令和7年4月11日知事会見記録
開催日時
令和7年4月11日10時00分から10時55分まで
会見記録
広聴広報課
ただいまから記者会見を行います。本日は知事からの発表はございません。
幹事社
今日の会見では、幹事社を通しての記者クラブを代表した質問はありませんので、各社お並びの皆さん、質問があれば挙手をしてお願いします。度々お願いしていることではあるのですが、手話通訳の方もいらっしゃいます。あと、皆さんも一生懸命メモをお取りになりますので、幾分かゆっくりとお話しいただけると皆さんお仕事がしやすいのではないかなと思います。御協力よろしくお願いします。
記者
私から2点大きくお伺いいたします。まずは、大船渡市の大規模林野火災について伺います。今月7日に発生41日目で鎮火したということになりました。今後、復旧復興にフェーズが移ると思いますが、被災者の生活再建、またキャンセルの相次いでいる観光業を含む、なりわいの再生支援等について、現状の検討状況をまずはお聞かせください。
知事
鎮火に至ったのは本当によかったと思います。鎮圧から鎮火まで時間がかかりましたけれども、2,900ヘクタール延焼した中で、熱源を探し、くすぶっている火元がないかをチェックするというのは本当に大変だったと思います。おかげさまで鎮火に至ったということ、消防の関係の皆さん、そして、大船渡市関係の皆さんに感謝したいと思います。
先週の金曜日に、農林水産大臣に大船渡市に来ていただいて、漁網、網ですね、定置網とそれを保管していた倉庫の被害に関して、国が特別の支援を行うということが発表になりました。これは、並行して県と市のほうでもそれとセットで支援を行うことで、網についても倉庫についても、地元負担を4分の1に抑えることができますので、その線で県のほうとしても、これは新たな予算を県としても用意する必要がありますので、基本的には補正予算を、早速新年度最初の補正予算を準備する方向で今調整をしています。
そして、林業の関係についても、国からの特別の支援が発表になりました。林業は、まだ被害の詳しいところを調査中のところが多いのですけれども、土砂災害防止に関しては緊急性が高く、今県のほうではどういったところが危険箇所なのかというのを調べていますけれども、これが大体見えてきたら、それに対する砂防事業という枠組みでの予算になるわけですよね。そちらのほうは、漁網倉庫のほうはもう被害の様態が、被害の様子がほぼ見えて確定しているので、予算措置もすぐできそうではあるのですけれども、砂防事業のほうはそれと同じタイミングになるかは、今の段階ではまだ言えませんけれども、できるだけ早くこちらも予算を確保していきたいと思います。
そして、暮らしの再建の関係は、これは既に予算措置した中から様々提供できるようになっているわけで、家電製品の提供についてもそうです。やれることをどんどんやっていくというところです。全体として大まかにそんなところです。
記者
ありがとうございます。住宅再建のほうですけれども、公的支援については、全壊の場合に最大300万円の支援金が支給されるということになっておりますけれども、昨今の建築単価の高騰があって希望する形での再建がなされないと、そういった声もあります。そういった中で、こういった現状について県としてはどのように対応していきたいとお考えでしょうか。
知事
国にさらなる上積み、上乗せを県からも要望しているところでありまして、300万円プラスアルファがあったほうがいいという中、一方、どういう形でそれを確保するのかということについては、まだ関係者間で調整中、検討中というところであります。
記者
ありがとうございます。話題替わりまして、アメリカのトランプ政権による関税措置について伺います。9日に相互関税の第2弾が発動され、自動車のほか幅広い品目に高い関税が課されるということになりましたが、県内の影響について、知事としてはどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。
知事
そもそも当初言っていた関税措置に対して、90日間の猶予を設けることのように、大きく話が違ってきているところもあるのですが、自動車関係など、当初言っていたとおりに進んでいるところもあります。自動車関係では、岩手県内で生産されているコンパクト車というのはアメリカへの輸出ではなくて、輸出はヨーロッパ、また、国内で一番売れるような車の生産で、国内での販売が非常に多いというところで、今の生産の体制を揺るがすような大きい影響はないのかなとは思っていますけれども、ただ会社全体として、いわゆるトランプ関税から受ける影響は大きいと思います。
