改正健康増進法における受動喫煙防止対策
健康増進法の改正について
望まない受動喫煙を防止する目的で健康増進法が一部改正されました(「健康増進法の一部を改正する法律」平成30年法律第78号)。
これにより、令和元年7月1日から学校や病院、児童福祉施設、行政機関の庁舎等(第一種施設)は「敷地内禁煙」が、令和2年4月1日からは事務所、工場、飲食店、旅館・ホテル等(第二種施設)は「原則屋内禁煙」が義務づけられ、各施設の管理権原者や管理者は、第一種施設・第二種施設の区分に応じて、措置を講ずる義務があります。
これに違反した場合、指導、勧告、命令等の対象となり改善がみられない場合は罰則(過料)が適用されることもあります。
(注)管理権原者とは、その施設の受動喫煙を防ぐための取組について、方針の判断や決定を行う立場にある者をいいます。管理者とは、事実上、現場の管理を行う者です。
法改正の趣旨について
法改正は,次の3つの基本的な考え方に基づいています。
1 「望まない受動喫煙」をなくす。
2 受動喫煙による健康影響がおおきい、こども、患者等に特に配慮する。
3 施設の類型・場所ごとに対策を実施する。
第一種施設について
1 第一種施設とは
主な第一種施設は、次のとおりです。
施設種別 | 施設 |
---|---|
学校関係 | 幼稚園、小学校、中学校、高校、大学、専修学校、各種学校など |
医療機関関係 | 病院・診療所、助産所、薬局、介護老人保健施設、施術所など |
児童福祉施設関係 | 障害児通所支援事業、児童自立生活援助事業、放課後児童健全育成事業など |
国や地方自治体関係 | 行政機関の庁舎など |
その他 | 少年院や少年鑑別所など |
2 第一種施設のルールと管理権原者等の責務
1 令和元年7月1日から、敷地内禁煙です。
2 ただし、屋外で受動喫煙を防止するために必要な措置がとられた場所に、喫煙場所(以下「特定屋外喫煙場所」)を設置することができます。
3 特定屋外喫煙場所を設置する場合の必要な措置は、次のとおりです。
- 喫煙をすることができる場所が区画されていること。 (例:パーテーション等による区画)
- 喫煙場所には喫煙をすることができる場所である旨を記載した「標識を掲示」すること。
- 施設を利用する者が通常立ち入らない場所に設置すること。(例:建物の裏など、喫煙のため以外には通常利用することのない場所)
4 管理権原者等は、禁煙エリアに喫煙専用器具及び設備(灰皿・スモークテーブル等)を利用可能な状態で設置しないこと。
5 管理権原者等は、禁煙エリアで喫煙している者に対し、喫煙の中止又は禁煙エリアからの退出を求めること。
- 特定屋外喫煙場所を設置する場合は、近隣に受動喫煙の害が及ばないように十分に配慮してください。
- これらの施設の主な利用者は、特に健康影響の大きいとされる子どもや患者であり、敷地内禁煙とすることが原則です(健康増進法における特定屋外喫煙場所の設置を奨励するものではありません)
- 標識の作成にあたっては、外部サイト「なくそう!望まない受動喫煙」(厚生労働省)をご活用ください。なお、標識の大きさや配色等については、各施設の様態により適宜加工・修正の上、使用しても構いません。
第二種施設について
1 第二種施設とは
2人以上の者が利用する施設のうち,第一種施設及び喫煙目的施設以外の施設を指します。
(例:飲食店、事務所、工場、スーパー、コンビニエンスストア、映画館、ホテル・旅館など。)
(注)ただし、個人の自宅やホテルの客室など、人の居住の用に供する場所は規制の適用除外となります
2 第二種施設のルールと管理権原者等の責務
1 令和2年4月1日から、原則屋内禁煙です。
2 ただし、屋内の一部に「たばこの煙の流出を防止するための技術的基準」を満たした喫煙室(喫煙専用室又は加熱式たばこ専用喫煙室)を設置することは可能です(加熱式たばこ専用喫煙室内では、飲食等の喫煙以外のこともできます。)。
3 「たばこの煙の流出を防止するための技術的基準」は、次のとおりです。
