令和4年度 年度始めにおける知事訓示

ページ番号1053483  更新日 令和6年3月13日

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とき:令和4年4月1日(金曜日)
ところ:県庁12階 特別会議室(テレビ中継)
対象者:全職員

年度始めにおける知事訓示

 令和4年度の年度始めに当たり、訓示を行います。

 新型コロナウイルス感染症対策や東日本大震災津波からの復興をはじめ、今年に入って発生した、南太平洋・トンガ沖の海底火山噴火による津波や、県内で初めて感染が確認された高病原性鳥インフルエンザへの対応、また1週間に2回の震度5強を超える地震など、県が直面する様々な課題に対し、職員一丸となって、全力で取り組んでいることに改めて感謝します。

 同時に、人々の命と健康を守る「県」の意義や役割が改めて注目され、職員の皆さんもその大きさを痛感しているのではないでしょうか。

 応援職員の皆さん、そして、新しく入庁した新採用職員の皆さんも含め、職員一人ひとりが、今こそ県職員であることに誇りを持ち、皆で力を合わせて何ができるか、何をすべきかを常に考えながら、それぞれの業務を進めていきましょう。

 また、今年1月8日、「盛岡県」から「岩手県」に名称を変えて150周年となり、令和8年5月25日には、現在の県域が確定されて150周年の節目を迎えます。今年度から令和8年度までの5年間を「県政150周年記念期間」と名付け、県民の皆さんと共に、岩手県の歴史を振り返りながら、岩手県の未来を展望する機会としていきましょう。

 

 新型コロナウイルスは、感染力の強いオミクロン株が猛威を振るい、県内においても、誰もが、いつ感染者になっても濃厚接触者になってもおかしくない状況が続いています。

 一方で、県民の皆さんの基本的な感染対策の徹底により、全国的には、岩手県の人口当たりの感染者数は少ない割合を維持しています。病床もひっ迫することなく、高齢者や基礎疾患を有する方などに必要な医療を適切に提供し、救急医療などの一般医療への影響を最小限にとどめることができています。

 自宅療養についても、県医師会や看護協会等の協力のもと、医療機関、保健所、県庁内に設置している「健康観察サポートセンター」の連携により、適切な療養ができる体制を整えています。

 ワクチン接種については、県民の多くが2回の接種を終え、順次、3回目の接種が進んでいます。

 引き続き、各地域の保健所を核として、全庁を挙げた支援体制により、市町村や関係機関・団体等と十分な連携を図りながら、必要な方への確実な医療の提供、重症化リスクに応じた医療体制の強化、自宅療養者への万全な支援、医療従事者の確保や県集団接種の実施等による3回目のワクチン接種の加速化などに、全力で取り組んでいきましょう。

 また、感染拡大防止対策とともに、消費をはじめとする社会経済活動への落ち込みに対する対策を一層進めていく必要があります。

 困難に直面し、あるいは困窮する個人・事業者への支援や、適時適切な消費喚起策に引き続き取り組んでいきましょう。

 さらに、感染した人を咎めない、むしろ優しくするという、これまで一貫した岩手県の姿勢を、職員一人ひとりが再認識し、新型コロナウイルス感染症にまつわる誹謗中傷は許さないという強い決意を持ちましょう。

 

 未曽有の被害をもたらした東日本大震災津波から11年が過ぎました。

 私たち岩手県職員は、東日本大震災津波の犠牲の多さ、被害の大きさを原点に、復興を進めてきました。

 復興まちづくりの面整備や災害公営住宅の整備は完了し、応急仮設住宅等の全ての入居者が恒久的な住宅に移りました。「ひろたハマラインパーク」や、砂浜再生工事が完了した海水浴場も相次いでオープンしています。三陸沿岸道路などの復興道路は全線開通し、ガントリークレーンの設置や世界各地を結ぶコンテナ定期船の航路開設など、新たな産業基盤も整備されました。3月11日を「東日本大震災津波を語り継ぐ日」とする条例を制定し、伝承・発信の拠点である「東日本大震災津波伝承館」は、開館から、約50万人の方々に来訪して頂いています。

 11年という時間を要していますが、復興に携わった全ての方々の努力により、震災直後の惨状に比べますと、目を見張るような復興を果たしたと言うことができると思います。

 一方で、引き続きの課題、また、新たに生じた課題があり、一層力を入れていく必要があります。防潮堤や水門など、建設中の社会資本の早期整備、「いわて被災者支援センター」における相談対応や、こころのケア、新たなコミュニティ形成など、被災者一人ひとりの状況に応じたきめ細かな支援、近年の主要魚種の不漁に対する、サケの資源回復やウニの二期作など新たな漁業・養殖業の導入推進、新型コロナウイルスの影響を踏まえた、水産加工事業者が行うデジタル化や販路開拓等への支援、活動拠点を沿岸部に置く「三陸DMOセンター」と連携した観光振興、開館から3年を迎える「東日本大震災津波伝承館」を拠点に、県内各地域の伝承施設や震災遺構のネットワークを生かした震災の事実と教訓の伝承と発信、これらに、切れ目なく取り組み、復興を着実に進めていきましょう。

