岩手フロンティア産業人座談会(平成20年2月4日)
対象地域:沿岸広域振興圏
開催場所:釜石市
県政懇談会「岩手フロンティア産業人座談会」懇談記録(沿岸広域振興圏)
- 日時 平成20年2月4日(月曜日)14時55分から16時10分
- 場所 釜石地区合同庁舎 4階 大会議室
開会
海野局長
それでは、ただいまから県政懇談会「岩手フロンティア産業人座談会」を開催いたします。
本日、ご出席いただきました皆様は沿岸広域振興圏内管内の皆様方でございまして、ご多忙のところお越しくださいまして、ありがとうございました。心から感謝申し上げます。
私は、本日の進行役を務めさせていただきます釜石地方振興局長の海野と申します。よろしくお願いいたします。
知事あいさつ
海野局長
それでは、開会に当たりまして知事から一言ごあいさつ申し上げます。
達増知事
皆様、こんにちは。今日はお忙しい中、本当にそれぞれお忙しい中、このようにお集まりいただきましてありがとうございました。
県政懇談会「岩手フロンティア産業人座談会」というふうに銘打ちまして、これは一種の作戦会議のようなものでございます。私は、最近テレビに出てテレビで作戦会議とか、いわて希望大作戦という、県の広報テレビでもそういうことをやっているのですけれども、今岩手が直面する課題として、県民所得の低迷や雇用の低迷、また人口の流出、ただ減るというだけではなく県外にどんどん流出してしまっている。こうした経済的な課題を克服して、何とか少しでも所得の向上、経済の成長、それも特にこの沿岸で実現していきたいという問題意識を持ちまして、こういう会を開かせていただいております。それぞれのご参加の皆様の関係している産業分野あるいは地域の発展、そして同時にこの沿岸全体の発展という、そういったところでご意見をいろいろお聞かせいただければ幸いであります。
「岩手フロンティア産業人座談会」というこのフロンティアという言葉ですけれども、既存の今ある市町村、また県という、そういう行政上の枠を超えた沿岸という広域を舞台にして何か今までできなかったようなことができないか、また今までやってきたことをさらに発展できないか、そういう問題意識からこのフロンティアというふうに名前をつけております。もちろんそうした広域の活性化という中身としては、個別の地域や個別の産業分野が発展していかなければその全体の発展もあり得ないわけでありますので、それぞれ広域のほうに軸足を置いたご発言、あるいは個別の地域、産業に軸足を置いたご発言、いろいろあり得ると思いますので、その辺自由にご意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
海野局長
それでは、本日ご出席の皆様をご紹介させていただきます。
まず、陸前高田市の八木澤商店代表取締役、河野和義さんでございます。
大船渡市、森下水産株式会社専務取締役、森下幸祐さんでございます。
釜石市からおいでいただきました釜石流通団地水産加工業協同組合代表理事組合長、津田保之さんでございます。
大槌町、株式会社千田精密工業代表取締役、千田伏二夫さんでございます。
宮古市から、有限会社内田販売システム代表取締役、内田広子さんでございます。
宮古市、株式会社コシダ・シーズテック代表取締役、村井千穂さんでございます。
それでは、県側のほうで知事の右側、総合政策室長、勝部でございます。
その右側、大船渡地方振興局長、高橋でございます。
私の左側、宮古地方振興局長、大矢でございます。
以上です。よろしくお願いいたします。
懇談
海野局長
では、あと進行を座ったままさせていただきます。それでは、早速懇談のほうに入らせていただきます。まず最初に、お手元に資料がいっていると思いますけれども、「いわて希望創造プラン」の資料でございますけれども、これを若干私のほうからちょっと説明させていただきまして、その後引き続きましてこれらを中心に自由に幅広くご意見をいただければと思っていますので、よろしくお願いいたします。
それではまず、いわて希望創造プランでございますけれども、これの計画につきましては平成19年度から22年度までの今後4年間に重点的、優先的に取り組んでいく政策などを総合計画の後期実施計画として位置づけて、先日策定、公表したものでございます。その組み立てにつきましては、資料の一番最後の3枚目、A3判のほうに全体の枠組みの表がございますが、左側のほうにこれまでの取り組みと、それから本県を取り巻く経済社会情勢の変化、それについて掲げておりまして、その下には本県の現状と今後の課題ということを整理しております。現状につきましては、やはりその回復が遅れている県民所得、雇用情勢、それから歯止めがかからない人口流出、全国との格差が拡大する医師数、財政状況の逼迫という、そういう現状がありまして、それらを解決するために、その下にあります3点の課題を考えております。
これを政策的な取り組みとして、いわて希望創造プランということで策定いたしまして、その右側のほう、上のほうに、一応この創造プランを進めるためには、地域経営の視点でということで考え方を基本的に考えて取り組むことにしております。県民一人一人が確かな希望を抱く県土づくりということで、重点目標を県民所得の向上、雇用環境の改善、人口転出への歯止め、地域医療の確保ということで、4点を重点目標に掲げ、そういう危機を希望に変えるということで、2つの基本戦略を展開することとしております。1つには、新地域主義戦略、それから岩手ソフトパワー戦略、2つの戦略でもっていろいろと施策を展開していきたいと。
今回のプランのその構成ですけれども、政策編、それから地域編、改革編という3つの編立てになっています。1つは、県全体の政策推進の方向性を示すために政策編として6本の柱の政策を考えております。それから、下には社会資本整備等々の基盤の整備について掲げております。それから、これらを1つの4広域振興圏を目指すということで、地域編、4広域圏について将来を目指す将来像の基本方向をまずこの地域編で掲げております。それから、改革編としてはそれらを県民本位の行革改革とか行財政基盤の強化というふうなことで改革を進めながらやっていくと。こういう1つの枠立てでこの創造プランそのものはでき上がっておりますが、資料の2枚目にこの地域編ということで沿岸広域について、これを若干概要としてまとめたものがございます。