国も経済産業省も、全国の経済産業局を集めて会議を開いたり、あと日本の貿易を見ている機関、ジェトロ(日本貿易振興機構)も全国会議を開いたりしているので、個々の車種についてどのくらいの関税で、どのくらい売行きが下がるかとか、この車種は24%ぐらい高くなってもやはり売れるのではないかとか、そういった分析が必要になるのだと思います。その上で、では現地生産に切り替えるのか、それともアメリカ以外の売り先に売っていくようにするのか、そこでいろんな対応があり得て、政府やジェトロもそこには非常に関心を持ち、関係企業とそこは情報の共有をしながら、戦略を練って対応していくのだと思います。ですから、個別の自動車なら自動車という品目、あと半導体とかといった品目ごとの対応は、そのような国と企業が連携しながら対応を図っていくということになると思います。その中で、損害を最小化するということが目指されると思います。
あとは、米中では今や関税アップの応酬が続いて、貿易戦争のような格好になっています。米中の貿易額は、世界貿易の中でも結構それなりの割合を占めていて、それが失われたりなくなったりしますと世界経済全体が縮小し、各国経済もそれに応じて縮小するという不景気が想定されます。これについては、やはり内需拡大ということを改めて力を入れるべき局面だと思います。地方経済を強くし、日本が地方経済の力強さで日本経済を支えていくというような。今でも日本は、貿易は日本経済全体の20%ぐらいなので、8割が国内経済という、実は内需主導型の経済構造なのですけれども、ただこれが弱いと貿易がマイナスになったとき、日本経済も大きいマイナスになりますので、やはり貿易のマイナスを補うくらいの、さらに補って余りあるくらいの強い国内経済、それはイコール地方経済ということなのですが、そこを国が先頭に立って、そして国と地方が連携してやっていくということが今求められていて、それをうまくやっていけば、トランプ関税のダメージというのは岩手においても最小限にしていけるのではないかと思います。
あともう一つ、岩手も近年輸出に力を入れていて、アメリカへの輸出にも力を入れています。一つの考え方は、もともと高くても売れるというものを売っていく、お米、牛肉、リンゴがそうですけれども、もともと高くても、アメリカ国内の同じものよりはるかに高い値段で提供するけれども、でもクオリティーが高いし、ほかにないオンリーワンの価値があるので、高くても買うというようなものを輸出していますので、24、5%値上がりしても買いますよというような方々に買っていただくような、セールスを工夫していくことが一つだと思っています。
あとは、日本全体にとっても、岩手にとっても、アメリカへの輸出というのはそんな半分近くを占めるとかそういう大きさではなく、ちょっと正確な数字はぱっと出ないのですが、日本全体にとって2割ぐらいだったかなとか、岩手にとってもそれとあまり変わらない数字と記憶しているのですけれども、ですから東南アジアへの輸出も増やそうとしていますし、去年全国知事会ではヨーロッパへのアプローチをやって、今年は全国知事会、韓国へのアプローチをしますし、あと中国という輸出先もありますので、アメリカへの輸出が減るとしても、ほかへの輸出でそれを補っていけば、全体として輸出を増やすということも可能ではないかと考えております。
記者
ありがとうございます。先ほど影響の部分では大きいという捉え方でございました。県内企業の支援については、県内の地銀3行が相談窓口を設けたりとか、そういった措置を取られています。県としては、そういった同様の対応を取られる予定はございますでしょうか。
知事
そうですね。影響の大きさといっても、経済規模の2割のそのまた一部が減るかもしれない、ただそこも押し戻せる可能性ありぐらいの大きさではあるのですが、ただ様々な賃上げにせよ、それから物価の問題にせよ、0.数%のところで暮らしがきつくなったりとか、0.数%で中小企業の経営がきつくなったりという、そういう0.数%の世界でせめぎ合っているのが実態なので、そういう視点からすると、たとえ数%のマイナスでもそれは非常に大きいところになるので、そこはしっかり県内経済の状況を見て、県内経済、そして、県民生活が著しく低下しないように手を打っていく必要はあると考えています。
ちなみに、株価が基本的には半年先の実体経済を予測して動くという法則といいますか、傾向があり、トランプ関税で株価が急に下がったり、一時上がったけれども、また下がったりとかしているのですけれども、トランプ関税で貿易が縮小するということが半年続けば、そのくらいの今回の株価の低下が示したぐらいの実体経済の落ち込み、縮小が半年ぐらい先には起きているだろうという一種の予測を株式市場はしていると見ていまして、だから今すぐ実体経済があのくらい縮小するわけではないのですよね。マネー経済の縮小、株式の変動が半年後の実体経済を予想しているという観点からは、今の落ち込みが半年先の実体経済を予測するという意味で、今すぐにはあれだけの落ち込みはないのですが、ただ事態が今の悪さのままで推移すると、半年後には実体経済がそのくらい落ち込んでいる可能性がありますので、それに対しては国にも対策を準備するよう求めたいと思いますし、岩手としても準備をしていかなければならないと思っています。
