令和2年度地価調査結果の概要
概要
- 県全体の住宅地の平均変動率は-1.1%(令和元年:-0.8%)となり、20年連続で下落。
住宅地263地点のうち価格が上昇したのは54地点。
盛岡市の住宅地の平均変動率は0.4%(令和元年:0.7%)となり、6年連続で上昇。
交通利便性や住環境の良い地域を中心に価格が上昇(25地点)した。 - 県全体の商業地の平均変動率は-1.8%(令和元年:-1.6%)となり、27年連続の下落。
商業地74地点のうち価格が上昇したのは5地点。 - 県全体の工業地の平均変動率は0.5%(令和元年:0.1%)となり、2年連続で上昇。
工業地13地点のうち価格が上昇したのは4地点。
1 住宅地(263地点)
1. 平均変動率
県全体の住宅地の平均変動率は-1.1%(令和元年:-0.8%)となり、20年連続で下落。住宅ローン減税や低金利政策等による住宅需要の下支えが継続される中で、大型店舗の充実や道路の整備等により交通利便性や住環境が良好な地域に加え、医療機関の移転や工場の進出に伴い住宅需要が押し上げられている地域において地価は上昇しているが、少子高齢化や人口減少等が進む地域では、土地需要が低迷し地価は下落。
2. 価格が上昇した地点
価格が上昇したのは54地点(盛岡市25地点、宮古市1地点、北上市5地点、花巻市2地点、遠野市3地点、滝沢市6地点、紫波町4地点、矢巾町6地点、金ケ崎町2地点)。
3. 上昇率及び下落率の最大地点
地点 |
基準地の所在及び地番 |
基準地番号 |
令和2年度 |
令和元年度 |
---|---|---|---|---|
最大上昇地点 |
矢巾町大字高田第13地割169番4外 |
矢巾(県)-2 |
10.5% |
4.4% |
最大下落地点 |
軽米町大字軽米第4地割字蓮台野47番9外 |
軽米(県)-1 |
-7.2% |
-7.2% |
- 矢巾(県)-2 上昇要因
医療機関の盛岡市からの移転、矢幅駅前の整備等の影響で取引が活発し、需要が高まった。 - 軽米(県)-1 下落要因
過疎化による取引の停滞、人口流出等による需要の低迷。
4.市町村別の平均変動率
市町村名 |
令和2年度 |
令和元年度 |
---|---|---|
盛岡市 |
0.4 |
0.7 |
宮古市 |
-2.5 |
-2.3 |
大船渡市 |
-1.7 |
-1.1 |
花巻市 |
-0.8 |
-0.9 |
北上市 |
0.3 |
1.8 |
久慈市 |
-2.5 |
-2.4 |
遠野市 |
0.0 |
0.0 |
一関市 |
-1.8 |
-1.7 |
陸前高田市 |
-2.1 |
-2.1 |
釜石市 |
-0.8 |
1.6 |
二戸市 |
-2.9 |
-2.6 |
八幡平市 |
-2.0 |
-2.0 |
奥州市 |
-1.6 |
-1.5 |
滝沢市 |
1.6 |
1.5 |
雫石町 |
-2.9 |
-2.9 |
葛巻町 |
-4.8 |
-5.0 |
岩手町 |
-5.3 |
-3.7 |
紫波町 |
2.4 |
1.9 |
矢巾町 |
4.2 |
4.1 |
西和賀町 |
-3.7 |
-3.6 |
金ケ崎町 |
1.0 |
2.8 |
平泉町 |
-1.8 |
-1.4 |
住田町 |
-1.9 |
-1.8 |
大槌町 |
-1.6 |
-1.3 |
山田町 |
-3.0 |
-2.1 |
岩泉町 |
-3.0 |
-1.7 |
田野畑村 |
-3.6 |
-1.8 |
普代村 |
-3.5 |
-2.7 |
軽米町 |
-5.4 |
-5.5 |
野田村 |
-1.3 |
-1.2 |
九戸村 |
-5.5 |
-5.5 |
洋野町 |
-2.0 |
-2.0 |
一戸町 |
-3.4 |
-2.7 |
2 商業地(74地点)
1. 平均変動率
県全体の商業地の平均変動率は-1.8%(令和元年:-1.6%)となり、27年連続の下落。
中心市街地の商店街の空洞化等の影響により土地需要が低迷し地価は下落。
2. 価格が上昇した地点
価格が上昇したのは5地点(盛岡市4地点、矢巾町1地点)。
3. 上昇率及び下落率の最大地点
地点 |
基準地の所在及び地番 |
基準地番号 |
令和2年度 |
令和元年度 |
---|---|---|---|---|
最大上昇地点 |
盛岡市盛岡駅前通437番 |
盛岡(県)5-9 |
4.0% |
5.5% |
最大下落地点 |
軽米町大字軽米第8地割字大軽米59番1 |
軽米(県)5-1 |
-7.8% |
-8.1% |
- 盛岡(県)5-9 上昇要因
盛岡駅前商業地では高層ホテルの新築も見られる等、発展傾向にあり県内外の投資を集め、北東北三県の拠点性を高めている。 - 軽米(県)5-1 下落要因
町外への顧客流出、過疎化による商圏人口の減少により需要が低迷。
4. 市町村別の平均変動率
市町村名 |
令和2年度 |
令和元年度 |
---|---|---|
盛岡市 |
0.4 |
0.8 |
宮古市 |
0.0 |
0.0 |
大船渡市 |
-1.2 |
0.6 |
花巻市 |
-1.9 |
-2.3 |
北上市 |
0.0 |
1.1 |
久慈市 |
-2.9 |
-2.9 |
遠野市 |
-2.1 |
-2.1 |
一関市 |
-3.7 |