- 出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が、0.2m/秒以上であること。
- たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁、天井等によって区画されていること。「壁、天井等」とは、建物に固定された壁、天井のほか、ガラス窓等も含まれますが、たばこの煙を通さない材質・構造をいいます。「区画」とは、出入口を除いた場所において、壁等により床面から天井まで仕切られていることをいいます。
- たばこの煙が屋外又は外部の場所に排気されていること。
4 喫煙室の出入口及び施設の出入口の見やすい場所に、「標識の掲示」が必要です。また、標識は喫煙室への20歳未満の者(従業員を含む)の立入りを禁止する等必要な事項が容易に識別できることが大切です。
5 喫煙室へは、20歳未満の者を立ち入らせてはいけません。
6 ホームページや看板等の媒体において、営業について広告又は宣伝する際は、指定たばこ専用喫煙室が設置されている旨を明示する必要があります。
7 管理権原者等は、禁煙エリアに喫煙専用器具及び設備(灰皿・スモークテーブル等)を利用可能な状態で設置しないこと。
8 管理権原者等は、禁煙エリアで喫煙している者に対し、喫煙の中止又は禁煙エリアからの退出を求めること。
喫煙室の技術的基準を満たすことのできない「管理者の責めに帰することのできない事由」(注1)がある場合は、喫煙室の技術的基準に代わり、「たばこの煙を十分に浄化し室外に排気するために必要な措置」(注2)を講じ、技術的基準に適合した場合と同等程度に煙の流出を防止する必要があります。
この措置を講じた場合、施設と喫煙室の出入り口に掲示する標識にその旨を記載しなければなりません。
(注1)管理権原者の責めに帰することのできない事由については次のとおりです。
- 建物の構造上、新たにダクトを通すことが困難な場合
- ダクト工事に関する費用が多額にのぼる場合
- ダクト工事を行うことについて建物等の所有者の了解が得られない場合 など
(注2)「たばこの煙を十分に浄化し室外に排気するために必要な措置」とは、要件を満たす脱煙機能付き喫煙ブースを設置し、喫煙ブースから排出された気体が室外(第二種施設内の屋内又は内部の場所に限る)に排気することです。
脱煙機能付き喫煙ブースの要件は次の2点です。
- 総揮発性有機化合物の除去率が95%以上であること。
- 当該措置により浄化され、室外に廃棄される空気における浮遊粉じんの量が0.015mg/m3以下であること。
3 既存特定飲食提供施設(小規模飲食店)
第二種施設のうち「既存特定飲食提供施設」とは
令和2年4月1日に現存する飲食店や喫茶店等のうち、個人経営又は中小企業(注1)が経営、かつ、客席面積100平方メートル以下(注2)の店を指します。
(注1)中小企業とは、資本金又は出資の総額5,000万円以下であることとし、次のいずれかに該当する場合は除きます。
- 大規模会社(資本金の額又は出資の総額が5,000万円を超えるもの)
- 資本金の額又は出資の総額が5,000万円以下の会社のうち、一の大規模会社が発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を有する会社である場合、大規模会社が発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を有する。
(注2)客席とは、店舗全体のうち、客席から明確に区分できる厨房、トイレ、廊下、会計レジ、従業員専用スペース等を除いた部分を指します。
4 既存特定飲食提供施設(小規模飲食店)のルールと管理権原者等の責務
1 喫煙専用室又は加熱式たばこ専用喫煙室を設けることが可能です。(「第二種施設のルールと管理権原者等の責務」の3・4と同様。)
2 経過措置として、屋内の一部又は全ての場所を「喫煙可能室」にすることも可能です。喫煙可能室では、飲食等喫煙以外のこともできます。
- 「屋内の一部」に喫煙可能室を設ける場合の技術的基準は、「第二種施設のルールと管理権原者等の責務」の3と同様です。また、喫煙可能室と施設の出入口に「標識の掲示」が必要です。
