令和3年度(第53回)ガンカモ類の生息調査の実施結果
環境省では、全国のガン・カモ・ハクチョウ類の冬期における生息状況を把握するため、毎年1月に一斉調査を行っています。
岩手県では、令和3年度は令和4年1月16日を基準日として、1月15日から17日までに333か所で調査を行い、調査結果は次のとおりとなりました。
ハクチョウ類
オオハクチョウ2,833羽、コハクチョウ1,073羽の合計3,906羽が記録された。両種とも令和2年度より約15%減少しており、オオハクチョウが3,000羽以下となるのは平成13年度以来であった。
減少の傾向は、盛岡市の高松の池をはじめとする県内のハクチョウ類の主要渡来地の多くで認められた。
順位 |
調査地点 |
羽数 |
---|---|---|
1 |
金流川-花泉老松(一関市) |
602羽 |
2 |
千厩-薄衣-高舘橋(一関市) |
450羽 |
3 |
蒲沢堤-油島(一関市) |
444羽 |
ガン類
県内の11ヵ所の調査地点において、合計3,108羽が記録された。
コクガン(いわてレッドデータブックBランク、環境省レッドデータブック絶滅危惧2類、国の天然記念物)が、洋野町の海岸で17羽確認され、増加傾向にあった近年においては極めて少ない渡来数となった。
マガン(いわてレッドデータブックCランク、環境省レッドデータブック準絶滅危惧種、国の天然記念物)は、一関市の7地点で合計2,833羽が確認され、そのうち2,337羽が一関市の永井鹿沼で確認された。その他に、洋野町、盛岡市、矢巾町、北上市、金ケ崎町等で確認された。
シジュウカラガン(いわてレッドデータブック指定なし、環境省レッドデータブック絶滅危惧1A類)とヒシクイ(いわてレッドデータブックBランク、環境省レッドデータブック絶滅危惧2種)が盛岡市と矢巾町にまたがる地域で少数記録された。
順位 |
調査地点 |
羽数 |
---|---|---|
1 |
永井鹿沼(一関市) |
2,337羽 |
2 |
原子内海岸(洋野町) |
239羽 |
3 |
涌津沖(一関市) |
148羽 |
カモ類
合計11,166羽が記録された。令和2年度からみられた減少傾向が続いており、ピーク時(平成16年度)約40,000羽の3分の1以下となった。近年まで1,000羽を超える調査地点が複数あったが、令和3年度の最多観察地点は、盛岡市の高松の池の395羽であった。
減少傾向は多くの種で見られ、特にオナガガモやコガモで顕著であった。
希少なカモ類としては、トモエガモ(いわてレッドデータブックBランク、環境省レッドデータブック絶滅危惧2種)が釜石市の1ヵ所で4羽確認された。
順位 |
調査地点 |
羽数 |
---|---|---|
1 |
高松の池(盛岡市) |
395羽 |
2 |
気仙川-気仙町愛宕下(陸前高田市) |
364羽 |
3 |
蒲沢堤-油島(一関市) |
325羽 |
餌付けの状況
餌付け自粛以前(平成19年度まで)は約50地点で餌付けが報告されていたが、平成30年度は10地点、令和元年度は6地点、令和3年度は6地点であった。
令和3年度、餌付された地点に渡来していたハクチョウ類は合計216羽、カモ類は598羽で、県全体の渡来数に占める割合はハクチョウ類が5.5%、カモ類が5.4%程度であった。
注)餌付け自粛以前は、ハクチョウ類の60~70%、カモ類の40~50%が餌付け地点に記録されていた。
最近10年間の個体数の推移
年度 |
H24 |
H25 |
H26 |
H27 |
H28 |
H29 |
H30 |
R1 |
R2 |
R3 |
対前年度増減 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ハクチョウ類 |
3,907 |
4,715 |
4,327 |
4,033 |
3,850 |
6,219 |
4,610 |
4,851 |
4,569 |
3,906 |
663減 |
ガン類 |
910 |
591 |
505 |
3,122 |
4,447 |
179 |
2,392 |
1,404 |
3,742 |
3,108 |
634減 |
カモ類 |
19,608 |
19,298 |
20,884 |
28,021 |
22,966 |
21,334 |
22,265 |
26,428 |
13,676 |
11,166 |
2,510減 |
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