平成24年度地価調査結果の概要
1 地価調査制度の概要
- 根拠法令:国土利用計画法施行令(昭和49年政令第387号)第9条第1項
- 調査目的:地価公示とともに土地の正常な価格を示すことにより、一般の土地取引価格に対して指標を与え、又、公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与すること。
- 調査主体:岩手県
- 調査対象:県内33市町村の395地点
- 価格時点:平成24年7月1日
- 価格判定:不動産鑑定士の鑑定評価に基づき、県が基準地の標準価格を判定する。
2 岩手県の地価の動向
(1)住宅地(265地点)
- 昨年度の地価調査において震災の影響により地価が大幅に下落した沿岸地域では、一部で上昇や横ばいの地点がみられたが、県全体としては人口の減少や景気の先行き不透明感を背景とした住宅地の需要減退などにより、12年連続の下落となった。
- 前年度より継続調査した257地点の平均変動率は-3.8%(平成23年:-4.7%)となり、下落率は縮小した。
- 県内において上昇したのは沿岸市町村の8地点(平成23年なし)となり、そのうち最も上昇率が大きな地点は陸前高田市米崎町字松峰59番7(陸前高田(県)‐2)の+14.6%で、全国第1位の上昇率となった。
同地点は、昨年度は震災の影響により大幅に下落(-16.0%、下落率全国第4位)しており、本年度は復興により震災前価格への回復の途上と見られ、震災前価格よりやや低位となっている。
(平成22年 16,300円、平方メートル、平成23年 13,700円、平方メートル、平成24年 15,700円、平方メートル) - 一方、下落率の最も大きな地点は、盛岡市山岸4丁目26番9(盛岡(県)-13)であり、その変動率は-9.1%(平成23年:陸前高田市米崎町字松峰59番7-16.0%)であった。
(2)商業地(65地点)
- 沿岸地域において震災による移転需要から一部に横ばいの地点が見られたが、県全体としては空き店舗の増加や郊外型商業施設への顧客流出に伴う既成商店街の空洞化の進展などにより、19年連続の下落となった。
- 前年度より継続調査した63地点の平均変動率は-5.7%(平成23年:-6.4%)となり、下落率が縮小した。
- 県内において上昇した地点はなく、下落率の最も大きな地点は、花巻市大通り1丁目330番4「住友生命花巻支部」(花巻(県)5-2)であり、その変動率は-12.4%(平成23年:奥州市水沢区中町86番「マリヤ化粧品店」-11.2%)となった。
(3)林地(31地点)
長年続いてきた大幅下落による底値感などから、下落率は縮小したものの、全体的には林業就業者の離職及び不況等の影響による国産材市況の長期低迷などにより、18年連続の下落となった。前年度より継続調査した29地点の平均変動率は-6.6%(平成23年:-8.8%)であった。
用途 |
宅地及び宅地見込地 住宅地 |
宅地及び宅地見込地 宅地見込地 |
宅地及び宅地見込地 商業地 |
宅地及び宅地見込地 準工業地 |
宅地及び宅地見込地 工業地 |
宅地及び宅地見込地 調区内宅地 |
宅地及び宅地見込地 計 |
林地 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
地点数(総数) | 265 | 2 | 65 | 11 | 12 | 9 | 364 | 31 | 395 |
地点数(うち継続) | 257 | 2 | 63 | 10 | 11 | 9 | 352 | 29 | 381 |
平均価格 | 25,300 | 13,100 | 49,800 | 31,000 | 13,200 | 15,100 | 29,200 | 47,700 | なし |
平均変動率(平成24年) | -3.8 | -3.8 | -5.7 | -4.8 | -4.8 | -6.1 | -4.2 | -6.6 | なし |
平均変動率(平成23年) | -4.7 | -3.7 | -6.4 | -4.3 | -5.5 | -6.1 | -5.1 | -8.8 | なし |
- 『平均価格』は全基準地を対象とし、十の位を四捨五入したものであり、宅地及び宅地見込地は1平方メートル当たり、林地については10アール当たりの平均価格である。
- 『平均変動率』は、継続基準地ごとの価格の対前年度変動率の合計を当該基準地点数で除したものである。
- 『調区内宅地』は、市街化調整区域内の現況宅地である。
3 沿岸市町村の状況について
(1)調査地点数(林地を除く)
