岩手フロンティア懇談会(平成21年7月10日)懇談記録
- 対象地域:県央広域振興圏
- 日時 平成21年7月10日(金曜日)
- 場所 雫石町観光交流センター
- 出席者
参集者
菅原 久耕(驛田舎産直出荷組合 組合長)
櫻田 シゲ子(しずくいし森の幸工房 代表)
山本 浩(株式会社しずくいし 代表取締役社長)
佐藤 康(つなぎ温泉南部湯守の宿大観 副社長)
宮崎 香奈(つなぎ温泉四季亭 仲居)
煙山 和彦(鶯宿温泉観光協会 副会長)
「農業と宿泊施設との連携による観光産業の振興」をテーマに、雫石地域を中心に農産物の生産・販売されている方々や、旅館・ホテルでその農産物を観光客等に提供されている方々と知事が懇談しました。
開会
望月局長
おはようございます。それでは、ただいまから県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」を開催いたします。
本日はお忙しいところご出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日の進行役を務めさせていただきます盛岡地方振興局長の望月です。どうぞよろしくお願いします。
知事あいさつ
望月局長
それでは、開会に当たりまして、知事からごあいさつを申し上げます。
達増知事
皆さん、おはようございます。県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」という企画でありますけれども、これは地域振興のための作戦会議のようなものでございまして、地域あるいは分野、それぞれご活躍されている皆さんに近況報告的なことを伺いながら、いろいろな課題、またいろいろな希望の種、可能性を確認し合いながら県の政策に生かし、またお集まりの皆さんのそれぞれの仕事や社会活動に役立てていただきたいという趣旨であります。
また、県は今新しい長期計画、これからの10年の長期計画を今年中につくろうということで作業をしておりまして、そういう岩手の中長期的なビジョンに参考になるお話も伺えればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
望月局長
それでは、出席者の皆さんをご紹介申し上げます。
では、菅原さんからですね。驛田舎産直出荷組合組合長の菅原久耕さんです。
菅原久耕
菅原です。よろしくお願いします。
望月局長
しずくいし森の幸工房代表の櫻田シゲ子さんです。
櫻田シゲ子
櫻田です。よろしくお願いします。
望月局長
株式会社しずくいし代表取締役社長、山本浩さんです。
山本浩
山本でございます。よろしくお願いします。
望月局長
つなぎ温泉南部湯守の宿大観副社長の佐藤康さんです。
佐藤康
佐藤でございます。よろしくお願いいたします。
望月局長
つなぎ温泉四季亭仲居の宮崎香奈さんです。
宮崎香奈
宮崎です。よろしくお願いします。
望月局長
鶯宿温泉観光協会副会長の煙山和彦さんです。
煙山和彦
煙山でございます。よろしくお願いいたします。
望月局長
では、よろしくお願いいたします。
懇談
望月局長
それでは、早速懇談に入らせていただきます。本日の懇談につきましては、テーマとして農業と宿泊施設、ホテル等の連携による観光業の振興というようなことをテーマにして話を進めていきたいと思います。
まず、順番に皆さんの活動状況等も紹介いただきながら、お一人5分ぐらいで、こんな活動をしているとか、こんなことが今課題だとか、そのあたりのことをお話しいただければと思います。
では、まず菅原さんからお願いします。
菅原久耕
今ご紹介いただきました菅原久耕と申します。ヒサタカさんと言われるとくすぐったい感じで、通称キュウコウさんで皆様から呼ばれております。私は、ここ駅から2.5キロぐらい小岩井農場のほうに向かったところに住まいを構えておりまして、昭和56年にサラリーマンやめてから農業に入ったものでありますけれども、この駅周辺も含め、雫石の町の役場中心に大体5キロぐらいの範囲で水田、それから畑が集約されている農家であります。
今、私はこういった素晴らしい雫石の岩手山、それから奥羽山脈に囲まれた素晴らしい景観の中での資源の循環型の農業を目指し、安全なもの、そして皆さんに信頼して食べていただけるもの、そしてそれが安心へとつながる、つまり「安全、安心、信頼」ということをキーワードとしてやっております。
私は自分も会社をしておりますし、この地域で営農組合、あるいはまたここの驛田舎産直出荷組合の組合長もやらせていただいているわけですけれども、そういった中でそういう一つのテーマを持ちながら、皆さんに語りかけながら活動させていただいております。
今、一番取り組んでいるのは、やはり資源循環型の中で、今年から特にも力を入れたのが菜の花プロジェクトの中で菜の花を栽培し、その菜種を搾って、搾りかすを今度は田んぼに入れるという、化学肥料を使わない取り組みをさせていただいております。そういったものから幾らかでも経費をかけない農業、コストを下げる農業、そしてまた皆さんに安心して食べていただけるような食材を提供できるよう取り組んでおりますが、いずれその過程の中でこの素晴らしい環境を大いに利用していきたい。そして、その中には米に限らず、野菜もそうですし、この素晴らしい山に囲まれた空気と水、この大切な水を利用させていただきたいと思っております。
それを今度、我々農業だけではなくて、最後はやはり海まで流れ着くものですから、この素晴らしい水を汚さないように海産物、特にも三陸ワカメ、昆布、それからカニ、アワビとかというのは名産なわけですから、そういったものに最後まで生かしていけるようなきれいな水というのを、我々川上にいる者からそういったものを守っていきたいものだというふうに思っておりますし、またそういうものに我々農業だけではなくして、当然工業も入りますし、観光もあります。特に雫石は農業と観光の町ですから、約300万人ほど来町される方々ある中で、来町される皆さん方に我々の食材を提供することによって、癒しとか、あるいはまた持ち帰って、家に帰られてから、また雫石に来てみたいと、そういう循環もしてみたい。ですから、ここ雫石駅で今度新たにこういった産直施設を町でつくっていただいたのも、できればそういった首都圏との交流ができてくるのかなという期待感もあるわけで、そういうものに我々新しい取り組みに期待をしながら、より仕事を楽しく、意欲を持って前向きに取り組んでいきたい。常にそういう思いがあります。若干皆さんにはなかなかうまく伝えれない部分もあるのですけれども、やれる範囲の活動をしてみたいなというふうに思ってございます。
以上、簡単ですけれども。
望月局長
今、菜の花プロジェクト、規模はどのぐらいになっているのですか。
菅原久耕
今の規模は10ヘクタールです。
山本浩
16ヘクタール
望月局長
16ヘクタール、かなりの面積ですね。
菅原久耕
そうですね。そのうちの私のところは約3ヘクタールほどやっております。
望月局長
ああ、そうですか。
では次、櫻田さんお願いします。
櫻田シゲ子
雫石の雫石スキー場の方向の山沿いのほうになりますけれども、そこで森の幸工房という工房をやっています。きっかけといたしましては、減反が始まりましたので、その減反にモチ米を作付し、大豆を作付して、自分たちのとれたもので何とか皆さんにおいしいものをつくって喜んでいただきたいなということと、地域のお母さんたちと何とか地域を明るくしたいなということで始めさせていただきました。
そのきっかけとなるのは、道の駅あねっこができるその前にみんなで研修したり、会議をしたりして、この間8周年記念イベントをいたしましたけれども、そこまで来る段階でお母さんたちといろいろな勉強をして、今はもち菓子、豆腐、手づくりのみそを出しています。それで、農業をしながらということは、大変です。お客様は春先の花見の時期、田植えの時期とか、秋の紅葉は稲刈り時期で、なかなかうまく出荷できない時期がありまして、そのときであれば、沢山出荷しても、全部売れるほどのお客さんで道の駅はにぎわっていますが、そこを調整しながら細く長く、またやっぱり地域でみんなでやろうというきっかけで、最初は3人のお母さんたちと一緒に始めさせていただきました。女性が始めるということは、家族の介護が加わったり、いろんなことが出てきますので、そこを何とか切り抜けながら頑張らなければならないなと思っています。
あとは、地元の子供たちの食育も気になります。授業で子供たちがだんごつくりに工房に来たり、豆腐つくりやみそつくりをして、子供たちとの交流を深めています。やっぱり子供たちというのは、自分でつくったものを食べるときの笑顔はすごく楽しそうで、とても大切なことだと思いながら、まず地域の皆さんに支えられながら、何とか頑張っているところです。
