岩手フロンティア懇談会(平成20年12月16日)
対象地域:県南広域振興圏
開催場所:奥州市
県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」懇談記録(県南広域振興圏)
- 日時 平成20年12月16日(火曜日)10時00分から11時30分
- 場所 奥州地区合同庁舎 1階 1-B会議室
開会
勝部局長
定刻でございますので、始めさせていただきます。
ただいまから県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」を開催させていただきたいと思います。
年末のお忙しいところをご出席いただきまして、皆様方には心から感謝申し上げます。私は、本日の進行役を務めさせていただきます県南広域振興局長の勝部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
知事あいさつ
勝部局長
それでは、開会に当たりまして、達増知事から一言ごあいさつを申し上げます。
達増知事
皆さん、おはようございます。この「岩手フロンティア懇談会」は一種の作戦会議だと思っておりまして、岩手が直面する課題を解決、克服していくためにどうすればいいか、また将来の岩手のために何をすればいいのか、そういうことをこの地域に根差しながらさまざまな分野で活躍している皆さんの意見を参考にしながら切り開いていきたいという思いでやっていることでございます。
そして、県のほうでは、夢県土いわての12年間の総合計画が再来年で終わりますので、その後の10年くらいの長期計画を今のうちにつくっておかなければということで、今年から策定に取りかかったところであります。
10年後の岩手をどういうふうにしていくのか、それは空理空論、机上の空論考えていてもだめで、それぞれの暮らしや仕事の現場で今を生きる県民が、自分が10年後こういうことをしたいとか、10年後の自分はこういうふうになっていたいとか、そういう生々しくも個別、具体的な思いというものを全県分束ねることによって、岩手全体が10年後こうなる、こうしなければならないというふうに決まってくるのではないかと思っておりまして、そういうところに参考になる意見も伺えればということも思っております。
それから、この「岩手フロンティア懇談会」は岩手を4つに分けた広域圏ごとに行っております。県北、県南、県央、そして沿岸、4つの広域ごとに行っております。この広域振興の考え方については、岩手の県組織のあり方という、そういう行政の改革という側面もあるのですけれども、同時にこの自治の観点からいいますと県南は県南で、県南に住んでいる皆さんに、県南の皆さんだけの県を1つつくっていただきたいという、そういう思いでもあります。沿岸に住む人たちは、沿岸の人たちのためだけの県をそこに1つつくるというような、四国四県に匹敵する岩手県の大きさでありますから、そこに4つ県があっても良いわけでありまして、もちろんオール岩手の県でもあるわけですから、オール岩手のための貢献とか、あるいはオール岩手がこうでなくてはならないという働きかけとか、そういうのももちろんどんどんやっていただきたいのですけれども、ただ文化、歴史を共有し、また地理的条件から産業などでも共通性が高く、そういう暮らしや仕事あるいは通学、そういう学びの場としてもひとつ共通性の高い、そういう市町村を越えた広域という枠組みを自由自在にデザインしていただいて、そこでそれぞれの仕事や暮らしをどんどん高めていただく。そのお手伝いを県が県組織を4つに分けてお手伝いするという、そういう新しいフロンティアに挑戦するということで「岩手フロンティア懇談会」という名前にもなっております。岩手の中でも独特の歴史があり、宮城県との深い関係もあり、また産業面で岩手をリードしているこの岩手県南というところから岩手の希望を引っ張っていっていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
勝部局長
ありがとうございました。
それでは、本日ご出席の皆様をご紹介いたします。
JAいわて花巻女性部部長の葛巻輝さんでございます。
かんきょうネット一関の薄井信次さんでございます。
社団法人一関青年会議所理事長の村上耕一さんでございます。
NPO法人わが流域環境ネットの小田島清さんです。
奥州市自治基本条例検討委員会の小野寺裕子さんでございます。
東北まちづくり実践塾代表の菊池新一さんでございます。
それから、本日は県南広域振興圏管内の県議会議員の先生方にもご出席いただいております。ご紹介いたします。遠野選挙区の工藤勝子先生でございます。
奥州選挙区の新居田弘文先生でございます。
花巻選挙区の佐々木順一先生でございます。
北上選挙区の関根敏伸先生でございます。
奥州選挙区の郷右近浩先生でございます。
北上選挙区の久保孝喜先生でございます。
奥州選挙区の亀卦川富夫先生でございます。
懇談
勝部局長
それでは、早速懇談に入らせていただきます。本日の懇談は、ただいま知事のあいさつにもありましたとおり、新しい長期計画の策定に向けて、皆様から地域に住んでいる立場から岩手でこういうことをしたいということ、あるいは仕事、あるいは暮らしの場でこういうことをしていきたい、日常の生活の中でこういうことを大事にしていきたいというようなご意見などを余り緊張しないでざっくばらんにお話しいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず葛巻さんのほうから自己紹介も兼ねて、日常の活動の紹介等も含めて今後地域の立場で見て、岩手でこんなことをやっていきたい、こうありたい、そういうことを紹介いただければと思います。よろしくお願いいたします。
葛巻輝
私は、岩手の空の玄関と言われますいわて花巻空港があります宮野目に住んでおります。花巻農業協同組合を4年前に、農協の仲間とともに退職いたしまして、農業をしながら地域活動に入っております。本来であればいろんな形で再就職を農業以外に求めたいなと思いながら、農業に取り組んでおりますが、耕作面積は水田が1.5ヘクタールとそんなに多いわけではないので、いろんな面で今のこの厳しい情勢の中で悩みながら農業に取り組んでおります。
畑もやっておりまして、産直に出しながら、本当に生活を考えていく場合には大変だなということで農業、食育、それから国民の食料を生産する農業が大事だと言われながら、どのようにしていったらいいかと悩みながらつくっておりますが、自分とすれば農業の傍らJAの女性部の役員として、組織メンバーと一緒に今の農村生活をより楽しくしていくにはどうしたらいいのかなという力をいただきながら一生懸命にやっております。
ところが、この情勢の中で集落営農という体系の中で、私だけではないのですが、今退職された方々が農業に取り組もうとしても担い手中心の農業だということから、どうしても集落の中で、自分の耕地でありながらなかなかうまく働いていけないというふうな悩み等も聞いております。これから自分もいろんな形で起業しながら、高齢者の方も農業にいろんな形でかかわりを持って、生きがいを持っていくような形ができればいいのではないかなというふうに試行錯誤中でございます。