記者
私からは、災害援護資金の延長について、今月に入って防災担当大臣、復興担当大臣双方から猶予も含めた特約の必要性について言及がありました。こうした発言についての知事の現在の受け止めというところと、県としてもこれまでも繰り返し国に重要なテーマの一つとして要望してきたかと思いますので、そういったところが届いたのかなというふうにも思いますが、その点の受け止めも併せてお願いいたします。
知事
国のほうで猶予をしようとしているというのはいい知らせだと思います。実態として返済困難な人たちが大勢いますので、そういう実態を踏まえて市町村においても無理な取立てが困難と、ではすぐそれを立て替えるのかというと、またそれも市町村財政の観点からそう簡単ではないという実態の重なりの中で、国として猶予というのは当然の方向性だと思いますので、そういう実態に合った柔軟な対応を引き続き国に求めていきたいと思います。
記者
ありがとうございます。もう一点お願いいたします。先日もりおか舞妓(まいこ)の募集に関する年齢要件の関連で、盛岡商工会議所の会頭の谷村会頭から、男性は若い方を呼ぶというふうな、一定程度ちょっと不適切とも捉えられかねないような発言がありました。こうした発言についての知事の受け止めをお伺いしたいです。
知事
盛岡芸妓(げいぎ)の人材育成に関しては、何年も前からいろんなやり方が行われてきているわけですけれども、盛岡商工会議所としてやろうとしている人材育成というのは、若い人を対象にして盛岡芸妓さんは唄と踊りと楽器ができるというのが基本なので、それが今全然できなくても研修によって、人材育成によって盛岡芸妓になれるという、そういうコースを設けようということで、若い世代を対象にしているということだと思いますけれども、なぜそこに年齢制限があるのかという質問は、そういう意味では、なぜそれを聞かれるのか分からないというところもあったと思うのです。そういう若い世代を対象にした人材育成コースであって、それ以上の年齢の人でもお稽古して3つの技能、技芸を身につければ誰だって、その業界が認めれば盛岡芸妓にはなれるし、実際花巻芸妓というのでしょうか、花巻の方が盛岡芸妓さんと一緒に舞台に出たり、お座敷に出たりということも今あるみたいですから、そういう技芸を身につけた方であれば、何歳でもいつでも盛岡芸妓にはなれる中、あくまで人材育成として若い世代を対象にしようということでやるということだと思うので、それは別に年齢差別でも何でもない発想なのに、なぜそこを食い下がられるのかという中で、いろいろ若いメリットを考えて、その場でしゃべらなければならなくなった中で、後から考えればしゃべらなかったであろうことまでしゃべってしまったという釈明を本人がされているようですから、そのとおりかなと思います。
記者
知事は今年度、ジェンダー的にも岩手県は進めていかなければいけないという御発言もあった中で、こうした発言が商工会議所トップのほうから出ていることについてはどのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
知事
御本人が釈明されているので、そこはやはりジェンダーギャップをなくすというか、年齢の問題ですけれども、年齢による差別をなくそうということへのコミットをされていると思います。
記者
あさって13日に大阪・関西万博が開幕します。知事も明日のレセプションや開会式に出席を予定されているかと思いますが、万博に期待することなど開幕に当たっての所感を教えてください。また、5月には復興庁の展示も予定されているかと思いますが、県として万博を通じて発信を予定しているもの、発信していきたいものについても併せて教えてください。
知事
そうですね。ミラノ万博でも日本館で東北デー、何日間か東日本大震災復興の報告と、そして、日本酒をはじめ、東北の魅力を伝えるということをやったのですが、大阪(・関西)万博もそれをする非常にいい機会というふうに考えています。また、ミラノよりアクセスもよく、いろんなことがやりやすいので、5月19日から5月24日に復興庁展示というのが行われ、その中で復興の姿と、そして、東北の魅力を発信する中で、岩手についても発信していきたいと思います。