あとは、地域のお母さんたちもやっぱり道の駅ができてから、すごくみんな明るく元気になりまして、朝出荷に行きますともうみんなすごいパワーで頑張っていますので、皆さんからパワーをいただきながら明るいお母さんたちが元気で働ける町にしたいなと思っています。
以上です。
望月局長
結構あれですか、お母さんたちでもうけたお金で旅行に行くとか、そういうことあるのですか。
櫻田シゲ子
まだそこまでは到着していないです。でも、夢は皆さんそのように思っていますし、ただ道の駅に、産直に出荷している人たちは、今まで自分の通帳って持てなかったのですけれども、お母さんたちが自分の通帳を持って……
望月局長
自分の通帳ね。
櫻田シゲ子
ええ、そこに1週間に1回入金になりますので、みんなにこにこ、ほくほく、大変ではありますけれども、そういう楽しみもありますね。
以上です。
望月局長
ありがとうございました。
では次、山本さんお願いします。
山本浩
株式会社しずくいしの代表しております山本でございます。株式会社しずくいし自体が町が90%出資の株式会社方式の第三セクターで運営させていただいております。先ほどからお話ありましたけれども、道の駅の発足にあわせて設立された会社でして、株式会社しずくいしは平成12年に創立しているのですが、私自身は平成9年から雫石の道の駅プロジェクトのほうに参画させていただいて、それ以来ずっとこの仕事に携わっております。代表になったのは、大体第三セクターだと普通町長が社長やるのですけれども、平成19年の段階で町長のほうから、おまえがやれやということで、引き受けさせていただいているというような状況になっております。
まず、メーンの仕事は、道の駅雫石あねっこの運営なのですが、先ほど櫻田さんのほうからも話がありましたけれども、まず道の駅の機能として公共的な機能の部分と、あとはいわゆる生産者の部分ですね。生産者と消費者を直接つなぐ接点の機能としての役割をうちの会社は持っているのかなと思っています。
そういった生産者とホテルさん、旅館さんとのマッチングですね。その部分の役割をうちの会社が担っていかなければならないのだろうなということで、実は3年前から道の駅のほうの産直組合、産直しずくいし出荷組合からお願いして、ホテルさん、旅館さんのほうに地元の野菜、食材供給を試行してまいりました。本日ここの会場になったのは、今年から町のほうでこの駅を施設整備していただいて、驛田舎産直という新たな産直組合を立ち上げまして、本格的に活動しようということでホテルさん、飲食店の業務、ビー・ツー・ビーの仕事を始めているというような段階の意味を含め、この会場になったと理解しています。
実際に今動いていて、ビジネスにまでなるにはまだまだ先が遠いなというような状態ではあります。すごく感じているのは、やっぱり生産者の幾らかでも所得向上をしたいということで動いていますので、そういった意味でいくと地産地消なのですが、逆に言うとホテルさん、旅館さんが求めている地消の部分を地産していく地消地産が必要なのかもしれないなと。そういったところで、どうしてもちょっとミスマッチの部分を感じていますので、そういったところをこれからビジネスとして成立させていきたいなというふうな形で思っております。
望月局長
今何社ぐらい出しておられますか。
山本浩
今15、6社とのお取り引きをさせていただいています。ただ、実際、地域柄、春、4、5、6月というのは物がないというのが正直ですね。ですから、施設園芸やっている方たちにいろんなお願いをしながらやっているのですが、それでも物が足りないというような状況が続いてきていました。あとは、これから先については、こちらのほうで夏野菜がとれ始めると、今度は逆に言うと関東のほうから安いのが下ってきているというような、その辺のジレンマがあるので、これからそういったモデルケースになれるように試行錯誤していくというような段階でございます。そういったところで活動しています。
望月局長
ありがとうございました。
では、佐藤さん、お願いします。
佐藤康
旅館業を営んでおりますつなぎ温泉南部湯守の宿大観の佐藤でございます。本日、同じ温泉街の四季亭さんから宮崎さんもいらしていますので、私は手前どもの地元野菜の活用といいますか、そちらの取り組みと、それから私が立ち上げました団体の説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
まず、昨年は2度の地震その他で、大変やはり県内の観光業界は痛手をこうむりまして、知事にも先頭を切っていただきましてのセールスその他で大変勇気づけられておりました。また、数年前から中国の野菜の農薬問題、あれ以来、我々宿泊業界に関しましても旅行業界、そういった他団体のほうから、食の安全を非常に強く求められておりまして、以前から県産品を使っておりましたけれども、やはり品目が大分多くなっております。今朝もちょっと料理長と話しておりましたら、これ意外だったのですけれども、ほとんどの食材を私ども県産品でまず賄っている状態でして、県外品のところはほとんど通常使っているものでないのですね。あと、面白いものから言いますと、沢内からがっくら漬けを買っていたりとか、それからヒメマス、姫神サーモンですか、ああいった非常に県内のものに対して大分以前よりも使うようになったと。
これ料理長とも話ししたのですけれども、やはり最近のお客様の食の傾向としまして、月並みの御膳料理というのがやはり全国的に飽きられてきて、料理長に直接行くアンケートの中にも地元の素朴なものが食べたい、もしくは地元で昔からのものが食べたいというふうなことで、やはりひっつみですとか、あとはこれは面白いのですけれども、地元のスイーツが食べたいというふうなアンケートがありました。よく温泉場なんかでは、お茶菓子として温泉まんじゅうであるとか、ゆべしであるとかと、手前どももすごく恥ずかしいのですけれども、反省しなければならないのですけれども、そういったものを出していたのですけれども、「盛岡に豆銀糖ってありましたよね」というのが、5月の連休のときにお客様からのお問い合わせがあったりとか、何をご覧になったのか、「お茶もちはどこで買えるのですか」というふうな県外からのお問い合わせが来ておりまして、そういったものもやはりこれからは、そういったおもてなしの部分でどんどん前面に出す形のほうがよいのではと思っております。
また、地元野菜というものに関して、お客様方から大変そういう強い要望がありまして、これは先駆けて言いますと、大分の湯布院であるとか、それから黒川のような、地元のものを余り手をかけずにというふうなのが温泉地の料理として徐々に浸透しつつあるのではというふうなことでございます。弊社としましては、温泉を使いましての温泉蒸しとか、そういうふうな形での温野菜であるとか、前沢牛であるとか、短角牛を薄くスライスしたものをやはり同じような形で蒸して提供したりとかというふうなことで、県外のお客様からの評判を博しております。
そのほかにも、やはりシンプルな料理法というふうなことを最近言われておりますので、試みとしまして和風ステーキを野田でとれます粗塩、それから宮古でも今粗塩のいいのが出ておりますので、それをこの前出してみたところ、非常に県外からのお客様方には肉の味がわかるというふうなことで、お客様方からは大変評判がよくなっております。
また、低農薬、それから無農薬というふうなことが大分お客様方からも要望でありまして、これからはまた別のほうの、私の立ち上げた団体のほうのお話になりますけれども、こちらの資料の5ページに、岩手塾という団体を実は一昨年立ち上げまして、基本的にはちょうど平泉世界遺産登録というふうなことを機に、県内にお客様をお呼びしようというふうなことで、ホテル、旅館、民宿、レストハウス、観光会館であるとか、醸造業、酒造業、精肉卸、それから無農薬商品販売、それから一般農業、旅行業者、それから無添加食品販売、スーパー、それから面白い例ではフットサルリーグのステラミーゴさんが参加していただいておりますけれども、それから県のほうからも職員さんに入っていただきまして、いろいろお知恵を拝借しているのですけれども、異業種間の交流で岩手をPRしようというふうな団体を立ち上げまして、そこでとれた無農薬、低農薬のものを我々施設のほうでちょうだいしたり、それからそういったところでのものを加工業者等と組みまして、商品として我々旅館であるとか、レストハウスで発売したりとかというふうな活動を今現在行っております。
