希望王国岩手スクールセッション(平成21年6月8日)
- 訪問学校:盛岡大学附属高等学校
- 実施日 平成21年6月8日(月曜日)
- 場所 盛岡大学附属高等学校
生徒
起立。お願いします。
生徒
着席。
達増知事
校長先生からご紹介をいただきました岩手県知事の達増拓也です。知事がこの忙しい高校生の貴重な時間をちょうだいして授業をするというのは、なぜこういうことをやっているかといいますと、まず岩手県の高校生がちゃんと勉強して将来に向かって進んでいくというのは、岩手全体にとってもものすごく大切なことでありまして、135万人の岩手県民がいるのですけれども、多くの岩手県民が子供たち、生徒たちがちゃんと勉強してすくすく育っているかということを心配し、また関心を持っています。それがうまくいくように日々の授業や、また一人一人の勉強や進路の指導は先生方にやっていただくわけですけれども、高校の仕組みとか、あるいは高校を取り巻くまちづくり、またいろんな県の政策、そうしたことを県のほうで考えて決めていく参考にさせてもらいたいと思って、授業をしないとなかなか教室の中には入っていく機会がありませんので、それで授業をさせてもらっているところがあります。
それから、今世界はものすごい激動の時代、そして世界も日本も大きく変化している中で、岩手県も大きく変化しており、またこれから変化しようとしています。そういう岩手県の現状についてもちらっと紹介しながら、また岩手の将来について考えてほしいということもあってこういう授業をやっています。
さて、授業ということで、何を教えるか、あるいは何を持って帰ってもらうかということで2枚ホチキスどめした資料、細かい字で細かいことがいっぱい書いてある「好きなものを増やしましょう」、「好きなものをもっと好きになりましょう」という、そういう資料が手元にあると思います。
わかりやすくするために一言で言えば、高校生の皆さんに期待することは、この好きなものを増やしましょう、そして既にもう好きなものがある人はその好きなものをもっと好きになりましょうというそのことであります。それが今の高校生活、日々の高校生活を豊かにするのはもちろん、将来をつかみ取っていくためにも好きなものを増やす、そして好きなことをもっと好きになるということが非常に大事なので、今日はこのことだけを覚えて帰ってもらえばいいですというくらいわかりやすく整理をしてみました。
ただ、具体的な例としては細かいものをたくさん挙げております。それで、私が高校時代に好きだったものを紹介しようと思って、そこにいっぱい書いてあります。
教科関係というのは学校の勉強ですね。国語が好きでありました。国語はかなり得意だったので、これは現代国語から古文、漢文とかあらゆる分野が好きで得意でありました。それから、地学、物理が好きでしたね。その後、倫社、政経、地理。私のころは社会科の教科が日本史、世界史、地理、そして倫理社会、政治経済と、こう分かれていたのですけれども、この中でも倫社、政経、地理というのが好きでありました。
ちなみに、東京大学の受験科目は法学部、これを文科I類と言うのですけれども、2次試験科目として国語と数学と英語と、あと社会科から2つ選択というのがあるのです。それで、国語、数学、英語、あと政経、地理というのを選択してやっていました。好きだったものの中に英語や数学が書いていないのですけれども、そんなに好きではなかったし、また得意でもなかったのです。特に数学はむしろ苦手と言っていいような状態だったのですけれども、試験科目の中にあったので、「ドラゴン桜」という漫画がありますよね、あんな感じでやっていました。過去の問題を検討して、こういうタイプの問題が出るのかという、そういうのを想定して、それに合わせた準備をやるという感じで対策を講じていました。
それから、地学、物理。物理というのは好きなのですけれども、ただ物理は得意ではなくて、今センター試験というのがありますが、私のころは共通一次試験と言っていたのですけれども、センター試験は国語、数学、理科、社会、英語5科目全部受けなければならなくて、理科でも地学、物理を選択していたのですが、物理が6割ぐらいの点しかとれなくて、それもあって共通一次試験の全体の点数がかなり下がって、これがまた東北大学だともう足切りにされて二次試験まで行けないというくらい低い点数だったのですけれども、東京大学は共通一次試験、センター試験は当時4分の1ぐらいの比重でしか見ない、あるいは全然見てないのではないかという説もあったりして、二次試験での一発逆転が可能だったので、かえって東大のほうが私にとっては入りやすいというか、受けやすいというか、そういう「ドラゴン桜」状態でありましたので、思い切って逆転がうまくいったというところがあります。