-3.8 |
陸前高田市 | 地点なし | 地点なし |
釜石市 |
-0.8 |
1.6 |
二戸市 |
-2.7 |
-2.6 |
八幡平市 |
-4.4 |
-3.9 |
奥州市 |
-1.5 |
-2.2 |
滝沢市 |
-0.2 |
-1.2 |
雫石町 |
-1.6 |
-2.1 |
葛巻町 |
-6.4 |
-6.0 |
岩手町 |
-5.8 |
-4.7 |
紫波町 |
-0.3 |
-0.3 |
矢巾町 |
2.1 |
4.6 |
西和賀町 |
-6.6 |
-6.5 |
金ケ崎町 |
0.0 |
0.0 |
平泉町 |
-1.3 |
-1.3 |
住田町 |
-2.9 |
-2.8 |
大槌町 | 地点なし | 地点なし |
山田町 | 地点なし | 地点なし |
岩泉町 | 地点なし | 地点なし |
田野畑村 | 地点なし | 地点なし |
普代村 |
-3.9 |
-3.2 |
軽米町 |
-7.8 |
-8.1 |
野田村 |
-2.6 |
-1.3 |
九戸村 |
-6.7 |
-6.9 |
洋野町 |
-3.5 |
-3.2 |
一戸町 |
-6.4 |
-4.1 |
3 工業地(13地点)
1. 平均変動率
県全体の工業地の平均変動率は0.5%(令和元年:0.1%)となり、2年連続で上昇。
2. 価格が上昇した地点
価格が上昇したのは4地点(盛岡市、北上市、奥州市、矢巾町の各1地点)。他の9地点は横ばい。
3. 上昇率の最大地点
地点 |
基準地の所在及び地番 |
基準地番号 |
令和2年度 |
令和元年度 |
---|---|---|---|---|
最大上昇地点 |
北上市北工業団地407番4外 |
北上(県)9-1 |
1.9% |
1.9% |
- 北上(県)9-1 上昇要因
大手メーカーの新工場が令和元年10月に完成し、関連企業等の需要も高まっている。
4 林地(23地点)
県全体の平均変動率は-1.1%(令和元年:-0.8%)となり、26年連続の下落。
国産材市況の長期低迷や林業就業者の後継者不足等により土地需要が低迷し地価は下落。
参考
1. 用途別平均価格及び平均変動率(令和2年7月1日時点)
(1) 住宅地
総地点数 263地点 (うち継続地点数 258地点)
平均価格 24,900円(1平方メートルあたり)
平均変動率 -1.1%(令和元年:-0.8%)
(2) 宅地見込地
総地点数 2地点 (うち継続地点数 2地点)
平均価格 13,100円(1平方メートルあたり)
平均変動率 1.4%(令和元年:1.7%)
(3) 商業地
総地点数 74地点 (うち継続地点数 74地点)
平均価格 44,800円(1平方メートルあたり)
平均変動率 -1.8%(令和元年:-1.6%)
(4) 工業地
総地点数 13地点 (うち継続地点数 13地点)
平均価格 12,000円(1平方メートルあたり)
平均変動率 0.5%(令和元年:0.1%)
(5) 林地
総地点数 23地点 (うち継続地点数 22地点)
平均価格 45,600円(10アールあたり)
平均変動率 -1.1%(令和元年:-0.8%)
(注1)「平均価格」は全基準地を対象とし、十円の位を四捨五入したものであり、宅地及び宅地見込地は1平方メートル当たり、林地は10アール当たりの平均価格。
(注2)「平均変動率」は、継続基準地ごとの価格の対前年度変動率の合計を当該基準地点数で除したもの。
2. 新型コロナウイルス感染症拡大の地価への影響について
(1) 国土交通省による全国の状況分析
令和2年1月までは、交通利便性や住環境の優れた住宅地、オフィス需要の強い商業地、訪問客の増加に伴う店舗やホテルの進出が見込まれる地域を中心に地価の回復傾向が継続していたと見られる。
令和2年1月以降7月1日までにおいては、新型コロナウイルス感染症の影響による先行き不透明感から需要が弱まり、総じて上昇幅の縮小、上昇から横ばい又は下落への転化になったと見られる。
(2) 岩手県調査における県内の状況分析
不動産市場においては需要者による買い控えも一部で見られるものの、全体的に地価に対する大きな影響は出ていないものと見られる。
新型コロナウイルス感染症の影響については、終息時期が不透明で、店舗賃料の値下げ要請やホテルの収益悪化等が懸念されるなか、積極的な投資は見合わせる傾向が当面継続すると見込まれる。
地価調査制度の概要
- 根拠法令:国土利用計画法施行令(昭和49年政令第387号)第9条第1項
- 調査目的:土地の正常な価格を示すことにより、一般の土地取引価格に対して指標を与え、又、公共の利益となる事業の用に供する土地に対する適正な補償金の額の算定等に資し、もって適正な地価の形成に寄与すること。国においては、地価公示法に基づき、毎年1月1日の正常な価格を判定し公示している。
- 調査主体:岩手県
- 調査対象:県内33市町村の375地点
- 価格時点:令和2年7月1日
- 価格判定:不動産鑑定士の鑑定評価結果に基づき、県が基準地の標準価格を判定する。
関連情報
一般社団法人岩手県不動産鑑定士協会のホームページの「岩手県地価マップ」にて、調査地点を御覧いただけます。
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