、三陸地域の多様な魅力を発信し、国内外との交流の拡大につなげます。
さらに、釜石市根浜海岸、大槌町浪板海岸の砂浜再生など、引き続き、観光資源の再生に取り組みます。
本年4月、県内初となる10万トンを超えるクルーズ船、ダイヤモンド・プリンセスが宮古港に寄港します。県内港湾への更なるクルーズ船寄港拡大に向け、ポートセールスに取り組んで参ります。
東日本大震災津波の記憶の風化を防ぎ、また、被災県として、国内のみならず世界の防災力向上に貢献していくためには、教訓の伝承と復興の姿の発信が重要です。
陸前高田市の高田松原津波復興祈念公園内に、国が整備する追悼・祈念施設や重点道の駅「高田松原」と併せ、伝承や防災教育、防災文化継承の拠点となる東日本大震災津波伝承館を整備し、ラグビーワールドカップ2019TM釜石開催までに開館できるよう準備を進めます。
また、「いわて震災津波アーカイブ~希望~」の活用を促進し、さらに、三陸防災復興プロジェクト2019や復興フォーラムの開催などを通し、支援に関する感謝の気持ちや復興の歩みを進める地域の姿を国内外に発信して参ります。
これらの取組に当たっては、引き続き、東北電力株式会社と連携し、割安な価格での電力供給と、復興とふるさと振興施策への財政支援を一体的に行う「いわて復興パワー」の仕組みを活用します。
(政策の推進)
復興とともに、県民のニーズに応えた、各分野の政策を展開して参ります。
また、政策の推進に当たっては、誰もが社会の中でつながり、支え合う、ソーシャル・インクルージョンの観点に立ち、取り組んで参ります。
(健康・余暇)
少子高齢化が更に進む中、子どもから高齢者まで健やかに生活するためには、共に支え合いながら、こころと体の健康を増進していくことが重要です。
生活習慣病と自殺による全国高位の死亡率の改善は、緊急かつ迅速に解決すべき課題です。
「岩手県脳卒中予防県民会議」の構成団体等と連携した生活習慣病予防や受動喫煙防止に向けた取組を推進し、また、検診実施機関が行うマンモグラフィ検診車整備に対する支援などにより、がん検診受診率の向上を図ります。
現在策定を進めている、次期「岩手県自殺対策アクションプラン」に基づき、地域特性に応じた総合的な自殺対策を推進し、一人ひとりの事情に応じた相談支援体制の充実・強化を図ります。
奨学金による医師の養成と適切な配置調整、女性医師が働きやすい環境整備や看護職員の復職支援に取り組みます。
また、地域医療構想の実現に向け、医療機関の機能分化と連携体制の構築を推進し、さらに、ICT等の活用による周産期医療機関の連携強化、ドクターヘリ運航体制の円滑化やDMAT隊員等の育成による救急・災害時医療体制の整備に取り組みます。
移転する岩手医科大学附属病院における高度救命救急医療等提供拠点の整備を支援し、あわせて、新病院への交通アクセスの向上を図るため、矢巾スマートインターチェンジからのアクセスの改善や徳田橋の架け替え整備を進めます。
安心して地域で最期まで暮らし続けられるよう、患者の意思を尊重した医療及びケアを提供する「アドバンス・ケア・プランニング」の効果的な普及を図ります。
また、今年度内に策定する「第3期岩手県地域福祉支援計画」に基づく施策を着実に推進し、市町村における地域包括ケアシステム構築の加速化や成年後見制度の利用促進、障がいのある方の住まいや就労の場の整備・充実を図ります。
さらに、増大する介護・福祉ニーズに対応する人材を確保するため、マッチング支援や修学資金貸付金の利用促進、事業所に対する介護ロボット導入支援に取り組んで参ります。
心に潤いと安らぎを与え、健康を実感できる、文化芸術・スポーツの振興が重要です。
長い歴史を持つ「岩手芸術祭」の充実や、本県ゆかりの作家を講師とした講演会の実施など、「文学の国いわて」の進展に向けた取組や、アール・ブリュット作品の魅力を発信する巡回展などを実施します。
また、現在策定を進めている「仮称・岩手県スポーツ推進計画」に基づき、スポーツ参画人口の拡大や、盛岡南公園に盛岡市と共同で整備する新野球場などのスポーツ環境の充実、共生社会型スポーツの推進等、スポーツ推進施策を総合的かつ計画的に進めて参ります。
(家族・子育て)
人口減少、少子化社会において、出生率を向上させ、人口の自然減に歯止めをかけるためには、子育て支援の取組と家族のつながりが重要です。
