希望郷岩手キャンパストーク(平成22年5月8日)
訪問学校:岩手大学・岩手県立大学
開催場所:盛岡市
- 訪問学校:岩手大学・岩手県立大学
- 実施日:平成22年5月8日(土曜日)
- 場所:アイーナ 研修室803
司会
ただいまより平成22年度「地場産業・企業論」、「地場産業・企業研究」を開講いたします。
本日の第1回は、岩手県知事さんをお招きして、若者への期待、そして岩手の未来像を語っていただくことになっています。この看板にありますように希望郷いわてキャンパストークと名づけまして、お時間をいただいております。
それでは、開会に当たりまして岩手県立大学副学長の佐々木民夫様よりごあいさつ申し上げます。
佐々木岩手県立大学副学長
おはようございます。今司会の中村さんのほうからお話がございました平成22年度の岩手県立大学、岩手大学との共同授業、キャリア講座「地場産業・企業論」「地場産業・企業研究」がきょうからスタートするということでございます。
この岩手大学と岩手県立大学での共同授業は、本年度3年度目に当たります。従来の授業とは違って2つの大学が、しかもそれぞれの場所から離れて盛岡駅の西口にあるアイーナキャンパスで行うという、ある意味では従来なかった授業のシステムで行っていく授業であります。
この授業の目的は、もう受講者の方々はご案内のとおりですけれども、県立大学と岩手大学の卒業生の皆さんの多くは地元定着ということをどう図っていくかということを、単なる座学ではなくて、経済同友会、岩手県等のご協力を得て、さらには地元の企業の方々、地場産業の方々の絶大なるご支援を得ながら、いわば岩手県の地場産業をフィールドとして実践的な形で学生の皆さんが岩手県の企業とか岩手県の産業ということを学び、その上で岩手県の課題、これからの将来の発展の姿を自主的にそれぞれが考えていくというふうなねらいでスタートした授業でございまして、先ほど言ったように今年が3年度目になります。
この授業のユニークさは、2つの大学が共同でやると同時に、今日もいろいろと仕事していただいていますけれども、前年度にこの授業を受けた人たちがいわばティーチングアシスタントのような形で、今年度受講する学生の皆さんと講師の先生、さらにはそれぞれの地場産業や企業の方たちのコーディネートしていただくという意味では、この授業全体が岩手県、経済同友会、さらには2つの大学、そして学生間の中で、連携、協働で行っていく授業です。
ねらいは、先ほど言いましたように岩手県の魅力というものを若い学生の皆さんたちがみずみずしい感覚でどうとらえて、そこでの課題をどう見立てて、次の岩手県のまさに達増知事が県民計画でうたっている希望郷というのにどうつなげていくかということをそれぞれの学生が主体的にとらまえていくというふうな形で行っていくものでございますので、受講生の皆さんはぜひそういうふうな趣旨を踏まえて、主体的に実践的な形でこの授業に取り組んでいただきたいと思います。
なお、私から申し上げるまでもないかもしれませんが、この授業は先ほど言ったように授業の内容として県内の各企業さん、あるいは会社の方々に絶大な支援をいただいておりますので、開講に当たりまして厚く御礼申し上げるとともに今年もよろしくお願いしたいというふうにお願いする次第でございます。
さて、今日は先ほど司会からございましたように第1回ということで、講座の開学、開設時から熱いまなざしとともに絶大なご支援をいただいております岩手県の達増知事にご講演をいただくこととなっております。非常にタイトなスケジュールの中で、お忙しい中わざわざお越しいただきましてご講演いただくということでありがたいと思っています。 皆さん、じっくりとお聞きいただければと思っています。
なお、私から言うまでもなく、達増知事は先週まででしたか、上海万博に出かけていって、いわばトップセールスを行って、皆さんがこれから学ぶ授業の地場産業企業研究ではないけれども、その例と言ったら怒られるかもしれませんけれども、まさにみずから県のトップとして、トップセールスを行っているということもございますので、そういうご経験とか、つい最近のこともお話もあるかもしれませんので、興味を持ちながら、若者への期待というふうな達増知事が就任以来、常にお話ししていただいている熱い話をお話しいただくことを期待しております。
では、知事よろしくお願いいたします。
達増知事
皆さん、おはようございます。岩手大学及び岩手県立大学共同の講義ということで、今日から始まります地場産業論講座、第1回の授業を私が担当することとなっております。手元にいろいろ岩手県の資料や、それからレジュメ、きょうの講義の目次のようなものが配られていますが、私の講義の主題はこのレジュメに書いてあるとおりでありまして、いわて県民計画の概要を簡単に紹介した後、誇るべき岩手の産業や技術ということで、岩手には誇るべき産業や技術があるというのがまず第1です。
そして、岩手に就職するメリットということで、岩手に就職するメリットはあるという、このことが今日の主題でありますので、要するに岩手には誇るべき産業や技術があるということと、岩手には就職するメリットがあるというこの2つだけ覚えて帰ってもらえばいいわけでありますけれども、その根拠となる説明もしなければならないと思いますので、今から話をしていきたいと思います。
まず最初に、いわて県民計画の概要を紹介します。皆さんはこれからの岩手のどんな姿にしてきたいと思いますか。岩手の未来をつくっていくのは、県民一人一人であります。岩手で学ぶ若者にもこれからの岩手を一緒に考えてほしいと思います。いわて県民計画には、岩手に暮らし、そして学び、また働く人々すべてへのメッセージが込められています。岩手に学ぶ学生の皆さんへの期待も含まれています。
お手元に概要版が配られていると思いますが、概要版の2ページに計画策定の必要性という説明がありますけれども、県では昭和38年度以来、これまで8本の総合計画を策定し、政策を展開してきました。最近の著しい社会経済情勢の変化のもとで、雇用や地域医療など喫緊の課題への対応が必要になっています。
一方、社会経済情勢が大きく変化する中で、人づくりでありますとか、持続的な経済基盤の構築でありますとか、また自然環境の保全など長期的な取り組みが必要な重要課題もあります。グローバル化が進展し、社会経済情勢が目まぐるしく変化して、先を見通しにくい時代だからこそ、岩手の長期的な将来像を県民と共有し、県民みんなで共有し、その実現に向けて一緒に努力していくことが重要であります。こうしたことから、10年後を展望しながら、行政だけではなくて県民みんなで取り組んでいくための羅針盤となる計画として策定をしました。
概要版の3ページに計画の期間というのが書いてあります。平成21年度、昨年度から平成30年度までの10年間であります。県民一人一人がこの岩手の地で将来どういう生活を送りたいか、それぞれの希望を実現するために地域社会がどうあるべきかなどといった観点から、知事が誰かということに関わりなく、10年というわかりやすい時間軸の中で岩手の未来の姿を県民みんなでともに描いていきたいと考えたものであります。
計画の構成は、大きく分けて長期ビジョンとアクションプランに分けられます。長期ビジョンは、これから目指す岩手の未来の姿や政策の展開方向等を取りまとめて平成30年度までを対象期間としています。その長期ビジョン、またその時々の知事のマニフェストを踏まえた具体的な施策の実施内容を取りまとめたものがアクションプランでありまして、今あるアクションプランは私の任期に対応して今年度、平成22年度までが対象期間となっています。
