中国 ・ 雲南省 世界遺産の紹介
石林 (2007年世界自然遺産登録)
雲南石林イ族自治県に位置する「石林」は世界でも珍しいカルスト地形で、中国では「天下第一の奇観」と言われています。
「石林」は約2億7000万年前の海底が隆起、古生代の石灰岩が長い年月をかけて雨水に浸食され形成されたものです。総面積約400平方kmですが、大小様々な奇岩が林立しており、その名の通りまさに石の林であります。
石の形は様々で、あるものは剣のように青空を指し、あるものはキノコ型、あるものは天を衝く高塔のようで「造型地形の天然博物館」と称賛されています。
三江併流(さんこうへいりゅう) (2010年世界自然遺産登録)
三江併流の自然景観は雲南省西北部の高山と険しい峰の中にあり、長江(金沙江(きんさこう))、メコン川(瀾滄江(らんそうこう))とサルウィン川(怒江(ぬこう))三本の大河の上流部が並行して勢いよく流れる地域です。
いずれの川も北から南へ深さ3000m余の渓谷と標高6000m余の氷山の雪峰を流れますが、三本が合流することはありません。多様な生態系を有しており、また温帯生物も豊かな地区でもあります。
「三江併流」地区の総面積は1.7万平方kmであり、様々な地質と地形の博物館のようです。標高5000m以上の雪山が118座あり、万年氷河や氷河で侵食した氷蝕湖(ひょうしょくこ)が広く分布し、また状態のよい丹霞(たんか)の地形(赤い堆積岩が隆起した地形)なども見られます。
原生林や高山草原など特徴のある自然環境のなかで、多様な生物が育まれ、金糸猿(きんしこう)を代表とする希少野生動物も生息しています。
更に多民族、異なる文化や信仰が調和し、互いに共存し合う地区でもあります。
澄江(チェンジャン)動物群 (2012年世界自然遺産登録)
「澄江動物群(チェンジャン どうぶつぐん)」は、約5億2,500万- 約5億2,000万年前(古生代カンブリア紀前期)に生息していた動物群の呼称であり、澄江とはそれらの化石を発見し、出土された雲南省澄江の地名です。
古くは1911年に軟体性の動物化石が発見されていましたが、1984年に帽天山(マオタンシャン)で古生代カンブリア紀の豊富な化石群が発見されました。そのために、他地域において、この時代の地層の年代を決定する際の標準とされています。
また澄江動物群はカナダ・コロンビア州で発見された化石・バージェス動物群より1,500万年ほど古いとされています。その特徴は、バージェス動物群によく似たものを産出していることに加えて、他の多くのものが細部に至るまで良好な保存状態で見つかっていることにあります。このことは、その時代の動物相(生物相)についてさらに多くの情報をもたらすとともに、それらが当時の地球でかなり普遍的であったことも証明しています。
麗江(れいこう)古城 (1997年世界文化遺産登録)
氷河をいただく玉龍雪山(ぎょくりゅうせつざん)のふもとに広がる麗江の街は大研鎮(だいけんちん)とも呼ばれています。中国の歴史的文化名城の中でも唯一城壁がなく、最も民族的特色を備えた古城です。
平均標高が2400mのこの古城には、東巴(トンパ)文化を持つ納西(ナシ)族が住んでいます。トンパ文化とはナシ族独自の伝統文化で、トンパ文字は世界で唯一の「生きた象形文字」と言われています。ナシ古楽はナシ族の人々の間で受け継がれてきた古代音楽のことで、唐代、明代など古代国内外の歌詞歌曲を含み「活きる音楽博物館」と賞賛されています。
ナシ族のルーツは中国北西部の遊牧民族と言われていますが、宋時代末から元代の初めにかけて麗江の地に定住して町を築き上げてきました。
そのような麗江の歴史やナシ族の文化を旧市街の「老街」に見ることができます。繁華街の「四方街」を中心に広がる迷路のように入り組んだ石畳の町並みは、ナシ族の建築様式による木造民居や商店が並び、数百年前から変わらない佇まいです。民族衣装をまとったナシ族の姿が風情を醸し出しています。
麗江古城はまた3本の川が市内を貫き「高原水郷」とも呼ばれ、建物のほとんどが川沿いに建てられており、川と並行する建築の長廊が形成されています。
市街地北部にある「玉泉公園」では、玉龍雪山の景色を鏡のように水面に映しだす大きな泉「黒龍潭」や、明代創建の「五鳳楼」をはじめ、美しい景観を楽しめます。
麗江の顔ともいえる「玉龍雪山」は、標高5596mの氷河をいただく美しい山です。市街地から玉龍雪山へ向かう途中には、ナシ族の村である「束河村」や「白砂村」へ立ち寄ることができます。束河村では16の民居が重点保護民居に指定されています。老街を都会とするなら、この村はナシ族の田舎といえます。白砂村の見どころは、ラマ教の「大寶積宮」と仏教の「瑠璃殿」、異宗教が同じ敷地に同居しているところです。仏教や道教、ラマ教などの教えを一つにまとめた珍しい壁画「如来系図」も見ることができます。世界最大の椿があるラマ教寺院「玉峰寺」にも立ち寄れます。
紅河ハニ棚田 (2013年世界自然遺産登録)
紅河ハニ棚田(こうがはにたなだ、中国語: 紅河哈尼梯田)は、雲南省紅河ハニ族イ族自治州内に広がる棚田群。
紅河南岸の哀牢山(アイロウサン)中にあり、元陽県を中心に紅河県・緑春県・金平県など複数の県に及び、総面積は約54000ヘクタールです。最大標高1800m、最大勾配75度の斜面にまで築かれています。
この地に移住してきたハニ族の人々が8世紀頃から営々とつくり広げてきました。国連食糧農業機関(FAO)により世界農業遺産に認定した世界最大の棚田群であります。
世界一の棚田を1300年かけて築き上げた少数民族・ハニ族の人々は、他民族に追われ奥深いこの地にたどり着きました。そして気の遠くなるような労力で山肌を耕し、独自の灌漑技術と農法を磨いてきました。森や霧など自然を巧みに利用した棚田は、一つの巨大な循環システムでもあります。ハニ族がこのような棚田を築き独自の稲作を始めたのは、水稲耕作は水の確保と収穫時の水はけを両立しないといけないので、棚田方式を始めたと考えられています。
※本文での写真は注記しているもの以外は中国国家観光局大阪駐在事務所のホームページ(www.cnta-osaka.jp/)より使用しています。
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