結婚、妊娠・出産、子育ての各段階に応じた切れ目のない支援により、家庭や子育てに希望が持て、子どもたちが健やかに育つ環境づくりに取り組みます。
“いきいき岩手”結婚サポートセンターを中心とした結婚支援や特定不妊治療費助成の実施、待機児童の解消に向けた保育施設の整備や保育人材の確保、さらに、現物給付による子どもの医療費助成の小学生への拡大に取り組みます。
「子どもの生活実態調査」の結果を踏まえ、新たな「いわての子どもの貧困対策推進計画」を策定し、子どもの貧困対策に総合的に取り組み、また、児童福祉司の増員や児童相談所の改修・改築など、児童虐待防止体制を強化します。
障がい児とその家族の多様なニーズに対応した、質の高い療育を県内どの地域でも受けられるよう、関係機関が連携した地域療育ネットワークの構築を支援し、さらに、みたけ学園・みたけの園の新施設となる「てしろもりの丘」の整備を進めます。
青少年ボランティア活動の促進や若年無業者の自立支援に取り組み、青少年が個性や主体性を発揮し、自立した活動ができる環境づくりを進めます。
また、ワーク・ライフ・バランスの確立に向け、「いわて働き方改革推進運動」の更なる展開や、「いわて働き方改革アワード」などを通じた普及啓発により、企業の実情に応じた働き方改革を促進します。
さらに、盛岡市と連携し、動物のいのちを大切にする社会づくりの拠点施設となる「動物愛護センター」と、野生鳥獣の保護管理施設となる「鳥獣保護センター」の整備に向けた検討を進めて参ります。
(教育)
岩手の未来を切り拓いていくためには、その原動力となる、将来を担う子どもの教育の充実と、様々な分野で活躍する人材を育てていくことが重要です。
「岩手県総合教育会議」を活用し、教育委員会との連携を深め、教育のあるべき姿や課題、現在策定が進められている「岩手県教育振興計画」に基づく取組を共有し、本県教育の振興を図って参ります。
学校施設への冷房設備やネットワーク基盤の整備など、児童生徒が学びやすい環境づくりを進めます。また、希望する進路の選択肢を拡大し、将来の自己実現を達成できるよう、私立学校の特色ある教育活動を、引き続き支援します。
さらに、児童生徒が自らの生き方・あり方を考え、社会人・職業人として自立できるよう、計画的・組織的なキャリア教育を推進します。
人口減少に伴う全国的な人手不足の中、産業集積の進展に伴う急激な新規雇用の増加などにより、各産業を担う人材の確保・育成が急務です。
ものづくり産業人材の需要に対応するため、「地域ものづくりネットワーク」を中心としたものづくり教育や、高レベルの新技術に対応し、地域に普及できる次世代ものづくり技術者の育成を進めます。
農林水産業の持続的発展を図るため、県立農業大学校や「いわてアグリフロンティアスクール」、「いわて林業アカデミー」、「いわて水産アカデミー」において、担い手の育成に取り組みます。
建設業の将来を担う人材を確保するため、建設現場におけるICT技術の導入や、女性も若者も働きやすい職場環境の整備、「建設業みらいフォーラム」を通じた魅力発信に取り組みます。
グローバル人材を育成するため、学校における外国語教育の充実や「イーハトーヴ・キャンプ」によるコミュニケーション能力の向上、高校生の海外派遣研修に取り組みます。また、学生の海外留学支援や、留学生等と県内企業との交流機会の創出により、地域産業の国際化に貢献する人材の育成を進めます。
希望郷いわて国体・希望郷いわて大会で高められた本県選手の競技力の向上を図り、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会をはじめ、国内外で活躍するトップアスリートの育成を進めます。また、スポーツの価値を守るため、スポーツ・インテグリティ、すなわち誠実性・健全性・高潔性の確保に向け、アスリートや指導者に対する教育・支援体制の充実を図ります。
地域をけん引する人材の育成や若者の地元定着など、様々な地域課題の解決に向け、「いわて未来づくり機構」や「ふるさといわて創造協議会」をはじめとする産学官連携組織による取組を一層推進します。
さらに、全国の多くの自治体でも取組が進められている「プラチナ社会」、すなわち、地域の多様な豊かさやつながりに着目し、地域課題の解決につなげることにより、エコロジーで、老若男女が全員参加し、心もモノも豊かな社会の実現に向け、県立大学を核とし、企業や自治体等が参加するプラットフォームの構築や県北地域におけるモデルプロジェクトの創出に取り組んで参ります。
