令和2年度当初予算案
令和2年2月6日(木曜日)記者発表
令和2年度岩手県当初予算案 達増知事記者発表の動画
令和2年度当初予算案について説明します。「令和2年度岩手県一般会計当初予算(案)のポイント」という資料の1ページ、「令和2年度当初予算案一般会計の状況」です。令和2年度当初予算案は、東日本大震災津波からの復興を力強く進めるとともに、県民の幸福度の向上を図る「いわて県民計画(2019~2028)」を軌道に乗せ、県民みんなが希望を持てる予算として編成しました。愛称「復興幸福希望予算」という予算であります。
まず、東日本大震災津波からの復興と平成28年台風第10号災害、令和元年台風第19号災害からの復旧・復興に最優先で取り組みます。
そして、「いわて県民計画(2019~2028)」のもと、県民の幸福度向上を図る10の政策を着実に推進しながら、「新しい時代を切り拓くプロジェクト」として、ILCの誘致や北上川バレー・三陸・北いわての3つのゾーンに関する事業などを展開します。
また、東京2020オリンピック・パラリンピックを「復興五輪」として成功させ、岩手の復興の姿を全世界に発信するよう、聖火リレーを初め、関連する事業を行います。
更に、5Gを初めとした情報通信技術を活用した地域課題解決の事業など、新たな科学技術により経済発展と社会的課題の解決を両立していくSociety5.0の実現に必要な予算を盛り込みました。
また、中期財政見通しを踏まえ、地方創生推進交付金や有利な地方債などの地方財政措置を最大限活用し、財政健全化にも配慮したところです。
予算の規模は9,323億円、この予算規模は令和元年度当初予算に比較して約32億円、率にして0.3%の減少となります。
具体的な歳入歳出の状況については、資料2ページ目をご覧ください。まず歳入の状況については、震災分は復旧・復興事業の進捗に伴い、国庫支出金や基金繰入金等が減少しています。通常分は、県税収入の減少を見込んでおり、実質的な一般財源は59億円減少しています。
次に、歳出の状況については、震災分は復興道路の整備に係る直轄道路事業費負担金や、恒久住宅への移転に伴い、応急仮設住宅の解体撤去を行う災害救助費が増加する一方、事業の進捗に伴い、漁港や水門等の災害復旧事業費が減少することにより、前年度と比較して約82億円、率にして3.1%の減少となります。
通常分は、公債費が減少する一方、公共事業のプラスシーリングや国土強靱化緊急対策などによる普通建設事業費の増加や、地方消費税率引き上げに伴う市町村交付金の増加などにより、前年度と比較して約51億円、率にして0.8%の増加となっています。
次に、令和2年度当初予算案における事業の概要について、資料の3ページ目です。いわて県民計画(2019~2028)に基づき、令和2年度も引き続き東日本大震災津波からの復興を県政の最重要課題として、復興に向けた事業を着実に推進してまいります。
「安全の確保」では、災害に強い安全な多重防災型まちづくりの実現に向け、防潮堤等の津波防災施設や水門・陸こうの自動閉鎖システム等の整備を進め、また防災文化の醸成、災害に強い交通ネットワークの構築などに取り組みます。
「暮らしの再建」では、被災者の方々が安定した生活に戻ることができるよう、心のケア活動や生活相談に引き続き取り組むとともに、生活再建やコミュニティ形成の支援などを実施します。
「なりわいの再生」では、地域のなりわいの再生と経済の回復を進めるため、水産資源の回復に向けた支援、漁業者等の人材の確保・育成や、農林水産物の販路拡大に取り組むとともに、新たなまちづくりと連動した商業機能の再生や三陸の魅力あふれる観光地づくりなどに取り組みます。
「未来のための伝承・発信」では、東日本大震災津波の事実・教訓の伝承のため、東日本大震災津波伝承館と海外の津波博物館との連携等による国際シンポジウムを開催します。また、復興の状況や復興支援に関する感謝の気持ちを伝える事業を国の東日本大震災10年事業と連動して実施します。
次に、4ページ目、10の政策分野に基づく主な施策です。