やはり農業というのは、機械化、それから省力化という形でいくと、どうしても食の安全とかいろんな面で失われる、心配される面が多いのではないかなということから、どれがいいのかわかりませんが、やはり手をかけて、一緒になって子供たちと若い人たちとつくりながらよく見えるような農業であって、本当に国民の安心した食料生産できるよという体制ができていければいいなと。特にも今はJA関係ではWTOの輸入関税の関係からいろいろと心配されることがいっぱいありまして、それも含めて岩手が食産業の発信地だよというふうな部分でいろんなことをやっていただければなと。それからこの地域の中で、私が住んでおります花巻市宮野目では、実はコミュニティー会議ということで市民の方々がみずから地域課題を整理していきましょうということから、特に宮野目の場合、空港もあることから、いろんな方々がいらっしゃるということできれいな宮野目づくりという表現ですけれども、清掃活動に取り組んで、市の行政のほうの決められた日にち以外にみずからそういう清掃活動を取り組みましょうとしておりました。それこそ年に1回のそういう行事ではありましたけれども、県外、それから県内の方々も、いろいろ空港利用してくださるということから、ぜひ再び岩手に、花巻に来たいなと、自然がいっぱいでとてもいい地域であるので、来たいなというふうなことがあるように継続していきましょうということでおりますが、宮野目、花巻だけではなくて全体にそういう部分も取り組んでいただければなというふうに思います。それから実は平成21年の春に花巻空港の新ターミナルビルが開設されるということで、今工事をされているわけですが、この関係でアクセス道路が今変わろうとしております。このアクセス道路の中で片側2車線の高規格道路になっておりまして、この中で今住民が生活道路と交差する部分につきましていろいろとお話を聞いておりましたけれど、信号のない交差点が発生するという状況を実は住民の方々が心配しております。子供たちの通学路でもありますし、それから県外からとか、いろんな方々がご利用いただける道路の中で交通事故等が発生しては、お互いにこのとおり道路網がとてもよくなってきておりまして、車社会の中で心配が発生しておりますので、ぜひアクセス道路につきましても信号をつけていただきながら、住民と、それから空港を利用される方々がうまくお互いに事故が発生しないような形でやっていただければなと思っております。
まだまだ地域に根差しておる私たち農業者、それから特に女性農業者にとってもいろんな形で助成をいただきながら起業できる部分については情報等を提供いただきながら、頑張っていきたいなということでおりますので、よろしくお願いしたいと思います。
勝部局長
ありがとうございました。それでは、次に薄井さんよろしくお願いします。
薄井信次
一関から参りました薄井信次です。よろしくお願いします。
十数年ほど前から環境活動を始めました。2000年に環境団体のかんきょうネット一関を立ち上げ、情報の発信をしております。現在は、岩手県環境アドバイザーに登録して4年目になります。環境省の環境カウンセラー市民部門に登録しまして3年目でございます。
昨年、一関地球温暖化対策地域協議会というのが設立されまして、準備会からかかわっておりまして、今はその中の学習委員会というところで活動しております。
今年をあらわす漢字は「変」だそうです。国外でもアメリカでは、次期大統領のオバマ氏が「WE CAN CHANGE」と政策変更を訴えていました。私には、気候変動の「変」というふうに感じております。
25年ほど前に私が生まれ育った仙台から一関に参りました。本来は仙台に帰るというつもりで出てきたのですが、岩手の自然に魅せられて縁もゆかりもない岩手に住と仕事の職を求めて永住することを決めました。そこには私が生まれ育ったふるさとのもはや失われてしまった田んぼがあり、川があり、山があり、しかしこの地域でも地球規模の環境の変化により、貴重な自然が破壊されようとしています。平成20年に作成したいわて希望創造プランの政策の一つとしての世界に誇れる岩手の環境の実現ということに向け、実効的な行動をとりたいと今は望んでいます。
勝部局長
ありがとうございました。それでは、村上さんよろしくお願いします。
村上耕一
一関青年会議所、村上耕一と申します。
一関青年会議所は今年で53年目になります。今では一関、藤沢、平泉を活動拠点としまして、何かまちの中でやらなければいけないのではないかということをいろいろ取り組んでおります。青少年育成ですとか、社会開発というのが最近は一生懸命取り組んでおります。
その中で、青年会議所は40歳で卒業ということで、構成メンバーとしまして企業の2代目さん、そして創業者もいるのですけれども、そういう人たちでやっております。今年の10月を境に製造業あたりから急激に景気が冷え込んできまして、今までやってきた歩みを止めないでいこうという会のコンセンサスをとることが、例えば環境の問題でしたら、今までは環境、環境とやってきたのですけれども、そう言ってられないのではないかという言葉をとめておくということにいっぱいです。今までやってきたことを無駄にしないためにも続けようと、今まで言ってきたことを無駄にしないためにも、今ここで自分だけが残ればいいやとなったのではだめだろうということで、頑張ろうというのに本当に精いっぱいな状態です。
また、青年会議所メンバーは40歳までということで、今ちょうど子育て、そしてまた子供が産まれる年のメンバーが大分多いのです。そういう部分でも、例えば一関では旧東磐井、千厩から東磐井のほうでは、例えば産婦人科がもうなくなるような状態です。岩手県に住んでいていい部分の、いろいろな面での安心とか安全という部分、その中にある子育てを安心してできるという部分が少しずつ小さくなるのではないかなということも心配しております。ただ、それについて産婦人科をふやしてくれとか、何か陳情するようなつもりはありません。どのように進んでいくのか、メンバーの中でも、例えば病院が集中していってということはみんな賛成です。ただ、それがきちんと見えてないで、ただただちっちゃくなっているような感じにみんな市民がとらえていると思います。ここはこうなってしまうけれども、そのために例えばインフラ網を整えて千厩からでも30分で行けるのだから要らないだろうとかという、そういうのがあれば……。僕たちが理解して、これはいいのだろうと思っていても、それをみんなに説明するようなことができないという状態です。
あと先ほどのフロンティアという部分でも、やっぱり僕も企業人ですので、県南ということで、製造工場をやっています。やっぱり先ほどもありましたけれども、何個かに分かれて一つ一つの県でとなると、またここの県でも1県に1個何かが欲しくなってしまうので、特化するみたいな方向で進んでほしいと思います。全県にまたがることは全県に、例えば農業のことだったら全県的に考えると、工業のことだったら、ちょっと申しわけないけれども、沿岸のほうの人たちごめんなさいで、やっぱりこっちに集中してほしいと思いますし、そのかわり今どんどん沿岸のほうで、これから魚というのが、冷凍倉庫などにも設備を納めさせてもらっているのですけれども、そちらはこの景気が落ちてきたときでも稼働しているので、そこら辺にどんどんお金使ってもらって機運を盛り上げてほしいと思うので、取捨選択という部分を、行政は難しいと思いますけれども、どんどんやっていってほしいなと思っております。
勝部局長
ありがとうございました。それでは、小田島さん、よろしく。
小田島清
北上から参りました小田島です。私は、生まれ育った北上に帰ってきたのが2002年で、5年過ぎて6年目に入っているところです。もともと建築設計のほうを勉強して、その後ランドスケープ、景観計画、公園の設計が主だったのですけれども、コンサルのほうでいろいろ国内、海外含めていろんな現場等を仕事してこちらに帰ってきました。
やはりいろんなところを回ったりする中で、やはりいずれは岩手に帰るのだろうなという思いが社会人になってからもずっと持ち続けていました。それは何だったのかなと振り返ってみると、やはり岩手の自然、きょうも天気がよくて、西の山も雪化粧をして大変きれいでしたけれども、岩手のそういった自然、山や川や、それから海や、そういった岩手の自然、目を閉じるとそういった岩手の自然が出てくるというようなところがやはりいずれは帰るのだろうなというふうに思いながらいろいろ岩手県外で仕事をしてきたのではないかなというふうに思っていました。