(居住環境・コミュニティ)
一人ひとりが住み慣れた地域で暮らし続けるためには、多様な主体の連携により、地域コミュニティが絶えず活性化していることが重要です。
「元気なコミュニティ特選団体」の認定や優良事例の普及啓発、地域おこし協力隊員に対する起業支援による地域への定着促進に取り組みます。また、現在策定を進めている「岩手県地域公共交通網形成計画」に基づき、市町村や交通事業者と連携し、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築を図ります。
依然として、東京一極集中は是正されていません。
次期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」策定に向けた動きに対応しながら、国に対し、東京一極集中の是正と地方重視の経済財政政策を実施するよう、強く訴えて参ります。
また、本県への新しい人の流れを生み出すため、情報発信や受入態勢の強化、国の新たな起業・就業支援施策である「わくわく地方生活実現政策パッケージ」の活用などにより、各段階に応じた総合的な移住・定住施策を展開します。
外国人が暮らしやすい環境をつくるため、市町村や国際交流協会等と連携し、相談・支援体制の充実に取り組みます。また、中国雲南省との友好交流協力協定に基づき、地方政府間交流を起点として、経済、農林業、青少年、教育の各交流を展開し、互恵的で幅広い連携を強化します。
岩手の多様な文化の魅力を発信し、地域活性化につなげるため、ジャポニスム2018を契機とした海外とのマンガを通じた交流や、ラグビーワールドカップ2019TM釜石開催での民俗芸能の紹介などによる文化交流を推進し、交流人口の拡大につなげます。
また、「復興五輪」を掲げる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、市町村や関係団体と連携しながら、ホストタウン登録や事前キャンプの誘致、聖火リレーや「復興の火」の展示など、県民が参画できる多様な機会を創出し、機運醸成を図ります。
スポーツツーリズムの拡充を通じた地域活性化を図るため、豊かな自然を活用したスポーツアクティビティの普及促進や、スポーツ大会・合宿の誘致、さらには、来年開催される「クライミングアジア選手権盛岡2020」に向けた準備を進めて参ります。
(安全)
一人ひとりが安全・安心に暮らすためには、災害への備えが十分で、犯罪・交通事故が少ない環境をつくることが重要です。
自助・共助・公助に基づく防災体制づくりに向け、県民一人ひとりの防災意識の向上、住民同士が助け合える体制の強化、関係機関が連携した防災体制の整備に取り組みます。
また、ラグビーワールドカップ2019TM釜石開催を万全の態勢で迎えられるよう、警備体制を充実し、 さらに、緊急対処事態を想定した国民保護共同訓練を実施します。
質の高い交通安全教育や、高齢者が運転免許証を自主返納しやすい環境整備による交通事故抑止対策に取り組みます。また、官民一体となった特殊詐欺被害防止活動や警察航空機への中型ヘリコプターの導入、多機能を備えた通信指令システムの整備による治安基盤の強化を図ります。
市町村の消費生活相談に対する支援や2022年の成年年齢の18歳への引き下げに対応した消費者教育など、消費者行政の充実に、引き続き取り組みます。
また、食の安全・安心の確保に向け、全ての食品関係事業者に義務付けられたHACCPに沿った衛生管理への転換が円滑に進むよう、普及活動に取り組んで参ります。
(仕事・収入)
地域経済を活性化し、一人ひとりがいきいきと働いていくためには、活力ある産業の振興と安定した雇用の確保が重要です。
「いわてで働こう推進協議会」を核とし、関係機関・団体が一体となって、雇用・労働環境の改善や、就業促進情報誌「いわてWalker」等を活用した新卒者の県内就職、U・Iターンの促進に取り組みます。
今議会に提案している「岩手県中小企業振興第2期基本計画」に基づき、中小企業者が行う経営力強化や生産性向上、円滑な事業承継に向けた取組の促進など、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進します。