さて、生徒会、クラス活動関係。行事の企画運営というのは運動会でパレードの山車をつくるとか、あとは文化祭で、クラスでクイズ大会をやるとか、そういうものの企画運営とか好きでよくやっておりました。
意見発表、演説というのは、生徒総会でよく発言をしていたというのと、演説は弁論大会。校内ですけれども、校内弁論大会があって2年生、3年生のときに2年連続で優勝をしています。ですから、今の仕事でやっているようなことを高校の頃からちょっとやっていたようなところがあります。
アメリカ関係というのは、高校が海外派遣事業というのをちょうど私が入学するころからスタートさせていて、毎年10人から多い年だと20人、アメリカとかイギリスとかに春休みを利用して派遣するというのがあり、それに選ばれて2年から3年生にかけての春休み、アメリカに4週間ホームステイをしながら行ってきまして、その準備とか、あと帰ってきてからいろんな報告をしたりとか、そういうのに大分熱中してやっていました。
大学卒業した後に外務省というところに入って7年半ほど働いていたのですけれども、外務省で働きたいと思うようになった直接のきっかけ、直接のその手前ぐらいのきっかけは高校時代にアメリカに行ったことにあると思います。
クラブ活動関係、ソフトテニス。ソフトテニス部でクラブをやっていました。盛岡市の大会で大体そんな上位までいかないで1回戦、2回戦、3回戦くらいで大体負けていたのですけれども、3年生のインターハイ予選までちゃんとクラブを続けていまして、最後はベスト16には入って、盛岡市のですけれどもね。ベスト8決めで敗れて、それで敗者復活戦があって、8決めでやぶれた8ペアから2ペアだけ敗者復活で全部で10ペアが高校総体に出られるという敗者復活戦まではいったのですが、その2チームには入れなくて、それで現役引退というふうになりました。かなり毎日遅くまで練習し、土日も練習したりして、かなり時間はクラブにとられ、また苦しかった割に成果は上げられていないのですけれども、でもその後の自分の人生にはものすごく役に立っていると思います。体が丈夫になったというのもありますし。
遊びでトランプのナポレオンというのがあるのですけれども、これやったことある人いますか、ナポレオンというのは。30年ほど前には流行っていたのだけれども、最近はナポレオンをやる人というのは余りいないのかな。すごいおもしろいトランプのゲームで、インターネットでナポレオンと検索するとルールとかすぐわかりますけれども、これをクラブの帰りとか、あるいはクラブが雨で練習中止になったとき部室で、大体クラブの仲間とナポレオンをよくやっていました。
映画関係、「スターウォーズ」、「スーパーマン」、「インディージョーンズ」とありますけれども、最近もそれぞれ最新作が公開されているのですが、これらの最初のやつが私が中学生から高校生ぐらいのときにありまして、「スターウォーズ」の最初のやつが日本で公開されたのが私が中学校2年生のとき、31年前ですね。非常に気に入りまして、その後、ずっとスターウォーズファンをやっています。今でも私の知事室の知事机の上にはライトセーバーのおもちゃというか、模型が乗っていて、ズズンと伸ばせば伸びるようになっているのですけれども、ジェダイの魂としてライトセーバーが私の知事室の机の上には乗っています。
高校時代にはスターウォーズファンクラブに入っていたのですが、これは本部がハリウッド、ロサンゼルスにあるのですよ。ルーカスフィルム公認の本当に正式のファンクラブで、そこから英語のニューズレターが年4回ぐらい送られてくる。ドルを為替をつくって送ったのです。今はみずほ銀行になっていますが、当時肴町にあった富士銀行、高校の2年生かな、銀行の2階ですね、重々しい雰囲気の2階の窓口に行って外国為替をつくって会費を送金したいのですがということでドルの為替をつくるという、そういうことをやって会員になったりしておりました。