年に1回の割合なのですけれども、銀河プラザのほうを貸していただきまして、首都圏のほうでも実際お邪魔して販売させていただいております。特に無農薬とか低農薬の野菜関係は、ほぼ初日か2日目ぐらいで、3日やっているとすれば2日目ぐらいで完売の状態でございまして、やはりこれからも食の安全であるとか、それから本当に岩手の旬のものを地元に来てご紹介したいということに努力したいと思っております。
望月局長
ありがとうございました。この塾生コラボ商品というのは売れているのですか。
佐藤康
はい、実際売れております。
望月局長
ああ、そうですか。
佐藤康
それから、ちょっと変わった例では、手前どもで神楽の公演をしておりまして、宮古の黒森神楽さんが冬になりますと農閑期になるものですから、それであちこちで公演なさっているというので、手前どもの岩手塾の塾生の旅行会社の方にお願いして、間を取り持っていただいて、旅館の中で神楽が見れるというふうなことでの活動をさせていただいております。
望月局長
そうですか、ありがとうございました。
では、宮崎さん。特に接客の関係なんかも含めて、ちょっとお話しいただければと思います。
宮崎香奈
つなぎ温泉四季亭で仲居をしている宮崎香奈です。今年の3月で入社して4年目になりました。今は、お客様が岩手やうちの旅館にまた来たいと思ってくださるようなおもてなしを心がけて頑張っています。うちの旅館は、食事がすべてお部屋食ですので、お客様のご到着からご出発まで1人の係がその部屋を持つということになっております。
望月局長
1人の人がずっと最初から最後まで。
宮崎香奈
そうですね。それで、おかみによく言われていることは、仲居は旅館や岩手の看板であるということ、代表であるということです。仲居はお客様と接する時間が一番長いので、仲居のできふできで旅館の良し悪しが判断されるとよく言われます。良ければ、旅館もつなぎ温泉も岩手も素晴らしい、また来たいとなりますが、悪ければ岩手の女性は気がきかない、岩手はおもてなしのレベルが低いと思われてしまいます。そうすると、もう二度と岩手には来ないと思ったり、余り来たいと思うことがないと思います。なので、仲居は旅館だけではなく、つなぎ温泉や岩手の看板を背負っているという自覚を持って、おもてなしをするように日々言われています。
四季亭は、リピーターのお客様がとても多いです。中でもお料理がとてもおいしいからと言って、何度も足を運んでくださいます。毎月、月初めに料理説明会がありますけれども、そこでは仲居とおかみ、調理長が一緒にその月に出るお料理を食べて、量や味の確認をし合って、味が濃いのではないかとか、そういう意見を出し合ったりしています。
また、おもてなしにも力を入れているので、ちょっとした気配りがきっかけでリピーターになったお客様もいらっしゃいます。
望月局長
具体的に、どんなことを。
宮崎香奈
私は、NHKの「あしたをつかめ」という番組に出て、それでも紹介されたのですが、お客様がきんきんに冷えたビールを飲みたいと言ったので、冷蔵庫からお持ちするのではなく、ワインクーラーに氷を入れて、その中にビールを入れてお出ししたところ、最後までおいしいビールが飲めたということで、とてもお客様が喜んでくださって、そのお客様は来るたびに私を指名してくださるようになりました。
望月局長
きんきんに、いつもそうやってやっている……。
宮崎香奈
そうですね。ほかのお客様も冷えたものが飲みたいと言った場合は、ほかの仲居もそのようにして出したり、お酒もやっぱり常に冷えた状態がいいので、ワインクーラーに入れてお出ししています。
望月局長
なるほどね。そのとき、ぱっと思いついたわけ。
宮崎香奈
そうですね。前から来てくださっていたお客様で、きんきんに冷えたビールが好きという情報が残っていましたので、私の中でいろいろ考えて。
望月局長
なるほど、そうですか。
宮崎香奈
あとは、うちの旅館でお客様が一番望んでいることは、おいしいお料理が食べたいということです。地元の安心で安全なおいしい食材を期待してくださるお客様に、今の時期ですとウニやアワビ、秋はマツタケ、冬は白子や毛ガニがとれますので、それを提供しております。お肉は前沢牛が有名ですので、メーン料理に前沢牛のステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼きの3つの中から調理方法を選んでいただく前沢牛プランや、6月は岩手県産の食材をメーンにしたいわて食彩紀行というプラン、また9月中旬から10月初旬は岩手産のマツタケをたっぷり召し上がっていただくマツタケ会席を用意しております。このような企画が遠方のお客様に大変人気ですので、これからも岩手ならではの、ここまで足を運んでいただく価値のある食材を紹介していけたらと思います。
また、遠方から来るお客様をおもてなしする上で大切なことは、地域のいろいろな情報を知ることです。観光地のパンフレットやインターネットなどで最新情報を仕入れて、また行けるところには自分で行ってみて、お客様にご紹介をしております。例えば今年の春ですと、うちの社員は北上展勝地の桜を自分で見に行って、旅館にパンフレットがなかったので、そこからたくさんパンフレットを持ってきて、それをお客様にお配りしたりしました。
また、岩手は特に広いので、行きたいけれども、時間がかかって1日ではとても回れないということで、接続のバスやJR時刻表も用意して、道路の交通情報もインターネットで見て、お客様の楽しい旅にのパートナーになるように心がけています。これからは、つなぎ温泉だけではなく、近くの小岩井や鶯宿、そして雫石で何が行われているのか、どんなお土産屋さんやお店があるのかをもっと知っていけるように努力していきたいと思っています。
望月局長
ありがとうございました。
では、煙山さん、お願いします。
煙山和彦
鶯宿温泉観光協会から参りました煙山と申します。鶯宿温泉は大小21軒の宿が鶯宿川に沿って形成されている温泉街です。私もその中で清光荘という小さい旅館を営んでいます。鶯宿温泉は、いで湯に花舞い、水輝く里山づくりをメーンテーマにし、地域住民と一体となり自然を生かした温泉地づくりを目指しております。平成17年度より第1次5カ年鶯宿温泉活性化事業を展開しております。特に自然を生かすよう、逢滝よりの散策路やカタクリロード、また男助山登山道などを整備してまいりました。
今年の4月には、鶯宿温泉の念願でございましたうぐいす湯の里公園が鶯宿温泉街の中心地に完成いたしました。それもやはり鶯宿温泉の特徴を生かすべく、源泉かけ流しの足湯を整備し、それを無料で楽しんでいただく形にしております。また、その公園は川までおりれるようにいたしまして、水の渇水期には下までおりていただいて、川の水と触れ合うということができるようにしております。また、この公園の完成により、最近余り宿に入るとお客様って出なくなっておったのですが、公園ができ、足湯ができ、川におりれるということで、浴衣に着がえてから外を散策する姿が見られます。
望月局長
回遊して歩くのですね。
煙山和彦
ええ、鶯宿の中を散策して歩いていただくお客さんが増えてまいりました。この公園の活用を考えまして、雫石町では元祖軽トラ市をやっておりますが、その小さいミニバージョン的に鶯宿温泉軽トラ朝市ということをAコープごしょの産直組合さんのご協力を得まして、昨年試験的に3回実施してみました。結構お客様にも好評で、またお客様だけではなく、施設宿の皆さんも買いに行くということで、地産地消の拡大に沿えるようにしております。今年よりは、本格的に月1回のペースで、6月より秋まで軽トラ朝市を継続してやっていきます。
望月局長
もう1回やられた。
煙山和彦
ええ、やってございます。
望月局長
どうでしたか、やっぱり予想どおり、いっぱい……。
煙山和彦
最初ですので、それなりですけれども。この軽トラ市ですけれども、鶯宿の場合は軽トラ3台だけなのです。地理的に大きくないものですから、3台にごしょの産直組合の人たちに来ていただくのですが、売り切れますと近くの農家の方々なので、追加で持ってきて、またトラックに積むとか、そういったこともありますので、10時半ごろまであけているのですが、結構最後まで商品はあるようになっております。
また、一昨年度、昨年度には岩手県と雫石町さんのご支援を得まして、雫石町周遊型滞在観光推進事業を仙台市を中心にJTB東北さんを窓口にして、てんこもり雫石と鶯宿温泉2日間というツアーを実施いたしました。そのツアーは、雫石町ならではの郷土芸能を見ていただいたり、雫石の名所を楽しんでいただいたり、また食では昼に冷めんとか、西山地区の農家民宿さんの重っこ料理を楽しんでいただいたりしております。夜には宿では雫石牛とか南部かしわの料理をもちろんお出しして楽しんでいただいております。