また、現在策定を進めている、次期「いわて建設業振興中期プラン」に基づき、社会資本の整備や維持管理、災害時の対応を担う地域の建設企業の経営基盤強化や、技術力向上に向けた取組を進めます。
ものづくり企業を中心とする新設・増設事案が円滑に進むよう、設備投資や雇用に対する支援、新たな工業用水施設の整備など、必要な取組を着実に進めます。また、本社機能や関連企業の誘致を促進し、一貫生産体制の構築と地域中核企業の一層の拠点化を進めます。
さらに、第4次産業革命技術を活用した新製品や新サービスの創出、コンパクト車等のグローバル生産拠点化に向けた、次世代モビリティの研究開発や事業化を支援して参ります。
食産業振興の協働体制である「FCP岩手ブランチ」の活動による農商工連携や事業者間連携を促進し、付加価値の高い新事業を創出します。
また、岩手ならではの産業である、伝統工芸、漆、アパレルなどの地場産業の一層の振興を図ります。特に、本年11月、本県で開催される「第36回伝統的工芸品月間国民会議全国大会」を好機と捉え、更なる魅力発信に取り組みます。
さらに、県内事業者の海外展開の促進に向け、EUや、中国上海市をはじめとする東アジア市場において、岩手の認知度向上を図りながら、事業者のニーズに合わせた伴走支援を強化して参ります。
今議会に提案している「みちのくいわて観光立県第3期基本計画」に基づき、東北広域で連携したプロモーションの展開や受入環境の整備による外国人観光客の誘客拡大など、観光振興施策を総合的かつ計画的に推進します。
来月から、「いわて幸せ大作戦!!~美食・絶景・イベント、『黄金の國、いわて。』~」をキャッチコピーとした観光キャンペーンを展開します。
また、更なるインバウンド増加のため、いわて花巻空港への台湾、上海に続く国際定期便の誘致、国内線の路線・便数の維持・拡大に向けた取組を進めます。
TPP11や日EU・EPAなど、国際貿易環境が変化する中、地域における農林水産業の核となる経営体を育成するため、経営の高度化や生産の効率化、生産基盤の整備による経営体質の強化を図ります。また、関係機関・団体と連携した労働力の確保や、女性の活躍促進に向けた環境整備に取り組みます。
森林環境譲与税を活用し、市町村における森林資源の適切な管理を促進します。
効率的で高収益な農林水産業を実現するため、ICT等の先端技術を活用した良食味米の安定生産や大規模園芸産地の形成に取り組みます。
また、農林水産物の高付加価値化と販路拡大を図るため、発信力のある商品開発や、戦略的な輸出促進に取り組みます。さらに、建築物の木造化や内装木質化の促進など、県産木材の利用拡大に向けた取組を進めます。
活力ある農山漁村の創造に向け、多様な食文化などの地域資源を活用した農山漁村ビジネスの振興、グリーンツーリズムなどによる交流人口の拡大に取り組んで参ります。
(歴史・文化)
岩手への誇りを育むためには、それぞれの地域の歴史・文化を守り継承していくことが重要です。
一戸町の御所野遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群の早期世界遺産登録と、平泉の文化遺産の拡張登録の実現に向け、関係者と一体となった取組を進めます。あわせて、世界文化遺産としての平泉の価値を世界に伝え、資産を後世に継承するための拠点となる、ガイダンス施設の整備を進めます。
さらに、「早池峰神楽」に続き、昨年、ユネスコ無形文化遺産への登録が決定した「吉浜のスネカ」など、本県が誇る伝統文化の保存・伝承に向け、地域の方々と共に、魅力の発信に取り組んで参ります。
(自然環境)
本県の恵まれた自然環境の豊かさを次世代に引き継いでいくためには、良好な環境の保全や循環型地域社会の形成、地球温暖化対策を進めることが重要です。
自然公園を核とする優れた環境の魅力発信や、生物多様性への理解浸透を図る「いわてレッドデータブック」の改訂に取り組みます。また、海岸漂着物対策を推進するための地域計画を策定し、海岸における良好な景観や環境の保全に取り組みます。
さらに、廃棄物の3Rを基調とするライフスタイルの定着を、引き続き促進します。
「温暖化防止いわて県民会議」を中心とした県民運動を強化し、事業所における省エネルギーの促進や気候変動対策の普及啓発など、温室効果ガスの排出削減に向けた取組を推進します。