好きになるときは徹底して好きになったほうがいいと思います。「スーパーマン」の映画が公開されたのは私が中学校3年生のとき、最初の「スーパーマン」が公開されたのですが、お菓子か何かの懸賞でスーパーマンのマントというのが当たって送ってもらったのです。私は、学生服の下に、当然ワイシャツの下にはスーパーマンTシャツを、これは買ったやつを来て、さらにマントまでつけて見に行き、劇場で脱いで変身して見るという、そういう徹底した、最近で言うコスプレというやつですが、当時そういうことをする人はほかにはいませんでしたけれども、30年前からそういうコスプレなどしながらこういう映画を見に行ったりしていました。
アニメ関係で「宇宙戦艦ヤマト」がありますが、私が中学校2年生のときにこのヤマトのブームがあったのです。「スターウォーズ」が来る頃にアニメブームというのも日本で盛り上がって、この「宇宙戦艦ヤマト」というやつを中心にアニメブームが起きました。
「ガンダム」がここに書いてないのですが、「ガンダム」は私が中3のときに始まりまして、ただあのときはヤマト派とガンダム派に分かれ、私はヤマト派のほうで、「ガンダム」は、何だ、こんなの陰気でつまらないとか言ってばかにしていたのですけれども、ただその後「ガンダム」のほうがどんどん発展して今に続いているということで、「ガンダム」に負けたなと思っているのですけれども。今子供が「ガンダム」が好きでいろいろ見たり、関連の本を買って帰って、それを見せてもらったりしているので、大体どういうメカがあり、どういうキャラがいるかというのは知っていて、あれは日本が世界に誇る文化の一つではあるなと思っております。
漫画関係。高校時代に読んでいた漫画はこういうやつですよね。「百億の昼と千億の夜」というのは阿修羅が主人公でありまして、東京国立博物館で阿修羅展が開かれていて、日本の美術品の展覧会としては史上最大の観客動員数八十数万人が見に来たと言っておりますけれども、それは阿修羅が主役の漫画であります。
「暗黒神話」、「孔子暗黒伝」、これ諸星大二郎という漫画家、知っている人いますか、諸星大二郎。ううむ、高校生は読まないのかな、いまだにいろいろかいていらしているのですけれども、私は諸星大二郎の作品はほぼ全部読んでいるのです。読んでないのは1割ぐらいではないかと思います。
ソフトテニスをやっていたので、「エースをねらえ!」は全巻読んで、そこで宗像コーチのしゃべるせりふとかを自分に向かって言われているかのごとく読んで、そうしなきゃなんないのかとか思いながらやっていました。「男なら女の成長を妨げるような愛し方はするな」とかですね、そういうせりふもいまだに覚えていますね。
あと「日出処天子」とか「エロイカより愛をこめて」というのはそのころはやっていた漫画で、「エロイカより愛をこめて」というのはいまだに続いていますね。これ「ゴルゴ13」みたいな国際紛争の話を少女漫画家が書いて「プリンセス」だったかな、秋田書店の出している少女漫画雑誌に連載されていたもので、妹が少女漫画雑誌を買って読んでいたので、少女漫画家の書いた作品が結構この漫画関係のところに出てきていますね。
音楽関係で「YMO」というふうに書いていますけれども、「YMO」が流行っていたのは私の高校時代時代であります。高校1年のときに「ライディーン」とか「テクノポリス」とかが世に出てものすごく流行りました。「YMO」はいまだに時々聞いています。テクノ音楽がそれで好きになっているので、最近だったら「Perfume」というのがいますよね。なかなかよくやっているなと思いながら「Perfume」のことも見ております。
読書関係ではSF小説が好きだったのと、「第三の波」、アルビン・トフラーとあるのですが、アルビン・トフラーというのは未来学者で、未来の世界はこうなるだろうということを予測して書く学者なのですけれども、政治、経済、社会、世の中のあらゆる分野のことを総合的に見て、今世界はこうなっている、これからこうなる、そういう本を書く人で、当時出たこの「第三の波」というのはものすごく流行りました。いろんなしかるべき仕事についている大人の人たちというのはみんな読んだのではないかなというくらい流行ったのですけれども、この発想とか物の見方に物すごく影響を受けていますね。いまだに県の仕事をするときに経済、社会、それに政治も加えて総合的に見ていかなければだめだというような、そういう物の見方はこの高校時代に出会った本にまず教えられたなというふうに思っています。
