平成27年度地価調査結果の概要
- 本県の地価は、引き続き下落しているが、住宅地で4年連続、商業地で5年連続で下落幅は縮小傾向を継続。(住宅地:平成26年 -1.3%→平成27年-0.9%、商業地:平成26年 -3.1%→平成27年-2.5%)
- 盛岡市の住宅地の平均変動率が、平成10年(0.3%)以来17年ぶりに上昇(1.0%)に転じた。住環境や利便性の高い盛岡市等の内陸部の住宅地は、上昇地点が大幅に増加。(上昇:34地点、横ばい:33地点)
- 沿岸部では、26地点(住宅地21地点、商業地5地点)で浸水区域外への移転需要等により、引き続き地価が上昇したが、災害公営住宅の整備等復興事業の進捗に伴い上昇幅は縮小。宮古市の平均変動率が震災後初めて下落(-0.9%)。
1 岩手県の地価の動向
(1)住宅地(262地点)
- 県全体では、15年連続の下落となったが、住宅ローン減税や低金利等による住宅需要の下支えや景況感の改善による住宅需要の拡大のほか、浸水区域外への移転需要等により、平均変動率は-0.9%(平成26年:-1.3%)となり、下落幅は4年連続で縮小。
- 県内において上昇した55地点は、盛岡市30地点をはじめとする内陸部34地点と沿岸部21地点。
上昇率が最も大きい地点は、盛岡市向中野5丁目25番5「向中野5-25-10」(盛岡(県)-28)、変動率は8.7%(平成26年: 0.9%)。
平成25年12月に国道46号線盛岡西バイパスが全通し、バイパスの沿道には大型店舗等が進出したことから、住環境及び利便性が向上し、世帯分離や住み替えによる需要等から、周辺の分譲地で高値による土地取引が行われ、地価が上昇。 - 盛岡市の平均変動率は、平成10年度(0.3%)以来17年ぶりに上昇(1.0%)。
盛岡市の周辺地域(上昇:32地点、横ばい:24地点)や流通関係の企業が進出した北上市(上昇:2地点、横ばい:4地点)では、景況感の好転に加え、長年の地価下落による値頃感等により、住環境や利便性の高い地点で上昇又は横ばい。 - 下落率が最も大きい地点は、一関市千厩町千厩字町浦40番1(一関(県)-14)、変動率は-6.9%(平成26年:-5.5)。以前は、東磐井郡の中心地域として高い水準であったが、取引が少ないため地価が下落。
(2)商業地(74地点)
- 県全体では、郊外路線商業施設等への顧客流出に伴う既存商店街の空洞化等により、22年連続の下落となったが、平均変動率は-2.5%(平成26年:-3.1%)となり、下落幅は5年連続で縮小。
- 県内において上昇したのは、沿岸部の5地点。震災による移転需要等から沿岸部の一部で上昇。
上昇率が最も大きい地点は、宮古市南町11番1内「南町11-25」(宮古(県)5-1)、変動率は2.2%(平成26年:0.0%)。宮古市役所の駅前移転に伴い、将来の利便性の向上及び周辺地域での商業適地の希少性が考慮され地価が上昇。 - 下落率が最も大きい地点は、葛巻町葛巻第13地割字葛巻49番(葛巻(県)5-1)、変動率は-7.6%(平成26年:-7.4%)。総人口及び世帯数の減少により、不動産需要が低迷し、地価が下落。
(3)林地(31地点)
- 県全体では、国産材市況の長期低迷や林業就業者の後継者不足等により、21年連続の下落となったが、平均変動率は-1.5%(平成26年:-2.1%)となり、下落幅は4年連続で縮小。
- 震災復興のための公共買収や林地価格の底入れ感等により10地点で横ばい。
用途 |
宅地及び宅地見込地 住宅地 |
宅地及び宅地見込地 宅地見込地 |
宅地及び宅地見込地 商業地 |
宅地及び宅地見込地 工業地 |
宅地及び宅地見込地 計 |
林地 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数(総数) |
262 |
2 |
74 |
14 |
352 |
31 |
383 |
地点数(うち継続) |
262 |
2 |
72 |
14 |
350 |
30 |
380 |
平均価格 |
24,500 |
12,400 |
46,200 |
12,900 |
28,500 |
42,700 |
- |
平均変動率(27年) |
-0.9 |
-1.7 |
-2.5 |
-1.5 |
-1.3 |
-1.5 |
- |
平均変動率(26年) |
-1.3 |
-1.2 |
-3.1 |
-2.5 |
-1.7 |
-2.1 |
- |
(注1) 「平均価格」は、全基準地を対象とし、十の位を四捨五入したものであり、宅地及び宅地見込地は1平方メートル当たり、林地は10アール当たりの平均価格である。
(注2) 「平均変動率」は、継続基準地ごとの価格の対前年度変動率の合計を当該基準地点数で除したものである。
2 沿岸市町村の状況
(1) 住宅地(61地点)
- 61地点の約3割の21地点で上昇し、平均変動率も上昇したが、上昇幅は0.1%(平成26年:1.4%)と縮小。