こちらに帰ってきて、いろいろ地域づくりを中心にしながら活動をしているのですけれども、2年前に「わが流域環境ネット」という法人を立ち上げました。これは、平成15年に岩手県でつくりました岩手県の「ふるさとの森と川と海の保全及び創造に関する条例」、いわゆる森川海条例を制定してから和賀川流域できれいな水循環を推進する協議会を立ち上げて、平成17年に和賀川流域の水循環計画を策定しました。それは実施する団体として立ち上げて、事業実施をその後行ってきています。その中で、子供たちの環境学習も一つの柱として、実施したりしてきております。
その中で、きれいな水をはぐくむ森づくり、きれいな水が流れる川づくり、きれいな水を守る環境づくり、きれいな水を守る人づくりと4つの柱の中でこれからの活動をしていきたいなというふうに考えております。
勝部局長
ありがとうございます。それでは、小野寺さんお願いします。
小野寺裕子
地元奥州市胆沢区から参りました小野寺です。奥州市自治基本条例検討ワーキンググループ委員という、今回こういうネーミングで参加させていただきましたが、主にワーキンググループとしての活動は昨年まででして、今年度は有識者による検討委員さんのほうが中心になって動いてらっしゃるので、現在私は特別所属している団体はございません。そういう状態なものですから、フリーな立場でこの場に参加させていただいているということですごく場違いな感じがしまして、非常にずっと緊張して今の時間まで来たわけですけれども、きょうは私は子育て真っ最中の母親として、そして一市民として自治基本条例のほうにも参加させていただきましたので、きょうもそういう立場でこの会で意見を述べさせていただけたらなというふうに割り切って参りました。
私は、現在嫁ぎ先が農家でございまして、およそ7町歩の水田をつくって2町歩ほど減反で大豆をつくっております。主は義父になるわけですが、私もうちで農業の手伝いをしながら4世代10人家族の主婦として、また20歳から14歳までの5人の息子を育てております。そういうことから、子育てに関していろいろ感ずるものがありまして、これまでに地域で子育てサークルをつくったり、また胆沢区というのは子育てサポートも結構早く立ち上げた場所ですので、そこのサポーターとして子供を預かるサポーターのお手伝いをしたり、またいろいろとPTAの役員も何回か経験させていただいておりました。
昨今のいろいろ社会情勢を見ましても、やはり人というのは、これからどんな社会で活躍していくといっても、やっぱり人を育てることがすごく大事なことではないかと思っております。すなわち子供は宝でありまして、人材を育てることがこれからの社会をよりよくする一番大事なことではないかと痛感しております。
それで、きょうは教育面のほうを主にお話というか、提言というぐらい立派なことではないのですけれども、思うことを述べさせていただければ。
まず、地元でも申請しているということもありますが、35人学級の実現を目指して今活動しているメンバーがたくさんおりますが、小学校の2年生までは35人学級実現していますし、またすこやかサポートと申しまして、先生がもう一人サポートに入っていただいているのですが、小学校3年生以上になるとそれが実現されない形で、また人数が戻ってしまうわけです。少子化でもう既に1クラス30人以下というところも大分出てきてはいるのですが、奥州市を見てもわかりますように大規模校はあるのです。県下でも1番というようなぐらいの学校もありますし、また一方で20人にも満たないという学校もあります。そしてまた、最近特に言われる中一ギャップの問題ですね、これもどうしても人数が多いことから余計子供たちに負担をかけているのではないかということもすごく私自身も感じております。
それで、35人というよりもむしろ30人以下の学級をやはり早急に実現させていただければと思います。まして、特に中学生に関してはクラスが1つ減るということは、教職員が最低1人は減るということです。そうすると、専門教科を教えていただける先生が減るということでして、私の息子が通っている学校も既にもう専門の先生がいない科目がありまして、1人の先生が2教科兼ねて教えているという方もいらっしゃいます。また部活動に関してもなかなか思うように部活動ができないというような状況が起きております。また、先生方の負担もすごく多くて、先生方の負担が多いということは、決して子供にとっていいことではないと思うのです。新聞を見てもわかりますように、教職員の精神的な問題すごく騒がれておりまして、やっぱり私の知っている先生の中にも何人かそういう方がおられまして、本当に憂えております。そういうこともありまして、やっぱりぜひにも30人学級を目指して、岩手県としては本当に子供たちの教育にもっと力を入れていってほしいなと思います。よろしくお願いいたします。
勝部局長
ありがとうございました。それでは、菊池さんお願いします。
菊池新一
遠野から来ました菊池でございます。よろしくお願いいたします。
所属はNPO法人の遠野山・里・暮らしネットワークの東北まちづくり実践塾。クラスターといいまして、私たちのNPOは遠野のまちを元気にしたいというさまざまな活動団体がありまして、そういった人たちがクラスターとしていろんな形でグループが参加しておりまして、いわばブドウの房のように粒々が一つの活動体になります。それを束ねて情報を出したり、あるいはいろんな世話をする、そういった役割を持つのが私たちのNPO法人となります。今はNPO法人の中に5人の職員がおりまして、私を含めて5人で、そういった活動団体の世話をしておりまして、私自身は一つのクラスターとして東北まちづくり実践塾をやっておりますし、当然NPOの活動そのものが事務所におりますからやっております。
まちづくり実践塾としては、先ほど人材という話もありましたけれども、東北を活動のエリアといいますか、対象にして、東北各地6地区で人材づくりを中心としたコミュニティービジネスとか、ソーシャルビジネスですね。そういった仕事をお手伝いしておりまして、それが今私たちの主たる仕事になろうかと思います。あとはグリーンツーリズムを主体としたNPOでもありますので、平成7年から遠野でグリーンツーリズムに取り組んでおりまして、このところ特に多いのは教育旅行です。中学生あるいは高校生が農家に泊まりたい、民家に泊まりたいと、つまりホームステイをしたいというニーズがものすごくふえています。
これ実は県内でもいろいろなところで取り組みが既に行われておりまして、実を言いますとJA花巻さんのほうから、先進地としてずっとやられてこられましたけれども、花巻だけではとても対応し切れないということで、遠野さん何とかやってくれないかという話があって、ほんの2年ぐらい前から遠野も実は始めたのです。これは県に指針をつくっていただいて、農家に泊まれるというふうなルールをつくっていただいたというのが一つのきっかけになっていると思うのです。それから遠野が歩き始めましたら、あっと言う間に本当に満杯状態で、来年、再来年までも予約が来ている状況です。
それで、受ける農家も110軒という結構多い農家の皆さんにやっていただいていますけれども、私どもそれを受けることによって、地域がどう変わるのかとか、あるいはいろんなことを心配しながらやっています。既に先輩、全国でやっておられるところもいろいろ経験を踏まえて、いろいろ遠野流のルールをつくりながら、無理をしないとか、あるいは楽しい農家にやってもらうと、さまざまなルールをつくりながらやっているところです。そのほかにグリーンツーリズムといいますといろいろ考え方はあるのだと思うのですけれども、私どもは少しユニークな取り組みをしておりまして、自動車学校で合宿教習で東京のほうから大学生を中心に免許を取りに来るのですが、その学生にあいている時間に馬に乗ったり、農家に泊まったり、農作業してもらったりという形のスタイルをやりましたところ、4年ほど前は260人ぐらいの生徒でしかなかったのですけれども、今は850人と3倍以上の学生を集めています。それも実はグリーンツーリズムのコラボレーションで実はできたことで、もともとある遠野の資源を有効にうまく組み合わせることになるということによってそういうこともできるし、特にも合宿者が延べにしますと年間約6,000人近い人が宿泊するわけですね、1人で17泊ぐらいしますから。その泊まり先を市内の民宿、旅館に泊まってもらうことによって、経済効果も生まれるとか、そういうことを少し工夫すればコミュニティービジネスといっても割と遠野のようなところではそのような効果が出てきます。
