令和2年度（第52回）ガンカモ類の生息調査の実施結果

　環境省では、全国のガン・カモ・ハクチョウ類の冬期における生息状況を把握するため、毎年1月に一斉調査を行っています。

　岩手県では、令和2年度は1月17日を基準日として、令和3年1月16日から18日までに335か所で調査を行い、調査結果は次のとおりとなりました。

ハクチョウ類

• オオハクチョウ3,314羽、コハクチョウ1,255羽の合計4,569羽が記録された。合計数は令和元年度とほぼ同程度で、過去10年間においても平均的な渡来数であった。
• オオハクチョウの個体数は令和元年度より約200羽減少し、増加傾向が続いていたコハクチョウも、過去最高だった令和元年度よりもやや少なくなった。

ハクチョウ類の確認数の多い調査地ベスト3

順位	調査地点	羽数
1	金流川-花泉老松（一関市）	945羽
2	間野々-見前（盛岡市・矢巾町）	494羽
3	黄海川-黄海（一関市）	462羽

ガン類

• 県内の15カ所の調査地点において、3,742羽が記録された。

• コクガン（いわてレッドデータブックBランク、環境省レッドデータブック絶滅危惧2類、国の天然記念物）が、洋野町、山田町の海岸で合計97羽確認された。渡来数は年により変動があるが、平成17年度以降、漸増傾向が続いている。

• マガン（いわてレッドデータブックCランク、環境省レッドデータブック準絶滅危惧種、国の天然記念物）は、一関市の5地点で合計3,630羽が確認されたほか、盛岡市内でも5羽が確認された。年によって数十羽から数千羽まで変動が大きいなか、今回は平成28年の4,389羽に次ぐ、過去2番目に多い渡来数となった。

• シジュウカラガン（環境省レッドデータブック絶滅危惧1A類）は、令和元年度に渡来のあった普代村で10羽が確認された。

ガン類の確認数の多い調査地ベスト3

順位	調査地点	羽数
1	永井鹿沼（一関市）	1,620羽
2	涌津沖（一関市）	1,046羽
3	涌津白浜沖（一関市）	919羽

注）当該3地点で確認されたのは全てマガン 

カモ類

• 合計13,676羽が記録された。15,000羽を下回るのは昭和61年以来であり記録的に少ない渡来数となった。カモ類が少ない傾向は県内各地で確認されたが、特に県南広域振興局管内では令和元年度より9割以上の減少し、盛岡、釜石、二戸広域圏でも半減していた。これは、積雪の多さや湖沼の凍結のために、例年観察されていた群れが移動したことによるとみられる。

• 最も減少した種はオナガガモで、平成23年度から令和元年度までの9年間の平均渡来数の4割未満であった。他には、コガモ、ホシハジロ、カワアイサなども過年度の平均値の半数以下であった。

• 希少なカモ類としては、トモエガモ（いわてレッドデータブックBランク）が釜石市の沿岸部1か所で7羽確認された。

カモ類の確認数の多い調査地ベスト3

順位	調査地点	羽数
1	黄海川-黄海（一関市）	990羽
2	北上川-井戸向橋（花巻市）	698羽
3	田瀬湖-谷内（花巻市）	600羽

餌付けの状況

• 餌付け自粛以前（平成19年度まで）は約50地点で餌付けが報告されていたが、平成30年度は10地点、令和元年度は6地点、令和2年度は7地点であった。

• 令和2年度、餌付された地点に渡来していたハクチョウ類は合計359羽、カモ類は1,190羽で、県全体の渡来数に占める割合はハクチョウ類が7.9％、カモ類が8.7％程度であった。

注）餌付け自粛以前は、ハクチョウ類の60～70％、カモ類の40～50％が餌付け地点に記録されていた。

 

最近10年間の個体数の推移

最近10年間の個体数の推移（単位：羽）

年度	H23	H24	H25	H26	H27	H28	H29	H30	R1	R2	対前年度増減
ハクチョウ類	3,786	3,907	4,715	4,327	4,033	3,850	6,219	4,610	4,851	4,569	282減
ガン類	404	910	591	505	3,122	4,447	179	2,392	1,404	3,742	2,338増
カモ類	23,068	19,608	19,298	20,884	28,021	22,966	21,334	22,265	26,428	13,676	12,752減