沿岸部では、浸水を免れた中心市街地周辺の高台等では、移転需要や復興事業に伴う需要等により、昨年度に引続き地価が上昇したが、災害公営住宅及び防災集団移転事業等の復興事業の進捗に伴い、上昇基調は弱まった。 - 沿岸南部では、浸水を免れた高台等の地区では、被災者の移転需要は継続しているが、災害公営住宅等復旧・復興事業の進展及び旧川井村等内陸部の住宅地の価格が下落したため、震災後初めて、宮古市は-0.9%(平成26年:2.3%)下落、釜石市や陸前高田市等では上昇幅が縮小・横ばい。
上昇率が最も大きい市町村は、釜石市の5.2%(平成26年:8.9%)。 - 一方、住宅等の全半壊件数が少なく、被災者の移転需要が少ない沿岸北部(野田村を除く)では、人口減少や景況感の改善が見られないことなどにより、引き続き下落。 下落率が最も大きい市町村は、普代村の-3.1%(平成26年:-3.3%)。
(2)商業地(13地点)
- 13地点の約4割の5地点で上昇したが、平均変動率は-0.9%(平成26年:-0.4%)と2年連続で下落。
既存商店街が被災した3市において、震災による移転需要や商業適地の希少性等を背景とした土地取引の増加等から、昨年度に引き続き上昇。 - 上昇率が最も大きい市町村は、釜石市の1.6%(平成26年:2.9%)。下落率が最も大きい市町村は、洋野町の-4.9%(平成26年:-5.1%)
市町村名 |
宮古市 |
大船渡市 |
久慈市 |
陸前高田市 |
釜石市 |
大槌町 |
山田町 |
岩泉町 |
田野畑村 |
普代村 |
野田村 |
洋野町 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数 |
13 |
9 |
8 |
5 |
6 |
3 |
2 |
2 |
3 |
2 |
2 |
6 |
61 |
うち継続 |
13 |
9 |
8 |
5 |
6 |
3 |
2 |
2 |
3 |
2 |
2 |
6 |
61 |
27年 |
-0.9 |
1.2 |
-2.1 |
1.9 |
5.2 |
1.4 |
4.2 |
-3.1 |
-1.6 |
-3.1 |
1.1 |
-2.4 |
0.1 |
26年 |
2.3 |
4.0 |
-3.1 |
2.1 |
8.9 |
3.2 |
4.3 |
-3.7 |
-1.4 |
-3.3 |
2.4 |
-2.8 |
1.4 |
25年 |
3.2 |
4.0 |
-4.3 |
1.4 |
8.1 |
18.4 |
14.0 |
-5.6 |
-1.4 |
-4.7 |
2.5 |
-3.8 |
2.2 |
24年 |
0.3 |
-2.3 |
-4.7 |
14.6 |
0.5 |
1.8 |
2.3 |
-6.2 |
-1.4 |
-4.7 |
4.0 |
-2.4 |
-1.3 |
市町村名 |
宮古市 |
大船渡市 |
久慈市 |
陸前高田市 |
釜石市 |
大槌町 |
山田町 |
岩泉町 |
田野畑村 |
普代村 |
野田村 |
洋野町 |
合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数 |
3 |
2 |
2 |
2 |
1 |
1 |
2 |
13 |
|||||
うち継続 |
3 |
2 |
2 |
2 |
1 |
1 |
2 |
13 |
|||||
27年 |
1.1 |
1.0 |
-3.4 |
1.6 |
-3.3 |
0.0 |
-4.9 |
-0.9 |
|||||
26年 |
0.4 |
5.8 |
-5.5 |
2.9 |
-3.2 |
0.0 |
-5.1 |
-0.4 |
|||||
25年 |
1.6 |
6.3 |
-5.6 |
3.5 |
-3.1 |
4.7 |
-5.6 |
0.0 |
|||||
24年 |
-4.6 |
0.0 |
-6.0 |
-1.5 |
-5.8 |
-3.2 |
-4.9 |
-4.1 |
(注)各年度の「合計」欄は、沿岸市町村の継続基準地ごとの価格の対前年度変動率の合計を当該基準地点数で除したものである。
地価調査制度の概要
- 根拠法令:国土利用計画法施行令(昭和49年政令第387号)第9条第1項
- 調査目的:土地の正常な価格を示すことにより、一般の土地取引価格に対して指標を与え、又、公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与すること。
国においては、地価公示法に基づき、毎年1月1日の正常な価格を判定し公示している。 - 調査主体:岩手県
- 調査対象:県内33市町村の383地点
- 価格時点:平成27年7月1日
- 価格判定:不動産鑑定士の鑑定評価結果に基づき、県が基準地の標準価格を判定する。
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環境生活部 環境保全課 環境影響評価・土地利用担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
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