令和7年 年頭における知事訓示

ページ番号1079729  更新日 令和7年1月6日

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とき:令和7年1月6日(月曜日)
ところ:県庁3階 第一応接室(録画)
対象者:全職員

年頭における知事訓示

 令和7年の知事訓示に先立ち、今回発生した高病原性鳥インフルエンザについて話します。

 盛岡市及び軽米町で発生した高病原性鳥インフルエンザについて、まん延防止に向け、早期に防疫措置を完了するため、新年早々にも関わらず対応している職員一人ひとりに感謝します。

 防疫措置は、県の重要な役割です。健康に留意し、しっかり対応し、県民の皆様に不安が生じることのないよう、正確な情報を発信していきましょう。

 

 令和7年の年頭に当たり、訓示を行います。

 

 昨年は、元日に発生した能登半島地震やその後の奥能登豪雨を始め、豚熱や鳥インフルエンザなど、全国各地で様々な危機が発生し、県内においても、宮古市の山林火災、台風第5号、8月・9月の大雨と自然災害に見舞われたことに加え、洋野町の養豚場において県内で初めて豚熱が発生しました。

 県内における大規模な豚熱の防疫作業は初めてのことであり、大変厳しい条件の中、昼夜を問わず防疫作業に対応した職員、防疫作業を円滑に進めるための後方支援に当たった職員、さらに豚熱の防疫作業に対応する職員の業務を代わりに行った職員も含め、改めて職員一人ひとりに感謝したいと思います。

 また、能登半島地震や、7月の山形県における大雨、栃木県における豚熱、島根県や新潟県における高病原性鳥インフルエンザの発生など県外で発生した災害などに対応した職員の労もねぎらいたいと思います。

 自然災害などの危機から県民の安全・安心な暮らしを守ることは、行政の根幹的な責務の一つです。

 自然災害や家畜防疫、感染症など、様々な危機に対応するため、ハード面・ソフト面の両面から備えていきましょう。

 

 東日本大震災津波から、今年の3月11日で14年となります。

 ハード面の復興がほぼ終了した一方で、被災者のこころのケアや主要魚種の不漁対策など、引き続き取り組まなければならない課題があります。

 被災地の住民が抱える課題の根底には、震災が少なからず影響しています。

 被災者一人ひとりに寄り添いながら、「誰一人取り残さない」という理念の下、三陸のビルド・バック・ベター(よりよい復興)を進めていきましょう。

 全国各地で自然災害が頻発する中、自然災害に強い社会を実現していくためにも、東日本大震災津波の事実と教訓の伝承・発信が重要です。

 東日本大震災津波の学習拠点である東日本大震災津波伝承館へ国内外から多くの方々に来館いただき、昨年、開館から約5年で110万人に達しました。

 今年開催される大阪・関西万博では、国内外に向け、これまでの復興支援への感謝を伝えるとともに、東日本大震災津波の事実と、力強く復興する被災地の姿が発信されます。

 今後も「東日本大震災津波を語り継ぐ日条例」の趣旨にのっとり、岩手県民の責務として、震災の事実・教訓の伝承と、復興の姿の発信に積極的に取り組んでいきましょう。

 

 昨年、中国・大連で開催され、世界各国から、政財界や国際機関のリーダー、企業家、学術関係者など、1,600人以上が参加した「夏季ダボス会議」に参加しました。

 ダボス会議を主催している世界経済フォーラムが発表した「これからの経済成長レポート2024」では、今後の経済成長は、4つの条件を満たさなければならないと述べています。

 4つの条件とは、「イノベーション」「インクルーシブ」「持続可能」、そして「強靱」です。

 この4つの条件は、「いわて県民計画(2019~2028)」と同じ方向性であり、いわて県民計画で既に取り組んでいる内容です。

 4つの条件の1つ目である「イノベーション」とは、技術革新です。

 DX(デジタル・トランスフォーメーション)をはじめ、いわて県民計画の産業、社会・暮らし、行政の各分野でイノベーションを進めています。

 2つ目の条件である「インクルーシブ」とは、障がいの有無、性別、人種などで差別しないということであり、平等であるということです。

 特に、人口の自然減対策・社会減対策の観点からジェンダー平等は大変重要です。

 男は仕事、女は家庭というような「固定的な性別役割分担意識」や性別による無意識の思い込みである「アンコンシャス・バイアス」を払拭し、ジェンダーギャップを解消する必要があります。

