令和2年1月22日教育長記者会見における質疑応答
令和2年1月22日(水曜日)
県庁10階 教育委員室
発表事項:
- 令和元年度「いわての復興教育」児童生徒実践発表会の開催について
質問事項:
- 「いわての復興教育」の取組の成果と課題について
- 新たな県立高等学校再編計画後期計画(案)について
質疑応答
(教育企画室)
ただいまから、教育長記者会見を始めます。
本日は、教育長からの発表がございます。
(教育長)
令和元年度「いわての復興教育」児童生徒実践発表会の開催についてです。県教育委員会が、「いわての復興教育」を推進し、8年になります。各学校での取組が充実してきたことから、昨年に続き、「いわての復興教育」児童生徒実践発表会を開催しますので、お知らせします。
2月4日(火曜日)、県民会館大ホールを会場に午後1時半から4時までの予定で開催します。
開催の目的ですが、本県が推進してきた「いわての復興教育」の成果を各学校が発表し、相互の交流を進め、「いわての復興教育」の一層の推進に資することです。
また、保護者の皆様をはじめ、広く県民の皆様に紹介し、復興教育への理解を深めていただき、今後、地域と連携した復興教育の取組につなげるとともに、児童生徒のふるさとに対する誇りと愛着の醸成を図ること、発表を通して児童生徒の自己有用感を育み自信につなげるとともに、児童生徒自らが震災の経験、教訓を語り継ぐ機会とするものです。
発表校は、小学校2校、中学校3校、高校1校、特別支援学校1校の計7校です。発表する児童生徒は140名程度の予定です。
各社の皆様には、本県独自の教育プログラムである「いわての復興教育」の推進についてのご理解と応援をよろしくお願いします。
(教育企画室)
ここからの進行は、幹事社にお願いします。よろしくお願いします。
(幹事社)
まず、発表事項について質問がありましたらお願いします。
(記者)
震災9年目の節目を迎えますが、震災後に生まれた子ども達も小学校で学ぶような時代になってきました。これからどのように教訓を伝えて、風化を防いでいくか、これまでの復興教育の成果とこれからの課題について、教育長のお考えをお聞かせください。
(教育長)
いわての復興教育プログラム、これは昨年3月に第3版として改定しています。ここには、3つの教育的価値、「いきる」「かかわる」「そなえる」を育てるものとして掲げています。震災後に生まれたお子さんが学校に入っていることもありますが、私どもは、いわての復興教育プログラムに基づき、この3つの教育的価値をしっかり育んでいきたいと考えています。
特に、成果についてですが、子ども達は、命の大切さについて真剣に考えるようになったと聞いていますし、友達や地域の方々と協力できるようになった、あるいは災害や防災への理解や意識が高まったなど、まさに「いきる」「かかわる」「そなえる」という教育的価値に沿った取組がしっかり子ども達に定着してきていると感じています。
また、子ども達以外でも学校では、子どもの主体性を重視するようになった、家庭・地域との連携を重視するようになったなど、学校の取組もさらに高まっていることもあります。それから、家庭あるいは地域からも家庭・地域の方々の参画による取組が増えたという成果の報告もあります。
いわての復興教育プログラムにも、成果について整理していますので、確認をしていただければと思います。
課題についてですが、しっかり語り継いでいくということ、風化の防止です。それから、昨年、陸前高田市に伝承施設がオープンしています。先日も入館者が10万人を超えたとのことですので、本県では復興教育の中に伝承施設の学びなど、そういった活用・連携を図りながら、沿岸部のみならず、内陸部の児童生徒達へのいわての復興教育に引き続きしっかり取り組んでいくことが必要だと思っています。
(記者)
来年度以降の展開について、復興教育プログラムにおいて具体的に県教委として取組を予定しているものがあれば伺います。
(教育長)
昨年3月に第3版を改定しましたが、それに基づいて副読本を新たに作成しています。今回は、新たに高校生用の副読本を作っていまして、4月以降、副読本を活用した復興教育をさらに推進していきたいと考えています。
(記者)
高校生の場合、副読本は具体的にどういった内容になる予定ですか。
(教育長)
復興、発展を支える人材を目指して欲しいと思います。地域、郷土への愛着を育んでいくということですが、高校生にとっては、この後、進学や就職などその先の進路があるわけですが、しっかり地元のことを理解して、そして、復興のみならず、岩手の将来の担い手としての人材に育っていって欲しいということを是非盛り込むように、私からお願いした経緯があります。
(記者)
これは全校に配るのですか。
(教育長)