このアクションプランは、さらに政策編、地域編、改革編の3つに分かれます。7つの政策分野の具体的な取り組み内容などを示したのが政策編で、岩手を4つに分けた4広域振興圏の具体的な振興内容等を示したのが地域編、県政運営の基本姿勢の具体的な取り組み内容を示したものが改革編であります。
長期ビジョンのあらましを紹介します。まず、概要版は3ページに書いてあるのですが、現状認識からスタートします。世界の変化を見ますと、情報通信技術の進歩などによりましてグローバル化が進展しています。人、物、金、情報が国境を越えて活発に活動しています。その結果、新興国等著しい経済発展を遂げていますが、一方で世界規模での環境、エネルギー、食料問題なども顕在化してきています。そして、日本ではグローバル化が進む中で社会経済システムが行き詰まり、あわせて人口減少、少子高齢化が進行しています。
岩手では急速なグローバル化の渦中にあって、人口減少、少子高齢化が全国を上回るスピードで進行しています。特に人口については、日本全体としては平成19年から人口減少社会に突入していますが、岩手県はそれよりも10年早い平成9年から人口が減少しています。この主な要因は、少子高齢化ということに加えまして、人口の社会減、すなわち県外への転出者と県外からの転入者の差が拡大しているということがあります。
さらに詳しく言うと、岩手県から県外に転出する人の数はほぼ横ばいであります。出ていく人がどんどん増えているというわけではありません。問題なのは、20代から30代の年齢層を中心に、そういう若い世代を中心に県外からの転入者が減少しています。景気が良かったころは、岩手から外に出る人というのはもともと少なからずいたわけですけれども、大体高校とか大学とか学校を卒業するくらいの人たちが一時県外に出るけれども、20代、30代のうちに戻ってくるというものが多かったわけです。それが今世紀に入って減少しているということが、今のこの人口の社会減の拡大ということの中身になっています。
さて、そういう現状認識に基づきまして、概要版4ページにあります岩手の未来を拓く3つの視点、1、ゆたかさ、2、つながり、ひとの3つの視点であります。
「ゆたかさ」というのは、1つにはここ10年、20年、日本全体経済成長が停滞し、また格差社会化と言われることも進みまして、まず経済的な豊かさというのを一定程度確保していかなければならないということがあります。ただし、経済的な豊かさだけが幸せではありませんし、グローバル化が進む中でいろんな環境ですとか、あるいはライフスタイル、生き方の面ですとか、人類共通の普遍的な価値での安心も高まっています。また、そういう人類共通の普遍的な価値に注目が集まるのと並行してローカルなその国、その地域にしかないような独特な文化、伝統にも関心が高まっています。そうしたお金にかえられない価値も含めた豊かさ、そういう物質的な豊かさと物質的ではない豊かさが調和した真の豊かさという意味で、ここに「ゆたかさ」というのを掲げています。
「つながり」というのは、その豊かさを追求していくに当たって人と人とのつながり、地域と地域のつながり、そうしたつながりが大事であろうということであります。今回の上海万博への岩手県の出展ということについて言いますと、これは今回の上海万博にはおよそ20弱の都道府県が何かかんか参加するのですけれども、大阪以外は日本館か日本産業館の中で1週間とか、あるいは二、三日の都道府県フェア、都道府県ウイークをやるという形での参加で、大阪は上海と姉妹都市でもあるので、大阪府と大阪市が共同で共同ビルという中の広い一角に半年間ずっと出展を続けます。
岩手県は全く独自の出展の仕方をしていまして、それは上海に大可堂というプーアール茶を商う大きい店があるのですけれども、そこが数年前から南部鉄器を売るようになったのですね。南部鉄器を売ってくれていた。主に鉄瓶であります。その上海大可堂という民間企業を真ん中にして、南部鉄瓶が生産されている岩手県とプーアール茶の原産地である雲南省プーアール市、その3者が共同でブースを出すという出展の形をしております。これで2カ月間出展します。
ちなみにですけれども、日本館や日本産業館で3日間出すという県がその3日間の出展料が2,000万円と聞きました。でも、岩手県は2カ月の出展を3者でお金を出し合ってやることで岩手が出す分は2,000万円、同じ2,000万円で片や3日間、こちらは2カ月間ということで、そういうふうにつながりを生かして豊かさにつながるようなことをしているわけであります。
3番目の視点の「ひと」、この「ひと」というのは、そういうつながりをつくって豊かさを追求できるような人になりましょうと。また、もともと「ひと」というのはそういうものではないか、それぞれ自分の能力、あるいは自分の周りにある何か素晴らしいもの、そうしたものをほかの人のそういうものとつないで豊かさにつなげていく。
上海万博への出展に関しても、やっぱり南部鉄瓶という伝統工芸品を、代々受け継がれてきたものを今の世の中つくることができる、そういう「ひと」というのがなければ、こうはなっておりませんし、また現代グローバル化に対応し中国語を勉強して日本と中国と行ったり来たりしながら通訳をしてくれたり、商取引の書類を見てくれたりする、そういう国際化人材にも支えられて今回の上海万博出展ができています。あとは、プーアール茶と組むことがいかにいいことかという、そういう目利きの感覚ですよね。中国におけるお茶の伝統、またプーアール茶の健康茶としての特性、そういったものを見抜き評価することができる人、そういう人が岩手県庁の中にいて、こういうことができたと。
目指すものの順番からいって、「ゆたかさ」、「つながり」、「ひと」という順番で書かれていますけれども、実際一人一人がアクションを起こしていく順番に考えますと、まず「ひと」をはぐくむと。まず、自分をはぐくむ、そしてまた県の立場からすると県民という人をはぐくむ、そしてそういう人たちが「つながり」をはぐくんで「ゆたかさ」をはぐくんでいく、そういう順番になります。これから10年間の岩手県の、産業振興というのがわかりやすいのですが、ほかにもいろいろ文化、教育、福祉、いろんな分野がありますけれども、そういった広い意味での地域振興の基本的な進め方として、この3つの視点というのを掲げているわけであります。
そして、概要版5ページに書いてある基本目標、それが「いっしょに育む『希望郷いわて』」というものであります。基本目標という位置づけであり、いわゆるスローガンであります。
概要版6ページに岩手の未来をつくる7つの政策とありますが、「いっしょに育む『希望郷いわて』」、その希望郷いわてを実現していくための具体的な政策分野ごとの目標です。産業・雇用分野では「産業創造県いわて」の実現、農林水産業では「食と緑の創造県いわて」の実現、医療・子育て・福祉分野では「共に生きるいわて」の実現、安全・安心分野で「安心して、心豊かに暮らせるいわて」の実現、教育・文化分野で「人材・文化芸術の宝庫いわて」の実現、環境分野で「環境王国いわて」の実現、社会資本・公共交通・情報基盤では「いわてを支える基盤」の実現という目標を掲げております。
