令和5年度 年度始めにおける知事訓示

ページ番号1063780  更新日 令和6年3月13日

印刷大きな文字で印刷

とき:令和5年4月3日(月曜日)
ところ:県庁12階 特別会議室
対象者:全職員

年度始めにおける知事訓示

 令和5年度、新しい年度が始まりました。

 今年度は、岩手県と盛岡市が共同で整備した「きたぎんボールパーク」のオープンで始まりました。

 来月開催予定の楽天-ソフトバンク戦などのプロ野球1軍公式戦や高校野球岩手県大会、大学野球の交流大会などの開催が予定され、岩手における新たな野球の歴史を刻んでいくことになります。

 「きたぎんボールパーク」は、先月のWBC(ワールドベースボールクラッシック)で活躍した岩手県ゆかりの3選手、山川穂高選手、佐々木朗希選手、そして大谷翔平選手のように、将来、全国や世界に羽ばたく人材をエンパワーすることが期待されます。

 昨今、スポーツ分野以外でも小山怜央さんが岩手県初のプロ棋士になるなど、岩手の若者の活躍が目覚ましく、ニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52か所」で盛岡を推薦したクレイグ・モドさんも、「街が若い人たちの活気で溢れている」と述べています。

 若者が活躍できるということが、良い地域の条件です。

 誰もが岩手をベースに、希望を持って、お互いに幸福を守り育てることができるよう、市町村を始め様々な主体との連携を強め、今年度始まる「いわて県民計画(2019~2028)」第2期アクションプランを力強く推進し、県民をエンパワーしましょう。

 

 6月4日、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、高田松原復興祈念公園において、第73回全国植樹祭が開催されます。

 準備に万全を期し、全庁を挙げて本番に臨みましょう。

 全国植樹祭は、岩手の豊かな森林環境の継承と林業の持続的な発展に向けた機運を醸成するとともに、復興の姿を国内外に発信する絶好の機会です。

 大規模地震を始め、世界各地で自然災害が発生し、尊い命が犠牲になっている今、東日本大震災津波の教訓や復興の姿を伝え、国内さらには世界の防災力向上に貢献することは、被災県岩手の役割です。

 私たち自身も東日本大震災津波の経験を生かし、将来発生が予想される日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震津波に備え、市町村と力を合わせ、住民や防災関係団体等とともに、更なる津波防災対策を進めましょう。

 復興道路や復興関連道路、復興支援道路が完成し、防潮堤などの津波防災施設の整備も進むなど、ハード事業の多くが終了し、新たな復興の段階にきていますが、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、円安やロシアによるウクライナ侵攻に端を発した物価高騰、そして主要魚種の不漁などにより、被災地の課題は複雑化しています。

 このような被災地の実態を十分に理解し、市町村とより一層連携し、被災者のこころのケア、コミュニティの形成支援、担い手の確保、不漁対策など、引き続き復興に取り組みましょう。

 

 被災者一人ひとりに寄り添った復興が、岩手県の復興の特徴です。

 そのような姿勢は「いわて県民計画(2019~2028)」にも生かされ、県政全般を貫くものとなっており、第2期アクションプランと令和5年度当初予算にも反映されています。

 第2期アクションプランは、人口減少対策を前面に打ち立てて、各分野の政策を総合的に展開するという構造です。

 人口減少の背景には、希望する就業や就職のしにくさ、結婚、妊娠・出産、子育てのしにくさといった、今、目の前にある「生きにくさ」があり、この「生きにくさ」を「生きやすさ」に変えるため、一人ひとりの暮らしや仕事、学びに寄り添った施策を実行します。

 また、令和5年度当初予算は「いわて県民エンパワー予算」と名付けました。

 様々な困難に直面している人たちが、本来持っている力を発揮できるようにし、また一人ひとりが望む道を進み、日本や世界に羽ばたくことも可能にする予算です。

 これまで、東日本大震災津波や新型コロナウイルス感染症の経験からも、私たちは一人ひとりに寄り添った施策が重要であることを学び、政策形成や行政運営に生かしてきました。

 個人の価値観や生き方が多様化し、生活困窮などの悩みや不安が複雑化する中、地方行政において、県民一人ひとりに寄り添った相談支援がますます重要になっており、それは福祉の分野のみならず、産業や教育など様々な分野で求められています。

 行政による相談支援は、一義的には住民に最も身近な市町村が行うものですが、専門性や広域性が求められる場合には、広域自治体である県の役割になります。

 子育てや結婚、進学、スポーツ、仕事、地域活動など、県民一人ひとりが希望を持てるよう、幸福を追求できるよう、県民をエンパワーしていきましょう。

 

