岩手フロンティア懇談会(平成19年9月19日)

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ページ番号1000943  更新日 平成31年2月20日

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対象地域:県央広域振興圏
開催場所:盛岡市

県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」懇談記録(県央広域振興圏)

  • 日時 平成19年9月19日(水曜日)17時00分から18時30分
  • 場所 岩手県民会館 4階 第1会議室

開会

宮舘局長
ただいまから県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」を始めさせていただきたいと思います。
本日ご出席をいただきました県央広域振興局管内の皆様方には、ご多忙のところご出席くださいましてまことにありがとうございました。心から感謝を申し上げるものであります。私は、本日の進行役を務めさせていただきます盛岡地方振興局の宮舘と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。

知事あいさつ

宮舘局長
それでは、開会に当たりまして達増知事からごあいさつを申し上げます。

達増知事
皆様、こんにちは。きょうは、岩手フロンティア懇談会ということで、皆様それぞれお忙しい中、このようにお集まりをいただきましてまことにありがとうございました。また、県議会議員の皆様もお忙しい中ありがとうございます。
岩手フロンティア懇談会ということで、経済あるいは社会、それぞれの分野でご活躍の皆様においでいただきまして、岩手の直面する危機を克服して、岩手県民すべてが希望を持って進んでいけるような岩手づくりを進めていきたいということでご意見をいただきたいと思います。
きのう記者会見で発表いたしましたが、平成17年度の県民所得などの統計が出たところでありまして、16年度よりもまたさらに県民所得が下がっているという状況であります。これは、1つの象徴的な数字でありまして、お金がすべてではないわけでありますけれども、一方では医療費でありますとか、国民年金保険料でありますとか、全国一律に一定の負担をしなければならない中で県民所得がなかなか上がらない、全国との間に格差が生じてくるというのは、やはりゆゆしい問題であります。どうすれば県民所得を上げていけるのかということが1つの課題でありますし、またグローバル化の時代であります。そう簡単に県民所得を上げられないかもしれません。その場合、そうしたお金がなかなかふえなくても、安心して、また心豊かに暮らしていける、そういう助け合いの仕組みを新たにつくっていくことがまた2つ目の課題だと思っております。そうしたグローバル化の時代の中で勝ち組に、勝ち組、負け組という言い方自体余りいい言い方ではないのですが、そういう市場原理の枠組みの中で成功していく、そういう方向性と、ただそれは市場原理というのは本当に勝つか負けるかわからない世界でもあるので、そういった中で数字的によくならなくても、それでも生きていけるためのセーフティーネットといいますか、助け合いの仕組みをきちんとつくっていく、そうした喫緊の課題があると考えております。
そういう中で、県の行政は基本的には県議会の議決に基づきながら、これは予算から条例までそうなんでありますけれども、そういう法令に従って進めていくという基本があるわけでありますけれども、情報化社会でもございます。広く県民、県の執行部、議会という進め方以外にも企業、NPO、さまざまな団体、また個人、そうしたネットワークの中で情報を共有し、そしてともに岩手をつくっていく、そういう県民総参加型の県政というのを進めていかなければならない局面だと思っておりますので、この会議もそういう1つの140万県民のための作戦会議ということで、ぜひぜひ活発なご意見をいただきたいと思います。きょうはよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

宮舘局長
それでは、私のほうから本日の出席者の皆様をご紹介させていただきます。
私の右側の回りから順番にご紹介申し上げたいと思います。
株式会社岩鋳代表取締役社長で、岩手県南部鉄器協同組合連合会の会長でもあられます岩清水晃様です。
そのお隣が小岩井農牧株式会社小岩井まきば園の支配人、そしてまた雫石町観光協会の会長でもあられます工藤敏英様です。
お隣が地域づくりネットワークもりおかの会長で、県央広域振興圏内の地域づくり団体のまとめ役でもあります高家卓範様です。
そのお隣が特定非営利活動法人アイディング常務理事・事務局長で、19年度にはみんなでつくる盛岡舟っこ流しを主催されました甲山知苗様でございます。
そのお隣でございますけれども、八幡平市の花き研究開発センターの所長で、リンドウ生産量日本一を達成されておられます日影孝志様でございます。
そして最後に、財団法人石川啄木記念館の学芸員で、記念館の運営にも当たられておられます山本玲子様でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。

懇談

宮舘局長
それでは、6人の方に早速懇談をしていただきたいと思います。本日の懇談は、これからの県政運営の方向性と二大戦略につきまして、最初に知事からご説明を申し上げ、引き続き皆様からこれらを中心にいたしまして自由にご意見をお伺いしていきたいと思います。
それでは、知事、お願いいたします。

