令和2年1月7日知事会見記録
開催日時
令和2年1月7日10時から10時34分
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
幹事社
新年明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
それでは、幹事社から県政記者クラブを代表して質問いたします。まず、年頭の所感、それと今年の県政運営についての抱負をお聞かせください。
知事
岩手は東日本大震災津波からの復興の途上、昨年10月台風第19号の被害を受けて年を越した訳でありますけれども、まずこの東日本大震災津波からの復興、台風第19号被害の復旧、そして平成28年台風第10号災害からの復旧もまだ途上でありますので、これらに年初からしっかり取り組んでいく必要があります。
その中で象徴的なのが三陸鉄道の復旧で、3月20日の全面復旧という目標を達成し、そしてその翌々日に予定されている復興の火のイベントを成功させることで台風第19号からの復旧、プラス三鉄は東日本大震災全体を象徴する、そこからの復興を併せて象徴する存在でもありますので、全国の皆さん、更には海外からも関心をいただき、支援もいただきながら、そして今年の東京2020オリンピック・パラリンピックという復興五輪ということも併せて地元の底力を発揮し、そして様々なつながりの力を合わせて復旧・復興を進めながら、地域の、岩手の未来を切り拓いていくという、そういうまず一年の立ち上がりをつくっていきたいと思います。
そして、去年「いわて県民計画(2019~2028)」がデビューし、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」という基本目標を中心に、総論的な部分については知事選、県議選もありましたし、その選挙の機会も活用しながら県民の皆さんに広く浸透を図り、また県民の皆さんの声も伺うことができたと思っておりますが、今年に入って各論的なそれぞれの政策の各分野、また地域それぞれの振興のための事業、これらを丁寧に年初から取り組んでいって、日々一日一日県民の幸福度を高め、そして岩手に関わる全ての人を幸福にできるような、そういう岩手づくりというものを年初から一日一日進めていく、そういう一年にしたいと思います。
その中で、ILC国際リニアコライダーについては、去年の政府による正式な関心表明というところから、国の方の様々な作業も進んでいるところで、これの勢い、地元としても準備万端整えていき、また全国の国民の皆さんに対する理解増進、機運の向上、これにも力を注いでいきたいと思います。
そして、来年、再来年に向けて、来年の東北デスティネーションキャンペーンから、そしてその最中に北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録が見込まれているというところで、岩手からも御所野縄文遺跡を先頭に立てながら、全体の世界遺産登録が成功するよう取り組んでいきたいですし、そして再来年には全国植樹祭、陸前高田市高田松原で行われる予定ですので、その準備をしっかり進めながら林業、森林、そして広く環境問題全般についても県民の意識を高め、また全国的な運動にも貢献できるようにしていきたいと思います。
陸前高田市高田松原は、去年9月オープンした東日本大震災津波伝承館があるところでもありますし、東日本大震災津波の事実や教訓、そして復興の歩みというものを全国に発信、海外にも伝えていく、そういう動きとも全国植樹祭の準備を重ねながら、全体として「いわて県民計画(2019~2028)」の基本目標達成に向けて、まず今年力強く前進していきたいと思います。
幹事社
ありがとうございました。ただいまの幹事社質問の関連について、各社から質問があればお願いいたします。
記者
去年は、亥年ということで一直線にというお話がありましたけれども、今年はねずみ年ということですが、何か今年はこういった年にしたいというようなものがあれば教えてください。
知事
ねずみ算式に増やすということがありますので、「いわて県民計画(2019~2028)」の10の政策分野、またそれぞれに目指す姿や具体的な政策がありますので、それらが一つ一つ県民の幸福度を高めるように、効果があるように事業を展開し、幸福がどんどん増えていくようにしていきたいと思います。
幹事社
では、ほかに各社から質問があればお願いいたします。
記者
競馬についてお伺いいたします。2018年の最初の薬物混入の発覚時に調べた、わらからボルデノンが出たということが一部で報道されているかと思うのですけれども、こちらは管理者の知事として達増さん御自身は把握なさっていることでしょうか。
知事