また、6月13日から15日まで東北6県合同出展という魅力発信にウエートを置いた、重点を置いた企画も用意されておりまして、こちらのほうもうまく発信をしていきたいと思います。
記者
日本全体という意味で期待されていることがあれば、併せて伺えればと思います。
知事
そうですね。私が外務省で働いていたときに、末端ではあるのですけれども、万国博覧会を担当したことがあり、万博条約(国際博覧会条約)なども読んだことがありますし、そして、幾つかの万博を視察に行ったこともあって、あまり日本の人が見に行っていないところでは、ドイツでやったハノーバー万博も視察に行ったりしていて、これは衆議院議員として視察に行っているのですけれども、万博というものはそのときそのときの国際情勢を背景にしながら、一つはやはり平和を目指すという方向性、そして、そのときそのときの技術ですよね、テクノロジーを生かして何ができるかという二つの方向性で、やりようによっては非常に有意義なものになると思っています。今回の大阪(・関西)万博についても、「いのち」というのをテーマにしながら、そういう国際協調路線と技術が人類にいい影響を及ぼす方向性が模索されていると思います。2010年の上海万博は、岩手県がプーアル茶と南部鉄瓶のコラボで1か月ぐらいでしたか、ブース展示をやったりしたのですけれども、上海はじめ、中国の人たちにとって万博というのは非常に新鮮で、そこにアピールする効果は非常に大きかったなと思っています。
大阪(・関西)万博は、万博として日本で3回目になるわけですが、初めての万博というような新鮮さはないかもしれないのですが、経験を積んだ分、国際協調ということや技術をいい方向に生かしていくということについて、より深い展示などができるのではないかなと思います。そういうのがあることを期待したいですし、岩手も復興というテーマ、また、東北の一員として、地方というのも平和を目指す国際社会の動きや技術を生かして人類をより幸福にということで、大きな役割を地方も果たせるということを大阪(・関西)万博でアピールできればいいなと思います。
記者
またちょっと貿易の話なのですけれども、アメリカは関税を一応停止で、どうなるか分かりませんけれども、それに絡んで外(国)為(替)のほうが非常に動いていまして、今朝142円、今143円の半ばぐらいです。これは、アメリカが駄目だから東南アジアに行こうとか、そういう人にも等しくかかってくる負担なので、それこそ先ほど日本酒の話もされたり、1次産業も外(国)に活路を見いだそうとしているところも多いと思います。こういった意味からも県内経済への影響というのはあると思うのですけれども、その辺御所感を。
知事
円安ではなくて円高問題ということですね。円安がきっかけになってインバウンドが増え、そして、日本を直接経験した人たちが、日本の食べ物をはじめ、日本の普通の人たちが享受している文化とか活動の、非常によさというものを実感して、自分の国に帰っても、そういうものを消費したり、また日本に来たいというふうになっていったりということがここ10年伸びてきているわけですが、その中で多少値段が高くても消費したいとか、多少お金がかかっても日本に行って経験したいとか、そういうのが見えてきていると思うのです。日本のインバウンドの急増は、最初は円安ということが直接のきっかけだったと思うのですけれども、その中で高くても利用するというようなものが見えてきていると思うので、さっきアメリカ対策で述べたような高くても売れるものを岩手として提供する、そして、お金がかかっても岩手に来ていろいろ経験したいという人たちを確保していくというところに力を入れたいと思います。
記者
山林火災に関連してなのですけれども、今日総務省消防庁のほうで有識者会議の初会合が開かれます。その中で、今後取り組むべき火災予防や消防活動、装備技術の充実強化などについて話し合われるかと思うのですけれども、まずこの会議に期待するところ、知事の所感をお聞かせください。
知事
大船渡の林野火災、2,900ヘクタールという規模は、現代日本で緊急消防援助隊が消火活動したものとしては最大規模だったと思います。そして、空中消火との連携であったり、また、気象条件がいろいろ変わる中で、地上部隊が一定のチーム編成で役割分担をしながら、同時に連携もし、風向きが変わったので、大きく部隊を移動しての地上消火の展開というのもありました。そういう大規模山林火災消火をより効果的にやっていくための調査研究、そして、分析ということが行われて、日本の消防力が大きく発展することを期待したいと思います。
記者
同じような目的で、県として取り組むこと、もしくはこの有識者会議のほうとかに関わることというのはあったりするのでしょうか。
知事