概要版7ページには、岩手の未来を切り拓く6つの構想というのが載っています。これはさっきの7つの政策分野を横断するようなもの、あるいはそういった分野ごとに分けられる以前の先進的な、先駆的なもの、また岩手としてのオリジナリティー、独自性が高いもの、そういった取り組みや仕組み、これらをこの6つの構想というところに入れております。これを策定するに当たっては、岩手の未来を切り拓く構想グランプリというのを去年やりまして、約80件応募をいただいて、その中の優秀なアイデアを採用したりもしています。海の産業創造いわて構想、次世代技術創造いわて構想、環境共生いわて構想、元気になれるいわて構想、安心のネットワークいわて構想、ソフトパワーいわて構想というような6つの構想であります。
概要版7ページ、地域振興の展開方向というところで4広域振興圏の振興、広域振興圏や県の区域を越えた広域的な連携の強化、地域コミュニティの強化、県北・沿岸振興及び過疎地域等の振興というふうになります。4広域振興圏といいますのは、岩手県を県央、盛岡とその周辺ですね、県央、県南、沿岸、県北の4つのエリアに分けまして、それぞれの地域の個性を生かした産業振興を図るために地域ごとの計画を定めて、それにあわせて今年度この4月1日から県の出先機関についても再編したところであります。
地域コミュニティの強化という項目が地域振興の展開方向の3つ目に掲げてあるのですけれども、この地域コミュニティといいますのは、市町村よりもさらに身近な町内会とか自治会とか行政区とか、あるいは旧村、平成の大合併はもちろん昭和の大合併以前の旧村です。矢巾町だと不動村、煙山村等々さらに小さい村があるわけでありますけれども、そうした身近な共同体を地域コミュニティと呼びますが、そうした地域コミュニティの強化、これは一つにはそこの機能が最近低下しているので、これを支えていかなければならないという問題があります。また、それは裏を返しますと、そういった地域コミュニティが元気になってくると、岩手全体も元気になるということでありまして、地域活動を支える人材の育成でありますとか、農山漁村と都市との交流、定住の促進といった取り組みを強化していきます。
そして、地域振興の展開方向の4つ目に書いてある県北・沿岸振興及び過疎地域等の振興というのは、岩手のどの地域も大事なのですけれども、特に県北・沿岸、そして過疎地域というところがやはり力を入れていかなければならないところなので、特に明確に計画の中に柱として位置づけているところであります。
概要版7ページ、県政運営の基本姿勢ということですけれども、わかりやすく言うと公務員のあり方です。県職員のあり方と言ってもいいのですけれども、2つの柱として「県民とともに未来を切り拓いていく県政」、「新しい公共サービスのかたちづくり」という2つの柱を掲げています。
「県民とともに未来を切り拓いていく県政」ということでは、岩手の未来づくりを支える専門集団として新たな時代に対応できる職員の育成、一層の情報公開、県が有する情報の使いやすさの向上、職員のノウハウの提供、行政の透明性や公正性の確保、「岩手職員憲章」に基づく行動の徹底というようなことに取り組んでいきます。また、「いわてを支える持続可能な行財政構造の構築」ということで、簡素で効率的な組織、職員体制を整備していきます。
2つ目の柱、「新しい公共サービスのかたちづくり」ということでは、地域社会を構成する多様な主体との役割分担によって公共サービスを提供できる仕組みづくりを進めるための県民の皆さんに一層参画いただく機会の確保、国、県、市町村の役割分担を明確にし、地域の自主性、自立性を高める仕組みづくりなどの取り組みを進めていきます。
この公務員のあり方ということからスタートして、いわてI援隊運動というものを去年の秋からやっております。これは、県や県職員が既存の枠組みや仕組みを超えて独創力と行動力を発揮しながら県の枠を超え、県の枠というのは県組織という意味ですけれども、県組織の枠を超えてすべての県民と一緒に問題意識や地域課題などを共有するネットワークを築いて、その課題解決を行動の指針としながら、普段の活動を行っていくということなのですけれども、そういうふうにちゃんと行政文書上いろいろ定義は設けられているのですが、わかりやすく言うとI援隊というのは海援隊のもじりであります。坂本龍馬の海援隊の海という字を岩手のアルファベッドの頭文字Iに置きかえたのがI援隊でありまして、要は県職員一人一人、坂本龍馬になったつもりで思い切ってやろうということであります。脱藩ならぬ脱県という感じで、もう県職員でありながら県職員ではないような振る舞い、大いに結構、知事も率先してそういうふうにやるからねということでやっております。海援隊というのは、土佐藩の下部組織ではあったのですけれども、土佐藩士以外の人、ほかの藩の人も入れたし、また脱藩者も入ることができたのです。
それで、今の政府、鳩山内閣は新しい公共ということを盛んに言っているのですけれども、これは狭い行政、いわゆる官という狭い行政だけが世の中の公を動かしていくのではなくて、NPOでありますとか、そういった市民団体、ボランティア、あるいは個人とか、そういう人たちが力を合わせて公というものをつくっていこうというのが新しい公共の考え方なのですけれども、その考え方を岩手県では既に3年前から地域経営という言葉で先取りしていまして、県あるいは市町村、行政組織だけが地域をつくるのではなくて、そこに住む人たちのいろんな団体、民間企業も含めてですけれども、民間企業、団体あるいは個人、そういう人たちが力を合わせて地域をつくることを地域経営と呼んでおりました。最近は新しい公共という言葉が流行っています。それを実践していくためのわかりやすい工夫としてI援隊運動ということを言っております。公務員であるか公務員でないのか、武士なのか武士でないのか、そんなのは関係ないのでありまして、それぞれが持っている力、持っている意欲、そういうのを合わせて世の中を良くしていこうという考え方、そして運動がI援隊運動であります。
以上がいわて県民計画の簡単な説明でありましたけれども、レジュメの3番、誇るべき岩手の産業や技術というところに移ります。県では、地域の特性、個性を生かし、強みを伸ばし、弱みを克服しながらオンリーワンの地域づくりを進めています。岩手の産業構造を見ますと、産業別の県内総生産ではサービス業が20.5%と最大で、それに製造業17.1%、不動産業12.8%と続き、農林水産業は3.9%であります。関わっている人が多く、また関連が広がっている意味で農林水産業は岩手の基幹産業と位置づけられていますけれども、総生産に占める割合は比較的少ないです。
製造業の歴史を見ますと、岩手県は工業近代化のパイオニアでありました。もともと岩手県には古代からたたら製鉄による鉄器文化があり、古墳時代には出雲地方と並ぶ鉄の2大産地でありました。その伝統が南部鉄器にも生きています。そして、近代製鉄業は幕末、南部藩士、大島高任が釜石の大橋に洋式高炉をつくったことに始まります。
最近九州と山口県の自治体が世界遺産候補として九州、山口の近代化遺産というのを候補にしようということで作業を進めていたのですけれども、北九州の八幡製鉄所とか、そういう明治始めの近代産業のいろんな跡地が九州、山口にあるのですけれども、実はその元祖は岩手釜石の大島高任の洋式高炉ではないかということが専門家の議論で出て、釜石市にも参加してもらおうという招待が来て、それで釜石市もその世界遺産候補の自治体の会員の中に入れてもらうことになりました。というほど実は岩手は近代産業の古い歴史があります。
