Q&A(3労働争議のあっせんの手続)
労働争議の調整手続で最も利用されることの多いあっせんの手続についてのQ&Aです。
「あっせん」とはどのような制度ですか?
「あっせん」は、労働争議の調整手続の一つです。あっせん員が、当事者である労使双方の主張を確かめ、対立点を明らかにしながら、労使間の話合いを取りもち、あるいは主張を取りなして、争議が解決するように促す方法です。
「あっせん員」とは何ですか?
通常は、当労働委員会の
- 公益側委員(大学教授、弁護士など)
- 労働者側委員(労働組合役員など)
- 使用者側委員(企業経営者、使用者団体役員など)
から1名ずつ計3名の委員があっせん員となり、1つの事案を担当します。
労働問題に豊かな知識と経験を有する3名のあっせん員が、公平・中立な立場で労使双方の主張を確かめ、場合によってはあっせん案を示して調整を行うなど当事者間の仲立ちをし、歩み寄りを促すことにより紛争が解決するようお手伝いします。
あっせんは、どのような問題が対象となるのでしょうか?
労働条件や労使関係に関するものです。
具体的には、
- 賃金に関すること(賃金カット、諸手当、一時金、退職金など)
- 賃金以外の労働条件に関する事項(労働時間、休日・休暇、定年制など)
- 人事に関すること(解雇、配置転換、人員整理など)
- 団体交渉や組合活動に関することなど
があります。
なお、政治的な要求や当事者と関係のない他の労使問題、労働者間の内部的な問題などは、調整の対象とはなりません。労働者の募集及び採用に関する事項についても対象外となります。
また、労働基準法や雇用機会均等法等の違反の疑いのある問題については、まず、専門の関係機関に御相談ください。
専門関係機関の連絡先については、労働関係機関を参照してください。
あっせんの制度を利用したいのですが。
あっせん等の調整制度を利用するためには、当労働委員会に申請をする必要があります。あっせん等を申請する場合は、申請書を当労働委員会事務局へ持参又は郵送してください。申請書の様式は、このホームページからダウンロードできます。
賃金や労働時間などについて不当な扱いを受けていると感じます。不満を持っていますが、会社とは話し合っていません。このような場合も、あっせんの対象になるのですか?
労働争議の調整の申請を行うためには、労働者と使用者との間で労働争議が発生していることが前提となっています。
したがって、現在不満を持っているというだけでは対象となりません。
労働争議については、自主的解決方法の原則(労働関係調整法第2条、第4条)がありますので、まずは使用者に団体交渉を申し入れ、当事者間による解決を試みてください。
なお、当事者が自主解決のための十分な努力をしていないと認められる場合は、会長はあっせんを行わないことができます(労働委員会規則第65条第2項、第81条の6)。
あっせんを申請すると、すぐにあっせんが開催されるのですか?
あっせん制度は労使紛争の簡易迅速な解決に向けたお手伝いを目的とするものですが、申請があった場合は、被申請者側(労働者側から申請があった場合は使用者側)があっせんに応じるか意向を確認する必要があります。また、原則として自主交渉によって解決が図られることが望ましいので、自主交渉が行われているときはその推移を確認する場合もあります。
このため、労使の一方から申請があった場合、被申請者に対して事情聴取などを行って被申請者の意向や自主交渉の推移を確認し、原則として被申請者からあっせんに応じる意向が示された場合にあっせん員が指名されます。
その上で、あっせん開催のため労使の当事者とあっせん員の日程調整を行うこととなりますので、申請からある程度の期間を要します。
あっせんを申請した後に、調整事項を変更したり追加することはできますか?
あっせんを申請した後であっても、調整事項を変更又は追加することができます。
なお、自主交渉等によって調整事項が自主的に解決ができた場合などあっせんの必要がなくなったときは、調整事項の全部又は一部について、いつでも申請を取り下げることができます。
あっせんは1回で終わるのですか?
あっせんは労使紛争の早期解決を図る制度ですから、できるだけ短期間に解決できるように努めていますが、事件の内容により1回で解決できないとあっせん員が判断した場合は、2回以上にわたって行う場合もあります。
あっせんの出席人数の制限はありますか?