緊急消防援助隊の運用や、それと空中消火の連携などは、もうオールジャパン、全国区の検討事項かと思うのですが、消防庁長官から、岩手県、そして、大船渡市は受援が大変よかったと、援助、支援を受ける受援ですね、受援が大変よかったとお褒めの言葉はいただいていますが、この受援の在り方というのは、より高めようと思えば、どんどん高められるものでもありましょうから、そういうところは地元として検討していくべきテーマだと思います。
記者
私も相互関税の件に戻ってお話をお聞きしたいと思います。先ほどもやり取りをお聞きしておりました。米、牛肉、リンゴと、岩手が誇るブランドを高い価値があるものとして売っていくというのもあるのですけれども、例えば南部鉄瓶とか、あとほかにも農産物で幾つか北米、特にアメリカに輸出しているのもあるのかなと思うのですけれども、それも含めてということになると、知事としてはやはり先ほどおっしゃったような戦略でいくということでよろしいのでしょうか。
知事
基本的には、高くても売れるようなものを買ってくれる人たちに売っていくという戦略だと思います。そして、それでアメリカでの売れ行きが減るようであれば、アメリカ以外のところで増やすということを考えるということが基本だと思います。
記者
あともう一つ、関連しておっしゃっていた内需拡大型の経済というところですが、そういったものはある意味外貨獲得ということで、インバウンドだったり、やっぱり輸出も入るのか……輸出は入らないですね、内需拡大なので、と思うのですが、具体的に何かイメージしている、ここを強化したいとかという内需拡大の路線というか、方針があればお知らせください。
知事
まず思いつくのは、インバウンドで海外から来る人たちが、地元の人も気づいていないような、岩手県なら岩手県のよさを発見してくれていて、盛岡の喫茶店文化とかを発見してくれているのですけれども、これは日本人観光客にとっても魅力的であるはずですし、日本、各都道府県、各市町村、やはりお互いにもっと行ったり来たりして、それぞれの地域が育んできた、生活文化と言っていいと思うのですが、食を中心とした生活文化の豊かさというのを、お互いに、それをお金を払って利用、活用し合うということをもっとやるべきだと思います。それは、お互いに行き来するだけではなくて、お互いの物産をより利用し合うということで、NHKの「明るい農村」という番組が、昔は農家、農村の苦労話を紹介し合うような番組だと記憶しているのですが、最近はそれが「うまいッ!」という番組になって、いかにクオリティーの高い、レベルの高い農林水産物を日本の各地域が生産しているかというのを紹介する番組になっていて、あれをたまに見ますと、自分が今まで知らなかった、ものすごく食べてみたいなと思うようなものが日本のあちこちで作られているというのが紹介されているので、それはやはり日本国民同士で消費し合うということが非常に大事だと思います。そういうことは地域振興にも直結しますから、お互いの地域の地元への誇りを高めて、そして、守り育まれてきた地域のよさというのを更に発展させるということをお互いやりながら、経済効果も高めていくということを、インバウンドをヒントにして今やるべき内需拡大路線だと思います。
記者
ありがとうございます。そういった意味で、一つ、米に関してなのですけれども、政府が備蓄米の放出について、夏まで随時行っていくというお話もありましたし、米の価格がやはりなかなか下がらないというところがあります。当然適正価格ということで考えれば、ある程度値が張ってもというのは、前の会見でも知事がおっしゃっていたので、私もそうだと思うのですが、政府の米政策と備蓄米、特に岩手では流通するのか、なかなかちょっと情報がないのですけれども、その辺りも踏まえて、知事の今の御認識と、あと政府の政策そのものについて改めてお聞きしたいと思います。
知事
日本国内において、お米という商品がちょっとでも不足感が見えてきたら値段が跳ね上がる、それだけ高くても買うという商品なのだということが見えてきたのだと思うのです。高くても買う人がいるというのは、それはそれで、それだけ必要とされているのだなということではあるのですが、ただ全ての人がその高い価格を1年間ずっと続けられるわけでもないわけですので、やはり不足感が出ないようにしていくということが非常に重要ということがみんなに見えてきているのだと思います。今までの減反的な政策で、毎年毎年ぎりぎりしか生産しないという、日本の消費がどんどん減るのに合わせ、毎年生産を減らして、ぎりぎりしか、できるだけ余らないような生産に抑えるというやり方が、ちょっと需要が増えたり、生産が猛暑で落ち込んだりしたときに、物価の跳ね上がりにつながるということが分かったので、やはり生産をもうちょっと増やしていくというか、消費に比べて余裕ある生産量を実現することが必要ということなのだと思います。