その岩手の製造業は、沿岸地域で製鉄、これは釜石の新日本製鐵、そして宮古のラサ工業のような非鉄金属や化学工業、大船渡の今の太平洋セメントのようなセメント業など、そういう原材料また製品がすごく重くて、船で運ぶのに都合がよく、港があるところに工業が立地する、重厚長大コンビナート的な、そういう産業が実は岩手の沿岸に高度成長の時代には立地しておりました。内陸は農林水産資源を生かした食品工業、代表は雫石の小岩井乳業になりますけれども、そうした産業構造だったのですね。沿岸のほうが産業の花形だったわけであります。
それが昭和40年代後半から岩手県南部の北上川流域に大手企業が進出し始めて流れが変わってまいりました。高速化の時代と岩手の県政史の中では呼ばれますが、東北自動車道が通り、そして東北新幹線が通るという、それに合わせるようにして船ででかいものを運ぶような工業から、もうちょい小型で小回りのきくような電気、電子部品、そういった産業にシフトしてきて半導体製造の東芝、NECとか、そして自動車工業もそうであります。トヨタ系の関東自動車工業岩手工場、その関東自動車工業岩手工場というのは関東以北では唯一の完成車の組み立て工場なのです。東日本のほうには、実は余り自動車の組み立て工場というのはありませんで、関東以北ではこの岩手に1つあるだけなわけであります。そういう産業構造の転換はありますけれども、そのときそのときその時代なりに世界に向かって打って出るような、そういう先端的な製造業が岩手県には常に立地していたということであります。
将来の岩手の産業、経済を考えますと、いかにして競争力の高い産業分野によって県外から所得を得て、そしてその所得を県内で回していくか、そこがカギになります。そのために製造業では引き続き成長が見込まれる自動車や半導体関連産業を初めとするものづくり産業の基盤強化に努めていくこと、そして世界経済の影響を受けにくい薬品、医療用検査機器などの医療関連産業、また食品加工業などの振興に努めていくという方針であります。
それから、製造業以外で観光産業や農林水産物など、岩手の強みを生かした産業振興に力を入れていくということとしております。観光というのは、国でも観光庁というのを最近新しくつくったところでありまして、これは世界中どの国でも観光立国と、観光業を盛んにして国の経済を豊かにしようという取り組みがなされています。日本もそうですし、また日本の各都道府県、市町村もいろんな形で観光業に力を入れていくようになっています。
そうした産業施策を進めていくためには、1つ情報インフラの整備というのが大事です。高速回線にアクセスしやすいというのが大事です。またもう一つというか、より重要なのは優秀な人材の育成、研究開発型、知識集約型の産業の導入。それから、そういう先端的でややこしいのに強い人材も大事なのですけれども、岩手の歴史とか風土とかに根差した個性的な才能やスキルを持った人に着目した文化芸術の産業化。これは南部鉄瓶の担い手を育成していくということが含まれますし、それから今年度岩手県が漫画振興というので事業化しまして、コミックいわて(仮称)を発行する予定にしています。それは今岩手に住んでいる漫画家さんにお願いしたり、あとコンクール、コンテストも開きますので、我こそはと思う人は応募してほしいと思うのですが、そうやって新しい漫画人材を岩手に育成するということも、今言った文化芸術的な産業化ということに含まれます。そういったことも大事であります。
さて、今岩手県にどんな元気な企業、技術があるかを紹介しましょう。まず、世界1位の企業というのが岩手に幾つかあります。世界1位の企業、株式会社SHOEI、これは藤沢町、一関の南のほうにある藤沢町。バイク用ヘルメットの生産高が世界一です。オートバイ、カート等の4輪車、航空機、そして戦車などのヘルメットを製造し、安全性、機能性、デザインで世界市場の半分を担っています。
2つ目、東京エレクトロン東北、奥州市にあります東京エレクトロン東北。これは半導体製造装置の中の熱処理成膜装置というもの、膜を生成する熱処理成膜装置の生産高が世界一なのです。半導体のウェーハ、基板ですね。半導体の基板の製造に不可欠な熱処理被膜装置を開発、製造していて、世界シェア60%を誇っています。
3つ目、東北ヒロセ電機と一関ヒロセ電機。東北ヒロセ電機は宮古市に立地し、一関ヒロセ電機は一関市に立地しています。ヒロセ電機グループ全体で電子機器のコネクターの生産高が世界一です。コンピュータ等の電子機器を接続するコネクターというものの生産で世界シェアの約半分を占めています。その主力が宮古と一関の工場なのです。
4番目、東光舎、岩手町にあります。岩手町にあるこの東光舎というのは、医療用、理美容用のはさみの生産で世界のトップシェアを誇っています。医療用、理美容用のプロ用のはさみの生産で世界のトップシェア、開発から製造まで岩手町で一貫して行っています。
次、アジアで1位の企業。まず、株式会社ミクニ盛岡事務所、滝沢村にあります。ガス立ち消え安全装置の生産高でアジア1位です。自動車関係のエンジン用潤滑油ポンプとか車両用ヒーターとかをつくっている会社なのですけれども、このガス立ち消え安全装置というのもつくり、これがアジア1位の生産高。
次、日本1位の企業、次は日本一シリーズ。久慈琥珀株式会社、久慈市です。久慈琥珀株式会社、名前のとおり琥珀の生産高が日本一です。
2番目、株式会社サンロック。釜石市にありますこのサンロックというのは、キャビアの生産高日本一なのです。チョウザメを飼って、そこからキャビアをとることで日本一の生産です。マツカワとかカレイとか、そういう魚の養殖もやっています。
3番目、キタダ株式会社、これは盛岡市です。カバン屋さんなのですけれども、ペットボトルのリサイクルバックの販売高が日本一です。特に通学カバンについては、日本国内でペットボトルリサイクル通学カバンを扱っているのはこのキタダだけですので、オンリーワンでナンバーワンになっているわけですね。環境、エコとかの分野では、非常に全国的に有名であります。
1位になっているというところだけでも今のような会社があるのですけれども、そのほかにも自動車関係で、トヨタ系の関東自動車という完成車組み立て工場が金ケ崎にある関係で、岩手の中には自動車部品のすぐれた会社が結構あります。
それから、電気、電子関係でも東京電波という会社の工場が盛岡市にあり、盛岡東京電波という名前なのですけれども、水晶ですね。クオーツ、時計とか、時計以外でも電子部品の中で時間をカウントするのにクオーツ、水晶が広く使われているのですけれども、この水晶を人工的に生成して電子部品用にカットするということで世界有数の会社があります。
それから、あとは時計でシチズンとセイコーの主力工場の一つがそれぞれ岩手にあります。北上市のシチズン東北、これは時計のオートメーション工場の世界有数のところが北上のシチズン東北工場にありまして、ものすごい短時間にたくさんの時計をバンバンつくる工場であります。盛岡セイコー工業、セイコーの工場は盛岡セイコーといいつつ雫石、小岩井のあたりにあるので、盛岡に近い雫石町ですけれども、このセイコーは、ここも大量生産型の時計をつくっているのですけれども、スイスにあるような手づくり高級時計工房もこの雫石の盛岡セイコー工場にありまして、おととしになるかな、さきおととしになるかな、漆を塗って宝石もちりばめて1つ5,000万円という、5,000万円ですよ。消費税が250万円になるそういう腕時計をそこでつくったりしています。ということで、いろいろすごい製造業が岩手県にもあるということであります。