まず、「健康・余暇」分野では、脳卒中等の生活習慣病対策などに取り組むとともに、保健医療提供体制の整備や地域包括ケアシステムの構築を進めます。また、すぐれた文化、芸術に触れる機会の提供や、生涯にわたってスポーツを楽しめる環境整備などに取り組みます。
「家族・子育て」分野では、結婚支援の機能強化や新たな妊産婦支援など、安心して妊娠、出産、子育てができる環境の整備に取り組むとともに、ひとり親世帯に対応する総合相談支援機能の充実、子供の居場所づくりの推進などに取り組みます。
「教育」分野では、児童生徒の確かな学力、豊かな人間性、社会性、健やかな体を育む事業に取り組みます。また、グローバル化や第4次産業革命技術の進展に対応できる能力の育成、ものづくりや農林水産業など地域を支える人材や、地域の国際化に貢献する人材の育成などに取り組みます。
5ページ目、「居住環境・コミュニティ」分野では、持続可能な地域公共交通ネットワークの構築、地域コミュニティの活性化、岩手への移住・定住の促進に取り組みます。また、海外の多様な文化を理解し、ともに生活できる地域づくりなどに取り組みます。
「安全」分野では、自主防災組織の組織化支援の拡充など防災体制の構築や登下校時の子供の安全確保や特殊詐欺被害予防など、安全、安心に暮らせるまちづくりに取り組みます。また、地域に根差した食育の意識醸成に取り組み、食の安全、安心の確保を図ります。
「仕事・収入」分野では、地域経済を支える中小企業の振興やものづくり産業の一層の集積、若者や女性などの起業の促進、国際線の誘致や観光産業の総合産業化、農林水産物の付加価値向上と販路の輸出拡大に取り組みます。
6ページ目、「歴史・文化」分野では、御所野遺跡の世界遺産への新規登録に向けた事業や平泉の文化遺産を総合的に案内するガイダンス施設の整備、民俗芸能の保存、継承や後継者の育成などに取り組みます。
「自然環境」分野では、森や川、海などの多様ですぐれた環境を守り、次世代に引き継ぐ事業に取り組みます。また、循環型地域社会の形成や再生可能エネルギーの導入を進め、地球温暖化防止に取り組みます。
「社会基盤」分野では、第5世代移動通信システム「5G」の整備の促進、AIやICTなど、科学、情報技術の利活用に向けた事業、また自然災害に備えた洪水、土砂災害対策施設の整備や農業水利施設等の整備などの防災対策に取り組みます。
そして、「参画」分野では、女性や若者、高齢者、障がい者の活躍支援、市民活動や県民運動を促進するためのNPOの運営基盤強化など、多様な主体の参画、連携、協力の推進に取り組みます。
次に、7ページ目、「新しい時代を切り拓くプロジェクト」の推進です。「ILCプロジェクト」では、国際リニアコライダー、ILCの実現に向け、受け入れ環境の整備や国内外への情報発信に取り組みます。
「北上川バレー」・「三陸」・「北いわて」のゾーンプロジェクトでは、第4次産業革命技術の産業・生活分野への導入や地域資源を生かした産業振興、新たな交通ネットワークや観光資源を生かした交流人口の拡大などに取り組みます。
このほか、先端技術を活用した小集落における日常生活の利便性の向上に向けた事業、生産活動のイノベーションによる農林水産業の高度化に向けた事業、岩手独自の健康・医療・介護データ利活用システムの構築に向けた事業、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を図るための県立学校へのICT環境整備と活用に向けた事業、文化芸術やスポーツに日常的に親しむことができる環境づくりに向けた事業、水素の利活用の推進に向けた事業、本県の地域や人々と多様にかかわる関係人口の創出・拡大を図る事業など、プロジェクトの実現に取り組みます。
8ページ目は、広域振興圏の施策、県北・沿岸圏域の地域資源を活用した取組を初め、各圏域の特性や資源を生かした特色ある事業を展開します。
そして、「復興五輪」を掲げる東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に呼応した施策についてですが、本大会を契機とした本県農林水産物や伝統文化の魅力発信、多くの県民が参画する事業の展開や新たな人的、経済的交流の促進に取り組みます。