記者
報道とかでも、確かに余裕あって作るということなのですけれども、県内も含めて、生産者の高齢化とか、作れるようになっても、今さらもう作る余力がないというようなところもあって、なかなか痛しかゆしなのかなと思うのですが、その点は、そういう側面からは知事はどう捉えていらっしゃいますか。
知事
市場原理に任せていると結構余るなというふうな状況だと、値段がかなり安くなってしまうというのも米の特徴で、それで中長期的に見れば、米の値段はどんどん下がってきたというのが実態なので、米価高騰を防ぐために余裕がある生産量確保というのには、それで値段が急落しないような調整もするというのがセットでないと機能しないので、そこをやっぱり政府がいろいろ買い入れたり、売り出したりすることと、プラス所得補償のような形で、農家が収入がなくて、もう米作りはやれませんというふうにならないようにする、そういう幾つかの政策をセットで行うということが求められていると思います。
記者
トランプ関税につきましてなのですが、1月、2月に達増知事も1週間ほどアメリカにトップセールスに行かれていたと思うのですけれども、まさに販路拡大を目指す1年ということで、高くても売れるようなものというのはトップセールスで実際に実感されたことなのでしょうか。
知事
そうですね。日系のスーパーマーケットでも高くても売れていましたし、また、レストランでも、高いけれども、売れると。日本レストランがアメリカでここ10年増えているのですけれども、値段は高いのです。高いけれども、お客さんが来ているという状況があります。多少ブレーキがかかっても、ここ10年急増と言っていいくらい増え続けていたので、それが緩くなっても、かなり需要はあるという状況が続くと言っていいと思います。
記者
ありがとうございます。あと、トランプ大統領に関してなのですが、就任当時は達増知事も期待感を示されていたと思うのですけれども、ここ最近の世界を揺さぶるような言動であったり、政策であったり、改めて総じてどのように評価されているかお聞かせいただけますでしょうか。
知事
自由貿易と言いつつ、実態としては、日本は一貫して農業については完全自由化はせずに、国内農業を保護するような形でずっとアメリカとも交渉してきたし、他国間でも交渉してきました。そして、アメリカも全体としては完全自由貿易を目指すようなことを言いながら、自動車をはじめ、日本であまり売れていないものについては、関税以外の手段、いろんな輸入義務付けみたいなこととか、そういう枠を設定するとか、いろんな手段を使ってでも日本がアメリカのものの輸入を増やすようにということをずっと交渉し続けてきているので、実態としては完全自由貿易というのは存在せず、国内情勢に一定の配慮をした自由貿易体制というものが、様々交渉を経て工夫されてきたのが実態だと思うのです。だから、トランプ大統領や今のアメリカ政府も、アメリカの今の国内事情を踏まえて、完全自由貿易ではない調整をしたいのであれば、そう言えばいいと思うのですが、極端な話を言ってくるので、いろいろこじれている状態だと思います。
ともすれば、貿易の議論は、原理原則を突きつけ合って、相手に有無を言わせないという、それが今までは完全自由貿易というのを突きつけながら、GATT(ガット:関税及び貿易に関する一般協定)だとか、TPP(ティーピーピー:環太平洋パートナーシップ協定)だとか、自由貿易は正義、完全自由貿易にしないのはよくないというのを突きつけ合いながらやってきて、その正反対で今トランプさんは、関税こそ正義、関税で国益を守ることこそアメリカにとって正しいし、それはおよそ神の下での善なのだみたいな感じで、原理原則を全然違う正反対のほうから突きつけてくるからまたこじれるので、原理原則はもうお互い、理屈からいえば自由貿易で、生産の役割分担をして、得意なものの生産にある程度特化したほうが世界経済全体として効率もよければ、規模も大きくなるという、そういう理屈は分かるし、さはさりながら国益を守るというのが国の役目で、国民を犠牲にしながら全体のために奉仕するわけにはいかないというのも、それはそれで国家の在り方としては当たり前のことなので、ではどうそこを調整するかという現実的な話し合いがお互いできるようになればいいのだと思います。
記者
ありがとうございます。すみません、もう一点、また戻るのですが、もりおか舞妓の件につきまして、発言自体については釈明されているとおりだということだったのですが、達増知事も後援会の顧問に一応就かれているかと思いますが、25歳未満という年齢制限があることに関してはどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