また、私どもが今、自動車学校で仕掛けているのは、自動車学校は長期休暇のときにもすごくはやるのですけれども、それ以外は閑散期に入ります。そこを利用してシイタケの原木栽培をやってもらっています。ですから、まさに企業の農業参入です。それは全く閑散期だけの作業になりますから、楽しみながら学校の先生たちも植菌をしたり、シイタケをとったりさまざま、それ自体、お金ももうかると、そういったことを楽しみながらいつもやっているのですが、その中で、私どもは何のためにグリーンツーリズムをやるのかということを実はいろいろ悩み、苦しみながら壁にぶち当たりながらずっと考えてきました。今は、何のためやるのかと気がついてみましたら、遠野に住んでいる人たちがどれほど地元遠野に誇りを持てるのか、大好きなのか、そういう人たちをいっぱいつくろうと、そのことはつまりよそとの交流の中からしか気がつかないものですから、その交流をすることによって、遠野に住んでいる人たちが遠野の魅力に気がつき、さらにはよそに向かって誇りを持てるという人たちをいっぱいつくる、そのことこそが私たちの目指すところだなと思っています。
誇りを持っている人たちがいっぱい住んでいるまちというのは極めて魅力的になると思います。黙っていても、恐らく訪れたくなるまちになるだろうということを目指しながら今取り組んでおりました。
勝部局長
ありがとうございました。
以上、一通り一巡したわけでございますけれども、今までの6人の方々のそれぞれの自己紹介、活動内容であるとか、期待の部分も若干お話が出ましたけれども、2巡目は今度は順番決めませんので、ぜひ自由に熱い思いなどをお聞かせいただければと思うのですが、先ほど薄井さんは活動のほうをちょっと遠慮なされたような感じでしたので、どうぞ活動内容等を紹介していただければと思います。
薄井信次
活動内容というよりは、先ほど知事がおっしゃった10年後の夢に向かったお話をさせていただきたいと思います。
持続可能なという言葉が大分使われるようになってきました。持続可能な開発、持続可能な発展、国連でも持続可能な開発のための教育の10年というのが始まっております。要するに、今までの生活のままでは、今の経済のあり方ではこの文明、地球が崩壊するということが既にもう知られていると、科学者の間では知られているということです。そして、そのために私たちがどのような生活をすればよいかというのはもうわかっているのですよね。これはテレビでも、新聞でも、それから県のほうでも、市町村でも情報を出していて、エコな生活を呼びかけています。そのモデルを槌田敦さんという方が書いた「環境保護運動はどこが間違っているのか?」という本から引用させていただきたいと思います。
「エコロジカルな主婦の地球に優しい一日という暮らし方です。
朝起きて、まず顔を洗います。洗面所の蛇口には節水コマをつけています。普通の蛇口のままでは水が毎分12リットルぐらい出てしまいますが、この節水コマなら五、六リットルになります。もちろん歯磨きのときに水を出しっ放しにすることはしません。1分間でバケツ1杯分の水を無駄にすることになるからです。
それから、トイレのタンクには節水のためにビール瓶を入れてあります。普通のタンクの水量は12リットルぐらいですが、これを少し減らしても使用上のトラブルは起きません。
洗濯はおふろの残り湯を利用し、最後のすすぎのときだけ新しい水を使います。1回の洗濯では200リットルの水を使いますが、これなら水は35リットルだけです。もちろん朝シャンなんかは絶対にしません。
朝御飯をつくるときはお米のとぎ汁をそのまま捨てないように注意します。とぎ汁2リットルを魚もすめる水質にするためにはふろおけ4杯分の水が必要になるからです。だからとぎ汁は食器洗いや野菜のあく抜き、雑巾がけなどに使ったり、肥料として植木にやったりします。同じようにみそ汁200ミリリットルを魚のすめる水質にするためにはふろおけ4.7杯分の水が必要となるので、みそ汁を残すようなことはしません。
とぎ汁やみそ汁以上に水を汚すのが食用油です。天ぷらに使った後の油500ミリリットルをそのまま流してしまうと、魚をすめるようにするために何とふろおけ330杯分の水が必要になってしまいます。だから、料理をした後のなべの油や食後の食器の油は流しの横にいつもトイレットペーパーを置いておいてふき取るようにしています。トイレットペーパーは、もちろん古紙100%のものです。
食器を洗うときは毒性のある界面活性剤を使った合成洗剤ではなく、石けんを使います。贈答用でもらった合成洗剤は、贈った店に行って石けんと交換してもらうようにしています。
読み終わった新聞は再生しやすいように新聞紙とチラシに分けてまとめておきます。裏が白紙のチラシはB6版ぐらいの大きさに切ってメモ用紙にします。ダイレクトメールはカッターで開き、逆に折り返してテープで張って再生封筒にしております。
買い物に行くときは買い物かごとふろしきを持っていき、使い捨てのスーパーバッグは利用しないようにしています。プラスチックトレーに入った食器やペットボトルに入った飲料水もできるだけ買わないようにしています。どちらの容器もリサイクルがほとんどできず、焼却した場合でも高温になるために焼却炉に負担がかかるためです。
また、1台で家1軒分に匹敵する電力を消耗する自動販売機は使いません。バージンパルプを使った紙製品はできるだけ買わないようにしています。使い捨てのコップやペーパータオル、ナプキンなどは使いません。ティッシュペーパーのかわりにテーブルの上には台ふきんが置いてあります。牛乳パックを集めておいて、生協の回収に出します。牛乳パックから手すきはがきをつくることもあります。
動物工場で大量の抗生物質を投入して育てられたブロイラーなどの畜産動物の肉や魚工場でつくられたハマチなどの養殖魚は買いません。タイやインドネシアのマングローブ林を破壊して養殖されたエビや膨大なエネルギーを使って運ばれてくるマグロも食べません。イワシ、サバ、アジなどの新鮮な近海魚を鮮魚店で選んで買うようにしています。
中南米の森林を焼き払って育てられた輸入牛肉や、収穫後の虫やかび、発芽などを防ぐために使用されるポストハーベスト農薬で汚染された輸入食品は買わないようにしています。共同購入グループや生協に入って農薬を使わない有機栽培の野菜を購入するようにしています。
外出するときは車は使いません。電車やバス、近いところなら自転車を利用します。外食をするときは、自然食の店に行きます。もちろんはし袋に自分用のはしを入れて持っていきます。
家庭の電力消費量を減らすために、100ワットの電気を60ワットにかえました。冷蔵庫にものを詰め込み過ぎると余分な電力がかかるので、内容量の3分の1以上は入れないようにしています。湯沸器の口火はつけっ放しにしておくと1時間当たり約200キロカロリーのガスの無駄遣いになるので、小まめに消すようにします。
夜間の照明、暖房を減らすために、夜はできるだけ早く寝て、朝早く起きるようにしています。みんなが照明時間を1時間縮めれば石油120万キロリットルの節約になるからです。」どうすればいいかはわかっています。でも、こんな大変なことは私はできません。皆さんいかがでしょうか、どうすればいいかはわかっているのです。でも、できないところに問題があると思います。
そこで、まず10年後の話をするということで、まず夢を持って、私は今の話に魔法をかけてみました。聞いてください。普通の主婦の、先ほどはエコロジカルな主婦の一日でしたけれども、魔法をかけた普通の主婦の一日を話します。