朝には、そのときに工場見学していただくのですが、太子食品さんの雫石のきれいな水でつくられたもやしを、今日の水もそうですが、宮田醤油さんの地元産大豆でつくったしょうゆをかけて食べていただくという、それがまたおいしいという評判を得ていたりいたします。去年すごく好評で、支援いただいたおかげで仙台から格安のツアーになりましたもので、今年もぜひ実施してほしいというふうにJTB東北さんのほうから来まして、今年も雫石町さんのご協力を得て継続して仙台からお客さんを運んでいる状態です。
また、鶯宿温泉でも合同企画等、雫石のメニューをメーンにした企画やプランを実施いたしております。過去には、雫石牛すき焼き、雫石産のドンコシイタケ、あと大定(ヤマサダ)商店さんの手づくり豆腐とかを使った企画や、雫石牛のA5の一番いいところをしゃぶしゃぶにとか、あと雫石産のやわらかネギ、鶯宿温泉でつくりました地ビールなどを提供した企画などを地産地消にこだわってやってまいりました。昨年は、大小13軒の鶯宿温泉の宿で雫石の味力プランということで、ミリョクといっても味の力と書いて、食のほうの魅力を考えたプランをつくりまして、この中で雫石牛のすき焼きをメーンにしまして、さらに雫石の豆腐屋さんでつくっている生湯葉とか、あとそば組合さんの生そばを使った企画をいたしました。その中に、雫石町はどぶろく特区でございまして、雫石町の西山地区の農家民宿さんが鶯宿温泉のためにだけどぶろくを仕込んでいただきまして、それを食前酒に提供したり、それに合わせまして鶯宿温泉でオリジナルのラベルをつくって、鶯宿温泉のどぶろくということでお客様に提供したりなんかいたしました。
今年度は、さらにこの地産地消を拡大してまいりたいと思っております。また、鶯宿温泉の名物料理を何かつくり、お客様にもう一度お泊まりに来ていただけるような雫石町鶯宿温泉をつくろうと努力しております。
望月局長
ありがとうございました。
知事、何か。
達増知事
雫石というのは、かなり総合力があって、食べ物も雫石牛もどんどんクオリティーが高くなって、やっぱり肉が充実してくると全部揃うみたいな感じになっていいですよね。野菜やそばとか、米とか餅とか、そういう主食のほうも揃うし、ミニ北海道といいますか、北海道全体を縮小したような、スキー場もあり、温泉もありということで、総合力で勝負できるような地域になってきているなという感じがします。
あとは、それぞれ皆さん消費者サイドに立ち、消費者目線で、消費者本位のそういうビジネスであり、また地域振興を志向されているというのは本当に、まさにそれしかないし、そのとおりだと思っておりまして、地産地消もむしろ地消地産、そういう、ここで何を食べたいというのに合わせてという発想、そしてそれを生産するという、そういう逆転の発想くらいが必要なのだなと思います。
そういう意味で、産業政策と言われるのですけれども、むしろ今必要なのは消費政策というところなのではないかなとも思っておりまして、消費者サイドにどういうものがあるのかをちゃんとわかってもらって、消費のニーズ、ウォンツを掘り起こしていく作業ですよね。昔のような、ただ待っているだけではなく、そしてつくれるものをつくるという発想ではなくて、宮崎さんがいろいろ紹介してくれたように、四季亭に泊まって、こんなすてきなことができます。こういうところにも行けるし、こういう行事も見れる、参加できるというような、そういう消費というよりも自分に対する投資であり、家族に対する投資であり、それでお金を使って、より豊かさを得られるというのですか。消費という言葉は、何か使って終わり、なくなってしまうというイメージがあるのですけれども、本当はそれがちゃんと自分への投資とか、家族への投資とか、接待だったらまさにビジネス的な投資になるのでしょうし、何かやればやるほど豊かになるという、お金を使えば使うほどどんどん豊かになるみたいな、そういうことがここに来ればできるというような、そういう仕組みづくりがすごい大事なのだなと思いました。
望月局長
今皆さんのお話を伺っていますと、やっぱりお客様、特に観光のお客様というのは地域のおいしいものとか、安全なものとかというのを求めておられるわけですよね。ただ、先ほどもちょっとお話ありましたけれども、ちょっと課題があると。そこのあたりについて、つくる側と、それから実際に使う側とのギャップというのですか、それがあるような気がするのですが。
さっきのお話で、何かもうちょっと山本さん、気がついていること、こんなことできたらいいなとか、その辺のこと何かありませんか。
山本浩
道の駅で産直やっていると、そこについては一般の通行客ですから、お客さんが目で見て、自分が欲しいものを買っていく。ところが、ホテルさん、旅館さんというのは、ある意味メニューを決めている。期間を定めてメニューを決めている部分がありますから、それが例えばエージェントさんなんかに出していると、そこは変更できない部分なのですね。そうすると、どうしても食材を探してそのメニューをつくる。それを生産者のほうがそこの部分をわかっていないというところと、あとは料理をつくる人たちが、メニュー、献立を立てる人たちが地元、今ここで、この地域で何がとれているかというのが逆に把握し切れていない。ですから、そこのミスマッチがあるのかなというような気はします。
ですから、私のところでは、雫石町だけを対象にしてちょっと画策しているのは、これが欲しければこれを生産できますかと、そこの情報のやりとりを私のところが担っていかなければならないのかなというふうに思っています。実際驛田舎産直の方たちと話ししたときに、実はこれから夏場はホウレンソウなんかは農家さんはつくらない。だけれども、ホテル、旅館さんは欲しい、お浸しとして欲しい。そうなると、やっぱりほかからとるしかない。であれば、農家さんでつくれる人がいませんかという、そういうマッチングをさせていくことが私どもの仕事かなというふうに思っていました。
望月局長
使う側から見て、佐藤さんのほうでどうですか。
佐藤康
そうですね。今おっしゃられたように、旅行会社との提携の場合なんかですと、3カ月であるとか4カ月であるとかでその商品とか、あと年間を通しての商品ということになりますので、やはり安定供給というふうなことになりますと、どうしても無難な肉、例えば雫石牛、短角牛、前沢牛といったものをどうしてもメーンにせざるを得なくなってしまう。ところが、今おっしゃられたように非常にやはり野菜の旬のおいしいところが岩手にたくさんございますので、そういったところも含めて、これは旅行会社と我々との話でも多分あると思うのです。本当の旬を売りたいというふうなことで、ですから最近ではもう旅行会社も以前よりも統一メニューとか、それから統一食材を徐々に少しずつ減らして、それぞれの地域、それぞれの旅館でおいしいものを出そうという傾向に徐々に今、まだ全部ではないのですけれども、変わっておりますので、そのあたりのところを勘案すれば、3カ月もしくは1年間を通してではなくて、その月、その月のやはりおいしいものが、沿岸であればこれは魚介類でありますし、内陸であればそういった野菜ということで、それは可能だと思います。
望月局長
櫻田さんなんか実際つくっておられて、どうなのですか。
櫻田シゲ子
結局農家のお母さんたちは、つくって売れればいいという感じではなくなってきたので、やっぱり売れる時期にこれをつくって売ろうというように考えが変わってきたと思うのです。前だったら、もうホウレンソウだって年じゅうつくってもいたのですけれども、暑さとかいろんな障害もあると思いますので、農家は農家なりのそういう考えがあるのではないかと思います。
望月局長
ということは、そういった情報がちゃんとお互いにつながっていれば、こういうもので、あそこの旅館で欲しがっているとなれば、このぐらいの値段でとってくれるというのだったら、つくるわけですね。
櫻田シゲ子
それは、それなりにできると思います。
望月局長
旬のものをね。
櫻田シゲ子
はい。
達増知事
消費の現場とつながるというのは、すごい意識転換になるのですね。
櫻田シゲ子
そうですよね。
望月局長
どうですか、煙山さん。
煙山和彦
私のところは小さい旅館ですので、極端に言いましたらこの2階でもそうですし、どこでも行って買ってこれるぐらいの旅館なのですけれども、大きいところのお話を聞きますと、例えばトマトが欲しいといっても、1日何百個使います。それを何カ月続けてくれますかというのを直接生産者に言ったときに、ちょっと無理ですと言われると、やっぱり農協さんを通さなければだめかなとかというふうになるというお話は聞きましたので、欲しいものを欲しいくらい、期間をある程度つくっていただけるのかなという、その辺のやっぱりやりとりがまだちょっと少ないのかなという。