達増知事
それでは、まず1ページ目、1、岩手が直面する危機と取り巻く環境の変化ということで、まず岩手が直面する危機として、全国に比べ回復がおくれている県民所得、雇用情勢。1人当たり県民所得が平成13年に前年比7.6%減りまして、平成16年は平成12年と比べて91.0%、さらに下がっておりまして、平成17年も先ほど申し上げたようにさらにまた下がっております。平成18年の有効求人倍率が0.78ということで、全国的には有効求人倍率が1、つまり就職したい人の数だけ求人があると全国ではなっているんですが、岩手においては求人が少ないという状況であります。
歯どめがかからない人口流出。県外への転出者数はほぼ横ばいで推移しているが、県外からの転入者数が減少、特に20歳から24歳において転入者数の減少が拡大。これは、県外からの転入者数が減少というのは、よその人、よそから岩手に入ってくる人が少なくなるということではございませんで、一たん岩手から進学や就職などで外に出た若い人が戻ってくるのが少なくなっているという格好であります。4つのグラフがありますが、その左下のグラフ、本県人口の社会増減の推移、これを見ていただきますと、社会増減というのは下に出ているグラフですが、平成12年にはマイナス2,000ぐらいだったのが、平成18年度にはマイナス6,000になっているんですけれども、差し引き4,000人くらいマイナスがふえているのの主な理由として、以前であれば一たん外に出た若い人たちがかなり戻ってきたのが戻ってこなくなっているということが原因となってこのようになっています。これは、県民所得の伸び悩み、そして雇用情勢の伸び悩みということが人口の問題にも影響を及ぼしていると考えられます。
そして、危機の3つ目、増加しているものの全国との格差が拡大する医師数ということで、人口10万人当たりの医師数が179.1人、これは岩手においてふえてはいるんですが、全国のふえる数と比べるとふえ方が遅いということで、格差が広がっています。なお、産婦人科の医師については、これは減っています。ですから、全部のお医者さんを平均するとややふえているんですけれども、産婦人科医については減っています。また、お医者さんの数がふえてはいるんですけれども、結局医学が進歩するに従って、同じ顧客満足度といいますか、1つの診療科目に必要なお医者さんの数がふえておりますので、お医者さんがふえていってもかなりのペースでふえないと必要な医療が受けられないというような事態の中で、ふえるペースが遅いということが岩手の場合言えると思います。
本県を取り巻く環境の変化。グローバル化の急速な進展。グローバル化は脅威である一方、得意分野が世界に直結し、地域の価値を高めていく好機。世界の中の岩手といった観点を強く意識しながら、グローバル化の進展に適切に対応していく必要。この県民所得の伸び悩み、雇用の悪化という背景にはグローバル化というものがあると思います。これは、危機の原因でもあるんですけれども、危機を希望に変えていくチャンスでもあると、世界に通用するものを持っている地域は、それは例えば世界に輸出するものを生産しているトヨタを中心とした愛知県の工業地帯でありますとか、世界に通用する資本市場を、金融市場を抱えている東京でありますとか、そうしたものを、つまり単に都会と田舎の違いで格差が生じているわけではなく、そういうグローバル化の中で世界に通用するものを持っているか、持っていないかというところが運命の分かれ目なんだと思います。
そこで、2ページ目、二大戦略の展開ということで、2ページ目に新地域主義戦略、3ページ目に岩手ソフトパワー戦略と書いてあります。
新地域主義戦略というのは、一言で言いますと県と市町村が協力をしながら、今ある県や市町村の枠を超えた、1つは広域の連携を図り、盛岡広域であれば、ここに県央広域振興圏と2ページ目右下に書いてありますけれども、県央広域振興圏というエリアを県と市町村が協力しながら振興していくことで、世界に通用するようなそういう発信をしていくというものであります。ただ、同時に生き残りのための助け合いの枠組みでもございます。そして、広域のみならず、地域コミュニティー、町内会や自治会、行政区といった単位の、そういうコミュニティーも県と市町村が協力しながら守っていくことで、またそういう強いコミュニティーがある地域は世界に通用するものをつくっていく力の強さを持つ地域でもあります。攻めの姿勢、守りの体制、両方ともに県と市町村以外の、1つは広域、1つはコミュニティー、そういう新しい地域を活性化していくことで求めていこうというものが新地域主義戦略であります。
3ページ目の岩手ソフトパワー戦略、これはきっかけは平泉の世界遺産登録ということであります。世界に通用するまさに世界遺産ということで、そういうものが岩手にはある、平泉以外にも世界に通用するそうした文化、またその文化を支えている岩手の心、県民のまじめさ、誠実さ、勤勉さ、平和への志向性、そういった世界に通用するものを岩手の中で発掘し、育てていくことで、これは世界から新たに人やお金が集まってくることにつながる一方、またそういうお金がそうそう入ってこなかったとしても、誇りを持って地域で助け合って生きていく、よすがとしていく、そういうこれもやはり攻めの姿勢と守りの体制を両方実現するための戦略としてのソフトパワー戦略であります。
ということをまず県としては今後の県政の方向性として、基本戦略として考えているところでありますが、これについて、あるいはこれとはまた違った観点からいろいろなご意見をいただければと思います。
以上です。