「朝起きて、まず顔を洗います。洗面所の蛇口には既に節水コマがついています。なぜなら岩手県では、節水コマがついていないと建築許可がおりないからです。歯磨きのときに水を出しっ放しにすることはしません。なぜなら岩手県では、水道料金は量を使うごとに高くなるから。
トイレのタンクには節水のためにビール瓶を入れてあります。やはり量を使うごとに料金が高くなるからです。岩手県では、新築や改良のときに節水型のトイレでないと許可がおりません。
洗濯はできるだけおふろの残り湯を利用します。全部新しい水を使うと、相当高い水道料金になるからです。必要があれば朝シャンはします。その場合、前日の入浴でのシャンプーはしませんから、資源の無駄遣いではありません。
お米のとぎ汁はそのまま捨てています。岩手県では下水道と合併浄化槽が普及していて、その設置には十分な補助金が出ているからです。岩手県では、天ぷらに使った後の油はBDFの材料として売れるので……。BDFはご存じでしょうか、天ぷら油からディーゼルエンジンの燃料をつくります。売れるので、瓶に入れてためておきます。トイレットペーパーは、岩手県では古紙100%のものしか売られていません。食器を洗うとき、合成洗剤と石けんの区別はわかりませんが、量を使い過ぎないようにしています。水を多く使うと水道料金が高くなるからです。
読み終わった新聞など、岩手県ではお金になる資源は行政で扱わずに、業者がトイレットペーパーに交換してくれます。裏が白いチラシも面倒なので全部一緒に出します。メモ用紙ぐらいはその日のチラシで十分に間に合うからです。現在はお金になる資源も県民が無料でボランティアで集めて、それを行政が税金を使って処理しています。一体だれがもうかるのか。
買い物に行くときは、以前有料で買ったレジ袋を持っていきます。岩手県では、レジ袋はすべて有料ですが、少し丈夫になりましたので、何度でも使います。かさばらず、防水で使う材料から考えると便利なアイテムです。汚くなったりして使えなくなったら、ごみを入れて出します。レジ袋が環境に悪いのではなくて、使い捨てにする使い方が悪いのです。逆に新しくて丈夫で立派なごみ袋を1回ごみ入れて燃やしてしまう、それは環境に悪いので、岩手県では禁止されています。
岩手県では、プラスチック製のトレーは禁止されています。間伐材利用の経木が使われています。
飲料水は使い捨てタイプのペットボトルは禁止です。岩手県では、リターナブルの容器しか使えません。洗って使える容器しか岩手県では許可になりません。
また、1台で家1軒分に匹敵する電力を消耗する自動販売機は岩手県では許可になりません。使い捨てのコップやペーパータオル、ナプキンなどは岩手県では売られていません。牛乳はもちろん瓶に入っています。岩手の広大な土地を利用し、牛、豚、鶏などを放牧して育てます。台所の生ごみは、庭のある家庭では1羽や2羽の鶏を飼っているので、安全な卵を自給しています。そのために、焼却される生ごみの量は少なくなりました。卵を産まなくなった鶏は業者が引き取り、安全な鳥肉として流通しています。三陸の海からは新鮮な近海魚がとれるようになります。海外からの養殖エビや遠洋のマグロよりも近海のイワシ、サバ、アジなど新鮮な魚が簡単に安く手に入るからです。
もともと生産者と消費者が近い岩手県では農薬の使用は最小限、あるいは無農薬、有機栽培の作物が普通に手に入ります。
岩手県では、都市部を除き車は必需品です。岩手で運転するためには、エコドライブ講習会の受講が原則です。販売される車は燃費がリッター20キロ以下の車は重く課税されます。
外食の店舗は地産地消が原則で、どこでも安心して食事ができます。また、はしは塗りばしが使われています。割りばしは使われません。
岩手県では、家庭の電球は蛍光灯しか使いません。10年以上がたった冷蔵庫は買いかえました。冷蔵庫は省エネが進んだので、電気代の差額で新しい冷蔵庫が買えます。買いかえ資金は県が無利子で貸してくれます。
照明はすべて蛍光灯になり、必要な部分で分光、部屋の中で蛍光灯、照明を分担させて、必要な部分だけ使いますので、安心して必要な部分は使えるようになっております。」先ほど申しましたように、とにかく夢を語ってみました。この中で2つの魔法をかけました。ずっと考えて大変なことをするエコロジカルな主婦ではないですね、普通の人が普通に生活して環境に正しい生活ができるように魔法を2つかけました。
1つは、次の世代、将来の世代の環境権を守る。環境権という権利を岩手県では保障するという魔法を1つかけました。もう一つは、グッズ減税、バッツ課税です。グッズというのはグッドの複数形です。環境にいいことすれば免税、または補助金が出る。逆にバッツ課税というのは、まず環境に悪いことをした場合は税金がかかりますよということです。
今までの大量生産、大量消費、大量廃棄の社会では、エネルギーも資源も大量に使うほうが安くなりました。地球環境に大きな負荷をかけるほど安く使えるという自然に反した社会でした。大量に使うほどに、余り大きな負荷をかけるほどに環境改善のために税を負担するシステムが必要です。その税を原資に、グッズ減税に使えるということです。
10年後の岩手のビジョンをはっきりと描くためには、この魔法によって頑張らない、または我慢することに頼らない、そういう社会のシステムをつくるということが非常に大事だと思っております。
とりあえず、環境先進国ドイツとスウェーデンでは将来世代の環境権を保障することを憲法でうたっております。岩手県で、まず日本では憲法でうたっていませんので、岩手県でこの環境権を保障するということは達増知事いかがでしょう。
勝部局長
ありがとうございました。環境問題は非常に大きな問題でして、大変熱の入った夢を語っていただきました。非常に納得しながら聞いておりました。
同じ環境の保護でかかわっている小田島さんのほうでは何かありましたら。
小田島清
その環境立国の続きで言うと、岩手県は県土の77%が森林を抱えているというところで、うちのほうの会の活動もきれいな水が流れる川にするためには、やはり源流部の森林の整備が非常に大事だということで、県の環境税を使った県民参加の森林づくりを去年、今年の2年に渡って使わせていただいて、北上市の展勝地の桜が有名ですけれども、展勝地の男山というところがありまして、北上川と和賀川の合流点が一望できる非常に北上市の象徴的な山で、そこの周辺を森林整備を行っています。また、その裏側にも、展勝地全体を桜で覆う展勝地計画というのがあるのですけれども、裏の寺坂線というところも裏千本桜と言って桜を植えているのですけれども、そこもテングス病等でかなりひどい状態なものですから、周辺の雑木を切って環境を変える取り組みなどもしたりしております。
そういった岩手の森林づくりについて、やはりそういった取り組みをしながら環境税について少し調べてみますと環境税、県民1人当たり1世帯徴収する中で、約7億5,000万ほどの予算を使っているそうなのですけれども、県民参加の森づくり、いわゆるソフト事業と言われるものについては、そのうちの去年で言うと3,000万ぐらいを使っているそうです。それ以外が約6億7,000万ぐらいをいわて環境の森整備事業というのに充てているそうなのですけれども、そちらがハード整備というようなことなのですけれども、県民税そのものの使い方として、やはりソフト事業に傾けるパーセンテージがまだまだ少ないのかなということも感じております。
