令和3年 年頭における知事訓示

ページ番号1036122  更新日 令和3年1月4日

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とき:令和3年1月4日(月曜日)
ところ:県庁3階 第一応接室(録画)
対象者:全職員

年頭における知事訓示

 令和3年の年頭に当たり、訓示を行います。

 職員の皆さんには、これまでも、そして今も、新型コロナウイルス対策に、全力で取り組んでいただいています。
 保健所や環境保健研究センター、県立病院など感染対策の第一線の現場で業務に従事している皆さんや、事業者等への経営支援など社会経済活動の回復に向けた様々な業務に従事している皆さんを始め、全ての職員が、多忙な業務に追われ、大変な苦労やストレスの中で日々奮闘していることと思います。
 また、家族と過ごす時間や地域におけるつながりの機会が減少し、辛い状況に置かれているということもあると思います。
 新型コロナウイルスに感染してしまった職員の皆さんは、しっかりと療養し、回復に努めていただき、職場に復帰して、自分の経験を生かしてもらいたいと思います。
 新型コロナウイルスという未知の困難に、今までにないような努力と工夫を重ね、対応していただいている職員一人ひとりに改めて感謝したいと思います。

 昨年来、新型コロナウイルス感染症対策に取り組み、この1年間で、仕事、暮らし、学びの場で、どうすれば感染リスクを減らすことができるのかを経験しました。
 岩手県では、昨年11月以降、飲食の場や職場、医療機関や高齢者施設でのクラスター発生もあり、感染者数が急増しましたが、昨年7月29日まで感染者ゼロが続いたことにもみられるように、東日本大震災津波の経験や真面目で慎重な県民性、密になりにくい生活環境など、全国的にも感染リスクが低い県であると言えます。
 したがって、岩手県は、感染例を少なく抑えることができる県なので、職員の皆さんには、改めて、仕事、暮らし、学びの場で、密閉、密集、密接の「三密」を避けるようお願いします。また、常時マスク着用、手洗い、咳エチケット、室内の換気、湿度の調整等の基本的な感染対策を徹底するようお願いします。
 また、県民の皆さんが、感染対策にしっかりと取り組むことができるよう、様々な環境を整えるとともに、感染が疑われる方の調査を広く実施することにより、早期に感染者を確認するなど、感染拡大防止に全力で取り組んでいきましょう。
 一方、収入面などで困窮が生じる方々には、適時適切に、寄り添った支援を行うことが必要です。
 中小企業者への融資による資金繰り支援や岩手県独自の国と併せて最長1年分となる家賃支援、「買うなら岩手のもの運動」や「いわてに泊まろうキャンペーン」などの消費喚起策の実施、新しい生活様式への対応等に取り組む事業者への支援などに引き続き取り組んでいきましょう。
 また、新型コロナウイルス感染症対策は、仕事、暮らし、学びのそれぞれの現場で、岩手の良さをさらに発展させていくチャンスでもあります。恵まれた自然環境、空気や水、食べ物の美味しさなど、地方にある健康的な生活基盤、地方の良さを大事にしていきましょう。
 新型コロナウイルス感染症対策には、「慎重さ」と「チャレンジ精神」が必要です。
 多様な働き方の定着・加速化やICTを活用したビジネスの創出、移住・定住の促進など、今までやったことがないようなことも行って、真のふるさと振興を進めましょう。

 今年3月11日には、東日本大震災津波から10年となります。
 職員、そして、全国の自治体等からの応援職員の皆さんの尽力により、復興は大きく進みました。
 災害公営住宅は、昨年、全て完成しました。また、応急仮設住宅の全ての入居者が、3月までに恒久的な住宅に移行できる見通しとなりました。
 復興道路等は順次開通し、年内には全区間での開通が見込まれ、県土の縦軸・横軸を構成する強力な高速道路ネットワークができつつあります。
 一方で、こころのケアやコミュニティの形成支援、また、被災者の孤立防止や既往債務を抱えている事業者の大幅な減収に対する支援、さらには、サケ・サンマ等の漁獲量の減少への対策など、被災地の実情を踏まえた対策を講じ、切れ目のない復興を進めていかなければなりません。
 また、伝承と発信を進めていく必要があります。
 東日本大震災津波伝承館を拠点に、インドネシアのアチェ津波博物館やハワイ太平洋津波博物館、岩手大学や東北大学との交流・連携を強化し、震災の事実や教訓を国内外に発信し、防災・減災、復興教育及び学術研究を通じて、次世代に伝承し、世界の防災力向上にも貢献していきます。
 今年は、復興五輪として、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、4月から始まる「東北デスティネーションキャンペーン」や、11月に釜石市で開催される「防災推進国民大会2021」など、日本、東北、そして岩手に注目が集まる年でもあります。
 この機会を捉え、これまで頂いた国内外からの支援への感謝を伝えるとともに、復興の姿と岩手の魅力を積極的に発信し、交流人口の拡大につなげていきます。
 4月には、復興の推進とともに、危機管理対策の司令塔となる「復興防災部」を新たに設置します。東日本大震災津波や台風災害等の知見・教訓を生かしながら、自然災害への対応や、新型コロナウイルス感染症など県民生活に大きな影響を及ぼす危機管理事案に対し、事前の備えから復旧・復興に至る一連の対策に総合的に取り組みます。
 「誰一人として取り残さない」という理念の下、一人ひとりに寄り添いながら、復興を進めていきましょう。