 人口に関する統計を基にしながら、行政は県民・住民の暮らし、仕事、学びの実態に寄り添い、課題を解決しなければなりません。

 昨年は、岩手県の出生数の減少率が全国の減少率5.1%の倍、全国ワーストの10.5%でした。その2年前の2020年には全国の減少率2.9%よりも少ない2.7%であり、2021年には全国3.4%、岩手4.6%であった減少率の傾向を分析し、対策を講じる必要があります。

 転出超過については、2018年前後に岩手は今世紀最高水準の有効求人倍率となるくらい経済状況が良くなりましたが、その頃、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向け、東京都でも今世紀最高水準の有効求人倍率となり、コロナ禍による地方回帰効果や北上川流域の大型工場の新規立地などの政策効果があったものの、岩手は大きな社会減になってしまいました。

 これまで岩手県は自然減・社会減の解消に向け、対策を講じ、生きにくさを生きやすさに転換する点では、成果は着実に重ねられてきていますが、より踏み込んだ施策を進めるべき時です。

 ニューヨーク・タイムズ紙が盛岡市を2番目に選んだことや、大谷さんを始めとする若者の活躍に見られる通り、岩手県及び岩手県内市町村の地域づくりは、かなりの程度成功しています。

 今、オール岩手の総力を人口減少対策に注ぐことで、目の前の課題の解決を図りながら、岩手県と県内市町村の魅力を更に高め、新しい時代にふさわしい地方自治・地方行政を開拓していきましょう。

 

 県が新型コロナウイルス感染症対策を開始してから3年が経過しました。県職員が新型コロナウイルス感染症対策に全力で取り組んでいることに改めて感謝します。

 来月から感染症法上の位置づけが変更されます。

 昨年10月の水際対策の緩和により、日本への外国人観光客の入国がコロナ禍前とほぼ同じ状態に戻り、県内の宿泊者数はコロナ禍前の水準に戻りつつあります。

 来月にはいわて花巻空港と台湾を結ぶ国際定期便が再開され、8月には、日本に寄港するクルーズ船としては最大級の「MSCベリッシマ」が県内に初めて寄港します。

 令和6年1月から3月にかけては、JR東日本と連携し、「冬季観光キャンペーン」を実施します。

 岩手県の新型コロナウイルス感染状況は、全国で最低水準にあります。

 今後も、感染状況を見定めながら、基本的な感染対策をしつつ、必要な保健・医療体制の確保や社会・経済活動への支援を行っていきましょう。

 

 ニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52か所」の2番目に盛岡市が選ばれたことにより、盛岡、そして岩手は国内外から大きく注目されています。

 記事では、人混みなく回れる街歩き、歴史的建造物、北上川などの自然、喫茶店やわんこそば等の食文化など、県民にとって日常であるものが取り上げられ、高く評価されています。

 ちょうど10周年で、今日から再放送が始まっている「あまちゃん」でも、北限の海女やまめぶ、琥珀など地域の魅力が発掘・再評価され、県民の意識が変わりましたが、今回のニューヨーク・タイムズ紙の記事は、クレイグ・モドさんという日本の地域社会に詳しい目利きの評価に、世界有数のメディア、ニューヨーク・タイムズ紙がお墨付きを与えたものであり、私たちは改めて覚悟を決めて、岩手の良さを発信していかなければなりません。

 それは、東京を中心とした日本の社会意識の中で見過ごされがちな、地方の良さを発信していくことでもあり、岩手県は日本の地方の代表として、その力と可能性を国内外に発信していきましょう。

 地元のエンパワーが地方全体のエンパワーになり、日本全体のエンパワーにもなるわけです。

 

 今年度は、「岩手県政150周年記念期間」の2年目になります。

 今日の岩手があるのは、県職員の先人、先輩、そして現役の皆さんが、県民とともに、様々な危機を乗り越え、岩手の発展に尽力してきたからと言えます。職員一人ひとりが自らの仕事に責任と誇りを持って、業務に精励してまいりましょう。

 私たちは、複雑化する県民ニーズに対応することが求められ、また、先月の鳥インフルエンザのような突発的な業務にも対応する必要があります。

 そのような中、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスを図るために、組織として業務の効率化や勤務環境の改善など、働き方改革の取組を進めるとともに、職員の皆さんも自分自身、そして家族、同僚など、周囲の人々の健康にも留意しながら仕事を進めていただきたいと思います。

 職員自らがエンパワーされるような働き方でいきましょう。

 岩手県職員憲章に定める5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令順守」、そして「地域意識」に常に立ち戻りながら、希望郷いわての実現に向け、職員一丸となって頑張りましょう。以上です。

 

このページに関するお問い合わせ

政策企画部 秘書課 秘書担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5017 ファクス番号:019-623-9337
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。