令和6年度 年度始めにおける知事訓示
とき:令和6年4月1日(月曜日)
ところ:県庁12階 特別会議室
対象者:全職員
年度始めにおける知事訓示
令和6年度、年度始めの訓示をします。
昨年5月、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、様々な制限が解除され、コロナ禍以降、消極的だった人の往来も盛んになり、いわて花巻空港と台湾を結ぶ国際定期便の再開や多くのクルーズ船の寄港など、国内外との交流が活発になっています。
今月からはコロナ治療薬の公費負担が終了し、新型コロナワクチンの接種が原則有料になるなど、今後は一人ひとり場面場面に応じた基本的な感染対策が一層求められます。
新型コロナウイルス感染症対策の体制は変わってきますが、コロナ禍の影響が残っているところに物価高騰が重なり、県民の生活や仕事に大きな影響が出ています。
県民の皆さんの状況に心を配り、県民一人ひとりに寄り添うようにして、それぞれの業務を進めていきましょう。
未曾有の被害をもたらした東日本大震災津波から13年が経ちました。
発災以降、復興業務に関連して県外の自治体から派遣していただいた延べ1,189人の職員派遣は令和5年度で終了し、ハード面の復興もほぼ完了しました。
一方、被災者のこころのケアや主要魚種の不漁対策など、課題に継続的に取り組んでいかなければなりません。
被災地に寄り添い、人口減少対策と合わせて、きめ細かい支援を行いましょう。
発災当時のことを直接知らない子どもたちが増え、県職員においても知事部局職員のうち震災以降の採用者の割合が約4割を占める中、東日本大震災津波の伝承・発信に力をいれることが求められます。
三陸沿岸地域は、歴史上数多くの津波被害を受けており、今後も地震の発生や津波の襲来が予想されます。
東日本大震災津波の震災・津波被害の事実と教訓を次の世代に継承し、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震などの地震津波対策に生かしていきましょう。
今般の能登半島地震で被災した石川県に対しては、保健師や住家被害認定調査等に当たる職員の派遣に加え、復興計画の策定手法や避難所運営に関する資料を提供するなど、東日本大震災津波の教訓を生かし、岩手県だからこその支援を行っています。
東日本大震災津波からの復旧・復興の取組で培った知識と経験を活用し、被災地のニーズに対応した支援を行いましょう。
県の総合計画である「いわて県民計画(2019~2028)」において、「お互いに幸福を守り育てる」ということを明確に目標として掲げてから5年が経過し、今年度は折り返しとなります。
「いわて県民計画」という名称は、前の総合計画からでありますが、それは県民一人ひとりを起点にして県政を組み立て、実行するという考え方によるものです。
東日本大震災津波からの復興がまさにそうでありましたが、人口減少対策やその他様々な施策を推進する場合も、生身の人間一人ひとりを相手にしているという意識を持って、取り組んでいきましょう。
そして、岩手に生まれ育ち、そのまま岩手で生き続ける人たち、岩手に生まれ育ち、いったん県外に出てまた帰って来る人たち、岩手に生まれ育ち県外で活躍する人たち、そして岩手県外で生まれ育ち岩手にやって来る人たち、これら全ての人たちが岩手をベースにして、暮らしや仕事や学びにおいて、希望をもって進むことができる岩手であるようにしていきましょう。
令和6年度当初予算は「『希望郷いわて』その先へ予算」と名付けました。
全国トップレベルの子ども・子育て支援や交流人口・関係人口の拡大などの「自然減・社会減対策」、「GXの推進」、「DXの推進」、「安全・安心な地域づくり」、これらの4つの重点事項をより強化しつつ、「マニフェスト+39」の内容も盛り込んで、「希望郷いわて」のその先へと進んでいく予算です。
人口減少や物価高騰などが県民生活や地域経済に大きな影響を与えていますが、県民の暮らしと仕事を守るため、「10の政策分野」や「新しい時代を切り拓くプロジェクト」など、いわて県民計画に基づく施策を着実に推進してまいりましょう。
昨年12月、国立社会保障・人口問題研究所が、令和2年国勢調査をもとにした「日本の地域別将来推計人口」を公表しました。
岩手県の2045年の推計人口は85万3,120人となっており、前回、平成30年の人口推計と比べて3万1,398人減少しています。
また、現在の岩手県人口と比べると約31万人減ることとなっています。
この推計人口は、追加的な対策を講じなかった場合の推計値であります。
岩手県人口ビジョンでは人口減少に歯止めをかけ、2040年に100万人程度の人口を確保することを展望しています。
これを実現するためにも、「少子化対策の強化の3つの柱」、結婚支援による有配偶率の向上、妊娠・出産・子育て支援による有配偶出生率の向上、そして女性の社会減対策、また、「社会減対策の強化の3つの柱」であります県内定着やU・Iターンによるいわてとのつながりの維持・強化、多様な雇用の創出、労働環境と所得の向上、そしてニューヨーク・タイムズ紙への掲載を契機とした交流人口・関係人口の拡大、これらの柱を一層進めていきましょう。
また、人口減少対策の推進に当たっては、人口減少の要因や取組状況が異なる各市町村の状況を把握して、県と市町村が連携して対策を講じていく必要があります。
令和6年度からは、広域振興局を拠点に市町村と連携・協働して施策を推進するため、本庁と各広域振興局に特命課長を設置するとともに、小規模町村に対しては、新たに人的・財政的支援を一体的に行って、伴走型支援をしていきます。
市町村長などのトップレベルによる情報共有や意見交換のほか、各レベルにおいても市町村が抱える課題やニーズをきめ細かに把握し、市町村と一体となって集中的かつ効果的な人口減少対策を推進していきましょう。
昨年のニューヨーク・タイムズ紙の「行くべき52か所」で盛岡市が選ばれたのに続いて、今年は山口市が選ばれています。
世界的なマスメディアであるニューヨーク・タイムズ紙から見て、日本の地方に価値があり、魅力的であるということです。
県内各市町村、そして岩手県にも素晴らしい価値や魅力があります。
岩手県で暮らし、学び、働くことの魅力や価値を県内外で共有していきましょう。
戦略的なプロモーションによるインバウンドを含む交流人口の拡大、農林水産物を始めとした県産品の戦略的な輸出促進など、全国や世界が岩手を待っています。
岩手県職員憲章に定める5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令順守」、そして「地域意識」、これらに常に立ち返りながら、自分自身や家族、同僚などの周囲の人の健康にも留意し、業務を進めてまいりましょう。
今年度もよろしくお願いします。
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