様々な捜査、あるいは調査等が行われて事実関係を究明し、そして再発を防いでいこうという取り組みが行われている訳ですけれども、警察による捜査というところもありますので、その進展もにらみながら様々競馬組合の方でも事実関係を発表し、また必要な対策に取り組んでいる訳でありまして、そういう中でまず最初に2018年に起きたとき、また去年、同様の事案があったとき、それぞれ警備の体制を強化し、再発を防止するという取り組みをしていて、そこは管理者としても、知事としてもそういった取り組みが必要と考えています。また、様々な調査、捜査の結果、色々な事実関係も見えてくるといいますか、色々な事実関係を調査、捜査している訳でありますけれども、捜査との関連で明らかにできない部分については明らかにされていないところもある訳でありますが、いずれ県民の皆さんの信頼、そしてファンの期待に応えていくような形で競馬組合の方でも対応しているということです。
記者
ありがとうございます。2018年のときに、わらからボルデノンが出たということについては、今の時点では公表をなさる段階ではないという理解でよろしいでしょうか。
知事
そうですね、その質問はそれが、ボルデノンが当該馬の体内に入っているのではないかという推測を背景にした質問かと思うのですけれども、そういうことを結論として発表するような状況というか、そういう事態ではないということです。一方では警備の体制を強化しているということは、これはもう事実としてやっていることで、また発表していることでもあり、そして競馬関係者にはそれぞれの馬、厩舎、しっかり外部から禁止薬物が馬の体内に入るようなことがないようにということを徹底しているという状況です。
記者
ありがとうございます。少し厳しい言い方と申しますか、ファンの目線でというような言い方で申しますと、組合の方であったり、また知事御自身も含めてこの件が現段階で発表なさらないという姿勢が一部のファンの方からすると、もしかするとちょっと隠していらっしゃるようなふうにもとられかねないような状態なのかなとも思うのですけれども、競馬ファンの方であったり、県民の方から理解を得るという意味では今の状態でも知事御自身としてはよろしいと思っていらっしゃいますか。
知事
競馬組合として刑事告発しているということ、そして警察と連携しながら事実関係の究明に取り組んでいるということ、また警備の強化などについては農林水産省に報告しながらやっていることでもありますし、そのように関係する皆さんと連携を図りながら再発防止に取り組んでいるということを県民の皆さん、ファンの皆さんには御理解いただきたいと思います。
記者
ありがとうございます。最後に、済みませんが、1つだけ。直近で薬物が出た後の競馬議会で知事御自身の言葉として、第三者からの混入があったのではないかといったトーンの発言があったように理解していたのですけれども、それは現時点、今の段階でもそういう偶然の混入というよりは、人為的なものであるとお考えでいらっしゃることにお変わりはないでしょうか。
知事
正確にどういう発言をしたかは思い出せないのですけれども、今現在、過去最大級の警備の体制を組んで再発防止をしている訳でありまして、そういうことが必要であり、そういうことに県民の皆さん、ファンの皆さんの御理解をいただきたいという、そういう姿勢であります。
記者
ILCの関係でお尋ねします。日本学術会議のマスタープランが月末にも公表されるという報道がありまして、先月の推進本部会議の方でも2月頃ということだったのですが、実際時期が具体的に近づいてきて固まったようで、月末にもという見通しになりました。改めて関心表明、先ほどの話にもあったように、政府の関心表明から間もなく1年たつ中で、こういった具体的なことが動き始めていますが、このマスタープランに対する期待等を知事からあればいただきたいと思います。
知事
そのようにプロセスが進んでいる中で、地元において準備状況ができていないということはあってはならないと思っていますので、先程も申し上げましたとおり、地元としての準備をしっかり進めていく必要があると思っています。
また、科学的な検討と別に、やはり国民的理解の中で政府の決定というものが行われていくと考えていますので、国民の皆さんに対してILCに関する理解を深めていただいて、また機運を高めていくということにもしっかり取り組んでいきたいと思います。
記者
マスタープランに対して、どうあってほしいということはいかがですか。
知事
学術会議の委員になっている訳ではありませんので、委員のごとき形でお話しするのは僭越と思っておりますけれども、一般論として、物質の究極を解明する力やエネルギーの究極を解明する、そして我々が何でできているのか、どこから来たのか、それはどこへ行くのかということに対する洞察にも大きな影響があって、やっぱり同じそういうものでできている人間同士むやみに対立するのはもったいないし、まして紛争とか戦争とかいって命を粗末にしたりするものではないというような、そういう文系的といいますか、社会的にも人類の平和とか、そして争いや対立に無駄に使っている資源やエネルギー、手間暇を人類共通の課題、環境問題とか、そちらの方にきちっと向き合って人類にとって必要なことを着実にやっていくというような動きにも資する研究だと考えますので、ぜひ速やかにその建設が決定されて、そして研究が進んでいくことを期待します。
記者