その後講談社の「人類の知的遺産」シリーズというので仏陀、孔子、あとイエス様、キリストと、敬称をつけずに書いていますけれども、中学校2年生のときに講談社からこういうシリーズが出て、哲学、宗教の解説本ですね、その哲学者、宗教家、思想家の伝記がコンパクトに書いてあって、あとその人たちの説いたこと、教えあるいは思想の概要の説明があって、主な作品の抜粋などが載っている、そういう入門書のシリーズなのですけれども、こういうのを中学校、高校のころに読んでおりました。毎月1冊ずつ出るやつで、ただ1冊読むのに2カ月かかっていましたね。中身が難しいし、一回に少しずつしか読めない。30分、40分、集中力続いて1時間ぐらいかけたこともあったかもしれないけれども、それでも二、三十ページぐらいずつしか読めないので、1冊読むのに2カ月ずつかかっていました。この間、ほかのSF小説を読んだり、漫画を読んだりとかもしながら2カ月かけて読んでいたのですけれども、これは高校生としては、こういう読書というのは普通ではないなという感じがします。
ただ、高校生というのはまだ未成年であって、子供扱いされるところもあるのですけれども、一方で大人社会に通用するようなことができる時代でもありますね。例えば高校野球、今盛岡大附属の野球部も春の東北大会の決勝進出が今日決まったところでありますけれども、ああいう大人が熱狂するような、日本全体を騒がせるような、そういうことが高校生にはできてしまうということであります。そういう高校野球もそうですけれども、ほかのスポーツでも全国レベルで活躍すると、それはもう新聞、テレビなどで報道されて、大人の人たちをうならせます。合唱とか、吹奏楽とか、そういう文化活動でもそうですね。あとボランティアみたいなそういう活動でも地域の大人、県行政や市の行政と対等にいろんなことができてしまう。高校生になるとやっぱりそのくらいの能力と可能性があるということだと思います。それで、そこに米印をつけて書いている最初が高校生に期待するのは真剣勝負と書いているのですけれども、本当に好きなことに打ち込んで一生懸命真剣勝負でやっていると、それはもう大人社会に通用するくらいのレベルにまで自分を高めることができるようになると思います。
私が講談社の「人類の知的遺産」シリーズでこういう哲学、宗教の本をがんがん読んでいたというのは、高校時代にそれを発表するような機会は直接はなかったのですけれども、日本語で書かれた本であれば読んで理解できない本はないというくらいにまで、これは大学に入ってからですけれどもね。読書がすごい得意になりましたから、大学に入って法学部で法律や政治経済、たくさん本を読まなければならないのですけれども、抵抗なくがんがんそういう本を読めまして、それでその後外交官になって、いろいろよその国の外交官と渡り合ったりする、そういう話す材料みたいなものをどんどん吸収できる、その素地は高校時代の過剰な読書で築かれたというふうに思っております。だから、真剣勝負の結果が高校時代のうちに世の中で取り上げられたり、何か世のため、人のためになるという、すぐそういう効果は出ないかもしれないけれども、高校時代の真剣勝負で培われた力がやがて社会に出たときに世のため、人のために大いに役立つということがあると思うので、真剣勝負はがんがんやってほしいと思います。
その次の米印、「中2病」や「中2力」と書いているのですけれども、「中2病」という言葉を聞いたことある人いますか。いるね。流行ったのは数年前だと思うのだけれども、今でもいろいろ漫画の中とかあと若者向けの記事の中とかに「中2病」という言葉が出てきます。これは中学校の2年生ぐらいになって急に世の中全体のことを考えるようになり、妙に高い理想を持ってちょっと変な振る舞いをしたり、あとはちょっと屈折して不良っぽいことをして、それで浮いてしまったりとか、中学校2年生ぐらいに特徴的なそういう、急に理想的なことを考え、世の中全体のことを、考えちょっと行動が浮いてきたりすることを「中2病」と呼んでいるのですけれども、私は、それは病気ということではなくて、一つの偉大な能力だと思っております。それで「中2病」と言うのではなく「中2力」と呼んだほうがいと思っているのですけれども。