沿岸につきましては、それぞれいろんな目指す姿を掲げながら、最終的には下に箱で囲っておりますけれども、三陸から世界に羽ばたく産業が躍動し、海陸の交流拠点としての機能を担う地域ということを目指して進めております。
次の裏側に具体的な基本方向を掲げていまして、2つの基本方向と11の重点施策を盛り込んでおります。基本方向につきましては、1つ目は地域の自立を支える産業の振興ということで、海外市場も視野に入れた食産業の集積形成、それから活力あるものづくり産業の展開と雇用拡大、それから地域資源等を活用した形での地域への様々な活力創出等を進めていくということで、重点施策として以下に6つの項目で様々な施策の展開を組み入れております。
それから、2つ目の基本方向ということで、安全、安心な暮らしができる三陸地域の形成ということで、来るべき地震、津波に対する防災意識の高揚、普及啓発、それから防災対策施設の整備、さらには生活基盤として便利で快適な住民生活の意識向上のための生活基盤の整備というものを掲げておりますし、安心して健やかに暮らせるような少子高齢化への対応や保健医療の充実強化などを初めとする定住環境づくりを進めるということで、この2つを基本方向にしております。いずれこれについては具体的にいろいろ施策を掲げておりまして、これらにつきましては地元に設けております地域産業戦略会議とか、そういう会議の中で進行管理を進めるということで今のところ考えております。
ちょっと雑駁な説明で申し訳ございませんけれども、時間もあれなので説明のほうはこの辺にしまして、これから皆様からいろいろと自由なご意見を伺いたいなというふうに思っていますので、よろしくお願いします。時間的には大体あと65分くらいの時間はありますけれども、意外と短いので、数多くご意見をいただきたいので、意見のほうは簡潔明瞭によろしくお願いします。
それでは、皆様からご意見を伺いますが、順番は北のほうから、村井さんのほうからよろしくお願いします。
村井千穂
こんにちは、こういう場に呼ばれたことを光栄に思います。達増知事とお話しできてうれしく思います。ざっくばらんに今日はお話しできるということで、特にテーマ等はございませんけれども、私が普段から思っておりますことをランダムにお話しさせていただきたいなと思っております。
まず、地域のものづくりに携わっている者なのですけれども、製造業ですけれども、社会に出てからの、せっかく雇用されてきた自分の地元の若年層のレベルが年々低下しているというものに私ども企業は悩みを抱えております。首都圏との基礎学力ですとか環境の格差等々、ゆとり教育が始まってからというもの、どうも向上心がない若年層が増えているのではないかという悩みを抱えております。そのために私どもが望むものというのは、教育者の教育というところにあるのですけれども、これは私の私情があります。どうもその生徒さんを教える教育側の基盤が年々、ゆとり教育という銘打ったものに負けて、加減乗除ができないですとか、もしくは就業意欲に欠けるような環境を親御さんが、団塊の世代のそのまた下の代の親御さんが増えてきて、30代、40代の親御さんが子供の就業に対しての理解を示さないですとか、あとは環境が甘やかした家庭環境ができ上がっているというところにちょっと悩みを抱えておりまして、沿岸地域はどちらかというと人材不足なのですね。雇用不足というよりは人材不足にあるのが現状です。常に社員募集というところが沿岸地域にはとても多く見受けられるような気がするのですけれども、知事はそのことについてどうお考えか、ちょっと教えていただきたいと思います。
達増知事
一通りご意見を伺ってから。
海野局長
それでは、内田さん、お願いします。
内田広子
こんにちは。私はトレーニング用品の開発をする会社を経営している内田と申します。もともとは木工芸品をつくっていたのですけれども、外材等を使った安い木工品が出回り始め、市場環境がいろいろと変化してきたわけですが、そのなかでオリジナルなものをつくりたいと常々思っていて、現在の会社を立ち上げたわけです。会社を立ち上げる際にも何をやろうかと考え、もともと得意分野だった木と、知人が勧めてくれた金属とを組み合わせて、何かいいものができるのではないかと思い、素材それぞれの良さを生かしながら試作を行いました。それから14年がたちます。
この14年間に感じたことですが、やはり人材不足ということがあげられると思います。かといって当社で人材を育てるだけの余力がないことも事実ですし、まずは自分で何とかしようという感じで現在まで前へ進んできました。当社のトレーニング用品は全国を相手に出荷しているわけですが、ちょっとしたことですが、全国から電話で注文が入った時に、工場の人間が電話に出た場合、うまく対応できなかったりとかするわけです。会社として社員の教育をすればいいと思うのですが、なかなか時間的な余裕がないこともあり、お恥ずかしながらそういうところの教育が当社ではまだまだなのではないかなあと感じています。
社員の教育であれば、盛岡まで出ればいろいろな講習会等に参加できると思うのですが、宮古から盛岡まで出るだけでも大変です。経済の面だけでなく、内陸と、沿岸部ではこういう人材育成の面からも格差が広がっているように思えます。できれば、人材教育の講習会等の出前講座みたいなものを、地域あるいは沿岸部でも開催される機会が増えればいいのではないかと考えます。例えば電話の応対、挨拶の仕方、名刺の渡し方など、一から教えてもらえる講座などがあれば小さい企業にとっては非常に助かります。
また、毎年新しい商品を一つずつ出していくことが当社の目標ですが、資金調達も今後の課題になっております。
それと、当社の場合、トレーニング用品の開発という仕事柄、データ取りで苦労をしています。というのは、岩手県には、トレーニングに関するデータを取る機械が置いていないことと、体に関するデータを取る施設が乏しいからです。そのために、東京まで足を運ぶことになるのですが、1回では済まないんですよね。何回も何回も行ってデータ取りをしなければならないのですが、でもそれだけの時間的な余裕がないのが現状です。岩手にもこういうトレーニングや体に関するデータ取りができる施設があれば、地元の人たちが有効に活用できるし、岩手のスポーツのレベルアップにもつながるのではないかと思います。
海野局長
では、千田さん、お願いします。
千田伏二夫