ありがとうございます。更に国際的に見ると5月には欧州素粒子物理戦略の策定というのも予定されているということで、今年の前半には大きな動きが出てくると思います。そうした中で、昨年から大きい正念場、山場と呼ばれた中で、今年の前半は山場の山場ではないかなと思うのですが、しつこいようですが、改めてどうあってほしいか、あるいは県として準備すること、もう一度お聞かせください。
知事
CERNのような国際機関を立ち上げて取り組んでいくというのとはまた別の形で、それぞれの国の政府や欧州連合(EU)、そして、研究機関がそれぞれ自主的、主体的に自分たちにできること、すべきことというのを協力して国際的な研究を進めていくという、これだけの規模でそういうことをやるというのは初めてのケースです。これが成功するということは、似たようなこととしてSDGsの取り組みも色々な個人から企業、団体、地方、政府等が主体的に参画できるような仕組みになって、SDGsがうまくいくと、国家間の取り決めだけで世界を動かすという古いやり方から大分進んだやり方が確立していくというのと同じような意義がILCにもあると思いますので、日本政府、アメリカ、ヨーロッパそれぞれが自主的に、主体的に動きながらILCが実現していくということを期待します。
記者
昨日の年頭の訓示の部分でもあったのですが、今年は震災の復興、教訓を発信していく一年にしたいというふうにありますが、東京五輪も控えているということなので、こういった発言になるかなと思うのですが、より具体的にどういった機会を捉えて、更に復興の部分を発信していくか、世界、国内に向けて発信していくか、どのようにお考えでしょうか。
知事
陸前高田市内、高田松原の東日本大震災津波伝承館「いわてTUNAMI(つなみ)メモリアル」が予想以上に多くの皆さんに来ていただいていますので、まずその活動をより発展させていくということが大事だと考えています。
それから、復興五輪ということで3月22日の復興の火のイベントから全国からも注目され、海外にも発信できるようなテーマで復興五輪への取組が出てきますので、それを成功させて、きちんと東日本大震災津波のことや、その後の復興のこと等をその際に発信していくということがその次に来ると思います。
あとはホストタウン、市町村がそれぞれ行うホストタウンなどの交流活動が成功していくということも草の根のレベルで東日本大震災津波と、そこからの復興というのを海外にも伝えていく良い機会なので、それが成功するよう県の方でも支援していきますし、市町村を県が支援ということでは、聖火リレーというのも1964年、聖火を幾つかに分けて日本全国で並行しながらリレーをしていたのと違って一筆書き形式ということで、常にどこか1カ所でしかリレーが行われていないということは、そこに全国からの関心が集中できる、集中するような環境でのリレーになりますので、岩手県内のリレー、特に東日本大震災被災地でのリレーということについては、それを成功させて発信することに意義があると考えています。そこにも普代村と野田村の間でしたか、三陸鉄道がまたそこでも出番がありますし、そういった機会をどんどん活用していきたいと思います。
記者
わかりました。ありがとうございます。あとまたちょっと話が別になるのですが、安倍首相は年頭の会見で桜を見る会について、丁寧に回答していくというふうにお話ししていましたが、報道各社の世論調査では余りにも説明が不十分だという数字も大きいように出ていますが、知事御自身はどのようにお考えでしょうか。
知事
記録が残っている部分についてマスコミを通じて一部知ることができる訳ですけれども、やはり総理大臣主催、いわば国を挙げてのイベントとして、そこに誰が出席したかというのはやはり国民共通の知識、情報として、国民誰でも知りたいときに知れるようにしておくべきだなと改めて思いますので、その辺りから始めていけば、特に過去まで遡って出席者リストを調べようと思えば誰でも調べられるようにすれば、おのずと何が起きたのか、近年何が起きているのかということも見えてくるでしょうから、その辺りからスタートされるといいのではないかと思います。
記者
そういった意味では、首相は個人情報もあり、招待者は明かせないというふうなお話もされていますが、知事のお考えではそういった意味でも招待者の名前は明かして、やはり公にしていった方がいいのではないかということですか。
知事
そうですね、非公開でやっているイベントではなく、マスコミもかなり自由に取材できるような形で行われているイベントと理解していますので、実際出た人たちが自分や周りにいた人たちのことを言葉や写真や動画でたくさん発信して、それが禁止されていないイベントですので、これは皇室主催というのでしょうか、園遊会と同様に基本的に招待者あるいは出席者については全面公開という原則でいいのだと思います。
記者
今の桜を見る会の件でお尋ねします。特に第2次安倍内閣になって以降、規模がどんどん大きくなってという経緯があったようですが、そもそもこういうものを公費をかけてやるべきことなのかどうかということに対する御認識を伺えればと思います。
知事