森林による二酸化炭素の吸収が図られるよう、適切な森林整備などに取り組み、また、2022年に本県で開催される「第73回全国植樹祭」に向け、関係団体と連携し、準備を進めます。
さらに、再生可能エネルギーの導入促進に向け、風力や地熱発電、木質バイオマスの利用促進、関連産業への県内企業の参入に向けた取組や盛岡市の簗川発電所の建設を進めて参ります。
(社会基盤)
各分野の政策を力強く推進していくためには、あらゆる社会経済活動の土台となる社会基盤を強化していくことが重要です。
今年度、新たに策定する「岩手県科学技術イノベーション指針」に基づき、次代の科学技術を担う人材の育成やイノベーションの創出に向けた環境整備に取り組みます。また、釜石市沖の海洋再生可能エネルギー実証フィールドの利活用促進や海洋エネルギー関連産業の創出、洋野町沖の洋上風力発電の実現に向けた取組を推進します。
さらに、現在策定を進めている「岩手県ICT利活用推進計画」に基づき、医療・介護、教育、農林水産業などの各分野におけるICT利活用の取組を推進します。
「岩手県国土強靱化地域計画」に基づく施策の着実な推進に併せ、国における重要インフラの緊急点検結果を踏まえた緊急対策を実施し、岩手の強靱化を加速させます。
また、洪水・土砂災害の被害軽減に向け、河川改修や簗川ダムの建設、砂防えん堤の整備や農業水利施設の防災機能強化などのハード対策に加え、水位周知河川や洪水浸水想定区域、土砂災害警戒区域の指定、ため池のハザードマップ作成支援などのソフト施策を進め、防災情報の充実強化を図ります。
昨年11月、遠野市と宮古市を結ぶ国道340号立丸峠工区が開通し、急勾配、急カーブが続く交通の難所が解消されました。引き続き、緊急輸送道路の防災機能強化や救急医療機関へのアクセス向上、物流の効率化や観光振興に資する道路整備を推進します。
また、社会資本が機能を発揮し続けるため、「岩手県公共施設等総合管理計画」に基づく個別施設計画の策定を進め、計画的な予防保全型の維持管理に取り組んで参ります。
(参画)
多様な主体の連携や協働による地域づくりを進めるためには、様々な分野への県民の参画を促進することが重要です。
男女共同参画センターの相談機能の拡充や普及啓発活動の強化により、LGBTの方々を含め、誰もが安心して暮らせる環境づくりに取り組みます。
若者の主体的な活動の活性化に向け、「いわて若者会議」の開催や「いわて若者カフェ」の運営により、若者の交流・ネットワークづくりを促進します。また、女性がそれぞれのライフステージ、ライフスタイルに対応し、活躍できるよう、いわて女性活躍推進員による「いわて女性活躍企業等認定制度」やイクボスの普及、「岩手で輝く女性大交流会」の開催によるネットワークづくりに取り組みます。
さらに、幅広い市民活動や県民運動を促進するため、参加・参画への機運醸成や地域のネットワークづくり、NPOの運営基盤の強化に取り組んで参ります。
(新しい時代を切り拓く戦略の展開)
「第4次産業革命」、「Society5.0」といった言葉に示されるような、生活や生産の現場にイノベーションが浸透する新しい時代の幕開けが指摘されています。
そのような新しい時代を切り拓いていくためには、長期的な視点に立って、岩手らしさを生かした、先導的な取組を進めていくことが重要です。
ILC建設を契機とした世界最先端の国際研究拠点の形成支援や、多様な地域資源を活用した持続可能な循環型社会の構築、イノベーションと産業・社会生活分野との融合などの取組を、戦略的に展開して参ります。
北上川流域地域における第4次産業革命技術の社会実装の促進や、三陸防災復興プロジェクト2019を契機とした三陸地域の多彩な魅力の発信、県北地域の市町村と連携した広域プロジェクト推進体制の整備に取り組みます。
また、地域と多様に関わる関係人口の創出や、地域コミュニティへの先端技術の導入と地域運営組織の育成に関する研究、スマート農業・スマート林業技術の導入や漁港等における新たな増養殖モデルの実証に取り組みます。
さらに、医療等のビッグデータの活用による健康づくりの推進に向けた調査・研究や、学びに関するデータを活用した学習指導の充実に取り組みます。