そっちの県民参加の森づくりは市民団体及び自治会が地域で受けて自主的に整備していくのですけれども、環境の森整備事業というのは県が主体で動くものと、あるいは森林組合、それから事業主等の申請で行うのですけれども、そういった事業主体が市民団体と、それから自治会で行う県民参加の森づくりのソフト整備を含むものとハード整備のほうの森林組合及び県が実施しているものと予算規模もかなり違いますし、そこにどうも溝といいますか、森づくりそのものがそういった行政から市民団体、そこで暮らす住民とパートナーシップでみんなで取り組まなければいけない大切な環境だと思うのですけれども、税の使われ方として、そういったハード部門、ソフトで非常に分かれているのではないかなというふうに感じております。というのは、なかなか我々市民団体が参加を呼びかけても非常に人が集まらないという現実があって、そこはやはり市町村、県もそうですけれども、もっと横の連携をとりながら取り組む必要があるのではないかなというのを実施して非常に強く感じています。
あと今後の我々の活動としては、北上は結構企業誘致がうまくいっているところでもありまして、いろんな企業さんに来ていただいているので、企業との連携といいますか、協働で森づくりを進めていけないかなと、そう感じています。県のほうでもそういった企業参加の森づくりというのを進めているようなのですけれども、まだまだ後押しといいますか、その辺の支援が少し足りないかなという印象を持っていますし、我々もどんどんそういった企業の間に入って、そういった活動を推進していきたいなというようなことを非常に強く思っています。
あと地球温暖化の話、気候変動の話もありましたけれども、京都議定書のCO2の温室効果ガスの削減は6%というのが決まってから、その6%の内訳を見ますと森林に頼る部分というのが3.9%ということで、約3分の2が森林によるそういったCO2の吸収を国のほうでは指針、方針出しているようなのですけれども、その排出権取引後の制度設計がまだ十分行われていませんけれども、将来的にはそれを見越した企業とのそういった取引の中での森づくりというのをどんどん進めていく必要があるのではないかなと思っていまして、やはり企業のほうも社会貢献というだけではなくて、何かインセンティブといいますか、そういった取り組みをすることで何か見返りといいますか、そういった部分でもCO2の排出権取引の制度を導入しながら進めていく森づくりというのがこれから必要ではないかなと考えています。
勝部局長
環境問題いろいろご提言等もいただきまして、ありがとうございました。
それから、小野寺さんのところで子育ての問題も出ましたし、それから村上さんのところでも子育ての関連が出ておりましたけれども、どうなのでしょうか、その子育て問題について、確かにこれからの次の世代の子供たちを育てていくという非常に重要なことなのですけれども、今後どういう形で具体的に持っていったらいいかというあたり、ご意見等もしお話しありましたら。
村上耕一
青年会議所では、毎年青少年育成事業としまして、小学生向け、そして中高向けと2つぐらいやっているのですけれども、いろいろ本当に県の枠組みでできることなのかどうなのかというようないろんな問題も見えてくるのですけれども、やっぱり接していて感じるのは学力の低下というのは本当に思います。本当に1泊2日の合宿ですとか、あとは高校生との懇談会みたいな部分でも感じます。僕らがこうだったのかなというレベルではなく感じるというのが実際にはあります。本当にこれでは、うちは、会社のほうは中国のほうにもあるのですけれども、全然違うなと思っています。会社の社員の子供が円周率3と言っていたのをすごい勢いで笑っていたというのが実際に今年あったのですけれども、「どうしたんだ、日本」と、そういう部分。
あとは今、青年会議所でも進めているのですけれども、怒る親とか、あと大人の背中を見せる部分をどんどん進めていっています。やはり地域のコミュニティーというのがどんどんなくなってきている中で、本当に僕は去年、おととしと青少年のほうをやってきたのですけれども、「なぜ隊長さん怒っているの」みたいなのが結構ありました。本当に言ったことは、例えば「トイレのスリッパそろえなさい」みたいなことを言っただけなのに「何で怒っているの、隊長さんは」と。「怒っているんじゃないよ」と。だから、本当にしかられたことがない子供たちが多いのだなというのを実感しました。そこをどうというのはないのですけれども、みんな多分感じていることだと思います。もう一度自分たちが小さいころどうだったかというような部分に立ち返ってというのも必要ではないかなと思います。
ただ、先生についてということでいろいろPTAなんかでは本当にありますけれども、今の先生がどうかと教育の現場が大変になってきていますので、今の先生だけを見るのではなくて、その先生という大きい像にとらえて、その人たちが今までどうだったかというのをまなざしとして見てほしいと思います。学校の先生がどういうことをこの日本にしてくれたかということを考えて、ただ、今一瞬を切ってしまって、先生が悪い、悪いでは、先生たちも本当に浮かばれないなと思う。個人ではなくて先生像としてとらえて、流れてきた日本の教育の中の先生像としてとらえればもっと感謝のまなざしみたいなので見ていたほうがいいのではないかなと常に感じております。
勝部局長
小野寺さん、いかがですか。
小野寺裕子
私は、教育というのは家庭教育と学校教育と地域教育というのが必要だと思うのです。
それで、家庭教育というのは本当に小さいときから小学校ぐらいまでであって、そこでやっぱり大事なのはこれからは親も教育していかなければいけない、自分も含めてですね。親も育っていかなければならないのではないかと思っていまして、地区で年に1回なのですが、先生方とPTAの方が集まる会合とかあるのですが、やっぱりそういうのをもっと回数を多くして持続的に、それこそ持続的に先生方と親が話し合える場というのをふやしていきたいなと思っていますし、やはり子育てに一番大事なのは、まずお母さんが元気であることというのをすごく痛感しております。本当に小さいときからサークルつくった段階でもしかりですが、やはりお母さんたちが悩みを打ち明けられて相談できて、お互いの子供たちを見合えるという環境から子育てするということが本当に子育ての一歩ではないかなと思っていまして、先生方との話し合いももちろんですが、やはり井戸端会議的なおしゃべり場とか言うのですか、何かそういう場を地域の同年代のお母さんたちでやっていきたいなと今若干何人かでそういう話をしていまして、これからどういう場でどういうふうな形でやっていこうかなと、今少しずつ話し合っています。
また、これは私の一つのそれこそ岩手県でこういう形ができれば私もうれしいなと思うのですが、確かに今お話があったように学力面がすごく低下しているということは確かに否めないものだと思うのですが、それがすなわちゆとり教育の悪影響かというふうにおっしゃる方もいますが、決してそうではないと思うのです。学習というか、勉強というのはやっぱりやる気が起きたときが伸びるときだと思うのです。上から幾ら押しつけられても学力というのはついていかないのではないかなと私は思うのです。だから、ゆとり教育というのを一概に悪いととらえないで、学校5日制の問題もまた浮上してきていますが、私は以前から学校5日制をまずやめて、土曜日はノーカバンデーにすべきではないかと思っていました。要するに、今まで1週間の中でゆとりの時間、総合という時間があったのですが、それを土曜日の午前中にまとめて持ってくる。それで、子供たちは一切カバンを持ってこない、小学生は私服だから構わないですが、中学生は体操着、運動できる形で、そこに地域の方をお呼びして、または地域に出ていって、そこで地域の方と触れ合っていろんなことを勉強する、そういう時間を集中して持ったほうが、その分を学習のほうに回すこともできると思いますし、地域のお年寄りとか、農家をやっている方、いろんな方がいらっしゃいますので、そういう方との触れ合いを通して、子供たちにもいろんな視野が広がると思うのです。そういうことによって、職業選択のほうにもつながっていくと思いますし、先生方も同年代でぜんぜん農業とかやった方もいらっしゃいませんで、総合学習のときに「小野寺さん、そういうのを教えていただけませんか」とか、逆に言われて、こちらのほうで提供したこともあったのです。そういうこともありますので、先生方の勉強の場としてもそういう時間はすごく大事だと思います。