そこに例で書いてありますが、「不来方のお城の草に寝ころびて空に吸はれし十五の心」、これはだれの短歌でしょうか。石川啄木という声がありましたが、そのとおり、石川啄木の短歌です。15歳というのは、中学校3年から高校1年、15が数え年だとすると中2が15歳になるのですが、大体そのころに石川啄木も心が空に吸われるのです。心が空に吸われる。これはなかなか小学生とかちっちゃい子供はこういうふうにはなりません。また、大人になってすれてしまってもこういうふうにはなりません。こういう中高校生時代に本気で世界全体とか、世の中全体とか、そしてその中で自分がどう生きるべきかというようなことを本気で考えるようなときでないと心は空に吸われたりはしないと思います。
だから、「中2力」というと中学校2年生だけの力みたいに聞こえるから「中高力」などと呼ぶとですね、中高校生ならみんな持っているであろう、そういう大人にはないような純粋さの力とか、そういうのが絶対あると思います。でも、そういう中でもスーパーマンの格好をして映画を見に行くというのは、ちょっとこれは外しているところがあるから、そういうところはやらなくていいと思うのだけれども、いずれ何か世間体を気にしないで本当に好きなものに打ち込むとか、やりたいことをがんがんやるとかというのは中高生、特に高校生ぐらいじゃないとできないところがあるし、そこを本気でがんがんやっていると、これはやっている瞬間に役立つし、また社会に出てからも役立つので、大いにその辺は頑張ってほしいと思います。
「涼宮ハルヒの憂鬱」というのを知っている人はありますか。これはやっぱり多いな、さすがに。逆に知らない人、「涼宮ハルヒの憂鬱」知らない人。結構いるな。やっぱりそうだな。これは、もともとライトノーベルで、アニメとかにもなっているやつなのですけれども、高校が舞台になっていて、主人公の高校生の女子が自分では自覚がないのだけれども、自分が願ったことはすべてかなうという、そういう超能力を持っているという高校生女子が主人公になっているお話なのです。それはお話にすぎないのだけれども、私はその設定がすごく気に入っていて、本当に「中高力」というものを象徴したお話だと思っています。本気で願いが、願ったことは必ず実現するという、そういうお話で、その人が高校が始まるときのそれぞれ自己紹介のあいさつで、自分は普通の人間男子とのつき合いは中学校時代であきたから、宇宙人と未来人以外とはつき合いませんとかと宣言するんだね。そして、やがて変な友達ができるのだけれども、実はその友達がそれぞれ未来人であり、宇宙人だったという、そういうお話で、たわいもないといえばたわいもない話なのだけれども、中学生、高校生というのは本気で願えば彼らならやってくれるのではないか、彼らならそういう願いを実現させられるのではないかと、そういうここで言う「中2力」、「中高力」というのをすごく象徴しているお話だなと思って、私は気に入っております。ただ、原作本を読んだりとか、アニメを見たことはないのだけれども、ウィキペディアなどインターネット検索で粗筋とかは検索して見ることができるので、見て知っております。
さて、高校時代の話で35分たってしまいましたね。この後、今知事として岩手県の中で私がどういうのが好きになっているのかというのがこの2ページ以降に書いております。これは、後でおうちに帰って読んでもらえばいいのですけれども、簡単に説明しますと、やっぱり岩手のよさいろいろあるのですけれども、海があるということはやっぱり大きいとは思いますよ。日本には海なし県と海あり県と2種類あるのですけれども、海がある。しかも、それが国立公園にもなっている三陸海岸があり、そして沖合は世界三大漁場の一つの三陸漁場である。資源も豊かで、観光、見た感じもいい、そういう海があるというところから、まず私は岩手の好きなものというのを始めたいと思います。
海だけではなく山もあります。八幡平からずっと書いていますけれども、八幡平、岩手山は国立公園なのですよね、早池峰山、栗駒山が国定公園で、和賀岳というのは国が指定して環境保全の山に指定されています。折爪岳、室根山というのは、これは県立公園、県で指定している公園で、この2つの山は登りますと、海が見えるし、それから内陸のほうの折爪岳からは岩手山が見えるし、室根山からは栗駒山が見えるというすごい景色の山であります。盛岡に住んでいると余り知らないのですけれども、折爪岳、室根山というのはすごいですよ。あと山に関連した名所がその後あって、場所だけではなくて山菜、キノコ、スキーとかも書いてありますけれども。