千田精密の千田です。今ずっとものづくりのほうの話がきましたので、また私もものづくりについての立場になりますけれども、いいところですね、我々のほう、このごろですね。行政として非常にものづくりということに対していろんな政策を実行していただいておりまして、大変うれしく思っております。数年前まではものづくりは海外に行くのが当たり前と、もう日本はサービス産業とか福祉とか、そういうところで道を立てるのだという方策が、もうここに来てやはり日本はものづくりだというところに転換していただいたことに対しては大変うれしく思っております。ただ、これらに関して若干苦言を言わせていただきますと、余りにもあらゆるところがものづくりという、ただそれだけの方向性にずっと集中しているために似たような事業がものすごく、ただの1社だけに関しても同じものを相手にしてあらゆるところから来る。ですから、最初の計画を立てたところには人は集まるのですけれども、また2回、3回と同じような形になってくるとだんだん、だんだんその事業が衰退していくのですね。また、別なところも同じようにするのですね。これは数年前、よく岩手県がプラットフォーム構造というのをつくりましたよね。余り無駄なことをやめて同じような問題を集約させて集中的にそれをやろうよというとき、私もそれは確かにいいことだけれども、本来は行政がもっと横の連携を密にして、同じようなものはちょっと共同で介在するような形をやって、実りのある事業を進めていただいたほうがいいのではないかなというふうに思うのですが、その辺どうなのかをちょっと聞きたいと思います。
それと、非常にあらゆる場にコーディネーターというような人たちがものすごくいっぱい増えてきたのですね。ものづくりのコーディネーターといってね。果たしてこの人たちがどれだけの能力を持って、どれだけの責任のもとに我々のほうの企業なんかに入ろうとしているのか。ただ、どこそこ大手を経験してきたからみたいな形だけで、そのやってきたものを押しつけるだけではコーディネーターではないのではないか。この企業なり地域にいてちゃんと状況を見て適切なアドバイスできるようなコーディネーターの人材をもう少し行政として採用するならば、それこそ村井さんが言ったように先生もそうなのですけれども、指導という立場にあるなら教育をして方向性をしっかり定めてから企業のほうに出すくらいの形で人材を送り出していただける、そういうふうにやっていただきたいなというふうに思いますね。
それと、私もここの地域に来てもう20年になるのですけれども、釜石に来てですね。いろんな企業誘致という形を言って内陸と同じ方法をとっていますけれども、本当に企業誘致というのは大切なのか。私も最初に就職した会社は、会社更生法という形でもうなくなって別な形になっています。私がこっちに来たのも新日鐵さんがなくなるということで、高炉が止まるということでこっちに来ました。企業というのは本当にいつまでもそれを雇用確保するような役割をするのか、私は疑問に思いますね。私は、ですから社員の人たちに、企業がいつまでもみんなを守るという立場ではない、だから自分で自分を守る能力を身につけなさいという、企業がつぶれても人間としてつぶれてはだめだということを私は言っているのですけれども、余りにも今の教育はぶら下がる人間、雇用、雇用ということだけやって、誰かの大きな型の中に入らなければ生きていけないような、そのような風潮を今つくり上げているのではないかなと私は思うのですね。それよりもこっちの沿岸地区とか県北地区というのは、ものすごく自然がいっぱいあって、そこで人間として生きていくために何をするか、その自然を生かした中でどう生きていくかというところに重点を置くべきではないかな、私はそのように思っておりますけれども、ですから全部一緒にひっくるめてその政策を持っていくというのは、ちょっと疑問に思いますね。せっかくこの釜石地区なんていうのは、いろんな荷役や何かのほうの関係なんかを全部整備されていますので、そういう特徴を生かした形、それからもし企業誘致をするなら沿岸に合った企業誘致ですね。例えば、今造船なんかいいですよね。もっともっとこの釜石だとか沿岸のほうに造船があったわけですよね。そういうものに関係するようなところとか、もちろん自動車とか半導体をやっていただいておりますのは私も関係しているいい例ですね。非常にありがたいのですけれども、そのような視点に立つということも大切ではないかなというふうに思います。よろしくお願いいたします。
海野局長
津田さん、お願いします。
津田保之
釜石流通団地水産加工業協同組合と申します。釜石市内、それから大槌町内の水産加工業者の集まった組合で、約30社が加入しております。いわゆるこの域内といいますか、市内、町内の主だった加工業者はほとんど加入していただいているという組合でございます。組合としての主業務は、組合員の加工用の原料のお魚を冷凍保管するという業務です。市内に5,000トンの冷蔵庫が2つございまして、そこに保管業務ですね、組合員の冷凍魚を保管して保管収入で成り立っている組合です。この域内、圏内の、沿岸圏内の重点施策の1番に水産業というのを入れていただきましたので、その観点から、この地域の問題点として今私どもが取り組んでいることをご紹介させていただいて、この一助になればと思います。
この地域、釜石だけではなくて恐らく県内全てだと思いますけれども、水産加工品が多いのですが、特徴としては、温度帯の話になるのですけれども、いわゆるチルド品というのが極端に少ないです。チルドというのは、温度で言うと零度から10度、いわゆる冷蔵の中の温度帯の商品が非常に少ない。逆に言いますと、もっと低い温度とか、マイナス20度ぐらいの商品とか、それから逆に缶詰とかレトルト食品のような高い温度のものは流通しているのですけれども、加工品としてのチルド品というのは非常に少ない。なぜかといいますと、距離と時間の問題で、いわゆる首都圏までの時間が間に合わないということです。そこに加工という行為が入って、物流があって、翌日の例えば量販店の開店に間に合うのかという話で、構造的に今間に合っていないというのが現状で、首都圏で言いますと北限が宮城県の気仙沼と言われているのです。そういう中で、ここの海産物は非常にご存じのようにいいものがたくさんあるのですけれども、そのまま出さざるを得ないと、加工している時間がないというのが恐らく現状だと思います。