中古自動車をキャンセルしたら高額な違約金が発生!
質問
- 中古車展示会に下見のつもりで行ったのですが、販売員に「明日には系列店に移動するので欲しいなら今日中に」と言われたので注文書を書いてしまいました。自宅に戻り考え直し、当日中にキャンセルを申し出たのですが、規約に「○日目までのキャンセルには車両代金の10%のキャンセル料をいただきます」との記載があり、このことを理由に2万円の請求を受けています。事前にキャンセル料の説明はありませんでした。一方的な請求には納得いきません。
- 中古車セールに出かけ衝動的に契約し、40万円のローン申込書を書いてしまいました。クーリング・オフができると思い2日後にキャンセルの連絡をしましたが、車も届いていないのに規約どおりの10万円の違約金を請求されました。納得がいきません。
回答
中古車に限らず、自動車の購入契約には法律上はクーリング・オフの制度はありません。
自動車は、購入者が熟慮したうえで購入を決定する性質の商品であり、登録制度や保険、納税の手続きもあり、衝動買いの恐れが少ないという理由から、訪問販売で契約した場合であってもクーリング・オフの適用はありません。
事前の下調べを十分に行い、焦って契約しないようにしましょう。
契約はいつ成立するの?
契約書面は証拠として残すためのものであり、原則として口頭でも契約は成立します。
自動車の購入契約の成立時期については、一般的には注文書や契約書に「契約成立時期」が記載されていますので、確認しましょう。(詳細は下記のとおり)
業界団体が採用している標準約款では、契約成立前であれば、キャンセルが可能ですが、販売店に通常生じる損害(車庫証明申請の実費など)は負担が必要となる場合があります。
また、契約成立後は約款等に従って解約料を支払うことになりますが、法外な金額だった場合にはその根拠を尋ねましょう。
消費者契約法第9条第1号では「消費者の契約の解除に伴う損害賠償のうち、当該事業者に生じる平均的な損害の額を超える部分の契約条項は無効」と定めており、これを基に主張することができる場合もあります。
契約成立時期とは
業界団体加盟業者の場合
社団法人 日本自動車販売協会連合会(自販連)監修の自動車注文標準約款によると、
- 現金、自社割賦(自社クレジット)の場合
「契約の成立日は、自動車の登録がなされた日、注文により販売会社が修理・改造・架装等に着手した日、もしくは自動車の引き渡しがなされた日のいずれか早い日」とされています。
この考え方は、社団法人 日本中古自動車販売協会連合会(中販連)、日本自動車輸入組合も採用しています。 - クレジット契約の場合
信販会社が採用している約款により売買契約の成立時期が異なるので注意が必要です。
社団法人 日本クレジット産業協会の標準約款では「販売店からクレジット会社に立替払い契約の申し込みがなされた時点」で売買契約が成立するとされています。
ただし、信販会社が立替払いに応じない時は、売買契約も立替払契約の申し込み時に遡って不成立となります。
自動車販売金融会社協議会標準契約約款では「信販会社が販売店に承諾通知をした時」が売買契約の成立とされています。
業界団体加盟業者以外の自動車注文書約款を利用の場合
- 販売店が約款を決めていますので、「申し込み」と「承諾」で契約が成立する約款を使用している場合もあります。
- 契約が成立している以上、買主は一方的に契約を取りやめにすることはできません。
- 契約成立後の解除については、合意解除(販売店が申し出に応じて契約を解除する)が必要となります。
トラブルに遭わないためのアドバイス
- 中古自動車は商品自体が千差万別で価格も品質も1台ごとに異なるものです。現物を見て確認し、点検整理記録簿、車検証等から不明な点は販売店に説明を求めるようにしましょう。
- 自動車の購入には登録制度や納税義務、自賠責保険の強制加入など、他の商品には見られない特徴があり、手続きの進行状況によっては実損が発生する場合もあります。
- 消費者側の一方的な理由によるキャンセルは、時として販売業者と感情的な対立を生むことにもなりかねません。購入の意思を示すことで発生する責任の重みを自覚しましょう。
- インターネットや専門雑誌による通信販売での契約トラブルも増えています。現物を確認しないためにトラブルになることも多く、注意が必要です。
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