海、山の後に来るのが町。盛岡中心市街地とまず書いているのですけれども、今、日本全国地方都市というのはどんどん寂れています。中央と地方の格差が拡大して、地方都市がどんどん寂れているのですけれども、盛岡は全国の中でもかなりうまくやっている、中心市街地、町のにぎわいが残っているし、昨日も御輿祭りがありましたけれども、いろんなイベントも工夫がどんどん新しくされていて、前より良くなっているところもあります。盛岡という町は全国の中でも非常に頑張っている町だと思います。ほかに頑張っている町、花巻、北上、水沢、一関といろいろ書いてありますが。
町の次は村、田舎。遠野を初め日本全体にとっての心のふるさととなり得るような村や田舎が岩手にはたくさんあります。世の中が複雑になってストレスがたまる、人間にとって一番大切なことが見失われていく、そういう時代にあって岩手の村や田舎というのは日本人全体にとっても大切な財産になるでしょう。
やはり日本人全体にとって大切な財産と言えるのは岩手が生産する農産物や、それを加工したりしてつくる食であります。お米や芋から始まって、そこにばっと書いてありますけれども、こうしたものは……。
岩手の食べ物というのはすごくおいしいですよ。私は東京で何年か暮らしましたし、あとワシントンD.C.とかシンガポールでも2年ずつ暮らしたりして、世界のあちこちでいろんなものを食べて歩いているのですが、岩手の食べ物というのはものすごくおいしいです。それで、この途中にもチーズケーキとあるのですけれども、知事が余り特定のお店の宣伝をするのはよくないので、店の名前は言いませんが、岩手県のあるお店がつくっているチーズケーキは、これはものすごくうまいです。小学生のときにそのチーズケーキを食べて、世の中にこんなうまいものがあるのかと感心し、その後世界のあちこちでいろんなものを食べるたびに比較するのですが、いまだにそれ以上うまいものは食べたことがないですね。チーズケーキも好きなので、東京でもいろんなチーズケーキ食べていましたし、世界のあちこちでもチーズケーキをいろいろ食べていますが、岩手のそのお店のチーズケーキが一番うまいですね。何でかなと思うと、やっぱり岩手の県民あるいは岩手に住んでいる人たちは舌が肥えていると思います。それは普通のお米がおいしいし、普通の果物や野菜がおいしいから、おいしくないものはやっぱり売れないのです。こういうスイーツとかお菓子のたぐいもクオリティーが非常に高いです。その辺は岩手はどんどん自慢をしていいと思いますね。
次のページにいって、文化とか伝統工芸品、県の施設等、先人、武将、スポーツ関係とかいろいろあるのですが、スポーツ関係の一番最後に花巻東高校野球部を載せてしまいました。これはやっぱり甲子園で準優勝というのはすごいので載せたのですけれども、盛岡大学附属高校野球部にもぜひ頑張ってほしいと思います。
その後、頑張る人たち関係から始まっていますが、和井内(宮古市)、門崎(二戸市)、姥屋敷(滝沢村)と町内会、自治会のようなちっちゃいコミュニティーの名前がこの和井内からずっと下のほうに続いています。こういうところは自分たちで公民館を建てかえてしまったりとか、あと市町村や県がなかなか道路を整備してくれないので、自分たちで機械を使って、必要な道路をつくってしまったとか、そういう自分たちの力でコミュニティーをどんどん良くしていくということに取り組んでいるところで、実際私が行って、そこの人たちと話をしたところをずっと書いてあります。岩手の中にはこうやって地域に根差して地域を守ろう、発展させようと頑張って、そして成功している人たちがたくさんいます。
最後のページ、左の柱の真ん中あたり、真ん中、関東自動車岩手工場とかアイシン東北とか岩手が誇る優秀なすぐれた企業、工場の名前が書いていますけれども、関東自動車岩手工場というのは自動車工場の世界ランキングで優勝したことがありまして、世界のいろんな自動車工場の中でその技術水準が最も高いという評価を得たりもしているのです。会社は、トヨタ系の会社なのですけれども、働いている人たちはほとんど岩手の人たちであります。そういう岩手の若い人たちの手作業あるいは機械の操作というのが世界で一番という評価を得ている、そういう例であります。