せっかくここのいい魚介類、海産物を、言ったらそのまま、捨てるごみも一緒にというようなことになってしまうのですが、可食部だけを届けるということができれば、しかも鮮度よく安全にできればこの需要というのは相当盛り上がってくるのだろうと、その差が恐らく宮城県気仙沼と岩手県の各地との差ではないかというふうに考えております。このチルドというのは、いわゆる生鮮というイメージでとらえていただいて結構なのですけれども、加工した場合には最も高く売れる、海産物の場合にはですね。なおかつ、付加価値が大きくて、一番の利点は海外の競合がないということなのです。ですから、この分野をぜひ我々としては今後伸ばしていくべきだろうということで、組合としましてはそれに賛同する皆さんと、それから生産者の皆さん、漁協さんが今中心なのですけれども、つくる人と、生産、とり、育てる方々と我々のような、それを加工する、役割を分けて何とか間に合わせようという中で、釜石の場合はたまたま仙人道路釜石自動車道というのが遠野までは開通しているのですけれども、その先が下を走るものですから、若干の短縮にはなったのですが、これも何とかソフトウェアであるとかシステマチックなことを使って、物理的な時間プラスアルファを何とかしたいと思っているのですが、やっぱりちょっと足りないなということで、釜石だけで言えば遠野-花巻間を何とかという潜在的な希望が皆さんあると思います。
それから、生産者、漁協さん等が取り組んでいるのですけれども、ものをつくる人たち、育てる方々はやっぱりプロなのですね、魚そのものの、我々が及ばないほどプロ、ノウハウを持っている。逆に我々は、例えば量販店であるとかユーザーの顔が見える。もしくはハセップに代表されるようなそういう商品も出ますよという中で、この2つをセットで地域として売り込んでいきたいというふうに思っておりまして、この辺が1つポイントになるのかなというふうに考えておるものですから、ご紹介かたがたお話しさせていただきました。よろしくお願いします。
海野局長
ありがとうございました。次に、森下さん、お願いします。
森下幸祐
大船渡の魚を扱っています森下水産といいます。私たちハセップを守って工場をやっていまして、ご存じのとおりここ数日間の騒ぎで非常にいろいろと問い合わせをいただきながら追い風の状況にいます。以前からも言っていましたが、三陸のいいものを安全にお客さんに安心してお届けする、これはすごく価値がありまして、同じ魚でも安全とつけられると高くなります。競争がなくなります。例えば、今回の事件でもう中国のものが500円、我々のものが1,000円といっても競争ということではなくても、中国のものがゼロになって我々のものがこうという、そういう、ここ数日だけ見ればそういったのも普通に起きている。ところが、大船渡の、大船渡というか三陸のその資源、すごくいいもの、ワカメでもカキでもすごくいいのですが、漁民の認識がちょっと足りないというのは、きれいにとか、海のもの、食べるものなのですけれども、食品なのですけれども、その扱いが食品でない。相変わらず海岸に土間に、カモメが飛び交う景色のいい中で食べ物ではない扱いをするわけですね。それがせっかくいいもの、海にいる間はいいもの、漁師がわざわざ危害を加えてお客さんに危ないぞというような形で水揚げするのですね。それを何十年もひたすら続けているわけです。世の中が変わっています。ところが、漁協、県漁連、その他漁民の人たち、そういう養殖業者を指導しなくてはいけない人たちの指導、あとはそれに伴う設備、結局設備にかかりますが、その意識ですよね。最初にくる意識が一切ないものですから、いまだにその辺が改善されない。ところが、お客様は求めている。求めているものには同じものでも付加価値がつきます。結局同じものをどんどん高く売れるのにわざわざそれを放棄しているというのが今三陸の漁業者たちだ。これは我々がお客さんと接していますから如実に感じるのですが、なかなかその辺はその漁民の人たちには伝わっていないようであります。それがすごく残念です。
去年のワカメの例で言いますと、ワカメの加工をするときにたばこの吸い殻が入っていた、お菓子のあめ玉の包み紙が入っている。普段普通なのですね。もちろん現場を見ればそれは当たり前のごとく起きて、当たり前のような状況でやっていますから。ところが、買う人たちは、これ頼むからたばこ吸いながらはやめてくれと、そういうのが普通なのですが、そういう指導とか環境、屋根があるところでやる、共同でかまを炊く。そういうちょっとした一歩からもうすべて進んでいる。そのために三陸のいい海でおいしいものが、安全な海なのにそれをアピールできない。これ、大きな1つの加工するというよりも、その部分だけでも十分岩手県はほかの県とかほかの国とかと本当に競争できる資源を持ちながら、そこでつまずいている。私はそう思う。それらが良ければ我々買う側も自慢して売れます。我々も良くなります。海の人たちが良くなって、世間が、三陸の海は管理も良くすごくきれいだ、安心して本当にきれいに水揚げされている。それを買う我々は黙ってそのお相伴に預かっている。一緒に売って我々は高く売れる。それがすごく残念でなりません。その辺の指導もちょっと県のトップからの指導という形で漁協、漁連なり、そして漁民の人たちにその付加価値をもっともっと教えてあげられる、そういう内容を知ってほしいと思っています。
海野局長
ありがとうございました。それでは、河野さん、お願いします。
河野和義
陸前高田の醸造業をやっております八木澤商店の河野です。知事さんは、もしかすると私はイベント屋ではないかと思っているかもしれませんが、本職は醸造業です。昨年で200年、ことし201年目です。醤油というのは大豆と小麦と塩水でつくる。ところが、戦後アメリカから大豆の油を絞った絞りかすでつくれということで、脱脂大豆でつくる醤油がもう90%以上、日本の醤油屋の90%以上が外国産の脱脂大豆を使う。1つの利点は、短期間でできる。単価が安くあがる。丸大豆と丸小麦で地元のものでつくりますと最低でも1年、いいものをつくるには2年かかる。そこで、私は二十数年前に岩手の大豆にこだわって昔のつくり方で挑戦いたしました。そのとき同業者はみんな笑いました。ものすごく高くつくぞと。実は脱脂大豆でつくると大体4カ月か5カ月、どんな高い醤油でもせいぜい五、六百円。実は私が2年かけて岩手の大豆にこだわってつくりましたところ、1升3,000円についている。