望月局長
なるほどね。旅館の規模なり、やり方によってもそこは違うわけですね。
煙山和彦
そうですね。
望月局長
煙山さんのところだったら、もう農家と直取引みたいなこともやっておられる。
煙山和彦
直取引はしていないですけれども、やはり産直組合さん、私らのほうですと御所ですけれども、農協さんの中にもありますし、やはりそういったところに行って出ているの、今が旬とか、戸沢(トザワ)産直なんかだと朝出ていますので、そういうところへ行って見て買ってくる。小さい旅館は、そういう行動が小まめにきくというのがメリットでもありますけれども。
望月局長
菅原さん、どうですか、実際やっておられて。
菅原久耕
実は、私もこの組合の組合長という中で、皆さんと業務向けというのはこういう形で出さなければならないよと話しても、今までどうしても生産者というのは市場流通に合わせた大量販売、その品目にこだわってやってきたものですから、どれだけ必要なのかというのをなかなかまだつかんでいないために、どうしてもさっき言ったミスマッチになりやすい部分があるのです。
ですから、これは山本社長さんにも一回で結果出すというのは難しいから、1年かけながら実際実績を積むことによって何が今の時期必要なのかというのがわかってくれば、生産体制もできてくるのではないかと思います。そして、どうしても生産するのに1カ月やそこらでできない、要するに1年のうちに60日スパンとかと必要になってくるものですから、やっぱりそういうサイクルをつくり上げるのに、ホテル、旅館さん、あるいは小岩井農場さんも一番使われるわけですから、そういったところとうまく情報交換していかないと難しいなというのは感じています。
望月局長
システム図というのがありますけれども、これちょっと説明していただけますか。
菅原久耕
山本社長に。
望月局長
ああ、これ山本さんのほう。
山本浩
いわゆる業務向けビー・ツー・ビーでやろうという目標があって、農家の所得向上も兼ねて地産地消を推進しますよということで、今みたいな人、物、金と考えたときに、要は物はあるのだけれども、そこに情報がプラスされないので、なかなか出ていけないので、農家の人たちは最盛期には捨てるものまで出てきてしまう。だったら、捨てないで、幾らかでもそれをお金にすることがまずは農家の所得向上になりますよねという部分で、業務向けでも幾らかでも販売するチャネルを増やしておきたいと。逆にホテルさん、旅館さんからいうと、何で地元のものが地元で食べれないの、なぜ流通していないのという部分ですよね。そこのミスマッチからこの発想が出てきています。要はうちの会社がまず第三セクターの役割として、そういった情報を集めて、農家の人たちにも情報提供するし、ホテルさん、旅館さんのほうにも情報提供するし、そういった形で地元のものは地元に流していこうというのがまずこのシステム図になっています。そういった部分で、これがビジネスモデルとしてなっているところって、まだそんなに聞いたことないので、なかなか難しいかとは思いますけれども、何とかそこをモデルとしてつくり上げていければいいかなという事で今取り組んでいる段階です。
菅原久耕
ちょっとこれはですね。少しこういうふうな形になる前に、実は我々認定農家の組織で行ったときに、ホテル、旅館さんとか、業務向けの皆さんと実際に雫石の生産された食材がどのように使われているか、対話したことがあったのです。大体5、6年前なのですけれども、要するに我々も情報を持っていなかったものですから、実際使われているのは、地元で生産されたものは申しわけないけれども、余り使われてはおらなかったということでありました。そこで、我々でもこういう生産ができますよというのをこっちからも情報を出しながら話し合いを進めて、大体6年ぐらいになりますか。山本社長にも入ってもらっているのですけれども、そして今のそれぞれ業務向けに出せるような品目の生産体制もとっていくよということで、こういう業務向けのシステムができたのです。それがあくまでここの駅中心、要するに農家サイドが業者の皆さんに直接出すのではなくて、中間に株式会社さんに入ってもらって、その中で対等販売できるような形という、それが発端です。
望月局長
宮崎さん、実際にお客様と接しておられて、こんなものが喜ばれたとか、こういうやつだったら絶対間違いなくお客さん喜んだとかというのは何かありますか。
宮崎香奈
先ほども言ったように、マツタケ会席ですとか、いわて食彩紀行というのは大変お客様に好評です。マツタケ会席は、去年9月は5名、10月は25名で、10月はもっとたくさんのお客様が希望されたのですが、10月になるともう大体東京のほうにマツタケが流れてしまって、大変高価になって、こっちのほうでは手に入れにくくなってしまうためにお断りした例があります。食彩紀行は、ことし関東地方のツアーのお客様で既に141名のお客様が食べてくださっています。帰るときに大変喜んで、岩手のひとめぼれがとてもおいしかったとか、新鮮な食材が食べれて良かったと言って、とても喜んで帰っていきました。
望月局長
マツタケは、県内産とかとこだわってやっているのですか。
宮崎香奈
県内産のものをすべて使っています。
望月局長
それがもう10月になってしまうと。
宮崎香奈
はい、もうほとんど手に入らなくなって、高価になってきてしまうので、9月中であるとマツタケもたくさん手に入るので、追加料理でもう一つ土瓶蒸しが食べたいとか言われても対応することができるのですけれども、10月になるとどうしても、もうないのでと言ってお断りしてしまうので。
望月局長
一般のというか、そういうマツタケとか高級なということないですけれども、それではないので、これおいしいねとか何か、そう言われたものってあるのですか。
宮崎香奈
前沢牛は通年でご提供しているので、とても喜んでくださいますし、あとそれこそお米はすごくおいしいと言って、売店でも販売しているのですけれども、毎年秋になって新米が出ると、皆さんの家に持って帰りたいからといって、自家用車で来る方はそのまま持って帰る方もいらっしゃいますし。
望月局長
トランクに積んで持って帰るのですか。
宮崎香奈
そうですね。あとは、そのまま宅配便で発送する方もいらっしゃいます。
望月局長
野菜なんかどうなのですか。
宮崎香奈
野菜も、朝お浸しとか出ますし、あとしゃぶしゃぶでもたくさんの野菜をつけるのですけれども、お肉残したけれども、野菜食べたとか、そういうこともあります。
望月局長
どんな野菜が売れ筋なのですか。
宮崎香奈
野菜は。
望月局長
特に農家の皆さんいらっしゃるので……ホウレンソウとか、キャベツ。
宮崎香奈
そうですね。ホウレンソウとか、キャベツとか、あと……
望月局長
さっきネギのお話出ていましたね。
宮崎香奈
はい、ネギも。ネギとか、タマネギとかも。
望月局長
それもほとんど県内産。
宮崎香奈
そうですね。
望月局長
そうですか。時間も大分たってきましたので、ではここらで、これからこんなことをやってみたいとか、あるいはこんなことをやりたいのだけれども、こういった課題があるから、このあたり何とかできないだろうかとか、そういったいろんな観光振興なり農業振興につながるような意見、提案みたいなものをちょうだいできればと思うのですが。どうしましょうか、順番でいいですか。菅原さんからまたお願いしていいですか。
菅原久耕
これからと、さっきも話ししましたけれども、いずれ一番農業に関しては、後継者不足だ、老齢化だとよく言われるのですけれども、現実再生産可能な価格ができれば後継者というのは自然と出てくると思うのです。
私も実は農家の生まれではありながら、次男という形でサラリーマンをやって農業に入ってきたものですから、全く農業を知らないで入ってきたわけではないのですけれども、このような形として後継者というのはでてくると思うのです。ですから、いかにその地域の中で農業で生活できるよ、再生産できる価格で皆さんで販売しましょうよということでやっていけば、決して高齢化だけには進まないし、それによって今度は、その地域、農村というのは、みんなで守っていかなければならないものですよね。一人では絶対守れないものですから、そういったときにやっぱりそういった次の世代の人を巻き込んだ地域を守っていくシステムというのはつくっていかなければならないと、そういうふうに思っています。