さて、4番目、岩手に就職するメリット、「MY IWATE STYLE」というパンフレットがお手元にあると思います。このパンフレットの2ページに、岩手を人生の舞台として選択した先輩たちの具体的なライフスタイルが紹介されていますけれども、いろいろなメリットがありまして、まずプライベートな時間を多く持つことができると。これは通勤時間、通学時間もそうでありますが、通勤、通学時間というのが関東、大都市圏では51分が平均ですが、岩手では27分、半分ぐらいで済みます。毎日の自由時間の都道府県ランキングがあるのですけれども、岩手県は240分ということで第9位です。ちなみに、東京は216分で45位、毎日の自由時間の全国ランキングです。
次のメリットは、教育施設や食の面で安心、安全な生活を送ることができる。これは特に家庭を築き、子育て、教育などやっていくに当たっては大変大きなメリットであります。人口当たりの学校施設の数というのが都道府県別にあるのですけれども、岩手県は小学校の数で5位、中学校、高校の数で4位、人口当たりの学校施設であります。
それから、食の安心、安全関係では、食料自給率が岩手県は全国都道府県の中で4位になります。軽く100%を超えて百数%、106とか107とか、そのくらいの食料自給率で、日本で食料自給率が100%を超える都道府県というのは5つか6つぐらいしかないのですけれども、その中に岩手は入っています。
あと、農薬使用量の少なさというのが全国第2位になります。岩手は春、秋涼しいし、夏でも朝、夕は涼しいので、虫が湧いたりとか、あとは植物のいろんな病気が起きにくく、農薬が少なくて済むのですね。日本のほかの地域について、この冷涼な気候というのは農薬を余り使わなくて済むというメリットがありますので、地産地消の地元の農産物という点で、岩手にはそういう優位性があります。
3番目のメリットとしては、住むところ、住環境についても岩手では自分のライフスタイルに合った生活を楽しむことができるということで、持ち家比率の比較、貸し家住まいではなく、自分の財産である住宅、マンションに住んでいる人の割合が岩手県は71.9%、東京は44.9%です。1住宅当たりの延べ面積が岩手県は123.01平米、東京だと64.56平米になります。民間賃貸住宅家賃、家賃の水準でありますけれども、1坪3.3平方メートル1カ月当たり、岩手県だと4,319円、東京だと9,296円という倍以上の違いがあります。というような時間、空間、そして子育て環境、安心、安全、そういったそれぞれの要素でこの岩手に住むメリット、岩手で働くメリットというのがあります。
いろんなデータがありまして、どこかの新聞だか雑誌だかが日本の県庁所在地、住みやすいところアンケートというのをとった際に、盛岡市が1位になったことがあります。あとは、私も実際いろんな転勤で岩手で暮らすことになった、東京のほうの役所とか、東京のほうの企業、会社の人で2年間とか3年間とか岩手のほうで働くということで転勤してくる、いわゆる転勤族の人たちとよく会って話をしますけれども、本当に環境はいいとみんな口をそろえて言います。家賃の安さとかもあり、岩手にマンション買って、もうその後ずっと岩手を生活の拠点にする人とかもいますし、お墓まで買った人も私は知っています。
あとは、それに関係して、リクルート社が出している「じゃらん」という旅行雑誌で、観光旅行に行きたいところのアンケートで、まだ行ったことがないのだけれども、行ってみたいというのだと岩手はそんなに高くないのですけれども、一回行ったことがあって、また行きたいというのにすると順位がかなり上がるのです。岩手県は、まず知らない人が多い、だからそれほど良さが有名ではないのですけれども、岩手に来たことがあるとか、あと実際住んだことがあるというような人たちの間での評価は非常に高いのですよね。そういうことがいろんなアンケートなどにも出ています。
ということで、用意してきた話は終わりであります。岩手には誇るべき産業や技術があり、そして岩手に就職するメリットはあるということでありました。
時間がまだ30分くらいありますので、質疑応答というコーナーもとってありますので、それに充てたいと思います。ありがとうございました。
司会
達増知事さん、ありがとうございます。いかがでしたでしょうか。冒頭に佐々木副学長のお話にもありましたけれども、まさにトップセールスとして岩手県を引っ張っていってくださっているお話をしていただいたなと思います。
質疑応答の時間をとっていただきましたので、学生さんを中心に質疑を進めたいというふうに思いますけれども、トップバッターは大変でしょうけれども、どうですか、質問を考えている方。
質問者
岩手県立大学の総合政策学部3年の学生です。岩手で暮らすメリットとか、岩手で働くメリットがあるということがわかって勉強になりました。
最後のほうで観光の話で一回岩手に来た人は岩手をすごく好きになる人が多いということをおっしゃったのですけれども、どうやって1回目に岩手に来させるかというのがすごく難しいなと思うので、その辺についてはどういうふうに考えているのでしょうか。
達増知事
1回目に来させるための工夫、まず基本的に岩手県の人口は135万人ぐらいですから、まずその135万人が食べていければいいと思っておりまして、似たような自然環境で長野県というのは人口が200万人以上かな、新潟県なんかも岩手よりも人口は多いのですけれども、そういったところほどお客が来なくても県民1人当たりにすればいいので、余りごちゃごちゃ混雑するようにはしないほうがむしろいいかなということが基本的にはあります。ただ、現状はまだまだ足りないので、もっと来てもらったほうがいいという状態ですかね。それはもうあちこち行けば、そういう長野県の山や湖と岩手県の山や湖などを比べますと、いかにこっちのほうがすいているかということで、びっくりするのではないかと思いますけれども、そこはもっと来てもらったほうがやっぱりいいと思っています。
1つは、やっぱり目立つようにガンガンいかなければならないというところがあって、それで県の県外広報で「黄金の國、いわて。」というキャンペーンをやって、それで金ぴかのポスターとか、金ぴかのパンフレットをつくって東京のほうで配ったり、地下鉄に張ったりとかしてやっているのがありますけれども、それは岩手というのはともすれば清く貧しく美しくという清貧なイメージがあり、それは一面の真実であって、それはそれで大変いいこと、かけがえのないことではあるのですが、それだけではないよということで、ゴージャスな側面を売り出そうということで、アワビの漁獲高が全国1位だとか、ウニは北海道に次いで2位だとか、それが沿岸のほうに行くと安くたらふく食べれますよとか、あと前沢牛とか、そういうゴージャスなイメージで「黄金の國、いわて。」というのをアピールしたりしています。
それは、平泉の世界遺産登録ともちょうどタイアップさせようかなと思って、2年前に始めたのですが、2年前、世界遺産登録の会議で登録延期になってしまって、そのタイアップというのはやっていないのですけれども、ただ来年の世界遺産の国際会議では平泉が世界遺産登録の議題に上がることはもう決まっていて、今度は登録されるようにみんなで必死に準備をしていますので、平泉が世界遺産登録になったら、これはものすごい宣伝効果があると思っています。