それで笑われました。ところが、私の父は笑いませんでした。今男の散髪料幾らしている。二十数年前ですから2,000円から3,000円だな。今私の頭でもこれ3,600円です。3,000円から4,000円。1升3,000円についてしまったよと言ったら、ああ、そうか、今の男の散髪料3,000円か、では一番おまえがまともなことをしたのだ。それはどういうことかというと、昔は地元の農家からいい大豆、小麦を選ばせていただいて、農家も納得する値段で買って地元で醤油をつくって地元の人に食べていただくという正三角形があった。それがいつの間にか外国産の大豆に、しかも脱脂大豆になって、これが当たり前になってしまった。何でまともなことをしたかと言うと、昔1年も2年もかけて地元の大豆でつくった醤油は男の散髪料と醤油1升が同じ値段の時代がずっと続いた。それで実は今うちの1升3,000円につくのを4合瓶で1,260円で売っていますが、これでも皆さんは驚きます。ところが、全国から注文が来るのは脱脂大豆醤油ではなくて、その岩手の大豆と岩手の小麦でつくった醤油なのです。岩手産でつくっているということがどれだけ付加価値がつくか。ましてやこの二、三年、この数日全く追い風です。そういう醤油に対して。
ここで問題がある。岩手県産の大豆を使って醤油をつくりたい。ところが、無い。大分増えてきましたが、国の指導で補助金を出すからあの減反の田んぼで転換作物として大豆をつくりなさい。大豆というものはそもそも畑でつくるのが当たり前なのに、転換作物として補助金をやるから、つい二、三年前までは播きさえすれば補助金がいただけた。成った大豆がどうあれ、播きさえすれば補助金がいただけた。こんなばかな農政をやっていたら本当に日本の農業はつぶれると。それで、私は3年前からわざと畑で、作っています今陸前高田で昔は何かをつくっていた畑、減反の田んぼ除いて、何にもつくらなくなった畑が230町歩もある。ただし、点々とある。まとめてあるわけではない。おかげさんで6日の日に私のせがれ達と農業の懇談会をするそうですが、そこでもっと詳しく言うと思います。今、県のご指導と県のお力を得て県有地をお借りして、お菓子屋と醤油屋と建設業者が大豆をつくってみよう。そういうことに挑戦しております。これも岩手県のご指導のおかげでございます。私はもっともっと岩手には田んぼだけではなくて空いている畑が何ぼもあります。これで国がどうあれ、その少し岩手県独自で奨励金をやれば農家が喜んで、もっと詳しく言うと畑で大豆をつくれば1反歩200キロは当たり前にとれる。ところが、田んぼでつくると100キロいけばいいほう。それだけ乱暴なつくり方をしている。私は、結果的に申し上げたいのは、ここにも書いてありますが、重点施策、地域産業基盤、農林水産業の振興と書いてある。こう書いておきながら、やっぱり岩手独自の振興ではなくて全部国に右倣えで、国のやり方で振興している。それではいつまでたっても自立できない。
後ほどもう一回指されたらやりますが、今自立をするためにみそ、醤油屋の私が海が豊かになることを願って仲間たちと実験していること。今まで農林水産業と言いながら林業の博士と海の博士がディスカッションしていなかった。それぞれが別々でばらばらだった。先ほどコーディネーターのお話がありました。東北大のある教授がコーディネーターになって、林業と農業と漁業の博士を1つのテーブルにして、そしてもっともっと考えられないかということで、3年前から大船渡地方振興局さんのご協力と、昨年は三陸基金をいただきまして実験をしていますが、このプリントをご覧ください。(実験説明のプリントを渡す。)近いうちに岩手日報がこの実験の特集を組みます。それで、これも全部岩手県のご理解のおかげなのです。ところが、残念ながらご理解は岩手県のほうは良いのですが、地元が理解はしているのですが、なかなか我々と一緒に同一歩調でやりましょうという勇気がない。それはなぜか。予算がないからです。一番最初に予算ありきなのですね。私たちは決して市役所から予算を分捕って何かをやろうなんてことは一切考えておりません。だから、今とにかく我々でやって、それで知事さんを目の前にしてこんなことを言うのもなんですが、本当にいいことをやったら国のほうで手伝わせてくれないかと来るのが本当だと思うのです。第1次産業の場合。それを国の補助金がこうだから、だからこれをやらなければいけないということではなくて、これからも、後でもう少し詳しくしゃべらせていただきますが、まさに地産地消とかそういうことを言いながらも、なかなか現状としては岩手県産の大豆、小麦でつくるのが大変難しいというところにあります。以上であります。
海野局長
ありがとうございました。知事、一通りあれしましたが。
達増知事
人材不足の話はお三方がそろって製造業の現場のほうからの声として上がってきたのですけれども、有効求人倍率というような数字からすると、沿岸は特に仕事がないので人は余っているという、そういう統計数字が出てきているのですよね。だから、そういう理解が1つあるわけですけれども、一方では人材がいないというのは農林水産業の分野でもやっぱり担い手がいないという指摘がされています。ですから、統計上は人が余っているはずなのに実際の生産の現場では人が足りないということが起きているというのがあるのだと思います。
大豆がないというのも、農家の側からするとつくっても売れないということで余っているという意識が農家の側にはあるのですけれども、でも必要としている側からすると足りないということになるわけですよね。漁業のほうでもやっぱり、つくっている、とっている人たちはなかなか売れないなと思っているのだと思うのですけれども、でも買う側からするとやっぱり求めているようなものがきちんと丁寧に食べ物として取り扱いされているものはむしろ少ないとか、あとはチルドで売れるようなもの、そこはちょっとやっぱり交通インフラの整備とかそういうのが必要で、そこはやっぱり県もきちんと、少ない財政の中ではありますが、そういう産業基盤系のインフラ整備、道路を含めてそこはきちんとやっていかなければならないと思います。
