平成28年度土木学会論文賞の受賞
公益社団法人土木学会理事会において平成28年度土木学会賞が決定され、本県の「東日本大震災で発生した災害廃棄物」に関する論文(環境生活部資源循環推進課の川島光博技師が共同執筆者)が土木学会論文賞を受賞しました。
1 受賞論文の概要
- 論文名
「東日本大震災で発生した岩手県の災害廃棄物分別土砂の品質とその変化」
土木学会論文集C(地圏工学), Vol.72, No.3, pp.252-264, 2016.
- 論文の概要と受賞理由
東日本大震災からの復旧・復興では、質量比で災害廃棄物・津波堆積物の約3分の1を占める土砂分の地盤材料としての再資源化が重要課題の一つであり、微細な木片が残存する分別土砂の特性についての知見が乏しい中で、関係機関の取組により再資源化が進められた。処理方法や設備仕様が地区ごとに様々で、得られる処理物の特性も多様であったことから、処理物の材料特性を包括的に明らかにすることは、東日本大震災の災害廃棄物処理を検証するとともに、将来の災害対応を議論するうえで重要な知見となり得る。本研究では、岩手県における分別土砂合計404ロットの物性データに基づき、処理内容と材料特性の関係、処理期間における材料特性の時間的変動、の2点から分別土砂の特性を分析した。その結果、分別土砂は有効活用のための要求品質を満足し、建設資材として十分な特性を有していること、改質目的の添加材が物理化学特性に影響を及ぼすこと、塩化物含有量は処理の経過とともに減少傾向を示すこと、等を明らかにした。
以上のように本論文では、未解明であった災害廃棄物由来の分別土砂の材料特性を総括し、将来の巨大災害時の復旧・復興にも活用し得る極めて重要な学術的知見を得ていることから、論文賞に相応しいと認められた。 - 論文に係る本県の関わり
本県では、「岩手県復興資材活用マニュアル」に基づき分別土砂の各種分析試験(計600件余)を実施しており、当該分析試験結果を「復興資材品質判定証」として復興資材活用部局に提供することにより分別土砂の再生利用を促進し、災害廃棄物処理の再生利用率(88.2%)を達成する基盤となった。本論文では、執筆にあたっての基礎データとして分別土砂の分析試験結果、活用量及び活用工事等について、執筆者とともにとりまとめたものである。
2 共同執筆者
- 京都大学大学院地球環境学堂 高井 敦史 助教
- 岩手県環境生活部資源循環推進課 川島 光博 技師
- 京都大学大学院地球環境学堂 勝見 武 教授
- 京都大学大学院地球環境学堂 乾 徹 准教授
- 応用地質株式会社 岩下 信一 執行役員
- 岩手大学理工学部 大河原 正文 准教授
3 参考
- 土木学会賞 論文賞の概要
土木学会賞は公益社団法人土木学会創立後6年目の1920(大正9)年に「土木賞」として創設されて以来、80余年の伝統に基づく権威ある表彰制度。そのうち論文賞は、原則として、土木学会誌、土木学会論文集、その他土木学会の刊行物に研究、計画、設計、施工、考案、維持管理などに関する論文を発表し、独創的な業績を挙げ、これが土木工学における学術・技術の進歩、発展に顕著な貢献をなしたと認められる論文の著者に授与されるもの。 - 表彰の概要
- 日時:平成29年6月9日(金曜)
- 場所:ホテルメトロポリタンエドモント(東京都千代田区)
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このページに関するお問い合わせ
環境生活部 資源循環推進課 廃棄物対策担当
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