高い価のニューカッスル病ワクチン抗体を有した肉用鶏の大腸菌症
渡り鳥が飛来する季節を迎えています。 高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の侵入防止策について、再度の点検、徹底をお願いします。
ここでは、平成19年の冬期にホームページAIを否定する目的で実施した鶏の病性鑑定事例の中から、ニューカッスル病(ND)との類症鑑別を必要とした事例を紹介します。
当事例は平成18年12月に発生し、1農場12鶏舎中6鶏舎の肉用鶏60,000羽中3,000羽(5%)が40日齢から50日齢時に沈鬱と軟便を示して死亡しました。 病因検査により、高病原性鳥インフルエンザを否定し、大腸菌症と診断しました。 病鶏から高い価のND血球凝集阻止(HI)抗体が認められましたが、本病とNDとの関連は否定され、高抗体価は当農場で用いているNDワクチン(アビVG/GA株)抗体であると結論づけました。
検査成績
病鶏12羽の病理検査により、気嚢、心外膜および漿膜に線維素化膿性炎あるいは肉芽腫性炎、喉頭と気管粘膜にカタル性炎が観察され、細菌検査では全例の全身諸臓器から大腸菌が分離されました。
また、剖検時にクロアカおよび気管粘膜よりスワブを得て実施したインフルエンザウイルス簡易検査で陰性、発育鶏卵を用いた培養でも赤血球凝集ウイルス(インフルエンザウイルス、NDウイルス)は分離されませんでした。 RT-PCR検査では気管スワブから伝染性気管支炎(IB)ウイルス遺伝子が検出されましたが、NDウイルス遺伝子は得られませんでした。
病鶏群と未発生鶏群におけるNDウイルスHI抗体価の幾何平均値は、前者で74.6倍から139.3倍、後者では98.5倍でした。
診断
以上の検査成績から本病をIBウイルス感染を誘発要因とする大腸菌症と診断しました。なお、下記の理由から、本病へのNDウイルスの関与を否定しました。
- 同ワクチンが高い価の抗体を産生することが知られている。
- 同一のワクチン接種歴を有する病鶏群と未発生鶏群のHI抗体価がほぼ同様であった。
- 病鶏からNDウイルスが分離されず、同ウイルス遺伝子も検出されなかった。
- NDを示唆する病変が観察されなかった。
(病性鑑定課)
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