 「いわて県民計画(2019~2028)」のスタートから3年目の年となり、「第1期アクションプラン」は計画期間の折り返しとなります。岩手の良さを生かし、先端技術を活用しながら、地方の暮らしや仕事を起点とする政策を推進し、基本目標に掲げる「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」を進めていきましょう。
 昨年は、新型コロナウイルス感染症対策に追われた1年ではありましたが、県政の各分野で多くの進展がありました。
 医療・福祉分野では、「地域医療を担う医師の確保を目指す知事の会」の設立や、障がい児等への新たな福祉サービスの拠点となる「てしろもりの丘」の開所、文化・スポーツ分野では、二戸市の「日本うるし掻き技術保存会」のユネスコ無形文化遺産への登録や、「スポーツクライミング第33回リードジャパンカップ」・「いわて・かまいしラグビーメモリアルイベント」の開催成功、商工・観光分野では、キオクシアの第二棟工場用の用地取得決定など、ものづくり産業集積の推進や、起業家を育成する「岩手イノベーションベース」の開設、「ゆるキャラグランプリ」の開催成功、農林水産分野では、「三陸国際ガストロノミー会議2020」における三陸の豊かな食材・食文化の発信や、ブランド戦略による「金色の風」・「銀河のしずく」を始めとする農林水産業全体の知名度向上と販路拡大、環境分野では、2050年温室効果ガス排出量の実質ゼロに向けた取組の着実な推進、ILC国際リニアコライダーの実現に向けては、新設された東北ILC事業推進センターとの連携による政府への誘致決断を促す要望の実施や国民理解の増進、教育分野では、GIGAスクール構想の加速による県立学校のICT環境整備の推進、県政全般に渡る分野では、「第2期岩手県国土強靱化地域計画」の策定や、長期的な視点の下で、各地域の強みを生かしたゾーンプロジェクトの推進など、それぞれ、着実に成果を上げています。
 組織としての岩手県も、さらに力を付けたと言えるでしょう。
 今年も、各政策分野において、成果を出していきましょう。

 新型コロナウイルス感染症を始め、県政課題に的確に対応するためには、行政や団体、企業、地域、個人などのあらゆる主体との連携が重要であり、各部局において連携が深化しています。
 特に、広域振興局は、新型コロナウイルス感染症対策において、各地方支部会議における、市町村、関係機関・団体との緊密な情報共有や個別具体的な感染対策の検討、各市町村や商工会議所・商工会と連携し、県全体で4,000以上の飲食業関係店舗への個別訪問による感染予防等の協力依頼の実施を行うなど、コロナ禍以前よりも連携を強化して対策を進めています。
 今後も引き続き、強固な連携を生かして、地域の実情に応じ、きめ細かに対応していきましょう。

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、経済、社会だけではなく、人々の行動・意識・価値観をも問い直すものであり、「新たな日常」の実現に向けた取組が求められています。
 職員の皆さんには、東日本大震災津波や台風災害等の度重なる災害からの復旧・復興に加え、新型コロナウイルス感染症への対応が求められ、業務が増大していることと承知しています。
 こうした中で、時差出勤・在宅勤務制度を活用しながら、デジタル化やモバイルワークを推進し、一層の働き方改革を進め、効率的に業務を遂行し、計画的に休暇を取得し、超過勤務を縮減しましょう。職員一人ひとりが家庭生活を充実させ、やりがいを持って日々の業務に向かうことができるよう、ワーク・ライフ・バランスを確保しましょう。
 また、若者の視点を県の業務に生かす「リバース・メンター制度」の導入など、組織力の向上につながる新たな仕組みを積極的に取り入れていきます。
 岩手県職員憲章に掲げる5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令遵守」、「地域意識」に常に立ち返りながら、引き続き、力を合わせて取り組んでいきましょう。

 今年は「丑年」です。
 高村光太郎の詩、「岩手の人」では、「岩手の人沈深牛の如し。地を往きて走らず、企てて草卒ならず、つひにその成すべきを成す。」とあります。
 牛は岩手の象徴であり、「丑年は岩手の年」です。
 新型コロナウイルス感染症対策や東日本大震災津波からの復興を始めとする様々な県政課題に対し、牛のような着実さと、いざという時のパワーで、「いわて県民計画(2019~2028)」で掲げる「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」の実現を進めていきましょう。

 職員の皆さんの活躍、そして御多幸を祈念して新年の訓示とします。

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