11月号特集記事「冬期の飼養管理」
朝晩の気温がぐっと下がり始め、岩手山も初冠雪を観測しました。家畜は冬の寒さには比較的耐えられるといわれていますが、畜種や年齢によって差があり、その対策が不十分だと病気の発生や生産性の低下につながることがあります。冬本番を迎える前に、冬期の家畜管理についてもう一度確認しましょう。
全家畜共通の対策
防寒対策
温度管理は畜舎内の気温だけでなく、実際に感じる体感温度が重要です。体感温度が低いと呼吸器病の発生要因となりますので、以下の点に注意しましょう。
体感温度を下げる要因のひとつにすきま風があります。牛では風速1m/秒で体感温度が4℃低下するといわれていますので、畜舎内外を点検し、すきま風の侵入を防ぎましょう。また、湿度の低下は体感温度を低下させるだけでなく、呼吸器病を悪化させます。同じ気温でも湿度が10%下がると体感温度は5℃下がると言われていますので、適正な湿度を保ちましょう。
畜舎内の気温が下がると水道が凍結することがあり、家畜が十分な飲水量を確保できなくなります。水回りを点検し、凍結の危険性がある箇所には保温資材で被覆するなどしましょう。
アンモニア対策
防寒対策のために畜舎内を閉めきってしまうと、アンモニアやほこり、呼気から出る二酸化炭素等で畜舎環境が悪くなります。アンモニアガスの発生は呼吸器病の発生を増加させます。暖かい日中に窓やカーテンを開ける等、十分な換気に努めてください。
畜種別の対策のポイント
牛
肥育牛では、寒さのため飲水量が減って尿が濃くなり尿石症になりやすい時期なので注意が必要です。また、寒い時期は体温を維持するためエネルギーが余分に必要になります。他の時期と同様の栄養管理ではカロリーが不足し、それを補うために身になるべきタンパク質成分が分解され、アンモニアとして尿に排泄されます。そのため、尿pHが上昇して尿石を形成しやすくなります。冬場はトウモロコシ圧片500g~1kgの増量が推奨され、固形のミネラル製剤の設置は必須です。
豚
離乳後の子豚はいろいろなストレスを受け、低温に対して非常に敏感です。離乳直後1週間は28~30℃に保ち、その後1週間に2℃ずつ下げて離乳後1か月で20~22℃になるようにコントロールしましょう。温度×湿度=1000~1500が目安のひとつです。
鶏
肉用鶏では、代謝が最も盛んになるといわれている18℃前後に鶏舎内の温度を保ちましょう。鶏舎温度が下がると飼料をたくさん食べることで熱産生を行い、対応しようとしますが、18℃以下に温度が低下すると熱産生が追い付かず体温も低下し、凍死につながってしまいます。
採卵鶏では、温度の急変が産卵率の低下を起こすので、カーテンですきま風対策をしましょう。
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