【JICA青年海外協力隊】高橋 志帆さん(ホンジュラス派遣)、小原 晴子さん(パラオ派遣)

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ページ番号1006890  更新日 平成31年2月20日

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高橋 志帆(たかはし しほ)さん 【JICA 幼児教育 2016.01~ホンジュラス派遣】

間もなく2年という任期を迎えますが、活動の成果や今後の課題について教えてください。

新規の活動でこの地に着き、想像をはるかに超えた教育現場を目の当たりにしました。
初めの1年は何から手を付けたらいいのか迷い、観察しながら考えている間に時が過ぎてしまったように思います。少し焦りを感じながら2年目を迎えましたが、1年目この地の習慣を受け入れようとしてきたことで、同僚の教員と信頼関係を築けてきたことを実感するこの頃です。
2年目からは、県内各市から教員を集め毎月定期的に研修会を行っています。日本の教育を紹介したり、この地に合う方法を考えたりしています。計画していた研修会のうち半分が過ぎようとしている今、参加してくれた教員が各市で私の紹介した方法を少しずつ広めてくれています。普段通っている幼稚園でも、当番活動を探り探り始める教員が出てきました。それぞれの教員が持っている知識や考えを共有する時間(研究授業等)を設け、向上心を持って教育してほしいと思います。

忘れられないエピソードはありますか。

赴任の時期が年始だったため、教育隊員にはとても都合の良い時期でした。ちょうど1年が過ぎた頃、年間の流れが分かり今年1年の活動にイメージを抱いていた矢先、事務局長、園長を始めとする教員の大異動がありました。職場の雰囲気が変わり、教員等内で信頼関係を取り直す必要があったことで、私自身も自分の存在意味を説明・確認しなければいけない振り出しに戻る時期がありました。政治的、宗教的力が大きく影響することを体験しました。

海外で培った経験を今後どのように活かしていきたいですか。

全く違った価値観、教育方針の現場に2年間身を置いたことで、働いていた頃には気付かなかった、幼児教育はなぜ必要なのか、と言う根本を考えることがよくありました。ぜひ教育現場に戻り、新たな視点で子どもと向き合いたいと思います。

岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。

ホンジュラス人はもちろん、ここ海外で出会う日本人とのかかわりの中で、岩手の人の人柄を懐かしむ機会がよくあります。ホンジュラスは治安の関係で夜出歩くことはあまり好ましくありません。また、雪が全く降らないため、岩手の冬の夜は幻想的だな、と思い出すことがあります。そういった環境も人柄に表れるのかな、と思います。帰国後に岩手の雰囲気を感じられることを楽しみにしています。

岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。

どこ出身なの?東京?大阪?…と聞かれることが多いのですが、「岩手」と説明する際に、自慢出来る環境、食べ物、文化があることを実感し、思い出しながら紹介しています。岩手は誇れるところがたくさんあります。

その他何かありましたら御自由にお書き下さい。

遠く離れたラテンの国から、今体験していることを、地元へ発信したり共有したりする機会をいただけて大変光栄です。ありがとうございます。

小原 晴子(おばら はるこ)さん 【JICA 歯科衛生士 2016.01~パラオ派遣】

パラオの生活にも慣れ、パラオ人や現地の人達の知り合いも増えてきました。もちろんどの国も良いことばかりではないと思いますが、日々の生活の中で日本との違いや考え方の違いなども受け入れられるようになってきました。
パラオの生活は日本統治時代の習慣も残っています。どこか古き良い日本を感じながら過ごしています。食べ物衛生面に気をつけていれば不便はなく、運動する場もあり健康的に過ごせています。