というようなものがまず本流の宣伝手法なのですけれども、からめ手からの攻め方として、ベールの向こうにある神秘的なよくわからない岩手という、そのよくわからないという、イメージがわかない、そういう神秘性を逆手にとって、そういう岩手の売り出し方というのも手をつけております。それは座敷わらしが出るとか、河童が出るとか、ちょうど今年は「遠野物語」発刊100周年でもあり、お化けが出るし、また出ると言われてもおかしくないそういう岩手。これは荒俣宏さんという、いろんなあやしいものに詳しい人を呼びまして、高橋克彦さんという盛岡市在住の小説家で、やはりあやしいものに詳しい、その荒俣宏、高橋克彦ペアに岩手県内のいろんなあやしいスポットを発掘してもらうという事業を去年県の事業でやり、今月中ではなかったかな、この5月に実業之日本社というところから、そういう何かパワースポットというか、スピリチュアルというか、そういう岩手のガイドブックが出ることになっていて、知る人ぞ知る岩手みたいな売り出し方も並行してやっているところです。
質問者
ありがとうございます。
司会
次の方いらっしゃいますか。
どうぞ。
質問者
岩手大学の学生です。自分は青森出身なのですけれども、結構岩手は周りの県に比べたら外への売り出しが多くて、それもやり方がうまくてすごいいいと思うのですけれども、今聞いた10年間の長い期間で成長していくというビジョンもすごくいいと思うのですけれども、それが実際に県民全体に一人一人に伝わっているかといったら、そこはちょっと微妙なところだと思うのです。やっぱりみんながみんな行政に興味あるわけでもないと思うので、でもやっぱりみんながちゃんと、そういうところに浸透しているほうが、それこそ人口減少の抑制とか、それぞれ産業に対してのモチベーションの増加につながって、よりよい効果が出ると思うのです。それでいかに中のほうに、今知事さんたちがやろうとしていることを行政に興味ない人たちにもいかに伝えていくかというのが大事だと思うのですけれども、そこはどう思いますか。
達増知事
この中で県の広報誌「いわてグラフ」というのをチラッとでも見たことある人。読んだことはもちろん、見たことあるという人いますか……でもやっぱり半分ぐらいですね。実は全世帯に配布されているはずなのですが、親と一緒に住んでいる人なんかは家に配られてくるのをみんなで見たりしているかもしれないけれども、アパートとか寮とかでひとり暮らししているところには。うちには届いていないという人いるかな、そういうアパートでひとり暮らしとか寮に住んでいるとかで、うちに来ていないよという人……やっぱりちょっと考えなければならないですね。
県の計画について、まず最大みんなに知らせるということで、もう最大の直接のメディアがこの「いわてグラフ」なのですけれども、そういう状況であると。あとは、テレビとか新聞なのですけれども、最近新聞よりインターネットなどでニュースも知る、携帯でもうニュースがわかってしまう人が増えていて、新聞離れが進んでいると聞いているのですが、新聞を自分自身、あるいは親と一緒に住んでいれば自宅でもいいけれども、新聞とっている、毎日新聞読みたいときに読める環境にあると。これは1部でもいいので、新聞とっているという人……半分くらいか。
新聞を丹念に読んでいると、このいわて県民計画、10年計画がつくられたということがわかるのですけれども、でも実は県は県でアンケートをとっていて、大体アンケートの結果は25%の人しかこの県民計画を知らないということが私はわかっています。だから、浸透していない、知らない人が多いというのはそのとおりなのですよね。これは強制的に絶対知れというような感じというよりは、希望インデックスになっていまして、それぞれ自分は教師を目指す、教員で身を立てていきたい、今後10年岩手の教育がどうなるかとか、あるいは自分は製造業で働いていきたい、今後10年製造業はどうなるか、自分の希望に合わせて、その希望を実現していくためのインデックス、事典のような使い方に非常に向いたつくりをしているので、関心ある部分だけを読んでもらうのでもかなり効果はあるのですね。もちろん自分に直接関係ないかもしれない、でも子供ができれば教育とかも関係してくるから、そういう意味ではすべて読んでいてもらうと大変いいのですけれども、そういう感覚がまだ浸透していないというのはそのとおりだと思いますので、そこは今年度の県の事業の中でもこの県民計画をいろいろみんなに知らせていくための工夫を盛り込んでいますし、必要であれば来年度以降もやっていかなければならないと思うので、さっきの指摘を参考にやっていきたいと思います。
質問者
ありがとうございます。
司会
はい、次の方。手を挙げたいけれども、挙げれない人、困っている人のために歩いて行きます。どうですか。
質問者
県立大学の学生です。今回お話を伺って、私はずっと盛岡生まれ盛岡育ちで、すごい岩手は住みやすいなと思っているのですが、やっぱり景気の良かった頃は一度出ていった人もまた戻ってくるような岩手だったと思うのですけれども、やはりそうではなくても魅力があって住みたいと思うような岩手というのを私たちの若い世代がもっと考えていきたいなと考えるようなお話を伺えたので、とても良かったです。ありがとうございました。
達増知事
今は人口減少に歯止めとか言っているのですけれども、もうちょい増えてもいいと私は思っていますし、多くの県民もそう思っているのではないかと思います。135万人より増やしたくないと思っている人は余りいないと思います。ですから、出ていった人が戻ってくるだけではなくて、どんどん日本のほかの地域に生まれ育った人、あるいは外国でもいいのですけれども、そういう人が仕事の場、生活の場として岩手をどんどん選んでくれるようにしていきたいと思います。
ですから、私は県の職員にも日頃から言っているのですけれども、岩手に生まれ育った人とか、あるいは岩手に住民票を持っている人だけが岩手県民なのではないよということを常に言っていて、岩手にゆかりある人とか、これからゆかりあるようになるかもしれない人はすべて県民とみなせと。だから、もちろん岩手に生まれ育って東京その他、他の地域に行っている人たちも立派な岩手県民だし、また岩手以外のところから今岩手に来ている人たちは、これはもう住民票もあれば、法律、条例上も立派な岩手県民なのだけれども、観光とか何かでこれから来ようとしているような人たちも、もう岩手県民とみなして丁寧に扱えと言っていますし、それは日本国内だけではなく外国もそうで、上海万博の岩手南部鉄瓶のブースのところでも、いろいろ岩手の物産や観光を紹介するパンフレットを紹介しているのですが、興味を持って受け取る人はもう、その人も潜在的に岩手県民というふうに扱って、丁寧に扱いなさいということを言っています。
司会
どうですか。
質問者
岩手大学の学生です。2年生です。私は小さいころ葛巻町に住んでいたこともありまして、とても岩手は環境が素晴らしいなというのは普段から感じているのですけれども、この「MY IWATE STYLE」を今読んでいまして、岩手のいいところというのは本当自然がいいというところはたくさん言われていますけれども、不満なところというか、不便なところというのが少しずつあると思うのですけれども、その辺に関してはどのような対策ですとか見据えているのかなということをお聞きしたいなと思います。
達増知事
情報通信関係ですね。携帯も圏外になってしまうとか、あとは高速インターネット回線につながらないとか、そういうのは情報化社会においては非常に不利なので、そういうところを減らすような取り組みをある程度重点的に予算もつけてやっています。
