令和7年度 年度始めにおける知事訓示

ページ番号1082440  更新日 令和7年4月2日

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とき:令和7年4月1日(火曜日)
ところ:県庁12階 特別会議室
対象者:全職員

年度始めにおける知事訓示

 令和7年度、年度始めの訓示をします。

 大船渡市林野火災からの復旧・復興へ取り組む中、新年度が始まりました。 

 平成以降、国内最大の林野火災によって、約2,900ヘクタールが焼損し、お一人の方が亡くなられ、住宅や漁業施設等の被害が多数に及んでいます。

 これまでの間、現地の消防の御奮闘や、県内のみならず全国から多くの方々の支援によって林野火災が鎮圧され、その後の復旧・復興については、県職員の皆さんを始め、多くの方々の尽力により進められています。

 林野火災により住宅を失い、避難所生活を余儀なくされている方が大勢います。また、水産業や畜産業、観光業なども打撃を受けており、なりわいを早く取り戻したいと切実に願っている方々がいます。

 先の県議会2月定例会では、応急仮設住宅の設置、被災者の生活再建支援金の支給、被災児童・生徒の就学等支援など、必要な予算を措置しました。

 被災者の方々が一刻も早く、元の生活に戻れるよう、そしてなりわいを再生できるよう、引き続き一人ひとりに寄り添いながら、復旧・復興に全力を挙げて取り組んでまいりましょう。

 未曾有の被害をもたらした東日本大震災津波から14年が経過しました。

 ハード面の復興がほぼ終了し、国の「第2期復興・創生期間」は今年度が終期となっていますが、被災者のこころのケアや主要魚種の不漁対策など、引き続き復興に取り組んでいかなければなりません。

 新型コロナウイルス感染症の影響に加え、資源・エネルギー価格や食料価格の高騰など、被災者を取り巻く生活環境の変化により、抱える問題も複雑化・多様化しています。

 また、東日本大震災津波の被災者の中には、大船渡市の林野火災によって再び被害を受けるなど、取り巻く環境はさらに厳しいものとなっています。

 今後も被災者一人ひとりの状況に応じた、きめ細かい支援を行っていきましょう。

 沿岸被災地は、東日本大震災津波からの復興を通じて、まちづくりや復興道路などの交通ネットワークの形成が進み、地域産業の発展とともに、様々なつながりができています。

 また、港湾機能などを生かし、昨年、新たなコンテナ航路が開設されました。今年度は過去最多となった昨年度を上回るクルーズ船の寄港が見込まれます。

 さらに、イギリス・タイムズ紙の「日本で訪れるべき場所14選」やアメリカの経済誌フォーブスの「2025年に行くべき15か所」で、「みちのく潮風トレイル」が紹介されるなど、世界から注目されています。

 三陸沿岸の地域資源を活用して、国内外から沿岸地域に人や投資を呼び込み、地域を活性化していきましょう。

 昨年、地方の魅力を高め、人口減少に歯止めをかけようとする地方創生を国全体で本格的に取り組み始めてから10年となりました。

 人口減少や東京圏への一極集中などの大きな流れを変えるには至りませんでしたが、岩手県では東日本大震災津波からの復興に取り組むとともに、国の交付金も活用しながら施策を積み重ね、生活のしやすさや働く場としての魅力が向上し、今後、岩手県がさらに発展していく基盤が作られた10年でもありました。

 岩手県の製造品出荷額は初めて3兆円を突破して、今月には半導体関連人材育成施設、夏にはSMCの「遠野サプライヤーパーク」が完成します。また、秋にはキオクシア岩手の第2製造棟が製造を開始する予定となっています。

 今年度、「金色の風」「銀河のしずく」に続く、県オリジナル水稲品種「白銀のひかり」の本格生産・本格販売となります。

 産業のみならず、様々な分野において、地方創生10年と東日本大震災津波から復興により作られた基盤により、ますます岩手県が発展していくよう、いわて県民計画のもと、全力で取り組んでいきましょう。

 一方で、全国と同様に岩手県においても人口減少が続いています。

 特に、進学・就職期における若者・女性の県外転出が大きな課題であり、その要因として、地方における無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)が指摘されています。

 アンコンシャス・バイアスや固定的な性別役割分担意識が、地方における生きづらさになっているとともに、雇用条件などの社会構造にも反映され、ジェンダーギャップが生じています。

 若者や女性が働きやすい・暮らしやすい「選ばれる岩手」であるためには、多様な主体が、ジェンダーギャップ解消の必要性を理解し、行動に移していくことが必要です。

 ジェンダー平等は日本国憲法に明記されている基本的人権であり、世界の行動指針であるSDGsの17の目標の1つでもあります。

 ジェンダー平等は、地方が遅れていると思われていますが、逆に岩手県において世界標準を実現し、先進性を示していきましょう。

 令和7年度当初予算は「世界に開かれたいわて地方創生予算」と名付けました。

 世界に開かれた岩手の魅力や先進性を高め、岩手らしい地方創生を進めていきましょう。

 多様な主体と連携し、オール岩手で人口減少対策を進めていくにあたって、県組織が率先してジェンダー平等に取り組むことが大切です。

 今年6月から実施されるフレックスタイム制の拡大や、男性の家事育児への参画を促す「家事育児シェアシート」などを活用し、男女ともに仕事と生活の調和が図られる働きやすい環境を整備していきましょう。

 また、人口減少が進み、行政を担う人材確保が一層困難となる一方で、行政に求められることは、より複雑化・多様化していくことが想定されます。

 さらに、近年は激甚化・頻発化する自然災害、家畜伝染病、感染症など、突発的な業務が発生しています。

 このような状況に対応していくためには、限られたマンパワーを最大限活用していくことが必要です。

 限られた行政経営資源の有効活用に資するシステムを導入するなどDXのさらなる展開、業務の変革、効率化を図り、職員が仕事と生活を両立できる職場環境をつくりつつ、将来に渡って、県民サービスを維持・向上できる取組を進めていきましょう。

 そして、岩手県職員憲章に定める5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令順守」、そして「地域意識」に常に立ち戻りながら、力を合わせて業務を進めていきましょう。

 今年度は、令和9年2月に岩手県で開催される国民スポーツ大会冬季大会スキー競技会の開催や、令和8年度に集大成を迎える県政150周年記念期間に向けての準備期間でもあります。

 県政150周年記念期間の締めくくりには次世代を担う若者にも参画していただきながら、節目を祝うこととしています。

 歴史を振り返りながら、先人の皆さんが積み上げてきたものをしっかり自分たちのものとして継承し、さらに発展させていきましょう。

 今年度もよろしくお願いいたします。

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