ですから、人材あるいはそういう農林水産業の素材、一方では余っていて一方では足りないというのが、逆説的なのですけれども、これは結構沿岸が直面している課題の大きな1つの側面だと思います。やっぱり人材を養成する現場というと教育なのですけれども、どういう人材が求められているのかというのがよくわからないで教育をしているというところはあるのだと思います。そこは私のほうでも教育委員会を通じてできるだけ現場の先生、校長先生を初め、あと教えている先生たちも就職先を自分たちの目で見て、歩いて、工場をちゃんと自分たちで見て、工場をやっている人たちの話を聞いて、どういう人たちが求められているのかわかってちゃんと教育をするように、そして卒業生をちゃんとそういうところにつないでいけるようにしていかなければならないと思っています。
農業の現場のほうでも、やっぱりどういう形で最後消費者に回っていくのかというのがわかった上で生産していかないとだめですよね。そうすれば安易に田んぼだったところでそういう大豆をつくるというのだけではだめなのだなというのは結論として出るはずなのだと思いますので、そういうところをつないでいかなければならないと思います。そういうつなぐ役としてコーディネーターというのがあるのですけれども、これもちゃんとその全体をつなぐという成果が出ているかどうかをちゃんと行政の側も見て一緒にやっていかなければだめで、ただ丸投げ的にやって任せっ放しにしたのでは効果が出ないのだと思いますね。そういうコーディネートするというのは、そもそも県のやるべき仕事であって、ただし県職員に専門的な知見が足りないなと思ったときに外部の人の手を借りたりするのですけれども、あくまで県がきちっと税金を使ってやっていることですから、結果がきちっと出るようにしていくということが大事なのだと思いますね。
まず、皆さんのお話聞いてのコメントです。
海野局長
皆さんから一通りまずお話しいただきました。今知事のほうからせっかくそのコメントをしたわけですけれども、今の知事のコメントに対してでも結構ですし、あと時間的にまことに申しわけないのですけれども、20分ちょっとしかございません。この先がちょっと予定入っていましたので、4時10分には終わらせていただきたいので、あと20分少々しかない。今の知事のコメントに対してでもいいですし、まだお話ししたいということがあれば。
千田伏二郎
今の知事のコメントなのですけれども、人が余っているということなのですが、間違いなく、この釜石なんかでも就職ガイダンスなんかやりますね、下手すると就職を求める企業側よりも就職したいという人たち少ないですね、今年は。それでも余っていると言うのだよね。どこに余っているのですかね。統計のとり方がおかしいのではないかなと私は思いますね。ですから、本当に働きたいという人たちがいるのか。
今ただ単に安定所に行って失業保険をもらうだけの人たちがいるでしょうね。では、その人たちが本当に働く意欲あるのか、そこが一番問題だと思うのですが、どうでしょうかね、この管内は。どなたか、わかる方。
村井千穂
まず、それも1つあると思うのです。その後就職をされてからすぐ離職するというような傾向も多々あるのですね、見受けられるのですね。それにはやはりある程度裕福な家庭環境であったり、親御さんの家庭教育であったりというところにも根本的なネックがあると思われます。やはり働かなくても食べていけるという家庭が、戦後を通じておじいちゃん、おばあちゃん、祖父母の世代よりもう一つ下の、1代下の世代の方たちが甘やかしている平成っ子が入ってきているのかなと、現代人的な特有な考えが入ってきているのかなと思うのですけれども、就業意欲の高め方というか、高揚のさせ方を、はっきり申しますと社会人に等級をつくってもいいのではないかと私は思うのです。社会人10級、社会人3級、2級という、挨拶やその加減乗除ができれば10級が取れる、中学生卒業並みの知識があれば何級というのを、例えばそれを試験的にやってみて、それを取るために職業訓練校的な機関があったり、あとはそこから分かれて専門分野の県立の専門技術校があったりというような、企業のニーズに合わせた専門校があってもいいのではないかなと、社会人何級というその等級の話もそうですけれども、ちょっとトリッキーな考えも若い知事に私は期待したいと思っております。いかがでしょうか。
海野局長
河野さん、何か。
河野和義
私は、例えば地元の高校生に大きな期待はしていない。教育をし直す。それで、その教育についてこれないやつはやめていって仕方がない、かえって害になるだけです。だから、確かに学校の先生がどうたらこうたら、自立というのはやっぱり自分でどうするかだと思うのですね。だから、もう世の中が今の教育界がだらしないとかなんとか言ったってどうにもなりませんから、だから自分の会社向きの若い子をやっぱりつくっていく以外にないと思う。本当にびっくりするぐらい常識なしです。高校卒業して、うちへ来るのがちょっと余りにもそうなのか。でも、育った子はまことにいい子になります。
だから、時間がないのでちょっと先ほどの話の続きだけはどうしてもしたいので、させていただきますが、森林組合長に、今一番困っているの何だいと言ったら、いや、間伐しても人件費が高くて間伐したものを山に放置している。だから、山が荒れ放題。農協の組合長に聞くと、畜産ふん尿の処理に困っている、金ばかりかかってその先が見えない。漁協の組合長に聞くと、どんどん海草の育ちが悪くなっている。海のことは海の人たちに任せていればいいと思っていた。私たちは今、これにも書いてあるとおり間伐材を炭のチップにしよう。すると付加価値が出てくる。人件費ぐらいは、そのおろす人件費ぐらいで買おう。すると山はかなり整備される。そして、今気仙はどうしてもブロイラーが多いものですから生鶏ふんが多い。毎日とんでもない量が出る。それを鶏ふん炭というものにする。それで、今まで広田漁協が十何年間やってきた。アラメを育てる中間育成という、海中にぶら下げてやる方法だったのですが、それは発泡スチロールの中にコンクリートを入れてそこにぐるぐる巻いていたわけ。私たちは、丘の人間が何を考えたかというと、海の草ではなくて海の野菜という考え方をしようと、農業と同じ考え方をしよう。これで鶏ふん炭とチップをまぜて1つのコーラスコンクリートの中にその栄養分を入れてそこにアラメをまいてやったらどうなるか、小さな実験をやってきましたが、この栄養分を含んだのがこんなに海藻の成育が良くなる。それで、栄養分を含まないのは残念ながら育成が良くないのです(実験の写真を見せながら)。