Society5.0の実現に向けた施策については、生産性や生活の利便性を飛躍的に高めるAIやICTなどの科学技術を活用し、イノベーションの力で少子高齢化に伴う労働力不足や過疎地域等における買い物弱者などの地域課題の解決に取り組みます。
9ページ目、ふるさと振興の推進に向けた主な施策についてです。令和2年度は、第2期目の岩手県ふるさと振興総合戦略が始動する年であり、「岩手で働く」、「岩手で育てる」、「岩手で暮らす」を3本の柱に、地方移住の視野拡大に向けた関係人口の創出などの視点を盛り込んだ「岩手とつながる」を新たに加え、岩手の地域性や優位性等を生かした4つの分野横断の戦略を加えて、県の総力を挙げてふるさと振興に取り組みます。
「岩手で働く」では、ものづくり産業や農林水産業の振興による産業全体の底上げや移住定住の推進。「岩手で育てる」では、県民の結婚したい、子供を産みたい、育てたいという希望に応える事業や、子育てと仕事の両立の支援、また子育てに優しい環境づくり。「岩手で暮らす」では、医療・福祉や文化・教育など豊かなふるさとを支える基盤の強化、地域の魅力向上。「岩手とつながる」では、関係人口や交流人口の拡大、岩手と多様な形でつながることのできる社会に向けた事業。これらを展開いたします。
また、「国際研究・交流拠点地域形成戦略」、「北上川流域産業・生活高度化戦略」、「新しい三陸創造戦略」、「北いわて産業・社会革新戦略」の4つの分野横断の戦略を総合的に展開していきます。
続きまして、令和2年度の組織・職員体制の概要です。まず、東日本大震災津波からの復興に係る体制についてでありますが、事業の進捗状況等に応じ、合計で223人の職員定数を配置します。また、令和元年台風第19号災害からの早期の復旧・復興に向けて、沿岸広域振興局土木部や宮古土木センターなどに担当職員を増員し、事業推進体制の強化を図り、3月に全線運行の再開が見込まれる三陸鉄道の運営を支援するため、交通政策室の宮古市駐在職員を増員します。
次に、「いわて県民計画(2019~2028)」の着実な推進に向けた体制整備のうち、まず政策企画部とふるさと振興部についてですが、総合的な政策の立案調整や評価等の業務を担う政策企画課を新設、現行の地域振興室の体制を拡充し、全県にわたる地域振興や県央、県南地域の振興を担う地域振興室と県北・沿岸地域の振興を専担で担う県北・沿岸振興室を設置、3つのゾーンプロジェクトを初めとする地域振興施策を推進します。
また、安心して子どもを生み育てられる環境づくりに向け、就労支援や女性活躍など関連施策との連携を一層緊密に図り、部局横断の取組を推進するために子ども子育て支援課を室に格上げし、新たに総括課長級の次世代育成課長を配置するなど体制を拡充します。
また、福祉総合相談センターと一関児童相談所の児童福祉司、児童心理司を増員し、相談体制を強化します。
次に、観光産業の振興に向け、農林水産業、文化・スポーツなど分野横断の取組を進めるために観光課を室に格上げし、観光・プロモーション室に改称します。地域振興室から対外戦略の事務を移管し、新たに総括課長級のプロモーション課長を配置し、交流人口の拡大に向け、観光施策と連携したプロモーション活動の推進体制を強化します。
そのほか資料にもあるとおり、医療政策室への医療情報課長、商工企画室への新産業育成課長、森林整備課への全国植樹祭推進課長の配置、そして北海道・北東北の縄文遺跡群の世界遺産登録など、県政課題に適切に対応するため職員の増員を行っています。
次に、職員体制についてですが、令和2年度当初における知事部局の職員数は、平成31年度当初から20人程度増加し、4,460人程度となる見込みです。引き続き任期付職員の採用や全国の都道府県に対する職員の派遣要請などマンパワーの確保に努め、復旧・復興事業や様々な県政課題に適切に対応できる体制を構築してまいります。
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