あとは、さっき言ったように荒廃される山もそうですが、農地も大切にしていかない限りは、きれいな水というのは守っていけないのだよと。それを都市の皆さんに訴えながら、その循環をしていかないと、なかなか川上から守っていくことはできないだろうと、そんなふうに感じておりますので、川上にいる人間として一緒に都市の皆さんと、川下の皆さんと交流していきたいなと、そんなふうに思っています。
望月局長
もうかるシステムがあれば、後継者ってできるわけですよね。
菅原久耕
できてくると思うのです。
望月局長
そういうことですね。
菅原久耕
そうです。ですから、今現実市場流通だけにこだわらないで、自分では個人販売も当然やっているのですけれども、市場流通にしても確実に自分でコストの分をカバーできる価格で流通されれば経営して成り立つし、後継者も育ってくると思うのです。なかなかそこが難しい。
あと、もう一つだけいいですか。米も高い、高いと言われるのですけれども、現実私が販売しているのはキロ400円の米です。今1戸の家庭で大体平均750グラムぐらいしか食べていないのです。そうすると、一家で食べる御飯の価格は298円にしかならないのです、1人当たりにしますと24円にしかならないのです。ですから、イメージとして高いのではなくして、幾らかでも食べてもらえるように、そういう宣伝というのを生産者側もそうだし、販売者も含めみんなでやっぱりそれをつくっていかないと、米の消費拡大というのはなかなか進まない、衰退していく。
望月局長
昔の半分以下になってしまっているわけですからね。
菅原久耕
そうです。ですから、学校給食なんかで使ってもらって、子供さんたちにごはんを記憶してもらうことによって、米の消費というのを維持していくような努力も当然お願いしたいよろしくお願いします。
望月局長
農業農村指導士でもありますね、櫻田さんは。実際地域の皆さんと一緒にやっておられて、観光の連携も含めて、こんなことがあればいいなとか、そのあたり何かお気づきの点あれば。
櫻田シゲ子
うちの実際のところの話にちょこっと触れたいのですけれども、長男が10年ほど前に東京から戻ってきたのです。戻ってきたときは、米はもう何だか安いし、やめたほうがいいと言われまして、家族でいろいろ話しして、この土地を守っていかないとだめだから、そういうわけにいかないという話をして、10年後の今の長男を見ていると、小学校に行って、建築の仕事をしていますけれども、そのお仕事の話をしながら、米ってすごくいいのですよとか、自然相手で山から流れてくる水がきれいになるのはとかといろいろお話をしているというのを校長先生からお話を聞きまして、やっぱり子供たちもそれなりに学んでいるというか、自然に調和しながらいろいろ考えてやっているのだなというのを最近実感していました。会社でも社員みんなで朝は近くをごみ拾いしたり、あとは環境が大事だとか、いろんなそういう話をするようになったので、それで米づくりも今一生懸命頑張るようになりました。そういうことで、実際地元のあぜ道を歩いて、田んぼの水を見ながら、ちょっともう少し米高いといいよなという話は、どこのだれもお話をする状況はありますけれども、やっぱり地域を守っていかなければならないので、みんなそれなりに勉強しながら、今の時代に乗るように頑張っているように私には見受けられます。
それと、あとはやっぱり子供たちの食育がとても気になるので、今町内産のお米が学校給食にやや100%ぐらい行っているようですので、そういうのは安心なのですが、あとはそのほかの野菜も大分子供たちの給食に取り入れられるようになりました。それで、子供たちが野菜を嫌いだったのだけれども、だれそれちゃんのおばあちゃんがつくった野菜ですとかと給食でお話しするそうです。そうすると、嫌いな子供も食べるようになったという、それは先生のお話でしたけれども、そのように変わってきましたので、地元のものを何とかみんなで頑張って食すると、雫石も明るくなって、良くなるのではないかなと。そしてまた、旅館さんとかにもいっぱい使っていただいて、いいのではないかと思います。
望月局長
ありがとうございます。
では、山本さん。
山本浩
私の場合は、道の駅という部分を企業とすれば安定成長させなければならない部分がありますけれども、その原点はやっぱり農の部分と観光の部分。道の駅というのは、どっちかというと観光施設にも近い部分もありますし、ただ産直組合の人たちと一緒に運営しているという部分でいけば農に近い部分、ですからこれから先も、あくまでも自分のところというのは農家が元気になってくれるために自分たちが何をできるか、そういった部分の視点で会社を持っていきたいなというふうに思っています。そういった意味でいくと産直組合さんは去年の風評被害がありながら売り上げ伸ばしていますから、そういった消費者の流れというのはありますので、その辺のところを大事にしていければいいのかなというふうに思っています。とにかく1次産業の方たちが元気になってくれないと、景気のほうも元気になってくれないので、ましてや地域も元気になっていかないので、そういった部分で幾らかでもお手伝いできればいいかなというふうに思っています。今感じているのは、例えばせっかく物がとれているのだから、これを何かに加工して雫石のお土産にしたいよねというふうな動きをしようとすると、加工メーカーがないというか、探せないというのが非常に今壁みたいな部分があって。
望月局長
それは食品会社、食品加工。
山本浩
食品加工ですね。
望月局長
具体的に例えばどんな。
山本浩
お土産なんかをつくろうとすると、例えばシイタケ使ったお土産、何かできないかなと、シイタケみそみたいなのできないかなとかと考えると、どうしても長野のほうに持っていって加工して、また持ってくるみたいな流れがあるので、そういった部分でいくと長野というのは観光業がすごく発達して、そういったお土産加工みたいな部分が非常に発達しているなというふうに感じるのです。ですから、そういった部分でいくと、岩手だって食材王国ですから、何かしらそういったものができるようなところが出てくるとうれしいなという気はします。
そういった部分でも、私の場合はとにかくそういった1次産業の方たちと3次産業の方たちのうまく接点になれればいいかなというふうに思っています。この先もやっていかなければならないのだろうなというふうには思っています。
望月局長
観光との関係で何か提案みたいなのはないですか。
山本浩
これから町と行政と一緒に、ホテルさん、旅館さんに実際に地元でとれているのは何があるかとかという、そういう接点はつくっていきたいと思っていました。それで、それを知ることによって、もっともっと地元のものを入れていけると思いますし、恐らく今お客さんが望まれているのは地元の食材を食べたいということが望まれていると思いますので、そういったパイプをつくれればいいかなというふうに思っています。
望月局長
では、佐藤さん、使う立場のほうで。
佐藤康
確かに先ほどから申し上げているとおり年間を通しての安定供給とか、その辺のこともありますので、今ちょっと我々矢巾ですとか紫波の若手の生産者の方とお話ししているのは、旬のものを地域でエリアごと買い上げてしまおうかというふうな話も出ておりまして、例えば繋地区なら繋地区の旅館組合でもうそこのエリアのトマトを全部買い上げてしまうとか、そういった形での安定で大型施設が年間通してそういった不足のないような形の対応をとったらどうだというふうなことも出ております。
望月局長
何かネックはあるのですか、そこへ。
佐藤康
いえ、今までやっていなかったのですね、基本的に。それと、やはり地元に関しては、これからももっともっとやはり直接つくっていらっしゃる方の、今は月並みとはいえ朝のバイキングなんかにも、それぞれキュウリのところに生産者の顔写真を置いたりとか、今それを徐々に試しておりますし、それから形は悪いのですけれども、ジュース用のものというふうなことで、盛岡市見前のトマト生産者さんからふぞろいのデザートトマトというのですか、あれをいただいてきて、朝お客さんの見ている前でフレッシュトマトジュースをつくったりとかして、非常に喜ばれておりますので、やはりそういった本当の地道なところからさせていただこうというのがまず1つ。
それから、済みません。これはもう観光の立場だけのことになるのですけれども、やはりこれから国内もこういうふうな形で非常に先細りの現状でございますので、もう少しインバウンドに関して、ぜひ知事に先頭切っていただいて、それこそトップセールスで都内には何度も足を運んでいただいておりますので、これからでありますとやはり中国であるとか、シンガポールあたりもまだまだ面白いでしょうし、他県の話を聞きますともうヨーロッパとかそのあたりにまで知事が先頭に立ってという県もございますので、できましたら、どうかそちらのほうも県のほうでの道筋をつくっていただきたいというのが観光業界からの願いでございます。