 

 新型コロナウイルスの感染拡大により、感染症に対する大都市のリスクの高さが改めて浮き彫りになりました。地方への移住に関する関心が高まり、テレワークをはじめ、多様な働き方が加速して、個人の意識・行動変容が起きています。

 この機を捉え、岩手県の豊かな自然や幅広い産業基盤などの強みを生かし、岩手への新たな人の流れを生み、ポストコロナを見据えた、持続可能な地域社会を目指していくことが重要です。

 新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すとともに、人口減少、デジタル、グリーンの3つのテーマに沿った取組を重点的に進め、コロナ禍を乗り越えて、復興創生を実現していきましょう。

 「人口減少社会への対応」では、子育てを応援する機運醸成に向けた県民運動の展開や産後ケアの実質無償化などの自然減対策と、若者の地元定着の促進やU・Iターンの支援などの社会減対策を強化、「デジタル化の推進」では、AI人材の育成や、災害時のドローン利用など様々な分野におけるDXの展開、「グリーン社会の実現」では、岩手県初の水素ステーションの設置や燃料電池自動車の購入支援、温室効果ガス排出量の削減に向けた官民一体の取組や岩手県の優位性を生かした森林資源の循環利用など、これらにしっかり取り組み、地元志向・地方志向に応える、持続的に発展できる岩手県を創りましょう。

 

 今年度は、「いわて県民計画(2019~2028)」第1期アクションプランの最終年度であり、第2期アクションプランの策定年度です。

 基本目標「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」に向かっていけるよう、ILC国際リニアコライダーの実現による国際研究拠点の形成、8月に、八幡平市に開校予定のハロウ・インターナショナルスクール安比ジャパンとの連携による国際化の推進、国内最多の3件となる県内世界文化遺産を核とした地域の振興、9月の「日本スポーツマスターズ2022岩手大会」や来年2月の「いわて八幡平白銀国体」の開催を通じた、県民がスポーツに親しむ機会の充実、令和5年春に開催される「第73回全国植樹祭」を見据えた、豊かな森林の継承と持続的発展に向けた機運の醸成など、幸福度を高める取組を、部局間の連携を一層徹底しながら、全庁一丸となって充実させ、また発展させていきましょう。

 一方で、人口減少に伴う一般財源規模の縮小や、高齢化の進行に伴う社会保障関係費の増加などにより、本県の財政状況は中長期的に厳しさを増すことが見込まれます。

 「持続可能で希望ある岩手を実現する行財政研究会」から提言をいただき、行財政運営の構造改革にしっかり取り組んでいきましょう。

 また、令和5年度から4年間の第2期アクションプランの策定に当たっては、新型コロナウイルス感染症対策を通じて培われた、市町村、企業、団体、県民個人など様々な主体との協力関係を生かしながら、広く意見を伺い、新しい時代を切り拓くための県の方向性、戦略を定めていきましょう。

 

 複雑、そして多様化する県民ニーズに的確に対応した政策を強力に推進していくためには、職員一人ひとりが、これまで以上に持てる力を発揮することが大事です。

 新型コロナウイルスの流行で、これまで当たり前とされてきた社会や考え方が一変しています。東日本大震災津波からの復興は新しいステージに入り、人口減少・デジタル・グリーン、行財政改革など、様々な課題への対応が求められています。

 そのような今だからこそ、柔軟な発想と、岩手県のために何ができるのか、常に問う姿勢、これらを持って、積極果敢に日々の業務に当たりましょう。

 また、そのためには、職員一人ひとりが、仕事と生活の調和を保ち、明るく、いきいきと働ける職場環境の実現が不可欠です。

 「岩手県庁働き方改革ロードマップ」に基づいて、電子決裁・文書管理システムの本格稼働やAI・RPAの活用拡大による業務の効率化、育児・介護等との両立が必要な職員のフレックスタイム制や在宅勤務の積極的活用による柔軟で多様な働き方、これらを推進し、ワーク・ライフ・バランスを確保しましょう。

 県職員は、県民の奉仕者であることを改めて自覚し、職員一人ひとりが不祥事防止を徹底しましょう。

 岩手県職員憲章に掲げる5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令遵守」、「地域意識」に立ち返りながら、力を合わせて業務を進めていきましょう。

 

 岩手県には、恵まれた自然環境や良好な生活環境、活力ある産業基盤や誇れる世界遺産・先人、強固な連携・協働の基盤など、長い歴史の中で培われてきた様々な強みがあります。

 また、この30年間、岩手県は、確実に力をつけてきました。大リーグの大谷翔平選手や、スキージャンプの小林陵侑選手をはじめ、世界で羽ばたく人材、全国的に活躍する人材を育てる力です。

 岩手県には、世界で活躍する、日本を代表する人材を育てることができる豊かな「ふるさと」があります。岩手県には、様々な強みを生かし、岩手に生まれ育った人、さらにどんな人に対しても、「ふるさと」の役割を果たせる県でもあります。

 このような岩手県の「ふるさと力」を、職員一人ひとりの力で一層高め、岩手から全国に、さらに海外に「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」を広げていきましょう。

 

 今年度もよろしくお願いします。

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