文化芸術やスポーツによる特色あるまちづくりを進めるため、官民一体の推進体制である「岩手版アーツカウンシル」の設立や「いわてスポーツ推進プラットフォーム」の構築に向けた検討を進めます。
また、水素利活用の推進に向けた実証事業導入の検討や、セミナーの開催等による理解促進に取り組んで参ります。
(地域振興の展開)
人口減少や少子高齢化が進行する中、持続可能な地域社会を築いていくためには、各圏域の持つ強みを伸ばし、弱みを克服する施策を講じることが重要です。
4広域振興圏の振興を一層進め、それぞれの地域の様々な資源や技術、ノウハウ、人材などを最大限に生かした、より広域的な地域づくりを展開します。
また、県北・沿岸振興を重要課題に位置付け、アパレルや漆、食などの地域特性を生かした産業振興、多様な交通ネットワークや観光資源、再生可能エネルギー資源を生かした取組を進め、復興とその先を見据えた地域経済の基盤強化に取り組んで参ります。
6 質の高い行政経営の推進
政策の実効性を高め、力強く推進していくためには、県民の信頼に応える、より質の高い行政経営を進めることが重要です。
県民、企業、NPO、関係団体、市町村などの多様な主体との連携・協働や、県民参画を推進し、県民本位の行政経営に取り組みます。
また、多様な人材の確保や研修の充実により、開かれた県行政を担う職員を育成します。
新たなICTの活用による業務の効率化や、庁内保育所の2021年開所に向けた準備など、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境の整備に取り組みます。
さらに、中長期的な視点を持って不断の改革に取り組み、内部統制の推進によるリスクマネジメントの強化や、あらゆる手法による歳入確保と「選択と集中」による歳出の重点化を図り、限られた経営資源を有効活用し、県民サービスの質の向上に取り組んで参ります。
7 むすび
昨年8月、釜石鵜住居復興スタジアムのオープニングイベントで、県立釜石高校2年生、洞口留伊さんのキックオフ宣言が、多くの人たちを感動させました。
「未来への船出」と題し、東日本大震災津波の経験、復興していく喜びと世界に広がるつながりへの感謝、未来に向かう決意がまっすぐに述べられています。
人々の心をつかむこの宣言を聞いた時、私は、洞口留伊さん、そして、留伊さんに代表される被災者イコール復興者の皆さん、そして、岩手県民の皆さんに、「幸福」になってほしいと強く思いました。また、岩手県が、岩手に関わる全ての人たちを「幸福」にできる県にならなければならないと強く感じました。
この年末年始、様々なメディアにおいて、「幸福」が取り上げられました。
テレビ番組では、家族との思い出の共有による「幸福」、共感やネットワークから生まれる「幸福」、モノからコト、コトからココロにより得られる「幸福」が紹介されています。
ある新聞の特集記事では、「人口減時代の豊かさは、規模ではなく、一人ひとりが幸福や満足をどう実感できるかで測るべきだ」という考えが紹介されています。
また、芥川賞作家の若竹千佐子さんは、元日の新聞に、「豊かさの先おら主張するも」と題し、「私たち一人ひとりは、何をもって幸せを感じるか、これから真剣に考えていかなければいけない問題」と寄稿しています。
さらに、ある新聞には、「平成の次の時代を希望が持てる時代にするにはどうしたら良いか」との問いに対し、「ゆとりや心の豊かさを追求できる社会にする」が最も多い回答となっている世論調査結果が掲載されています。
東日本大震災津波を経験し、復興に取り組んできた岩手県民は、「幸福」について、真剣に考え、真剣に取り組んできました。
平泉文化に象徴される、人と人との共生、人と自然との共生の風土、それは縄文時代から培われてきたものであり、本当の「幸福」を示そうとした宮澤賢治の世界の基になっているものですが、この共生の風土は、岩手の大地と岩手県民の心に、脈々と受け継がれています。
新しい県民計画のもと、岩手から、新しい時代にふさわしい、希望あふれる、人と社会のあり方を実現していこうではありませんか。
ここにおられる議員の皆様並びに県民の皆様の深い御理解と更なる御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。
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