それで、この補助金をいただくヒアリングのときに気仙産業研究機構というのを去年立ち上げて、林業者、農業者、漁業者が来たのはわかるが、事務局長はあなた、みそ、醤油屋さんだよね、何でそこにあなたがいるのですかという質問が来た。だからだめなのです。地域の経済の活性化というのは、林業なら林業だけ考える、漁業なら漁業だけ考える、そういうことをもうそろそろ岩手は捨てて、トータルで山から海までを考えて、それで私が答えたのは何て答えたか。うちの売り上げの30%から40%は水産加工の味つけで使っていただいています。だから、水産加工、水産業が良くなったら確実にうちのみそ、醤油はもっと売れるようになります。そう言ったのですね。そうしたら一発で補助金ももらえた。そういうトータルで、同じ農林水産業といったって、あの農林水産省が全部縦割りでしょう。知事さんにお願いなのは、農林水産を横軸で考えて下さい。そうすると我々丘の加工業も豊かになっていく。そういうことが本来の意味の地域の経済の活性化につながると思うのです。それを水産業だけやればいい、建設業の何かの工事がいっぱいとれればいいという、もうそんな考え方をやめて何とかお考えになって、岩手独自の、自立を考えましょうよ。ほかの県がどうあれ岩手県は自立するのだと、余りほかに頼らない、いい食い物は少ししかない、岩手から出ていく食材は都会に売っているのは2番目の商品で、それでも岩手のものはうまい。本当にうまいものを食いたかったら岩手に来いと、それで泊まってもらって金を落としてもらって、そのくらいのしたたかさがないと、何でもかんでも岩手のものを食料基地と称して全部売って、そしてこっちにいる人がろくなものを食っていない、そんなばかなことない。私はやっぱりそういうことをトータルで、それと県知事さんには先頭に立ってしたたかなトップセールスマンになっていただきたいと思うのです。
海野局長
ありがとうございました。檄が飛びましたけれども、森下さん、何かございますか。
森下幸祐
本当に今言ったとおりでして、お客さんが大船渡、私、大船渡なので来て魚を食べてうまい、うまいと本当に喜ぶのですよ。ただ、普通に来る人たち、どこで食っていいかわからないとか、うまいもの食ったことないし、ぶらっと行くとほとんどがうまくないものが出てくる。実際に本当に大船渡にはいいものがあるはずなのに地元の人たちに食べさせない、来た人に食べさせない、本当にセールスが下手です。我々サンマ漁といいますと、サンマを500トンぐらい毎朝揚がっているのですね。お客さんが来たときに、好きなの選びなさい、一番大きくて一番おいしそうなのを何本も持っていってもいい、朝。すると、喜んで一生懸命、もう500トンのサンマが水揚げされている中から選んで何匹か持っていって朝食うのです。すごく喜ぶのですよ。いつもその後言うのは、我々一番うまいもの食って残り売っているから、ここに来て売るの手伝ってくださいよ、いつもそうやってやるのです、サンマの時期、イカでもそうです。そのセールスが下手ですよね。いいものがあるのを教えない、もちろん。これしかないのですと、本当に貴重なものを出してやって残っていない。本当にいいもの、これしかないって、どこにあると悩んで売っているわけですね。下手です、岩手県。いいものを、本当にあるものを本当に下手に出している。痛感します。
海野局長
津田さん、何かございませんか。今水産関係が続いたので。
津田保之
さっきの人材の問題ですけれども、ぜひお願いしたいのは、最近県でいろんなものづくり塾とか、宮古の寺子屋とか、ああいう企画があるので非常にいいことだと思うのですけれども、もうちょっと1つのカリキュラムとして、例えば接客の仕方から始まって、電話の応対の仕方も含め、また今企業にとっては不可欠であるパソコンのことであるとか、そういう何というのかな、社会人と学生出たてのギャップを埋める何かカリキュラム。例えば、盛岡あたりではよくやっているのですけれども、なかなか沿岸から出ていって受講させるというのは難しいのですけれども、これは県の企画ではなくて銀行さんがやったり、よくありますが、何かそういう社会人1年生用といいますかね、企業の中堅が行ってもいいと思うのですが、ばしっとした、しかも内容の充実した、長期間でもいいと思うのですけれども、カリキュラムを組んでいただけると非常にありがたいなと、その辺の人材のアンバランスというのがさっき知事さんがおっしゃった、逆説的だけれども直面している課題ではないのかという部分は、沿岸というのはその辺にあるような気もちょっとしますので、ぜひそれはご検討いただきたいなというふうに思います。
千田伏二夫
私今思うのは、沿岸でも内陸でも同じなのよ、人は。ここだからという意味ではない。やっぱり私は社会に出て就職してから我々企業がその人たちを変えるというのはものすごく難しいこと、変わらない、はっきり言って。我々は技術を教えて生産をやらなければならない。人間性をそれから変えるというのは本来できないのですよね。学校がそれをやってきてもらわないとだめなのです。学校は何を教えているかというと、知識はもういいのです。生きるための知識を教えてもらいたい。その企業に合った人たちなんていうのは企業がつくる。要するに人間として必要なことを小学校から、幼稚園から、本当の基本的な人として生きることを学校の教育の場に今からやっていかないと、コミュニケーションも何もとれない。それを全部今はそういうふうな教育になっているからどうしようもないから、来た人たちをおまえたちがやれというのは、これは今の段階ではやむを得ないですよ。でも、教育の場からやってほしいと私は思いますね。
内田広子
40代以上の人がどれだけパソコンができるか。私は独学でやっていますけれども、私たちの年代はパソコンの授業というのは今と違ってありませんでした。当然年齢が上になるほど、授業でパソコンを使った経験がある人は少ないと思います。
私たちの年代でも勉強したいと思っている人たちは結構多いんじゃないでしょうか。そういう人たちのためにも、簡単に勉強できる場というのがあればいいのではないかと思います。小さな会社で勉強会などの講座を開くのは無理があります。地域、公共機関などの協力によって、遠くに行かなくても地元にいながら、仕事をしている若い人も、年配の人もステップアップできる講座などを設けてもらえれば沿岸部ももう少し人材の育成、確保がスムーズにいくのではないかと思います。
海野局長
村井さんは何かないですか、最後に。
村井千穂