あとは、道路も無駄な道路はつくるなという話は世間では大きい声で言われているのですけれども、岩手の場合はまだまだ必要な道路というのがあると思っています。通勤、通学もそうですし、あと病院に行くということですね。これが岩手は医師不足でお医者さんの数、病院の数が全体として少ないし、また少ないのが盛岡とか一部に集中しているので、そうでないところからちゃんと病院やお医者さんがいるところに行くための、緊急に救急車が飛んでいけるくらいの道はやっぱり無いと困るということで、そういったところはしっかり予算をつけて解消していこうと思っています。
ある程度の不便さ、人里離れたところがいいという、旧川井村タイマグラみたいに本当に何もないがゆえにそこを選んでそこに住むという人もいて、そういう不便さをかえって残すようなところも岩手県内に幾つかあってもいいなとは思っていますけれども、ただ命にかかわることとか、そういったところはちょっと不便という次元を超えた緊急性があるので、そういったところをきちっと整備していく予定です。
質問者
ありがとうございます。
司会
学生に質問を投げかけると出てくるのですが、これは、質問を考えて話を聞いているからです。
質問者
岩手県立大学の学生です。今日お話しいただいた誇るべき岩手の産業や技術ということなのですが、僕も岩手にはずっと住んでいて、考えていたのですけれども、南部鉄器と久慈琥珀と、あとは三陸の海産物ですとか伝統工芸品とかという、そういうもののイメージしかなかったのですけれども、今日お話の中で漫画振興というのがあったのですが、そういうのはちょっと岩手らしくないなとちょっと思っていて、すごく面白いと思ったのですが、知事が考えるこれからの岩手の産業や技術で新しく誇れるものをつくっていきたいとかという今考えていらっしゃることがあったら、ちょっとお聞きしたいと思います。
達増知事
知事からすれば、豊かさにつながるのであればもう何でもありだし、また一人一人が自分の関心とか、自分の好みとか、あるいは自分の信念でいろんな分野を伸ばしてくれればそれがいいと思っていて、これからの行政というのは答えを与える行政ではなくて、答えが見つかるのを手伝う行政というのかな、いろいろ岩手を宣伝するときのコピー、宣伝文句で1つ考えたのが「答えが見つかる岩手」というのがありまして、自分が何を目指していくか、これからはどういう商売でいけばいいかとか、そういう答えが岩手に来ればわかる、岩手に行けばわかるみたいなふうにしたいなと思っているのですけれども、ただ突き放すのもなんだなというふうにも思っているのです。そういう意味で製造業でトヨタだ東芝だとか、そういう企業誘致はさらに進めようと思って、実際働きかけてそういう工場を増やしていこうとは思っています。岩手はリーマンショック以前の世界同時不況以前の段階でも有効求人倍率が0.6とか0.7とかで全然1に届かないくらいまだまだ働く場所が少ないので、そういう意味で何百人とか1,000人とか働く工場をバンと建てる企業立地というのは非常にありがたいし、またうまくそこで身につけた技術で独立する人とかもいますし、そこと取引する地場企業の振興にもつながるから、製造業というのはやっぱり大事だと思っています。
あとは、文化芸術絡みの分野、観光業もそれに入ると思うのですけれども、そういったところも大事だと思っているので、漫画というのも去年岩手県のある美術館が岩手ゆかりの漫画家展というのをやったら55人もいたのですね。岩手在住、また岩手で生まれてほかで仕事している漫画家が55人もいて、何か日本全体で漫画家というのは3,000人ぐらいだそうだから、人口比からすれば岩手というのは100分の1なので、30人くらいいればちょうどいいのだけれども、55人もいる。南部杜氏というお酒づくりの職人集団がいるのですが、何かそういう一種岩手に根差した強力な技能集団として漫画家の皆さんを育成できるかもしれないなと思いました。ヒット作出している有名な人もいますが、「ドラゴン桜」や「エンゼルバンク」の三田紀房さんとか、吉田戦車さんとか、有名な人もいるのですけれども、子供用のテレビ番組ではやったものをコロコロコミックで漫画にするという、そういう職人のような仕事で結構活躍している人とか、そういう何かヒット作路線ではないけれども、いい仕事しているような人も結構いて、そういう人たちにちょっと今回目を向けております。
あとは、岩手は自然環境が非常に素晴らしいので、そういう自然環境を生かした新エネルギー、木質バイオという木のくずとか木からつくったチップ、ペレットでストーブやボイラーを燃やすとか、そういうエコ産業にもつながるような自然環境型の豊かさ追求路線とか、農林水産物、食を生かしたものもそこに入りますね。だから、整理すると製造業は製造業でやっぱり伸ばしていくし、あとは文化芸術、関連して観光関係、あとは自然の豊かさを生かしたエコ、環境あるいは食産業関係、そういったあたりを特に重点的に伸ばしていこうというのが今の方針です。
質問者
わかりました。ありがとうございます。
達増知事
でも、そういう中でスポーツの分野で勝手に群を抜いていく雄星君みたいな存在もいるから、ああいう少年をつかまえて、ものづくりを覚えろとか、無理やりやれというのも変な話なので、だから基本はそれぞれがやりたいことをやってくれればそれが一番だとは思っているのですけれども、ただすべての県民をそうやって突き放すのもなんなので、さっき言ったような重点展開しているということです。
司会
そろそろ時間になりましたが、もう一件だけ、どうしてもという人があれば。
はい、どうぞ。
質問者
岩手県立大学の学生です。私が気になった点なのですが、こういった地元学というのですか、地域学をやって、やはり岩手について興味のある学生や地域の方というのは、すごい岩手について興味を深めることはできると思うのですが、それに興味のない地域の人たち、大学生等、私は岩手学や地場産業に来たというのは、私大学生なのですけれども、宮城県出身で、大学にいる4年間の間に岩手について学んで、ほかのところに行ったときに岩手について話せるような知識をつけたいなと思って来ているのです。そういったことが岩手出身の学生はできるのかなと思って聞いていたのです。岩手出身なのに岩手について知らない学生というのが絶対いるのではないかと思って、そういった学生たちについての対処というか、そういった学生たちへの気づきというのを知事はどう考えているかなというのを聞きたいと思いました。
もう一つ聞きたいところなのですが、やはり自然がすごい豊かで自然がいいよとか、あと産業がというのをすごい押しているのですが、そういったところというのは東北とか九州とか、いろんな県で同じようなことが言えると思うのです。やはり自然を押すのも大事だと思うのですが、それ以外の特色、岩手だから例えば県立大学だったらばソフトウエア情報学部などがあるのでITと一緒に押していこうみたいな、何かそういった面がありましたらお答えいただきたいなと思います。
達増知事
岩手の人が岩手について実はよく知らないというのは、ひとつ構造的な問題としてあると思います。情報空間のあり方として、やっぱりどの国もですけれども、中央発の情報が多くなり、マスコミ等を通じた情報なんかでも銀座にこういうお店ができたとか、東京ディズニーランドにこういうアトラクションができたというのは広く知られても、岩手の中に実はこういうのがあるというのを知る機会はなかなかない。ただ、昔に比べると大分よくなっていて、テレビ局の数も増え、私が生まれたころは岩手の民放って1つしかなかったのだけれども、今ではもう各キー局に対応する民放が一通りあり、地元のことを取材した番組も放送されるようになっているし、タウン誌のようなものも発達していますね。あと、昔なかったのはインターネットでありまして、ネットで調べればもうかなりのことがわかるし、いろんなブログなども活用して岩手に関する口コミ情報というのは調べようと思えばかなり調べられるような環境にはなっていると思います。あとは、興味、関心さえあれば、かなりのことは調べられる環境はできているので、岩手って実はすごいかもというそういう気づきとか、まさに気づきとか、驚きとか、そういうのを時々、みんなお互いにそういうのを発信し合えばいいのですが、県としても、上海万博に出るなんていうのは、そういう試みの一つだったのですけれども。