知事
唄や踊りや楽器について、何にも今できない人でもなれるという特別な研修コースだと思うので、それについて若い人を対象に人材育成というのは、それは一つの人材育成事業としてありなのだと思います。
一方、盛岡芸妓の世界は、さっき言ったように、今誰がどこから入ってきても別にその障壁はないと思いますので、関係者が納得しさえすれば、どんな年齢の人でも、特に唄や踊りや楽器ができる人であれば、どんどん参入できる世界で、それを排除しようと(盛岡)商工会議所がしているわけでは全然ないですよね。
更に言えば、幇間(ほうかん)、これは太鼓持ちと言われる、男性がそういう唄や踊りや……楽器もやるのかな、幇間、太鼓持ち。全国区で見ると、太鼓持ち、幇間の芸を伝承している人たちというのはいるのです。ただ、東京の辺りに何人かいるだけかな、この辺には全然いないからなじみはないのですけれども、そういう人たちが岩手に来て、盛岡に来て、盛岡芸妓と一緒にやりたいと言うなら、一緒にやればいいのだと思います。そういう意味では、男も女も、そして、老いも若きも盛岡芸妓の発展に参入するということは、制限なく認められることだと思います。
記者
ありがとうございます。唄だったり、踊りとかだったり、既に身につけていらっしゃる方が、また、ちょっと25歳を超えていても、盛岡芸妓になる資格はあるのではないかということでよろしいですか。
知事
資格制度というのは今存在していないと思うし、実態として花巻の方が盛岡でステージに立っているのを見たことがありますし、お座敷にもいらしているのではないかな。ということで、実態として既に、そういう新しい一定の年齢以上の方が盛岡芸妓の活動をするということは既にもう実態としてあると思っています。
記者
大船渡の山火事の話にちょっと戻るのですけれども、先ほど知事が消防庁のほうから大船渡市と岩手県は応援を受ける体制がすごくよかったというお言葉をもらったということだったのですけれども、具体的にはどういった辺りがよかったのかということと、あと県と市などで今回の山火事について、消防体制だとか、火事について一緒に分析するような場ですとか、会議を今後持つ予定があるのかということについて教えてください。
知事
消防庁長官とのやり取りでは、受援がよかったと言われて、それでもうお互い全てを理解し合ったみたいな感じで、具体的にどこがどうという話はしませんでした。
結果として、緊急消防援助隊の地上隊が、空中消火のチームと連携してスムーズに鎮圧を成し遂げ、あれだけの乾燥の中で鎮圧までこぎ着けたというのが、そういう結果に表れていると思いますし、あとはいろんなところから聞こえてくるのは、釜石市とか陸前高田市、あと気仙沼市もですが、緊急消防援助隊の基地の機能としては大船渡市以外のところも協力してやってくれて、そこでまたちゃんとしっかり物を食べたり、休憩したりとかもできたというようなことを聞いています。
では、それを検証とかするのかということについては、県の防災会議とか定期的にというか、1年のサイクルの中で防災を巡る重要事項とかトピックとかについて検討する場というのは常設的に置かれていて、そういうところは何らかの検討というか、振り返りはすると思います。それ以外のことについては、今のところは承知していません。
記者
もりおか舞妓に関連して、会頭の発言が問題視されているのは、舞妓の募集に当たって年齢制限を設けたことそのものではなくて、その会見の場で「芸者を呼ぶのは男性だから、若い人を好むのは当たり前」という部分かなと思うのですけれども、そういう目で見て、若い人を募集しようとしていることが問題だし、その発言そのものが問題かなと思うのですけれども、知事御自身も、芸者を呼ぶのは男性だから、若い人を好むのは当たり前というふうな考え方に賛同されますでしょうか。
知事
まず、御本人自体がそれは言うべきことではなかったみたいに釈明していると思います。あとは、そもそも人材育成、一種の研修コースを設定するのに対して、若い人たちを対象にするというのは普通にありのことだと思うので、なぜそうなのかというのを追求された際に、若いメリットをその場でいろいろ考えて、さっき言ったようなことを語られたのだと思いますけれども、でもそれは後から考えると、そういうことは駄目なことだったというふうに本人も言っていて、私もそのとおりだと思います。
広聴広報課
以上をもちまして記者会見を終わります。
次回記者会見
次の定例記者会見は4月18日(金曜日)の予定です。
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