間もなく2年という任期を迎えますが、活動の成果や今後の課題について教えてください。

1.活動の成果や今後の課題
私の主な活動は、(1)同僚歯科衛生士への技術指導、(2)啓発活動に必要なツールの作成、(3)診療やサービスの改善です。以下成果と課題を項目ごとに記載します。
(1)同僚歯科衛生士への技術指導
同僚歯科衛生士は40〜50歳代の9人の女性衛生士と50歳代の男性が1人です。全員が15〜20年の経験年数を持ちますが、知識や業務内容に差があります。昨年は2つのグループに分け、6月と7月の2ヶ月間パワーポイントを使用して技術指導を行いました。今年は更に5月に3つのグループに分け、チェアサイドでの技術指導も行い、少人数のグループにした事で個人の差が見えてきました。そこで見えてきた足りない点を補うような提案や指導を心がけています。患者さんへの指導の仕方が具体的になってきたことや、衛生士が患者さんを治療する時に私も一緒にアドバイス兼サポートに入るようにお願いされる事も出てきました。仕事に対する意欲も個人差がありますが、そのような衛生士が残りの活動の中で増えるような働きかけをしていきたいと思います。
(2)啓発活動に必要なツールの作成
歯科予防に関するパンフレットやポスターを作成するのが得意な衛生士が一人います。その衛生士を含め、他の衛生士とも今どのような内容のツールが必要なのかを話合い、仮に2つのフリップチャートを作成しました。上記の技術指導の時間にも作成したチャートとその使い方を紹介しました。普段の診療の中での患者指導の場でも使用してくれた衛生士がいたので、残りの衛生士も使用してくれるといいなと思います。
(3)診療やサービスの改善
予約が1、2ヶ月待ちで、待ち時間も予約で来院したにも関わらず1時間待ちなど問題点はスタッフ全員が分かっていますが、なかなか改善策に踏み切れない現状です。
現在、待合室に患者教育用の観賞用ビデオを設置する計画を進行中です。設置することができれば患者教育だけではなく、待ち時間が長く感じないという利点もあるかと思います。更に、衛生士達とオリジナルのビデオを作成しようと作成に踏み出した所でもあります。予想以上にはかどりませんが、現地スタッフと協力して私の活動が終わった後も継続して使用してもらえる物を残せるように努力したいと思います。

写真:診療1

写真:診療2

忘れられないエピソードはありますか。

同僚の歯科衛生士達は約20年の経験があるので、スタッフによっては今までのやり方を変えるのが難しい、または20年続けてきたことを私に変えられるということに抵抗感があると感じることもあります。なかなか思うようにいかないそんな中、プロ意識の高いあるスタッフが患者さんを診てほしいと私に声をかけてきました。私が患者さんを診ている時でもどのようにしているのかなど感心を寄せるスタッフがほとんどいない中、そのスタッフが私と一緒にその患者さんを診ていきたいと言ってきたのです。意識が変わってきた様子を感じることができて嬉しさが込み上げてきました。それは活動を始めて1年半が経つ頃でしたが、諦めずにコツコツ続けて良かったと思いました。

海外で培った経験を今後どのように活かしていきたいですか。

青年海外協力隊として開発途上国に来てみて歯科の知識を始め足りない点を目の当たりにし、中にはすぐには変えることが難しいこともありますが、人によって熱心に改善しようとしてくれる人にも出会うことができました。そのように変わりたいと思っている人や良い方法を知らないがために苦労している人達の助けになれるように、機会があれば再び開発途上国で医療活動や啓発活動ができればと思います。

岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。

岩手の生活を離れて日本の生活がいかに便利か、また情報の多さ、物事が進む早さなどをあらためて感じました。パラオの生活習慣には日本の風習が残っていて、家族や親戚を含めて子供のしつけを重んじるところや、困った時には助け合う親戚の強い絆も感じることができて古き良き時代の日本を感じることができます。そのような日本の良いところをパラオ人も大切にしていることを嬉しく思います。日本に帰国しても忘れないようにしたいと思います。

岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。

岩手にも海外に興味がある方は多いかと思います。海外でやりたいことがあるならなおさら、ある程度準備ができたらまず現地に行ってみるのも良いかと思います。自分で身を護るすべを知っていればこの上ないですが、健康・安全には充分気をつければ大抵のことは意外と何とかなると感じます。海外に出ることだけが大事ではないですが、日本ではできない経験ができると視野が広がり可能性も広がると思いますので、やりたいことがあるならばまずはやってみることをおすすめします。

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