望月局長
知事はこの間台湾に……。
達増知事
ええ。そこの件も県が、また県知事が頑張らなければならないところだと思いますので、特に中国ですね。個人ビザオーケーになったりもして、去年からの景気悪化についても回復基調、中国のあたりはもう回復してきているところがあるという話でもありますし、長期的に見て本当に消費の大きな可能性があるところだと思いますので、中国初めアジアとか、あとは世界全体を視野に入れて取り組んでいきたいと思います。
佐藤康
よろしくお願いします。
望月局長
実際に今盛岡地域に来られている方の5、6割は台湾の方なのですね。
佐藤康
そうです。
望月局長
残りが香港とか韓国。今知事おっしゃったように、中国はやっぱり個人の旅行がオーケーになりましたので、いろいろ相談して戦略練りたいと。
佐藤康
お願いいたします。
望月局長
あとはよろしいですか。
佐藤康
あとは大丈夫ですね。
望月局長
宮崎さん、ではお願いします。実際お客さんと接して感じていることなんかも含めておっしゃっていただければと思います。
宮崎香奈
お客様は、おいしいものは素直においしいと言ってくださいますけれども、こっちから聞くことは、おいしかったですかとできるだけこれからは聞くようにして、何がおいしかったかを聞いて、その食材を会社の中だけで、おいしかったでとめるのではなくて、つくっている人のところにまで、その食べた人の声が届くような情報交換をしたりして、この時期はこれがおいしいとかというのをお客さんに言えば、お客さんも食べたいものがあれば、その時期に来てくださると思うし、そうすればお客さんが来ないとか来るとか、そういう1年間の中で通して、お客さんがまばらに来るのではなくて、平均的に来てくださるような活動をしたいと思います。
望月局長
ありがとうございました。
では、煙山さん。
煙山和彦
私のほうは、もう佐藤さんがほとんどしゃべりましたから、私のほうはちょっと違う視点から、グリーンツーリズムについてちょっと話したいのですけれども、雫石の場合西山地区の農家民宿さんが中心になって、もう既に雫石グリーンツーリズム協議会というのがございまして、体験型の旅行を誘致しております。ただ、鶯宿温泉の場合ですと、まずはっきり言いまして農地、農家が極端にいないと言うに等しいぐらい少ないわけなのです。やはり地元、近隣の農家の皆さんと連携しなければ、この鶯宿ではグリーンツーリズムはできないなということが例年課題になっておりまして、今年度からもうちょっと体験型のグリーンツーリズムというか、エコツーリズムといいますか、鶯宿型の体験メニューをつくれるやつを何か考えようではないかということを今年から始めまして、例えば減反しているところを何か手を加えて、ジャガイモでも何でもいいのですけれども、畑つくって植えさせて体験させようかとか、ただ私たちも減反に対する知識が少ないもので、やっぱり減反しているところには補助金とか行っているという話もありますので、勝手にそれを耕して貸してくれと言うわけにもいかんだろうなという、いろいろ難しいところあるのかなと思っておりますが、やはりそういった、今お客さんもやっぱり何かそういうのを都会から来る人は体験したいという希望もございますので、何とか鶯宿温泉でも手軽にできるような、そういった種を植えたり、ホウレンソウとったりとか、そういった簡単なグリーンツーリズムの仕方でメニューをつくれればいいなと今考えております。
望月局長
教育旅行なんか結構県内でもいろいろやっているのですけれども、やっぱりそれは小中学生に限らずということ。
煙山和彦
そうです。それに限らず、一般の方でも土をいじってやりたいよという人たちにやっていただけるように鶯宿では考えます。もちろん修学旅行とかも考えますけれども、ただそれだけのを引き受けてくれる農家があるのかどうか、西山さんの農家民宿は自分のところの田を貸すわけだから貸せるのですけれども、鶯宿のほうは借りてこなければならないわけですから、だからそこまで大きくできるのかなと。だから、減反のところをちょっとやって、土をいじれるような形のグリーンツーリズムみたいなのをつくれないかなと今試行錯誤しております。
望月局長
櫻田さん、何かコメントないですか。実際やっておられるので。
櫻田シゲ子
実際修学旅行のグリーンツーリズムでお客様を、中学生でしたけれども、すごく礼儀がよくて、もう来るときからお手紙が来ます。そして、戻ってからまたお手紙が来ますので、すごい子供たちだなと思ったのですけれども、私たちのように田んぼだけやっていますと、時期的に仕事が限られていまして、田んぼの仕事がないときに要請を受けられても、ちょっと仕事がないからと断ったこともあるのですけれども、でもそれはそれなりに農家をみんな、お花やっている人もありますし、牛やっている人もありますから、それで西山のほうでは頑張っています。
望月局長
やっぱりそういう地域との仕組みづくりというのですかね。それって多分行政のほうでも、かなり仕組みづくりのところでやれるところはあるのですかね。実際どうなのですか、菅原さん。
菅原久耕
そういったグリーンツーリズムに関して、行政も中に入って進めてくれるのですけれども、実際正直なところ、我々生産者は泊まるという時点になると、農業最盛期のころというのは非常に大変なわけで、今煙山さんが言われたように泊める部分は煙山さんのところでやりますよ、体験だけ受けてくれますかと言われれば、我々農家とすればやりやすいのです。泊まることまでセットでと来るものですから、非常に……。
達増知事
御飯の支度とか、布団敷いたりとかですね。
櫻田シゲ子
1人はもう御飯の支度ですものね、そうなると。5人も泊まれば。
菅原久耕
男性はどっちかといえば、そういうのがないから。女性がやっぱり支度して、寝泊まりさせるというのが大変になってきますね。特に我々のような規模の大きい農家になりますと作業期間が長いのです。春もう4月から始まり田植えが終わるのは6月ぐらい、その後麦刈りだ、麦まきだと、そして10月に稲刈りとあるので、そこのところをうまく連携がとれるのであればすごくいいなと私は思っています。
櫻田シゲ子
地元の農家の皆さんと交流してお話しすれば、それなりにできると思いますよ。
望月局長
こういうことあったらできるとか、この季節だったらこういうことができるとか、そういうことなのでしょうね。
菅原久耕
ですから、鶯宿温泉さんばかりではなくて、つなぎ温泉も雫石のエリアなのですね。ですから、同じようにそういう連携をとりながらやっていかないと、やっぱりそのエリアの活性化につながっていかないと思うのです。自分たちのところだけでやろうといったって無理なことですから。だから、そういった意味では皆さんで一緒に連携とれるのであれば、可能だなと私は思っています。
望月局長
時間があと10分ぐらいになってきたのですけれども、もう一つ、今県でいろいろ、例えば今平泉とか、あるいは秋田との連携をどうするかとか、広域観光みたいな話もいろいろやっているのですけれども、そのあたりについて何かお考えの点、あるいは提言とか何か。佐藤さんあたり何か、感じられていること多いのではないかと思うのですけれども。
佐藤康
広域観光ですね。岩手自体が県土がこれぐらい広いものですから、そこでまた他県とというふうなことになりますと、それこそ今県南地区では伊達の広域振興みたいな形で、県を越えて藩でこういうふうなエリアをつくったりしての観光が盛んでございますけれども、逆に秋田でしたら、例えば鹿角地区であるとか、旧南部のところですとか、それからあと八戸あたりと組んでみても、文化的には非常におもしろいものがあると思いますし、どうなのでしょう。田沢湖あたりでも結局集客するのは、もしくはイン・アウトを盛岡からほとんど入れておりますので、他県との形もおもしろいと思います。どうしても岩手の場合、旅行商品見てもおわかりのとおり、エリア別で商品をつくってしまいますので、どうしてもそこ単発で行ってしまって、そのまま首都圏とか仙台圏に戻られるというふうな形が多いですから、もう少し広い岩手の魅力を全部回すような形で、それとやはり関西とか以西に行きますと、もうほとんど東北というふうなくくりで皆さんとられますので、東北をやはり周遊させるという、そういったのもそれこそイン・アウトを岩手からにしてというふうな、面白い切り口でつくれると思いますから、他地域との連携はこれぜひやっていただきたいと思います。