- 「屋内全て」を喫煙可能室にする場合の技術的基準は、喫煙可能室以外の場所にたばこの煙が流出しないよう、壁、天井等によって喫煙室以外の場所と区画されていることが必要です。また、施設の出入口に「標識の掲示」が必要です。
3 喫煙可能室を設置する場合は、所在地の保健所へ喫煙可能室設置施設の届出が必要です。
4 既存特定飲食提供施設の要件に係る資料を施設に備え保存する必要があります。
- 「床面積に係る資料」:店舗図面等
- 「資本金の額又は出資の総額に係る資料」(店舗が会社により営まれる場合):資本金の額や出資の総額が記載された登記、賃借対照表、決算書、企業パンフレット等
5 喫煙可能室へは、20歳未満の者を立ち入らせてはいけません。
6 ホームページや看板等の媒体において、営業について広告又は宣伝する際は、喫煙可能室が設置されている旨を明示する必要があります。
7 管理権原者等は、禁煙エリアに喫煙専用器具及び設備(灰皿・スモークテーブル等)を利用可能な状態で設置しないこと。
8 管理権原者等は、禁煙エリアで喫煙している者に対し、喫煙の中止又は禁煙エリアからの退出を求めること。
喫煙可能室を設置する場合は、下記の届出書を飲食店所在地の保健所に届出をしてください。また、喫煙可能室の要件に係る変更がある場合や喫煙室を廃止する場合には、変更届出書もしくは廃止届出書を提出しなければなりません。
詳しくは、各保健所にお問い合わせください。(盛岡市に所在する飲食店の届出先は、盛岡市保健所です)
- 喫煙可能室設置施設 届出書 (Word 45.5KB)
- 喫煙可能室設置施設 自己点検チェックシート (Word 34.5KB)
- 喫煙可能室設置施設 変更届出書 (Word 48.0KB)
- 喫煙可能室設置施設 廃止届 (Word 46.0KB)
喫煙目的施設について
2人以上の者が利用する施設のうち、喫煙場所を提供することを主な目的とする施設です。
1 喫煙目的施設とは
公衆喫煙所、バー、スナック、店内で喫煙可能なたばこ販売店等が含まれます。
1 公衆喫煙所
施設の屋内の場所の全部を喫煙所とするもの
2 喫煙を主たる目的とするバー、スナック等
「たばこの対面販売」をしており、喫煙する場所を提供することを主な目的として、併せて設備を設けて飲食を行う営業するもの(主食と認められる食事を主として提供するものを除きます。)。
(注)「たばこの対面販売」とは、たばこ事業法第22条第1項の製造たばこ小売販売業の許可を得た者が営業を行う場所又は第26条第1項の出張販売の許可を得た場所においてたばこを販売する者によって購入者に対してたばこを販売すること。
3 店内で喫煙可能なたばこ販売店
たばこ(対面販売)又は喫煙器具の販売をしていること。
(注)販売している商品のうち、たばこ又は専ら喫煙に供するための器具の占める器具の割合が5割を超えること。
2 喫煙目的施設のルールと管理権原者等の責務
1 「たばこの煙の流出を防止するための技術的基準」を満たした喫煙室を設けることができます。(「第二種施設のルールと管理権原者等の責務」の3・4と同様)また、屋内の全部の場所を喫煙可能とすることができます。(公衆喫煙所は、全部を喫煙所とする。)
2 喫煙室の出入口及び施設の出入口の見やすい場所に、「標識の掲示」が必要です。
3 喫煙目的施設の要件に係る事項を帳簿に記載し、保存する必要があります。
- 「たばこ事業法第22条第1項又は第26条第1項」の許可に関する情報:許可通知書、許可年月日、許可にかかる営業所・出張販売所の所在地
4 ホームページや看板等の媒体において、営業について広告又は宣伝する際は、喫煙目的室が設置されている旨を明示する必要があります。
5 喫煙目的室へ20歳未満の者を立ち入らせてはならない。
健康増進法における義務内容及び義務違反時の対応について
義務に違反する場合には指導や助言などの対象となり、過料が科せられることがありますので義務の内容を確認してください。
義務対象 | 義務の内容 | 指導・助言 | 勧告・公表・命令 | 過料 |
