身近で悩んでいる人がいたら <私たちにもできるこころの支援を考えよう>
岩手県は全国的にも自殺で亡くなるかたの割合が高く、ピーク時からは減少してきているものの、いまだに多くのかたが自殺で亡くなっています。
平成23年に発生した東日本大震災では、県内でも多くのかたが被災され、避難生活の長期化等によるストレスや大切な人を失った深い悲しみから、心身の不調を感じているかたもいらっしゃいます。
このようにつらい気持ちを抱えているかたを支えているのは、多くの場合家族や友人、職場の同僚など身近なかたがたです。
私たちは誰でも悩んでいるかたと関わる可能性があります。悩んでいる人を支えるために私たちにもできるこころの支援について一緒に考えましょう。
悩んでいる人を支える「ゲートキーパー」
悩んでいる人に、気づき、声をかけ、話を聴いて、必要な支援につなげ、見守る人のことを「命の門番」という意味で、「ゲートキーパー」と呼びます。
ゲートキーパーの役割とは、自殺の危険を抱えた人々に気づき適切にかかわることですが、そのために必要となる特別な資格はありません。地域のかかりつけの医師や保健師などをはじめ、行政や関係機関などの相談窓口、民生委員・児童委員や保健推進委員、ボランティア、家族や同僚、友人といったさまざまな立場の人たちがゲートキーパーの役割を担うことが期待されています。
気づきのポイント
なんだかいつもと様子が違うと感じたら、何か悩みを抱えているかもしれません。
- ため息ばかりついている。
- 最近眠れていないようだ。
- 仕事中もぼーっとしている。
- 食欲もなく、やせてきた。
- 口数が少なくなった。
声かけのポイント
あなたの身近で悩んでいる人がいたら、温かく声をかけてみましょう。
悩んでいる状況を無視せずに心配していることを伝えてみましょう。
声かけの例
- このごろ元気ないようだけどどうしたの?
- つらそうに見えるけど、何か悩んでた?
- だいぶ疲れているようだけどどうしたの?
なぜ声かけが必要なの?
悩みを抱えている人は、さまざまな不安や心配から一人で悩みを抱えてしまうことがあります。
一人で悩みを抱えている人は、孤独感や絶望感を感じているため、気づいたら声をかけて話をよく聴き、一緒に悩み、考えることが孤立を防ぎ安心を与えます。
話を聴くときのポイント
「話を聴くだけでは何もならない」と感じる人もいると思いますが、傾聴は悩みを抱えているかたへの大きな支援となります。
ポイント
- うなづく、相づちを打つなど、真剣に聞いているという姿勢が伝わるように。
- 相手の気持ちを否定したり、相手を責めたりせず、辛さを理解しようという気持ちで。「それはつらいですよね」
- 気持ちを打ち明けてくれたことやこれまで苦労してきたことにねぎらいを。「よく話してくれたね」「これまでよくがんばってきたね」
つなぎ・見守りのポイント
ゲートキーパーは専門家につながる前の初期対応が大切な役割です。
相談先についての情報提供を丁寧におこない、場合によっては一緒に相談に行くなど、適切な専門家につながるよう支援することも大切な役割です。
中には、声をかけてもなかなか相談につながらないかたもいるかもしれません。そんなときには、温かく見守ることも支援の一つです。
自分自身のこころの健康を守るために
セルフケアをしてください。そして、つらいときには人に相談したり、支援を求めたりすることもこころの健康を守るために必要な力です。
つらい状況を乗り越えるための対処法は人それぞれです。
- 疲れた時は休養や睡眠を十分にとること
- 趣味や余暇活動で気分転換をはかること
- 家族や友人、職場の同僚など身近な人とコミュニケーションをはかること
- ものの見方や考え方を変えてみること など
悩んでいる人の話を聴くときには <一人ひとりの語る「物語」を大切にしましょう>
人の語る「物語」には、その人の思いや人生の宝物がたくさん詰まっています。その「物語」を一生懸命聴くことで「あなたを大切に思っている」というメッセージが伝わります。
ここで、作家の浅田次郎さんが「物語の持つ力を岩手の自殺対策に活かしてほしい」と書き下ろした『次郎物語』をご紹介します。
県民一人ひとりがゲートキーパーに
私たちは誰でも悩みを抱えている人と関わる可能性があります。
こころの健康問題に関心を持つこと、身近で悩んでいそうな人に声をかけることなど、あなたにできることからはじめてみませんか。
県民のみなさん一人ひとりがゲートキーパーとしての意識をもち、つながり、支えあっていきましょう。
添付ファイル
誰でもゲートキーパー手帳(いわて版)
普及啓発用リーフレット「あなたも、ゲートキーパー」
普及啓発用ポスター「あなたも、ゲートキーパー」
ダウンロード・印刷して職場や地域などで貼っていただくなど、「ゲートキーパー」について皆さんで共有し、支え合いの輪を広げていただくようお願いします。
普及啓発用カード「あなたも、ゲートキーパー」
「ゲートキーパー」の対応のポイントを紹介しています。
【活用方法】
印刷して二つ折りにしてご活用ください。(印刷時にページサイズを「実際のサイズ」に設定すると、二つ折りで縦6センチ、横約9センチのカードサイズになります。)
「ゲートキーパー」普及啓発用名刺
「ゲートキーパー」について広く周知するため、ゲートキーパー手帳の内容を名刺サイズにしました。印刷して名刺としてご活用ください。
【使用方法】
市販のA4判10面の名刺用紙にサイズを合わせております。氏名等の欄を編集してご使用ください。
(ただし、ミシン目のない台紙からはがすタイプの名刺用紙では裏面の印刷ができないため、両面印刷が可能なタイプの名刺用紙をお使いください。)
誰でもゲートキーパーテキスト
ゲートキーパーの養成研修用に作成したテキストです。
関連情報
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このページに関するお問い合わせ
保健福祉部 障がい保健福祉課 自殺総合対策担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5483 ファクス番号:019-629-5454
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