それと、あともう一つは、どうしても振興局単位でのこういった会合もそうなのでしょうけれども、やはり我々ももう少し平泉あたりの情報、しゅんの情報であるとか、沿岸地区の情報であるとかというものを取り入れて、全体としてのお客様の流れをつくりたいところもありますから、エリアごとはもちろんのこと、年に1度ぐらいはやはり知事のお声がけで全エリアから集めていただくとかというふうな情報交換もよろしいかと思います。
望月局長
道の駅なんか、実際車で回っている人が多いわけですよね。多分秋田から来てぐるっと回るとか、いろんなのあると思うのですけれども。
山本浩
実際私どもの道の駅が秋田なのか、岩手なのか、東北なのかとわからないお客さんに立ち寄っていただきます。ですから、お客さんにすれば県境の線はなくて、どこからどこまで行くのだという流れですから、今連携という形ももちろん必要だと思いますし、そういった形で人が流れるルートで考えていけばいいのかなというふうに思っています。数年前のデータでいくと北海道のお客さんは、道の駅にどういうふうに立ち寄っていくかというと、鹿角が一番立ち寄り率が高くて、次がうちなのです。ですから、そういった流れもあるのだなというのも考えながら連携していくのがいいのかなというふうに思います。
望月局長
ETCでやっぱりかなり増えていますか。
山本浩
先ほど佐藤さんともスタート前に話ししたのですけれども、ゴールデンウイークは確かに見えました。ただ、休みが短いとこっちまでは延びてこないですね。ただ、逆に地元の人たちが外に出ていってしまうというような流れもありますね。
望月局長
逆にね。佐藤さんのほうでも、土日は多くても平日がちょっとあいているとかというのはある。
佐藤康
やはりその傾向は出ていますね。どうせですから、1,000円で移動できるという時期に、うちの近所の人たちなんかもちょっと弘前行ってきたとか、仙台のアウトレットモール行ってきたという形で、逆に平日とかこの周りを回っていただいて、日帰りですとか、入浴をしていただいているお客様が、秋保に風呂入りに行ったとか、そういう形で結構近県にとられているところもございますので。
望月局長
逆にね。煙山さんのほうも……。
煙山和彦
そうですね。ゴールデンウイークは雫石で言いますと小岩井さんが異常に何かすごく増えたということは聞きましたけれども、旅館ですと一時期だけ増えますので、キャパ決まっているものですから、ゴールデンウイークだけ増えるわけにいきませんので、どうしてもそれなのですが。
望月局長
一番いいのは年間通して、こう。
煙山和彦
そうですね。ずっと通してそうなってくれれば一番いいのですけれども。
望月局長
宮崎さん、実際やっぱり土日が多くなってしまうのですか。
宮崎香奈
そうですね。土日が多くて平日は結構今の時期は空いていたり。
望月局長
平日増やすにはどうすればいいのですかね。
菅原久耕
実は私伊勢参りに7年連続、毎年1月にお参りします。そのついでに近畿へ回って、帰ってくるのですけれども、どうしても岩手、盛岡というのは向こうの皆さん方には余り意識ないのです。飛び越えてしまうのです。あるいはもしかすると、盛岡でおりて秋田に行ってしまうといったのが強い感じがいたします。ですから、盛岡というのを意識させながら、その時私はうまく一本桜の関係で盛岡を知ってもらったのですけれども、盛岡知ってもらいながら、そこから46号線通ればここにこういうものがあるよと、そういうものを発信していかないと、なかなかこれはだめだなというふうに感じるのです。
去年おかげさまで、指導を受けて農林水産大臣賞をいただきましたけれどもおかげで、今秋田、それから宮城から多くの方々が視察にいらっしゃるのですけれども、技術面では農業としてでは逆にこっちに学びに来てくれるのです。そのぐらい遠くからでも来るのですけれども、事観光に関したときにはもう逆に逃げていってしまう、その辺をどうにかつかめる何かインパクトがあれば、それはやっぱり盛岡なのです。ここ雫石に直接ではなくて、それをどうにかつくっていかないとまずいなと、その辺いろんな知恵を出し合わなければだめではないかなと私つくづく感じるのです。
望月局長
盛岡市が、今まで以上にしっかりしないと。
菅原久耕
そうなのですよね、正直。ですから、自分の会社の中で北海道に行き、九州に行きと年1回の研修で各地見させると、やっぱり地元はいいのだけれども、何かが足りないと、やっぱりそれは……。
望月局長
何か。
菅原久耕
何かが足りない。
望月局長
何か。
菅原久耕
その何かが、やっぱりみんなでつくっていかないと、岩手、盛岡、雫石というものが出てくれば、もっと変わっていくのだろうなというのはあるのですが。余計なことを言いましたけれども。
望月局長
いえいえ。時間も少なくなってきました。せっかくの機会ですので、あと何かこの際一言みたいなのありましたら。まだ3分ぐらいありますので、佐藤さん、もういいですか。
佐藤康
先ほどご説明申し上げた岩手塾ということで、脱サラしてこちらに戻られた女性の方が今農業始められたのですけれども、大変若手の方を随分集めておられまして、そういった意味でのIターンをやったらどうだというのが前回の我々の会議でありまして、体験型のそういう地元に来ていただいて、農業体験をしていただいて、良ければ定住というふうなことも今我々の団体のほうで考えておりましたので、そういったところを後で県のほうにもお邪魔しますので、今現在やっておられますIターンですとかUターン、そういったものもいろいろ教えていただきながら、ご協力させていただきたいと思っております。
望月局長
わかりました。ありがとうございます。
菅原久耕
ついでに、今我々雫石のところに新規就農者という人が大分入ってきていまして、私の近くにもよく相談に来てもらって、盛岡から今2人、施設野菜でもう実際に入ってきています。ですから、そういう方々の連携、情報をとりながら、どうすれば農業がもっと楽しくなるかというのを逆にこっちも学んでいきたいなと思っています。こうして農村、農業の活性化につながっていくのかなという感じはしているのです。ですから、そういう新たに外から入ってくる農業をやろうという人をやっぱり我々も迎え入れるという、そういった準備をしていかなければならないなと、そんなふうに考えています。
望月局長
ありがとうございました。あとよろしゅうございますか。
では、皆さん、大変ありがとうございました。
知事所感
望月局長
それでは、最後に知事のほうから。
達増知事
大変参考になる意見、いろんな情報を伺うことができまして、どうもありがとうございました。
県の新しい長期計画で今素案をお示ししていて、ホームページなどでも見れるのですけれども、3つの視点というのを出していて、それはゆたかさ、つながり、ひとという3つの視点、これをそれぞれはぐくんで、全体として「いっしょに育む希望郷いわて」というスローガンなのですけれども、これが総合目標で、その総合目標に至る基本目標が、ゆたかさをはぐくむ、つながりをはぐくむ、ひとをはぐくむということになっているのですけれども、このゆたかさ、つながり、ひとというのは、どういう順番に並べかえていただいてもいいのですが、それぞれ関係をしていて、まずやはりゆたかさをはぐくむ、県としてもやっぱり所得の向上、福祉の向上、そういうのはきちっと目標にしてやっていく。ただ、それは物質的豊かさだけではなくて、そういう本格的な神楽を身近に見られるとか、そういう精神的豊かさ、水や空気がおいしいとかというのも含めてのそういう真の豊かさをはぐくむ。そのためには、つながりをはぐくむということを通じてやっていくのが基本になるのではないかと。そして、そのつながりをはぐくんでいくには、一人一人の人材育成ですね。人をはぐくむという、農業生産者として、あるいは旅館の仲居さんとして、そういう一人一人の能力を育てて、そしてつながりを育てて、それが豊かさにつながっていくと。
これは逆に豊かさを求めて活動することが自然につながりづくりになって、その中で自然に一人一人が育っていくというような順番に並びかえることもできるのですけれども、いずれそういうゆたかさ、つながり、ひとの三位一体の中で岩手をよくしていくという方向で行くのがいいのではないかということを今提案しているところでありまして、今日のお話は既にこの地域でそういうことが進んでいるぞというようなお話を伺うことができたと思いますので、県としてもますます頑張っていきたいと思います。今日は、本当にありがとうございました。
閉会
望月局長
では、今日は皆さん、いろいろさまざま提言いただきまして、ありがとうございました。
以上をもちまして、本日の懇談会を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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