基本的にはそうです。全校に配ります。
(幹事社)
発表事項以外で質問がありましたらお願いします。
(記者)
先日、県内の市町村長の懇談会が高校教育のあり方に関する提言をまとめました。これまでも出ていた話ではあると思いますが、沿岸部、中山間地域における小規模校の存続や地域に求められる学校、学科などについて、今後提出するということですが、今の段階でお答えいただくのは難しいと思いますけれども、今の時点で高校再編後期計画の公表の予定時期、地域からの提言案が挙がっておりますので、素案の作成に当たっての県教委としての方針、現状の考えを改めて伺います。
(教育長)
まず、1月14日に「岩手の高校教育を考える市町村長懇談会」が開催されたと伺っています。そこで、提言を出されるということで取りまとめを行ったと伺っています。
その懇談会の中でまとまった内容は4項目になったと伺っています。1つは、中山間地それから沿岸部における小規模校の存続、2つ目は、岩手県独自の少人数学級の運用、それから、地域に求められる学校、学科の配置、そして、県外入学生受入制度の充実に向けた県と市町村との連携という内容で宣言をまとめたというふうに伺っています。
県立高校は、県内各市町村からの、様々なサポート、支援をいただいていまして、地域の高校のあり方について提言をいただくということになりますので、提言の内容を拝見させていただいて市町村とともに、地域の高校のあり方について考えていきたいと思います。
それから、現時点での私どもの作業の進捗状況ですが、2月初旬を目途に公表を進めたいと考えていまして、今は最終の詰めの段階になっています。
提言に対する現時点での考え方ですが、これまで、地域からの様々な意見とか、要望等を出されてきていますが、計画案では生徒の希望する進路の実現、それから地域や地域産業を担う人づくりというものを基本的な考えにしていきたいと思います。
ちょうど今、地方創生の関係で、第2期のふるさと振興総合戦略の策定作業を進めています。県民計画、教育振興計画、そして、このふるさと振興総合戦略の中に共通する考え方、いわゆる地域を担う人材、人づくりということが掲げられています。
先ほどの復興教育の考え方でも話をしましたが、ふるさと振興戦略を進めていく上で、色々な分野に関わるのは、やはり教育とその人づくりと考えていて、そこにしっかり対応していく必要があると考えています。
それから、地域に求められる学校、学科の配置ということがありますが、これは、教育の質の保証、教育の機会の保障、また、生徒の進路実現に向けて、希望する学校、学科がやはり必要だと思いますので、それがきちっとできるような教育環境を作っていく、残していくことも大事だと考えています。
(記者)
高校の統廃合の基準があったと思います。今回の素案の段階では、基準の変更などのお考えはありますか。
(教育長)
基準を見直すという観点で基準を変えるという考え方というよりは、むしろ、先ほど言いました地方創生の考え方、地域にとっての高校のあり方ということを重視して、望ましいあり方というのは、どういうものか。基準の見直しの前に、地域にとって、この県立高校のあり方、それから生徒達が将来に向けて私達が願っているその地域を担っていく人材になっていくため、しっかり目標を定めて学んでいく教育環境を作っていくことがより大事だと考えていて、そういった観点で後期計画の策定に取り組んでいるところです。
(記者)
言い方を換えれば、基準ありきではないということですね。
(教育長)
はい。ただ、今後、生徒数が減っていくことは、避けられないところでもありますので、そういった現実的な対応も、当然必要になってきます。いろいろ地域での意見もありますが、どうやって県立高校のあり方を考えていくか、先ほど地元市町村から様々な支援をいただいていると話しましたが、しっかり地元の市町村や地域の方々と議論をしながら、一定の規模がない場合、小さい組織の中で子ども達の社会に通じるような力、いわゆる切磋琢磨していく力を育む必要があり、どういう形であるべき県立高校の魅力を維持していくかが重要だと思います。
(記者)
関連して、基準は見直しありきではないが、遵守した上での後期計画ということですか。
(教育長)
そこは、具体の内容はまだお話はできないのですが、10年間の全体計画は、その中に書いてあるとおりそのまま厳格に適用することではなくて、基本は原則的な考え方ととらえていて、これからの県立高校のあり方の検討に当たり、それを全て当てはめることでなくて、現実に沿って判断していかなければならないということです。
(教育企画室)
それでは、以上をもちまして本日の記者会見を終了します。
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