馬鼻肺炎

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ページ番号1008007  更新日 令和6年3月13日

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平成20年3月に県南地域で馬鼻肺炎による流産が発生したので、予防法を含めて本病について述べる。
本病は馬ヘルペスウイルス1型(EHV-1)あるいは4型(EHV-4)の感染より引き起こされる。EHV-1は冬季の競走馬の流行性呼吸器病と生産地の妊娠馬の流産の原因となり、EHV-4は季節に関わりなく子馬、育成馬、競走馬の呼吸器病の原因となる。EHV-4感染による流産も知られているが稀である。
呼吸器病が重症化することは稀であるので、生産地では本病による流産が重要視される。この流産は妊娠後期、とくに9か月から11か月胎齢時に発生することが特徴である。

感染と発病

ウイルスの感染部位は鼻であり、上部気道(鼻の奥)で増殖して発熱と呼吸器症状を引き起こした後、血液中に侵入し、血中ウイルスが胎盤を通過した際に流産が発生する。ウイルスは両型ともに感染直後から8日間にわたり鼻汁とともに感染馬から排出され、血液中に存在する期間はウイルス型により相違し、EHV-1は感染3日後から約2週間にわたり、EHV-4は感染4日から5日後に一過性に存在する。したがって、発病馬を2週間程度隔離する必要がある。
感染馬は生涯にわたり同ウイルスを体内(EHV-1は神経組織とリンパ節、EHV-4はリンパ節)に保有して、ストレス等の要因により再発病したり、ウイルスを排泄して他馬の感染源となる。

感染源

感染源は感染馬の鼻汁、流産胎子の諸臓器、羊水であるので、健康馬への感染防止には、感染馬の隔離、感染馬の鼻に触れた管理者の衣服、手袋、手指あるいは鼻捻子の消毒、羊水により汚染した敷料の消毒と処分が重要である。消毒薬にはパコマ、クリアキル等の逆性石けんが有効である。

診断

診断は感染馬の鼻汁、流産胎子の臓器からのウイルス分離、あるいは血清を用いたELISA検査により行われる。PCRによるウイルス遺伝子の検出も診断の一助となる。

予防法

生産地における本病の予防には、妊娠馬へのワクチン接種が最も効果的である。ただし、本ワクチン(EHV-1)は免疫抗体の持続期間が短く、発病防止に重要な細胞性免疫機能を活性化させないことから、妊娠7か月頃から1、2か月間隔で3回接種する必要がある。
また、妊娠馬を非妊娠馬から隔離して飼養する、妊娠後期の馬の群替えや他厩舎への移動を控えるなどの対応も重要な予防法となる。

(病性鑑定課)

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岩手県中央家畜保健衛生所 大家畜課
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