最後に1点だけ、物流のネックになるところは何の業種でも同じだと思うのですけれども、沿岸から内陸へ、もしくは首都圏へ何を積んでもいいようなコンテナとかトラックですとか、それを定期的に走らせるというような、それを行政のほうで支援するような、本当に極端な話、魚でも精密機器でも何でも積んでいいので2時間置きに走らせるとか、そういうような物流のネックとなるところを今後検討していけたらいいなと私はいつも思っています。以上です。
河野和義
1時間かけてここまで来てこのくらいしかしゃべれないというの、やっぱりもう少しこういう機会を設けて、ほかのときにやるときはもう少し、最低でも2時間ぐらい設けていただかないと、お願いいたします。消化不良です。
知事所感
達増知事
私もちょっとしゃべり足りないなというのを感じているのですけれども、この海、山、そして地域が連携してやっていかなければだめというのは私も本当そのとおりだと思っていまして、それでこの私の任期中の4カ年計画のいわて希望創造プランでも、新地域主義戦略と名づけているのですけれども、要は地域でこういう横の面で取り組んでいかなければだめだということで、ともすれば縦割りになりがちな県行政、また県と市町村の間でも縦割りになったりするのですけれども、そこを乗り越えて地域として成功しているかどうかで見ていかなければだめだということで、ともすれば農業でこれだけ予算つけて事業をして、林業はこうで、漁業はこうで、商工業はこうでという、そして予算を消化して事業をやればそれで何かやったみたいな感じになって、そういう行政評価が出てしまうということはあるのですけれども、私はその地域のエリアの中でちゃんと暮らしがよくなるとか、仕事がうまくいくとかというところで評価しなければだめだと思っていまして、そういうエリアで見ていくようなことをその基本方針にしていきたいと思いますので、ぜひぜひその調子でやっていっていただきたいと思いますし、全県的なモデルケースで大変自慢ができますので、さらに頑張っていただきたいと思います。
人材については、今勝部総合政策室長からメモが出てきたのですけれども、雇用対策本部長もやっていて、今もジョブカフェとか県がやっている労働政策のほうを私も行って話をしてきたりとかしているのですけれども、やっぱり社会人としての基礎力が弱まっているという、そういう問題意識を県としても持っていて、コミュニケーション能力とか、やる気とか、考える力とか、それはやはり欠如しているというふうにいろんな人たちから指摘されています。ジョブカフェのような、学生と社会人をつなぐそういう研修とかアドバイスとか、そういう場を設けながらそういうのを学校現場にも広げたりするようなことをしています。学校でも昨年度からキャリア教育を重視するということで、仕事の現場にもう小中学生のころから触れていくようなそういうことを取り入れていますし、また学校だけでは完結しないので、いわゆる親の教育、そういう家庭のあり方というのも大事ですから、そこを普通に家庭や親の教育参加というのをやっていると、最近はモンスターペアレントという、もう徹底して自分の子供を甘やかせて社会人になれないような子供にさせるという、都会のほうですけれども、運動会をして徒競走をやるとうちの子供はもう絶対1位にはなれないで傷つくから運動会はやめてくださいとか、うちの子は参加しなくていいようにしてくださいとかいうような親が出てきていて、そういうのを岩手で未然に防いでいくためにも、親だけではなく地域の大人も巻き込んで町内会とか商店街とか、あるいは農協、漁協とかでもいいのですけれども、それを岩手版コミュニティースクールと呼んでいるのですが、コミュニティー、地域として子供を教育していく、そういう中で、勉強だけではなくて大人と接する基本とか、あるいは仲間同士で何かやっていくときの基本みたいなことも、地域の力も借りて学校と地域が1つになって教えていくようにしようということを進めています。昔に比べるとハングリー精神がなくなっているというのは大きいのだと思います。世の中に出て成功する最大の秘訣の1つは、つらく苦しいことを我慢してやるということだと思うのですけれども、戦後教育はなるべくそういうつらいことを子供にさせない、しないというのを1つの基本的な流れにしているので、そういうのは圧倒的に昔に比べると弱くなっているのだと思います。ただ、平和な世の中でもあって、また全体の経済水準も上がっていますので、なかなかハングリー的に鍛えていくというのを、いろんなそれにかわる何かスポーツで鍛えるとか、いろんな別のやり方も工夫はあっていいと思うのですが、一方でやっぱり豊かな社会なりの、そういう優しくなっている世の中なりの子供を育てて社会の中でちゃんとやっていけるようにする仕方、そういうのを岩手版コミュニティースクールというやり方とか、またジョブカフェでやっているような社会人トレーニングのようなことでやっていかなければならないと思っております。社会人トレーニングみたいなのというのは、私は知事になる前は、何でそんな甘やかす必要があるのだと、税金かけてそんな若者を、だめなやつはもう脱落していけばいいではないかみたいなことを知事になる前は考えていたのですが、よくよくやっぱり現場を見たり実際話を聞いたりしていると、そういうのは公がしないとだめだし、していいのだなというような、そういうところに税金を使ってもいいのだなというような考えに今はなっていまして、社会が発達、発展している1つの証左なんだと思います。それから、ハングリーな、アジアの他の諸国の若い人達との競争にどんどん負けていく点は、そこを何とかしていかなればならないと思っていますが、とりあえずまず、地域の中でみんなで稼いで、みんなで食べていくことをまず実現しなければなりませんので、そういうことをやっていきたいと思っています。時間が来てしまいまして、これで終わりではありませんで、また、それぞれの分野、地域でリーダーとして活躍している皆さんですから、何かあれば言ってきてほしい。岩手全体の発展のために、お願いして終わりにしたいと思います。
きょうは本当にありがとうございました。
閉会
海野局長
それでは、本当に本日は貴重なご意見いただき、ありがとうございました。 それでは、これをもちまして県政懇談会「岩手フロンティア産業人座談会」を終了させていただきます。本日は本当にありがとうございました。
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