東日本大震災により甚大な被害を受けた沿岸市町村では、昨年度調査した休止した11地点のうち10地点を選定替(用途替)し、23年度からの継続調査地点71地点と合わせて、合計81地点を調査した。
市町村名 | 宮古 | 大船渡 | 久慈 | 陸前高田 | 釜石 | 大槌 | 山田 | 岩泉 | 田野畑 | 普代 | 野田 | 洋野 | 計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
平成23年度 | 17 | 11 | 11 | 1 | 8 | 1 | 1 | 2 | 3 | 4 | 3 | 9 | 71 |
平成23年休止 | 1 | 1 | 0 | 4 | 1 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 11 |
選定替・用途替 | 1 | 1 | 0 | 4 | 0 | 2 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 10 |
廃止 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 |
平成24年度 | 18 | 12 | 11 | 5 | 8 | 3 | 3 | 2 | 3 | 4 | 3 | 9 | 81 |
- 『平成23年休止』は、震災の影響により適切な候補地を選定できなかったため、調査を休止した地点。
- 『選定替・用途替』は、昨年度の地価調査において休止した地点のうち、適切な地点を新たに選定した地点で、「選定替」が同一市町村内で同一用途の基準地を、「用途替」が同一市町村内で用途を変更して選定した基準地。
- 『廃止』地点は、昨年度休止した地点のうち、適切な選定替候補地がなかったため廃止(調査を実施しなかった)した地点。
(2)平均変動率
住宅地
- 昨年度は震災による鉄道等交通施設、公共施設、港湾施設等の都市機能の喪失等の影響から下落率が大きく拡大したが、今年度は復興に伴う都市機能の回復により震災前価格へ回帰する動きが見られ、一部の市町村で地価が上昇したものの、沿岸12市町村平均では下落(-1.3%)した。
- 市町村別平均変動率が最も大きく上昇したのは、陸前高田市の+14.6%(平成23年は上昇、横ばいなし)で、下落率が最も大きかったのは岩泉町の-6.2%(平成23年:陸前高田市-16.0%)であった。
商業地
- 昨年度は震災による都市機能の喪失等による減価及び空き店舗の増加や既成商店街の空洞化の進展などの一般的な需要の減退によって下落率が拡大したが、今年度は移転需要や都市機能の回復に伴う震災前価格へ回帰する動きが見られ、下落率は縮小したものの、沿岸12市町村平均では下落(-4.1%)した。
- 市町村別平均変動率が上昇した市町村はなく、大船渡市で横ばい0.0%(平成23年は上昇、横ばいなし)下落率が最も大きかったのは、久慈市の-6.0%(平成23年:宮古市-9.3%)であった。
市町村名 | 宮古 | 大船渡 | 久慈 | 陸前高田 | 釜石 | 大槌 | 山田 | 岩泉 | 田野畑 | 普代 | 野田 | 洋野 | 平均 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
住宅地(平成24年) | 0.3 | -2.3 | -4.7 | 14.6 | 0.5 | 1.8 | 2.3 | -6.2 | -1.4 | -4.7 | 4.0 | -2.4 | -1.3 |
住宅地(平成23年) | -4.0 | -6.2 | -5.2 | -16.0 | -5.8 | なし | -14.7 | -7.6 | -4.0 | -2.6 | -6.6 | -2.3 | -5.1 |
商業地(平成24年) | -4.6 | 0.0 | -6.0 | なし | -1.5 | なし | なし | なし | なし | -5.8 | -3.2 | -4.9 | -4.1 |
商業地(平成23年) | -9.3 | -7.9 | -7.6 | なし | -5.7 | なし | なし | なし | なし | -5.5 | なし | -4.6 | -6.6 |
- 『-』は、震災の影響で継続調査地点がなく、平均変動率が算出できなかったもの。(「なし」は基準地が設定されていない市町村)
- 『平均』欄は、沿岸市町村の継続基準地ごとの価格の対前年度変動率の合計を当該基準地点数で除したものである。
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