 今年は、官民が連携し、ジェンダーギャップ解消をはじめ、若者・女性が暮らしやすく、働きやすく、そして自己実現しやすい岩手を実現していくためにさらに取り組んでいきます。

 職場のみならず、家庭、地域、学校などの様々な場で、ジェンダーギャップが解消されるよう、積極的に意識改革を行い、性別にかかわらず、一人ひとりが生き生きと活躍できる社会の実現に向けて取り組んでいきましょう。

 3つ目の条件「持続可能」とは、脱炭素化や気候変動の緩和など、環境に優しいということです。

 昨年、企業局が発電している再生可能エネルギー電気の全てが、県内に供給されることになり、再生可能エネルギーによる電力の地産地消が進みました。

 トヨタ自動車東日本の岩手工場では、昨年から水力発電で生み出した電力により車を生産しています。

 今、世界でも国内でも生産や経済活動は脱炭素であることが求められており、ますます岩手は産業・経済活動にふさわしい場となっていくことが期待されます。

 4つ目の条件「強靱」とは、自然災害や感染症などの危機に強い体制づくりです。

 近年、短時間で局所的に非常に強い雨が降るという災害が頻発化・激甚化し、一部の地域に大きな被害を与えることが毎年のように発生しています。岩手県ではインフラの老朽化対策や治水対策等を重点的に進めています。

 いわて県民計画第2期アクションプランでは、「自然減対策・社会減対策」、「GXの推進」、「DXの推進」、「安全・安心な地域づくりの推進」の4つを重点事項として掲げており、それは世界が目指す経済成長の姿と同じ方向性であり、地方こそ世界経済の目指す姿を実現することができる場であります。

 国においても、新たな地方創生施策、いわゆる「地方創生2.0」を展開することとしており、「地方こそ成長の主役である」と述べられています。

 ますます、地方が注目され、重要視される中、社会経済情勢の大きな変化を踏まえながら、今年も、いわて県民計画や第2期アクションプランのもと、4つの重点事項を中心に、人口減少対策に最優先で取り組み、県民の幸福度向上を図る10の政策や新しい時代を切り拓くプロジェクトを着実に推進していきましょう。

 

 昨年、「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。岩手は国内最大の規模を誇る「南部杜氏」発祥の地です。岩手が培ってきた酒造りが世界に認められた結果です。

 また、昨年は県産米の作柄が24年ぶりの「良」となり、1等比率も全国1位となりました。県産米の品質の良さは世界に認知されつつあり、海外への輸出額も増加しています。

 観光・文化面においても、ニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52か所」に盛岡市が選ばれ、昨年はイギリス・タイムズ紙の「日本で訪れるべき場所14選」やアメリカの経済誌フォーブスの「2025年に行くべき15か所」にみちのく潮風トレイルが選ばれるなど、岩手の価値や魅力が世界に認められています。

 昨年は東京国立博物館で「中尊寺金色堂 建立900年特別展」が開催されました。多くの入場者に来場いただきました。今年は、「橋野鉄鉱山」が世界遺産登録10周年を迎えます。

 そして、今年は昨年に引き続き、多くの外国船籍のクルーズ船の寄港が見込まれるとともに、秋にはJR東日本と県等が連携し、国内だけではなくインバウンドの呼び込みを含めたキャンペーンが行われます。

 岩手の価値や魅力を全国や世界に広く発信することは、地元の価値や魅力の再認識につながり、若者の地域定着にも良い影響が期待されます。今年も積極的に、岩手の価値や魅力を発信していきましょう。

 

 引き続き、岩手県職員憲章に掲げる5つの信条、「県民本位」、「能力向上」、「明朗快活」、「法令順守」、そして「地域意識」に常に立ち返りながら、今年も力を合わせて取り組んでいきましょう。

 

 職員の皆さんの活躍、そして御多幸を祈念して新年の訓示とします。

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