(5)健康
【暑熱】
(現状)
熱中症搬送者数の増加が全国各地で報告されており、死亡リスクについて、日本全国で気温上昇による超過死亡(直接・間接を問わずある疾患により総死亡がどの程度増加したかを示す指標)の増加傾向が確認されています。
特に高齢者の超過死亡者数が増加傾向にありますが、15歳未満の若年層においても、気温の上昇とともに外因死が増加する傾向にあることが報告されています。
本県においても、熱中症による健康被害が報告されています。
(将来予測)
熱中症発生の増加率は、北海道、東北、関東で大きいと予測されており、「環境省環境研究総合推進費S-8 温暖化影響評価・適応政策に関する総合的研究注1」では、全ての気候モデルにおいて、本県の熱中症搬送者数が増加すると予測されています。
また、本県の熱中症搬送者のうち約半数が高齢者であり、夏季の高温化など気候風土の急速な変化に対して、順応できるかどうか懸念されます。
さらに、暑熱環境の悪化は児童生徒の学校生活にも大きく影響し、体育・スポーツ活動のみならず、屋内での文化部活動や授業中においても熱中症の発生が懸念されています。
注1 環境省環境研究総合推進費S‐8 温暖化影響評価・適応施策に関する総合的研究:環境省が公募し、環境政策に貢献する研究として2010(平成22)~2014(平成26)年度の間に実施された研究で、日本全国及び地域レベルの気候予測に基づく影響予測と適応策の効果の検討等を行った。
【感染症】
ア 節足動物媒介感染症
(現状)
デング熱注2等を媒介する蚊(ヒトスジシマカ)の生息域が2016(平成28)年に青森県まで拡大していることが確認されています。
また、 ダニ等により媒介される感染症(日本紅斑熱やつつが虫病等)についても全国的に報告件数の増加、発生地域の拡大が確認されています。
(将来予測)
気候変動による気温の上昇や降水の時空間分布の変化は、感染症を媒介する蚊やダニ等の節足動物の分布可能域を変化させ、節足動物媒介感染症のリスクを増加させる可能性があり、S‐8研究では、本県においても、全ての気候モデルにおいて、ヒトスジシマカの生息域が増加すると予測されています。
また、ヒトスジシマカの吸血開始日は初春期の平均気温と相関があり、気温上昇が進めば、吸血開始日が早期化する可能性があるほか、活動期間が長期化する可能性があります。
注2 デング熱:デングウイルスを持った蚊(ネッタイシマカ・ヒトスジシマカ)に刺されることによって生じる感染症。デングウイルスを媒介する蚊が生息する地域は、熱帯・亜熱帯を中心に100か国以上あり、全世界で年間約1億人の患者が発生していると言われている。日本でも2014(平成26)年に約70年ぶりの国内感染が報告された。
【その他の健康への影響】
ア 温暖化と大気汚染の複合影響
(現状)
本県の大気環境は、大気汚染物質の環境基準を概ね達成していますが、微小粒子状物質などの濃度上昇が時期によっては観測されています。
近年、光化学オキシダント(Ox)及びその大半を占めるオゾン(O3)の濃度の経年的増加を示す報告が多く、温暖化も一部寄与している可能性が示唆されています。
(将来予測)
気温上昇による生成反応の促進等により、大気中の光化学オキシダントや微小粒子状物質の濃度が上昇し、呼吸器系及び循環器系への影響が生じる可能性があるとされています。
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