---|---|---|---|---|
全ての者 |
喫煙禁止場所における喫煙の禁止 |
◯ | ◯(命令に限る) | 30万円以下 |
施設の 管理権原者 |
紛らわしい標識の掲示の禁止又は標識の汚損等の禁止 |
◯ | - | 50万円以下 |
喫煙室の技術的基準の適合 |
◯ | ◯ | 50万円以下 | |
施設要件の適合(喫煙目的室に限る) |
◯ | ◯ | 50万円以下 | |
施設標識の掲示 |
◯ | - | 50万円以下 | |
施設標識の撤去 |
◯ | - | 30万円以下 | |
書類の保存 (喫煙目的室又は喫煙可能室設置施設に限る) |
◯ | - | 20万円以下 | |
立入検査の対応 |
- | - | 20万円以下 | |
20歳未満の喫煙室への立ち入り禁止 |
◯ | - | - | |
広告・宣伝 (喫煙専用室以外の喫煙室設置施設に限る) |
◯ | - | - |
国が実施する支援事業
1 受動喫煙防止対策助成金
厚生労働省において、喫煙室等の整備に対する助成金制度を実施しています。
(注)県では、助成金に関するお問い合わせは受け付けておりません。各助成金のチラシに掲載されているお問い合わせ先へ御連絡ください。
1 中小企業事業主向け
岩手労働局までお問い合わせください。
盛岡市盛岡駅西通1丁目9番15号 盛岡第2合同庁舎
(電話:019-604-3007)
2 生活衛生関係営業者向け(労働災害補償保険による助成の対象外となる事業者)
公益財団法人 岩手県生活衛生営業指導センターまでお問い合わせください。
岩手県盛岡市志家町3-13(電話:019-624-6642)
2 受動喫煙防止対策に関する相談支援
厚生労働省の委託事業として、労働衛生コンサルタント等の専門団体が喫煙室設置等に関する無料相談を行っています。
厚生労働省「健康増進法の一部を改正する法律」に関する情報
- 厚生労働省の受動喫煙対策ページ(外部リンク)
- 「なくそう!望まない受動喫煙」厚生労働省特設サイト(外部リンク)
- 健康増進法関連標識(厚労省)(外部リンク)
- 「健康増進法の一部を改正する法律」の施行について(平成31年2月22日) (PDF 370.8KB)
- 改正健康増進法の施行に関するQ&A (PDF 803.9KB)
- 職場における受動喫煙防止のためのガイドライン (PDF 1007.4KB)
相談窓口
受動喫煙防止に関する相談等については、以下の管轄保健所へお願いします。
(既存特定飲食提供施設の届出先も同様です)
保健所名 | 住所 | 電話番号 |
---|---|---|
県央保健所 | 盛岡市内丸11-1 | 019-629-6564 |
中部保健所 | 花巻市花城1-41 | 0198-22-2331 |
奥州保健所 | 奥州市水沢大手町5-5 | 0197-22-2861 |
一関保健所 | 一関市竹山町7-5 | 0191-26-1415 |
大船渡保健所 | 大船渡市猪川町字前田6-1 | 0192-27-9913 |
釜石保健所 | 釜石市新町6-50 | 0193-25-2702 |
宮古保健所 | 宮古市五日市町1-20 | 0193-64-2218 |
久慈保健所 | 久慈市八日町1-1 | 0194-66-9680 |
二戸保健所 | 二戸市石切所字荷渡6-3 | 0195-23-9206 |
保健福祉部健康国保課 | 盛岡市内丸10-1 | 019-629-5468 |
(注) 盛岡市の場合は盛岡市保健所にご連絡ください。
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このページに関するお問い合わせ
保健福祉部 健康国保課 健康予防担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-5468 ファクス番号:019-629-5474
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。