岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会によるコメント

令和3年12月28日、岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会から、国内でオミクロン株による市中感染例が確認されていることを踏まえた見解が示されました。

岩手県新型コロナウイルス感染症に関するコメント

令和3年12月28日
岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会

1　現状分析

(1)　国内での確認状況について（国公表資料等から）

• 12月27日現在、オミクロン株による感染確定例は316例、うち国内輸入関連症例は280例となっている。
• いわゆる市中感染（海外渡航歴がなく、これまで判明したオミクロン株確定例とのリンクが確認されていない感染例）については、大阪府、京都府、東京都、福岡県、愛知県等において確認されている。

(2)　オミクロン株の性状等について（国立感染症研究所第4報抜粋）

• 感染・伝播性：免疫獲得状況や対策の程度が日本の現状とは必ずしも同様でないものの、限られた初期の情報ではあるが海外における疫学的評価から、感染・伝播性の増加が示唆されている。
• ワクチン効果等：査読前論文ではあるが実験室における評価や初期の疫学的評価で、ワクチン2回接種による発病予防効果が低下している可能性が示唆されている。
• 重症度：国内で経過観察されているオミクロン株感染例については全員軽症もしくは無症状で経過しているが、症例数が少なく、海外の報告を併せても現時点では重症度の評価は困難である。

(3)　行政の対応状況

• 検査体制については、当面、スクリーニング検査（L452R 変異株PCR検査での陰性確認）によりオミクロン株の可能性のある検体を検出し、ゲノム解析により確定例か否かを判断するが、県内においては、県環境保健研究センターでスクリーニング検査及びゲノム解析を実施することとしている。
• 県内においてオミクロン株の感染患者（疑い患者を含む。）が確認された場合は、原則として医療機関に入院し、陰圧管理された個室で療養することとされている。
• オミクロン株の感染患者（疑い患者を含む。）の濃厚接触者と判断された方が、県内に滞在している場合は、宿泊療養施設に入所し、毎日の健康観察と定期的なPCR検査を実施することとしている。

2　専門委員会としての見解

(1)　リスク評価

• 全国的な感染リスクに関しては、いわゆる市中感染が大都市圏を中心に確認されているところであり、今後、感染拡大が急速に進むことを想定すべき状況にある。引き続き、国立感染症研究所における評価や諸外国の動向を注視する必要がある。
• 岩手県の感染拡大リスクについては、県内在住者にオミクロン株の市中感染例は確認されておらず、また、帰国者等の濃厚接触者についても国からの連絡が数名あったが、定期的なPCR検査においてウイルスが検出されたのが1名のみであること等から、現段階では感染拡大リスクが高いとは考えにくい。
• ただし、県内でオミクロン株による市中感染が疑われる事例が確認されるなど、感染拡大の兆候が見られた場合に備え、県は県民に対し、「岩手警戒宣言」等の速やかな対応を想定しておく必要がある。

(2)　県民の皆さんへのアドバイス

• 基本的な感染対策（適切なマスク着用、手洗い・手指消毒、ゼロ密、換気等）は、オミクロン株に対しても有効であり、季節性インフルエンザやその他の感染症対策の観点からも、日常的に励行することを推奨します。
• 年末年始の過ごし方については、県内の感染リスクを踏まえると過度な行動自粛の必要はありませんが、普段会わない人々との交流や帰省など人の移動も活発化することで感染が拡大するおそれがあることから、基本的な感染対策を講じるとともに、感染リスクの高い活動を控えた上で、必要な社会活動、経済活動を行っていただくようお願いします。
• 外食については、換気等の感染防止対策がしっかりしている第三者認証店を利用するとともに、必要に応じたワクチン接種済証の活用や、自主的な健康観察（会食前後7日程度）を心がけてください。
• 都道府県をまたぐ移動に関しては、新型コロナウイルス感染症の動向、特に今後急速に感染拡大する可能性のあるオミクロン株による市中感染の状況を注視しながら、ワクチンを接種していない方や重症化リスクのある方（高齢者や基礎疾患のある方等）、また、その家族等においては慎重な検討が必要と考えます。
• 発熱や咳等の症状がある場合は、外出や面会を控え、医療機関での受診・検査を行うよう強く推奨します。