時間があれば右の柱のキャラ関係の説明もしたかったのですが、これは関心ある人はインターネットで検索すれば確認できますので、してもらえばいいと思います。
メッセージボード、そしてメッセージリストを用意してもらっていました。これをちゃんと確認しておかなければなりません。それでは、ばっと上げてもらいましょうか、書いたやつをちょっと見せてください。
「さんさ踊りを日本のお祭りにしたい」。それは具体的にはどういうことでしょう。
生徒
さんさ踊りの魅力をもっと全国の人たちに知ってもらったり、もっと広げていけたらいいなと思っています。
達増知事
踊れるの。
生徒
はい。
達増知事
それはいいですね、僕も一番基本的なやつは踊れるので。では、中央通のパレードに出たりもしているの。
生徒
はい。
達増知事
では、今年も頑張りましょう。
生徒
はい。
達増知事
あと「語り継ごう、岩手の民話、岩手の言葉で」と、そういうのに関心があるのですか。
生徒
余り自分ではないのですが、遠野の民話などがあるけれども、民話だけではなくて、その話は岩手の方言によって生きてくると思うので、そういう民話と言葉をセットで後世に伝えていければと思います。
達増知事
岩手の民話を読んだり、あるいは自分で語ったりとかというのは。
生徒
してないです。
達増知事
去年NHKの朝ドラで「どんど晴れ」とかやっていて、そういうのが全国にも有名になりましたからね。遠野に行くと年配のおじいさん、おばあさんで語り部の人たちがいるのですけれども、やっぱり若い担い手もふえていかなければだめだと思うので、ぜひぜひその関心を持ち続けてほしいと思います。
あとさっき高く上げていて目立っていた「喜びと感謝を絶やさない」、それちょっと説明してください。
生徒
私の夢はホテルで働くことなのですけれども、誰からも喜んでいただけることがとてもいいなと思っているので、誰かが喜んでいることや感謝を絶やさないことが何か地域の活性化につながるのではないかと思います。
達増知事
それはすごい本質を突いています。社会に出ていくときに必要な力というのはいろんな捉え方があるのだけれども、一言でわかりやすく言うと人を喜ばせる力というのが社会人として大事な力の核心だと思います。どんな分野であれ、仕事というのは結局ほかの人を喜ばせることでありまして、ホテルの人たちの仕事というのは、特に最初から最後まで、隅から隅までお客さんに喜んでもらう仕事ですよね。私も仕事上、ホテルに行って、そこでいろんな会議に出たり、あるいはパーティーに出たりするのですけれども、ホテルで働く人たちのそういうときのお客さん本位の姿勢というのは、私もすごい参考になり、勉強になるなと思っています。やはりそういう関心もぜひ大事にしてほしいと思います。
あとは、「岩手の伝統産業をいつまでも残していきたい」と、伝統産業というのはどんな伝統産業ですか。
生徒
南部鉄器ですとか、浄法寺塗ですとか、そういうものです。
達増知事
いいですね。私もこのネームプレートは、きょうは秀衡塗のネームプレートをしてきているのですけれども、浄法寺塗の黒いやつと秀衡塗の赤いやつと2つ持っていて、日々それをみんなに見せて宣伝しながら歩いているのですが、岩手県には南部鉄器とか浄法寺塗、秀衡塗、それから岩谷堂箪笥ですね、この4つは日本政府が伝統工芸品として認めた政府公認つきの伝統産業なのですけれども、ほかにもそういう政府の認定がなくてもすごいクオリティーの高い伝統産業がいっぱいあります。ぜひそういう関心も持ち続けてください。
鐘が鳴ってしまいましたね。やっぱり授業というのはすごい難しくて、先生方にはかなわないのですけれども、でも今日皆さんが書いてくれたことは私の手元にも伝わってきておりますので、ぜひ持ち帰って県の政策の参考にもしたいと思いますし、それから皆さんもそれぞれそういう希望を、あるいは関心を持ち続けて、日々楽しく、また毎日毎日充実して楽しく過ごしていくことが自分の将来を勝ち取り、また世のため、人のためにもなることにつながるので、まず充実した高校生活、皆さん頑張ってください。
以上です。
生徒
起立。ありがとうございました。
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