それともう一つ、学校に地域の方々をたくさん入れていくということはすごく大事なことだとは思うのですが、それによって教頭先生の負担がすごく多くなるのではないかと思っています。そこで、どこかの県でもう既にやられているというのをちらっと聞いたのですが、学校側と地域、またはPTAをつなぐコーディネーターの方ですね、やっぱり1人学校に配属していただけたら先生方の負担も減りますし、それに伴ってまた地域の方々ももっといろいろな面で学校のほうに入っていけて、最終的には子供たちにとってもすごくメリットが多いことができるのではないかなということを考えていますので、そういう方をやっぱり教育現場に派遣していただけるような予算がついたらすごくありがたいなというふうに思っています。
勝部局長
ありがとうございました。確かに昔は学校が地域の中心でしたよね。ある人は「合校」と、合わせる校と書いて「合校」と、いろんなものが合わさって、これからの学校もまた見直すべきだというようなことを今思い出しておりました。
菊池さんが先ほど企業との連携で複合的に物事をいろんなことを進めていくということをお話しいただきまして、今の学校に地域のいろんな方々が学校と連携してということと結びつくところがあるところだとか、あるいは小野寺さんとか村上さんの話を聞いてご感想ございますか。
菊池新一
今の話をずっと聞いていますと、私どもの目指すところというのは、地域に誇りを持つということなのですが、それはどういうことかというと、つまり日本では縄文時代に人が住んでいて、6,000年間営々として暮らしてきた。農村というのは、まさに神がつくったと言われていますが、まさにそこの中では、我々子孫に命をつなぐためにコミュニティーであったり、あるいは環境だったり、そういったのが生きるための知恵として先人が持っていたものなのですよね。それを現代の人たちは忘れているわけですから、問題は今まさにまだ知恵を持っている、お年寄りの知恵ですよね、それをいかに顕在化させるかということが私は一番の大きな課題だと思っています。今でないとなかなかできない。それは、つまり観光あるいはグリーン・ツーリズムにおいても自然が豊かであり、あるいは平泉であったり、海であったり、観光資源だと皆さんよくおっしゃいますが、遠野は遠野物語があり、昔話がある。それもあるのですが、それもありなのですが、もちろんそれを大事にしていかなければならないのですが、私は基本的には人だと思うのです。住んでいる人なのです。なぜかというと、中学校で、荒れた学校の番長クラスが来て、農家のじいさまに触れてその番長がいい子に変わっていくわけです、一瞬で。その子というのは、まさに年寄りが培ってきた知恵、生きる、行動で示す姿を見て子供は一瞬のうちに感動するのです。まさにそれは教育の場であり、環境教育の場ですね。ですから、そういう血が実はまだまだ岩手には残っているのです。それを大事にしていかなければならない。そのことが実は私はこれからの観光は人で人を呼ぼうというふうに思っています。つまり、我々のNPOも実は観光業の資格を取りました。今エージェントがなかなか送ってこれないのは、エージェントは5人とか10人とか団体でないともうからないからです。実は、今は都会の人たちは農家に行って泊まりたい、田舎に行って泊まりたいというニーズはものすごくあります。その証拠にテレビ番組は、そういったテレビ番組いっぱいあります。あれが現実的に遠野にふらっと来て、遠野の農家に泊まるという行為になっていないのです。なぜかというとそういう情報が少ない、あるいは農家に気軽に民宿ができないとか、さまざまクリアすべき課題はあるのですけれども、そういうクリアさえすれば、私はヨーロッパのように本当に東京にいる、疲れて、二、三日ちょっとふらっと漁村でも農村でもいいのですけれども、行って泊まってみたいな、そこに行って泊まって温かい家族なんかに触れる、家族なのです。要は、家族に触れる、それで二、三日してまた東京に帰る、こういうニーズはものすごくあると思うのですが、それをつなげてないのです、現実的に。私どもはそれを今やろうと、つまり着地型の観光を目指すということなのですが、それをやろうと思うのです。それは岩手県だからこそできるわけで、まさにそれは人なのです。人であり、昔の年寄りの人たちが持っている知恵がまさに環境教育であったり、コミュニティー教育であったり、あるいは地域づくりだったりという、実はそういう物を顕在化させることが、これから今まさに不況がこれからあります、恐らく10年かかるのかなと言われている中で、まさにそこに価値観を持っていかないと、企業誘致だけでは恐らくなかなか大変だと思うのです。みずからコミュニティービジネスとして、そこから内的なものを立ち上げるというところに価値の変容をしていかないと、これからますます大変になるのではないかと思いますので、そこにこそ私は着目をしていけば、新たな切り口として岩手のようなところを、あるいは遠野のようなところが少しいろんなおもしろい幅の取り組みができるような気がしています。
勝部局長
ありがとうございます。葛巻さん、今草の根コミュニティー的にというお話が出ましたが、まさに宮野目地区というところで本当に草の根的に活動なさっているわけですけれども、今までのお話を聞いていかがですか。
葛巻輝
JAいわて花巻としてもグリーンツーリズムの受け入れということで自分自身も都会の子供さん方を受け入れしながら、さまざまうちの母もいろんな面でお菓子づくりとかという特技があるものですから、いらしたお子さんと一緒になってつくるというので、子供たちとのコミュニケーションもできる。また、高齢者もそういう活動の中で、新たな生きがいづくりという部分で、自分のうちだけではなく全体的に一緒になってやっていければいいなというふうに思っているのですけれども、そういう点で都会のお子さんだけの受け入れというのではなくて、地域内でも単発的にはやっているのですよね、子供たちと一緒になっておにぎりをつくりましょうとか。年配の方、高齢者の方も新たな収入源という形になるかどうかはわかりませんが、仕事として、生きがいとしてやっていけるような場面がもっともっと出てくればいいなと。
先ほどのお話を聞いたように、子供たちはどうしても自分たちでゲームをするとか、そういう状況、休みのときはついなってしまいますので、いろんな面でその地域内の産業なり、農業なり、それから状況なりを実体験していくという場面が出てくれば、そこに農業でいろいろやっている若い人たちもですし、高齢者の方々も一緒になって地域づくりという部分でもう一度自分の住んでいる地域を見直して、特に地元を考えると農業地、農業のところなのですが、そういうところを見直していければいいかなというふうに思いますので、ぜひその部分で何か方策をお願いできればと思います。
勝部局長
ありがとうございました。
知事所感
勝部局長
それでは、今までのところで知事のほうからコメントをいただくことにします。
達増知事
それぞれ皆さん独自の立場、背景で、また個性も交えたご意見をいただいたと思っているのですけれども、やはり同じ岩手の、またこの県南をベースに議論していただくと、共通性のようなものも見えてきているのかなと思っております。まず、何と言っても岩手の自然、この環境を大事にしていくということがまず原点であって、環境権については10月に「いわて環境王国展」というのをやったのですけれども、そのときに「いわて環境王国宣言」という、やっぱり岩手は環境を大事にしていくのだというそういう宣言をしたのですけれども、これは人権宣言に対抗して環境宣言という思いもありまして、憲法価値というのは人権だけだと余りに人間中心主義的になってしまい、やっぱり環境権的なものを入れていかないと、環境とか、あと平和もそうだと思うのですけれども、そういった要素がおろそかにされる危険性があるので、そういう主権者たる者、環境を大事にしないようでは主権者ではないというような、そういう感覚をきちんと岩手で育てていきたいと思っております。それは農林水産業を、基幹産業という言葉があるのですけれども、そういう扱いをしていかなければならないということにもつながると思いますし、また農林水産業はこういうご時世でも沿岸の水産物はどんどん売れているということで、安心安全な食に対するニーズというのはそう簡単には落ち込まないのだと思います。