過去の例で戦争直後、日本にいる大使や外交関係者、そういう外国を代表するような人たちを招いていたとか、地域で見回りとか、様々不自由な人たちのケアをするような役割の人たちを招いていたとか、その時代、時代に国として大事にしていかなければならない分野とか、またそこでどういう人たちが活躍していたのかを総理大臣始め、国民がそれを確認することができるとかというのは意義があるのだと思います。園遊会もそういう意義があると思いますし、園遊会に三陸鉄道の望月社長が招かれて、それがマスコミで報道されたときは嬉しかったし、復興の励みにもなったと思うのです。だから、そういうことは総理大臣主催でやってもいいと思います。
記者
そう考えると、今年は中止されるそうですが、色々なことがクリアになって、先ほど知事がおっしゃったような公明正大に出席者の公開等がはっきりつけば、今回は中止ですが、来年以降はやってもいいと、そういう御認識と受け取っていいですか。
知事
逆に東日本大震災があったとか、よほどの事情がない限りやった方がいいと思います。だから、今年やらないというのも、なぜやらないのか良く分からないので、今活躍している方々、そして日本として大事にしなければならない分野は色々ありますからね。また、園遊会だけで全てをカバーしているわけではないでしょうし、園遊会、皇室行事としての視点と、また総理大臣主催の内閣としての視点というのはまた違うのでありましょうから、そういう意味で桜を見る会がちゃんとできるようにしてほしいと思います。
記者
今年初めの選挙として、1月10日に県議選二戸選挙区が始まります。現時点で2人候補者が出る予定になっていますが、知事に対して支援の応援ですね、要請があるのかどうかというのも含めて知事はどのような対応を考えていらっしゃるか教えてください。
知事
要請はいただいていません。そして、経緯が経緯ですから、まずは選挙区の中の住民の皆さんがどういう選挙にしなければならないのか、どういう人を候補にし、どういう選挙戦をしていかなければならないのかというのは、やはり地元本位に深く考え、そして積極的に行動しなければならないような局面だと思いますので、そちらを見守りたいと思います。
記者
日本郵政の社長に新たに増田前知事が正式に就任されました。日本郵政は、かんぽの問題とか色々ある中で、増田さんの手腕、もしくは期待度をどのように見ていらっしゃるか伺いたいと思います。
知事
お祝いを申し上げたい気持ちはあるのですけれども、一方、なぜこういうことになっているかというと、例を挙げると月に40万円とか50万円とかの保険料を払っていかなければならないような、ジャーナリスティックな言葉を使えば、詐欺まがいのやり方で顧客に対応するということが広く行われていたという一大不祥事でありますから、社長さんにお祝いを言うと会社全体に対するお祝いの形にもなってしまうので、申し訳ないけれども、お祝いできる状態にない、そういう中での社長就任、最大の危機ということを挨拶でおっしゃられたようですけれども、本当にそのとおりだと思いますので、民間企業としてもあってはならないことをしたし、そして高い公益性、そしてまだかなり政府の関与もある、そういう公的部分のある組織としてもあってはならないことをしたということですから、かなり徹底的にそのあり方を改めていかなければならないということだと思います。
一方、長年にわたって地域の隅々にまで郵便局システムというのが行き渡って、地方とともに成長してきた組織でもある訳ですので、改めて郵政民営化ということのあり方そもそも論まで遡って、中途半端に民営化という形式をつくらなければならないという方向性と、でもやはり公的な存在として残さなければならないという分裂した方向性の中で、どっちがやってもだめなようなことに暴走したということでありましょうから、きちんと公的存在として残すべき部分はここで、これは普通の民間企業とは違うやり方でやるという部分、そしてまた民間企業と対等な形でやる部分というのをきちんと切り分けて整理していくことが大事だと思います。
記者
就任された増田さんは岩手県知事を務め、その後総務大臣を務めるという経歴がある訳ですけれども、先輩知事にはなりますけれども、これまでの増田さんの働きぶりとかを見て、今知事がおっしゃった難題に取り組んで何らかの解決方法に結びつくというようなことは期待できるような人物というふうに見ていらっしゃるでしょうか。
知事
そうですね、知事が競馬組合の管理者も兼ねているように、総務大臣も兼ねて内閣の一員でありながら郵政会社の社長でもあるぐらいの体制に指定した方がよかったのではないかと思います。というのも、どこまでを公的なやり方で残し、どこまでを完全民営化するのかという整理は、やはり内閣全体で決めなければならないことですので、今の内閣がきちんと決めるべきことを決めないと会社の社長としての仕事も進まないところがありますから、そこはやはり内閣が社長を決めただけで終わるのではなくて、内閣としてやるべきことを内閣がやれるかというところにかかっているのだと思います。
広聴広報課
以上をもちまして、記者会見を終わります。
次回記者会見
次の定例記者会見は1月16日の予定です。
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