【調査報告】地域資源を活用した持続可能な地域社会の形成に向けた地域経済循環の推進に関する調査研究報告書(令和2年3月)

ページ番号1031416  更新日 令和2年7月22日

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 令和元年度に実施した「地域資源を活用した持続可能な地域社会の形成に向けた地域経済循環の推進に関する調査研究」の調査結果を取りまとめました。

1 背景・目的

 持続可能な地域社会の形成に向けて、「いわて県民計画(2019 2028 )」策定など具体的な取組を推進されている岩手県において、特に県北エリアにおける「人口流出」、「高齢化」、「資金流出」等が持続可能な地域社会に向けての課題と考えられている。本調査研究では、県北に位置する北いわてエリア13市町村(以下、当該エリアと記載)における地域資源などを考慮し持続可能な地域社会形成に向けた地域循環の推進を検討するため、当該エリア内の現状把握・分析及び事例調査を実施した。

注:久慈市、二戸市、八幡平市、葛巻町、岩手町、岩泉町、田野畑村、普代村、軽米町、野田村、九戸村、洋野町、一戸町 の13市町村

2 調査内容

調査活動として、以下の内容を実施した。

(1)地域経済循環分析ツールを活用し、当該エリアの「生産・支出・分配」状況や「産業の特徴」などの現状把握

(2)地域資源としての森林資源・再生可能エネルギーポテンシャル及びエネルギー需給状況(エネルギーフロー)分析による現状把握

(3)今後の事業施策検討のための先行事例視察調査

(4)基礎情報として、国勢調査・県経済計算年報など既知情報を基にした各種FactDataの整理

3 調査分析結果

以下の状況を把握することが出来た。

(1)域際収支の域外流出で大きなウェイトを占めるのは、石油・石炭関連などエネルギー代金の域外流出336億円であること

(2)産業別の修正特化係数は林業(特化係数11.96)について全国と比較して相当優位な産業であること

(3)林業資源について県内や全国に比べ高い森林率(80.8%)であり、また、寒冷地域であり暖房等の熱需要が高い地域でありエネルギー関連の取組により資金流出費用の削減が期待できると考えられること

(4)当該エリアの再生可能エネルギー(バイオマス発電、太陽光発電、風力発電)の利用が有望であること

(5)当該エリアでの再生可能エネルギーの代替可能性に関し、電気について民生家庭部門・民生業務部門・産業部門・運輸部門のいずれの部門においても系統連系の利用などが重要であるが、熱については、民生用家庭部門・民生用業務部門において代替可能性があること

(6)林地残材の有効利用により当該エリアにおける木質バイオマス消費を域内で循環利用できる可能性があること

(7)事例調査により、施策推進に向けて広域連携、推進のコアとなる地元企業や団体との連携などが重要であること

4 総括

今回の調査研究を通じて、以下の3視点が今後の取組において有効と考えられる。

(1)強みである第1次産業の活性化による「生産」の改善・エネルギー費用に焦点をあてた「支出」の改善・所得流入増加や地域雇用拡大による「分配」の改善によるによる「地域経済循環の改善」

(2)再生可能エネルギー利用、エネルギーフローを踏まえた新システム導入の検討、林業資源・バイオマス資源利用、地域エネルギー会社・新電力の活用、広域連携による取組による「エネルギーの地域循環推進」

(3)推進のための体制整備・仕組みづくり、拠点形成、ネットワーク形成、人材育成など、「基盤の構築等」

今後、今回深堀した以外の産業(農業、水産業、食産業、観光業、アパレル産業)に関する検討も併せ、持続可能な地域社会実現に向けた具体的な事業施策へ展開されることを期待する 。

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