こういう不景気な中でも東京のほうでは高級おせち料理がいつもの年より売れている。これは外国旅行をあきらめた人がお正月に家で過ごすのでおせちが売れているという話もあるのですけれども、やはり安心、安全な食べ物をきちっとつくっていくとある程度高くても売れるということでありましょうから、これ葛巻さんがおっしゃった高齢者もかかわれる農業ということでいろんな企業を絡めてただただ生産するだけではなくて、どういうふうに消費者のもとに届くかという、そういう生産ということをベースにしながらちゃんと消費者に届くところまで視野に入れて、できるだけ食べていける農業、農林水産業というのを岩手に確立していければいいのではないかなと思います。
あと環境問題については、薄井さんの魔法の話なのですけれども、結局個人の努力だけでやっていくというのではなくてシステムですね、社会のシステム、規制とか、あるいは税制、公共料金の設定とか、そういう社会のシステムとして環境問題には取り組んでいかなければならないというのはそのとおりだと思いますので、それを全部個人の努力に押しつけていくのはよくないと思いますので、そこはいろいろ工夫をしていかなければならないなと思いました。
そして、環境や、また農林水産業というのがグリーンツーリズムとか教育旅行ですよね、そういうのにつながっていくということで、私は岩手全体を学びの場として確立していきたいと思っているのです。ということで、教育の話にもつながっていくのですけれども、人生で本当に大切なことは岩手に行けば学べるということで、これは岩手に住んでいる子供たちにとっての学びの場であると同時に、県外の、しかも大人たちに対しても迷いがあったら岩手に来いとか、悩んでいるのだったら、岩手に来てくださいというふうにしていきたいと思っています。それだけの人間にとって本当に大事な自然とか、そういう自然に根差した農林水産業とか、そういうところで生きている人ですよね、まさに人なのだと思います。本当に勉強になるのは自然もそうですけれども、やっぱり人ですよね、そういうところで生きている人に触れることで、人間こうでなければだめなのだなということを都会の人たちもわかっていくのだと思いますし、県内の子供たちもそうですね、やっぱり学校の先生は、授業計画という学校の先生が持っているノートを見せてもらったことがあるのですけれども、45分間に何をどう教えていくかと物すごい緻密に授業の計画を立てて教えていくのです。やっぱり先生方には普通の授業に専念してもらうようにして、農業体験なんかは、これも先生がかかわってやっていくことはいいと思うのですけれども、本当に教えられるのは地域の皆さんでありましょうし、そういう家庭での教育、学校での教育、地域での教育というのをうまく組み合わせてなのだと思います。なかなか先生にしかる役というのを、特に過剰に求めるわけにはいかないと思うのです。やっぱりしかる役は親が中心に家庭の中で、あるいは地域でもいいのでしょうけれども、そういう家庭、学校、地域が連携しながらうまく役割分担をして、そういう学力向上ということと、人間にとって必要なことを学ぶということと、両方きちんと教育ができればいいのではないかと思います。
あといろいろ各論で大変参考になる話があって、森林税についてもう少しソフトにというのは、確実に間伐という作業に税金が使われるようにということで、ほぼハードが原則というところからスタートしたことではあるのですけれども、やはりソフト的な、特にNPOとか団体の活動の盛り上がりはやっぱりすごいなと我々も思っているので、そういうソフト的なものに広げていく工夫を専門家委員会の指導もいただきながら今工夫しているところで、来年度予算の議論の中でちゃんとそういう議論もしています。
あとは花巻空港のアクセス道路の交差点のことについては、これも警察とか、交通関係の専門家の意見もいろいろ参考にはしていると思うのですが、地元の声というのは大事ですから、そこはちょっとフォローアップをしておいてください。
35人学級、少人数学級ですね、これは基本的にそういう方向にしなければならないと思っていまして、ただすべてを一度には……予算制約もあるので。今は、中一ギャップのところの中学校1年生対策をちょっと優先させなければならないかなと、小学校の3、4年以降も大事なのですけれども、教育委員会のほうで来年度予算に向けて調整中というふうに聞いています。反映このお金の問題とも絡み、村上さんが産婦人科の問題、産婦人科医がいなくなってしまうというのと絡め、医療体制がこの先どうなるのかわからないという話、やはり国の政治の動きというか、国の政策とも関連していますので、教育についても先生の給料を昔は国が3分の2出していたものをゼロに、それは県の、地方の独自の財源で賄うようにしようという大きい議論があって、さすがに一度に全部完全に地方にというわけにはいかないから、とりあえず半分に減らそうというようなことになっているのですけれども、同時に、例えば岩手県であれば20世紀終わりごろには1兆円くらいの予算規模があったのが今ではもう7,000億円を切るくらい、30%ぐらい県の予算は減っていますので、県の独自財源ということになるとなかなか先生をふやすどころか、その反対を強いられるような、そういう地方財政ではあります。ただ、少人数学級は推進しなければならないと思っていますけれどもね。
医療問題も似たような話があり、国はお医者さんは足りなくないという方針をずっと続けて、今年の6月の経済財政諮問会議の骨太2008で初めて、医師は足りないからふやさなければだめだということが政府の正式な意思として表明されたのです。ですから、今まではお医者さんはふやさなくていいという考え方、むしろ減らしていいのだという考え方だったので、そのしわ寄せが地方の医師不足として来ているわけです。でも、それは基本的には改められたのですが、まだ具体的な対応策というのは、医学部の定員をふやすということははっきり決まっているのですけれども、それ以外の緊急策がまだ出てきてないので、そういう意味でこの先どうなるかわからないというふうにもつながっているのだと思います。
ただ、岩手は、そもそも二十幾つも県立病院があるなんていうのは日本でここだけでありまして、また毎年毎年180億円ぐらい県から医療局に繰り入れということで、日本全体のトレンドよりは公の力で地域医療を守っていこうということには、岩手は深くコミットしていて、その基本方針には変わりありません。県立病院は民営化すればいいのではないかという議論もありますけれども、民営化して、あとは純粋に経済論理、効率性で本当にもうからない病院は閉鎖して、もうかるところにだけ特化してやるのがいいのだということで、他県では県立病院を全面民営化している例もあるのですけれども、岩手はそういうことをするつもりはないので、そこは毎年180億円の税金を投入してでも守っていこうという基本方針ではあります。180億円というのは結構な額で、岩手の経済総生産は4兆円くらいなので、400億円で1%、180億というのは岩手のGDPの0.5%ぐらいで、もしそれがゼロになれば岩手の経済成長率が0.5%ダウンするというくらいの大きいお金を毎年県立病院に投入しているという、そういう姿勢は維持していかなければならないというふうに思っています。
非常に参考になる意見、また励まされる意見たくさんいただきましたので、県のほうも頑張っていきたいと思います。
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