出席人数について制限はありませんが、会場の収容能力の都合上、労使それぞれ5名から6名程度までの出席でお願いしています。
あっせんの開始が決定された後でも労使で自主交渉してもいいのですか? また、申請後に取り下げることはできますか?
労使間の問題は、当事者である労使が話合いで自主的に解決するのが原則です。労働委員会は公平・中立な機関として労使の間に入り、争議解決のための援助を行うものですが、あっせん開始が決定した場合でも、できるだけ自主交渉を進めてください。
なお、その結果、自主的に解決ができた場合などあっせんの必要がなくなったときは、調整事項の全部又は一部について、いつでも申請を取り下げることができます。
あっせんはどのような進行になるのですか?
あっせん員によるあっせんの進行は、次のようになります。
- 事前に通知した開始時間までに、岩手県労働委員会事務局までお越しください。労使の控室は、それぞれ別室となります。
- 開始時間になったら、まず最初に労使双方とあっせん員が一堂に会し、あっせん員からあっせんの進め方や留意事項について説明を行います。
- 会場を移して、あっせん員が労使双方から個別に事情をお聴きします。その間、もう一方の当事者は、控室で待機していただきます。
- 個別の事情聴取のほか、労使それぞれの主張の歩み寄りを図るべく、労働者側には労働者側あっせん員が、使用者には使用者側あっせん員がそれぞれ個別に折衝することがあります。
- 上記のあっせん活動により、あっせん員が歩み寄りが可能と判断した場合は、「あっせん案」を提示する場合があります。
「あっせん案」とは何ですか?
あっせん員が、当事者の事情をしっかり伺った上で、ある程度解決の見込みがあると判断した際は、文書で「あっせん案」を提示する場合があります。
この「あっせん案」を参考にしながら、トラブルの解決ができるよう労使双方に検討を求めます。
なお、この「あっせん案」を受け入れるかどうかは、当事者の自由意思に委ねられています。
あっせんにはどのような心構えで臨めばよいのですか?
あっせんは、労使紛争を自主的に解決するための手助けをするものですから、飽くまで自ら解決するという心構えで臨んでください。あっせんの応諾、あっせん案の受諾など、いかなる段階においても強制することはありませんが、今後より良い労使関係を築いていくためにも、従来の経緯にこだわることなく譲り合いの気持ちを持つことが大切です。
あっせんが開催された場合は、必ず解決してもらえるのでしょうか?
あっせん員が提示したあっせん案を労使双方とも受諾できれば、争議は解決の方向に向かいますし、あっせん案提示に至らなくても、あっせんを契機に、自主的解決を図ることができる場合もあります。
一方、被申請者があっせんを辞退した場合や、あっせんを開催してもどうしても歩み寄りができない場合は、打切りとなります。
労働委員会のあっせんは、あっせんの応諾、進行、あっせん案の受諾など、いかなる段階においても法律上両当事者を強制するものではありません。
あっせん申請することによって、その後、職場で不利益な取扱いを受けないでしょうか?
あっせん申請をはじめ、労働委員会の調整において、労働者が証拠を提示したり発言したりしたことを理由として使用者がその労働者を解雇する等不利益な取扱いをすることは、労働組合法第7条第4号により「不当労働行為」として禁じられています。
あっせんを申請しましたが、相手があっせんに出席しない場合はどうなるのでしょうか?
あっせんの応諾を拒否する相手方に対しては、事務局職員やあっせん員が、あっせんの場に出席するよう説得に努めます。
それでも応じない場合は、労働委員会の調整には強制力がないため、あっせんは打切りとなります。
あっせんには、弁護士も同席させることができるのですか?
あっせんで当事者が対峙する場面は原則としてありませんし、また、あっせん員はあくまで中立の立場であっせんを進めますので、弁護士の同席は必要ない場合がほとんどです。ただし、当事者だけではどうしても不安という事情がありましたら、同席して差し支えありません。
労働委員会に申請をした場合、後日、取り下げることはできますか?
終結するまで、いつでも調整事項(あっせんなどの手続によって解決しようとする事項)の全部又は一部を取り下げることができます。
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