あと、高知県知事さんは私と年が近い若い知事で、今年高知でやる坂本龍馬ゆかりのいろんなイベントに岩手も絡ませてくれというのをお願いしていて、今高知の坂本龍馬記念館では龍馬と啄木展という企画が、5、6、7月、大体3カ月間にわたって行われていて、全国から龍馬目当てに龍馬記念館に行った人たちは、そこで石川啄木に出会うという仕掛けになっております。そういう、エッというようなことをやっぱりやらなければだめだと思うのです。
去年は、県行政としてはなかなかそういうみんなをあっと言わせるようなことはできなくて、インフルエンザ対策に追われたりとか、世界同時不況対策に追われたりとか、ひいひいやっていたのですが、雄星君たち、花巻東の活躍で、岩手って実はすごいかもと県内外の人に思わせてくれ、去年は本当に岩手の高校生たちに助けられた1年だと思っています。将棋で日本一になる高校生が出てきたり、お琴で全国制覇する高校があったり、何かそういう岩手ってすごい、ゲゲッというような、そういう要素をみんなでつくっていくことが大事で、県もそこはいろいろつくっていかなければならないと思っています。
岩手の良さ、ほかの県にもやっぱり同じような良さがあるのではないかと。日本全体として実は非常にいい国なものですから、岩手並みの良さを持っている都道府県というのは結構ある。裏返すと、岩手というのは全国有数、世界に通用するものというのは、そういうものばかりと言ってもいいのですね。それらをさらに上回る何か雄星君並みのメガヒット的なものというのは、これはやっぱり何かかんかいろいろつくっていかなければならないとは思っておりまして、それぞれの分野に期待し、上海で南部鉄瓶をアピールしているのは、これでちょっと世界ブレイクさせられればいいなというのがあったりします。
あと、ちょっと妙な話ではあるのですが、お化けが出るかもしれないということについては岩手は日本一ではないかなと思っていて、座敷わらしが出るとか、河童が出るとか、非常に出てもおかしくない雰囲気ということについては日本一だと私は思っていて、それは自然を大事にし、人と自然が一体となって生きてきたということに関してはやっぱり日本一と言ってもいいようなところがあるのだと思います。
平泉の文化ですけれども、あれは金色堂を建てるときに藤原清衡公が、これはもう敵も味方も関係なく、すべての死者を平等に弔うものだと。人だけではなくて、動物とか鳥とか、魚介類に至るまで命を尊び死を悼むお堂として建てますという願文を宣言しているのですね。そういう人と自然との共生、人と人との共生という縄文時代以来はぐくまれてきたものだと思うのですけれども、それが平泉文化としても花開いているし、遠野物語の世界にも来ているし、そこが良さだと。そこはかなり世界的にも有数の良さだと思っておりまして、その辺に気づいて、その辺を大切にしていくことで豊かさにもつながっていくのではないかと思います。
司会
どうもありがとうございました。それでは、名残惜しいところなのですけれども、ここで知事さんへのご質問は終わりにいたします。
知事さん、どうもありがとうございました。
それでは、岩手大学の藤井学長から皆さんにごあいさつと、それから知事さんへの感謝の意を込めましてあいさつをさせていただきます。
藤井岩手大学長
ご紹介いただきました岩手大学の学長の藤井と申します。本日3年目となりますけれども、岩手大学、岩手県立大学共同開講「地場産業・企業論」、第1回目の開講に当たりまして達増知事にはお忙しい中、いわての現状と未来、若者に期待していること、熱いメッセージをお伝えいただきまして本当にありがとうございました。
講話の後の質疑応答にいろいろ皆さんの気持ち、それから知事の本音というのでしょうか、考えるところも出てきたのではないかと思います。「答えが見つかる岩手」ですか、なかなかいい言葉だなと思います。答えを見つけるのは、また皆さんなのですね。岩手のいいところ、誇るべき岩手の産業や技術という、そういう項目ありましたけれども、それもわかると、岩手に就職するメリットもあると。では、職場を見つけてくださいよというようなことが皆さん受講生の中に、県職員の募集をもっと増やしなさいなんて本音があるかもしれませんけれども、これはすぐには出せないかもしれませんけれども、やはり岩手のいいところ、これをやっぱり見つけていくというのが大事なのではないかなと思います。
難しい言葉ですけれども、何か明珠在掌というのですか、明るい、明らかな真珠、宝物というのは実は手のひらの中にあるのだという禅か何かの言葉だと思うのですけれども、まさに言い得て妙だと思います。青い鳥を求める話と同じで、意外と近所といいますか、自分の身の回りにあるのではないかと思います。話長くなりますが、私は関西の生まれなのですが、やっぱり岩手の良さというのはほかの県の出身者だとよくわかるなと思うのです。非常に住みやすいし、子育てしやすいし、やっぱり一生暮らしたいなというまちは岩手ですね。土地のものがあるわけですけれども、産業の面でガラパゴス化なんていう言葉とか、悪い意味でよく言われますね。ガラパゴス諸島は、それぞれ島ごとに独自に鳥とかイグアナが進化して統一性がなくなってしまったという、携帯電話がひところは日本は市場を席巻していたのが今やフィンランドですね。ノキアって一番メジャーになっているというのが、それ例えにガラパゴス化なんて言われますけれども、フィンランドという国は500万人なのですね。国土が日本並みだと、北海道ぐらいの人口で国土が日本ぐらいの広さを持っているという国ですけれども、産業おこしに当たって、いきなり世界をターゲットに考えるのですね。日本の場合はどうしても1億2,000万人いますから、日本で売れることを考えてしまって、携帯だって日本人向けのものを一生懸命考えるという、そういう独自性、差別化をどんどん急いでしまうということがあると思うのですけれども、ご承知だと思うのですけれども、上海万博でPRされて独自に企画された南部鉄瓶というのはまさにもうガラパゴス化ですね。南部が南部藩時代から営々と守り続けたものが、実は国際的に通用する立派なものなのだと。65億人をターゲットにできる産品なのだということが明らかになったという点で、本当に明珠在掌、これだけの宝物が手のひらにあるのだということが明らかになったのではないかと思います。
答えは皆さんで見つけましょう、これが新しい県民計画「いっしょに育む『希望郷いわて』」、これにつながってくるのではないかなと思います。
改めて達増知事のご講義に感謝申し上げますとともに、きょう第1回ですので、受講生が32名おられると聞いていますけれども、半年間の授業の中で新しい産業を自分たちでつくっていく、職を見つけるということでなくても産業をつくるという、そういう観点からこの半年間勉強していただきたいと思います。本日はどうもありがとうございました。
司会 藤井学長
どうもありがとうございました。
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