宮舘局長
ただいま資料に基づきまして知事からご説明を申し上げましたけれども、ここからは自由な懇談に入りたいと思いますので、知事が中心となりまして進行してまいりますけれども、まず皆様の自己紹介とあわせかねながら、ただいま知事がご説明申し上げたお話に関連していろんな意見交換をしたいと思います。意見交換をよろしくお願いいたします。
では、知事、よろしくお願いします。

達増知事
自由に意見をいただければと思うんですけれども、最初ですからまず順番に自己紹介も兼ねながらご意見を、岩清水社長からこの名簿順といいますか、お手元に名簿ありますよね、そのままこちらから反時計回りにということでお願いしたいと思います。

岩清水晃
岩鋳の岩清水です。それでは、岩鋳の海外展開についてを文章読み上げたいのですが、よろしゅうございますか。
当岩鋳では、結構輸出をやっていまして、先ほど知事さんからありましたように、国内はいまいちですけれども、輸出がすごく好調でありまして、そのことを展開ということで少しお話ししたいと思います。ここ数年消費の低迷、売り上げは低迷しておりますが、南部鉄器は地場産業、伝統工芸として付加価値のある商品展開を行っており、まだまだ需要は伸びていくと思います。特に海外では南部鉄器は「イワチュー」と呼ばれるほどに浸透し、高い評価を得ています。
例えばアメリカでは日用品として南部鉄器が使われているわけですが、アメリカという国は商品衛生法などが非常に厳しい国であり、ちょっとしたことにすぐにNGが出されていますが、その国で安心、安全のブランドとして岩鋳が評価されていることは、岩手県の誇りでもあると思います。
とは言いましても、一朝一夕に評価を高めたわけではありません。地道な営業努力と海外のニーズに合わせた商品開発により少しずつ実をつけてきたわけでございます。それは、岩鋳がISOを取得して高い品質管理を行っているのは無論のことですが、南部鉄器が長年に培ってきた伝統や技術といったものを受け継ぎ、高い志を持って製品を送り出している、それが海外のユーザーに信頼を与えていると思うのであります。まじめが得意な岩手の人間がまじめに仕事をしているから当然と言えば当然のことではありますが、ご承知のとおり南部鉄器は原料の砂鉄、鋳型の川砂、燃料として木炭、これが身近にそろった岩手でなければできなかったことですが、肝心なのはそれをつくる岩手の人間の創意工夫がなければここまで発展しなかったということです。
岩鋳の考える南部鉄器は、所有することの喜び、それから使用する楽しみまで持つものでなければならないと思っております。アメリカの方はこの辺がはっきりしておりまして、こんなによいものなんだから、飾っておくだけではなく、使わなければならないんじゃないかということになります。ですから、デザイン、品質、耐久性、それに使いやすさをあわせて持っているのが岩鋳の南部鉄器ということになります。
最初に付加価値のある商品展開と申しましたが、何のことはない、ユーザーが本当によかったと納得していただける製品をつくっていく、そこに付加価値が生まれていくのだと考えております。それには海外だけに目を向けるのではなく、国内、もっと小さく岩手、盛岡という基盤があってこそブランドとして南部鉄器が海外で評価され、そのことがまた国内によい活路を吹かせるという相乗り効果になると思っております。また、ブランドというのが一方的ではいけないはずです。ブランドを評価、新たなブランドを創作していくために何が必要か情報を発信するだけではなく、市場からの情報を吸収していかなければならないはずです。ブランドも生き物であり、現状維持という守りは衰退し、進みません。前に進まなければだめだと思っております。当社は、よい風に吹かれながらも、常に風に向かって歩んでいく企業になりたいと思います。
では、この辺で。後でまた発言を。

達増知事
ありがとうございます。
では、工藤さん、お願いします。

工藤敏英
私は、現在は小岩井農牧という会社、小岩井農場観光部門であるまきば園の支配人というようなところでございまして、ご提示してあるようにもともと観光部門ではなくて、経理とか総務とか企画とかということで、5年ほど東京の丸の内で仕事をさせてもらいました。そういう中で、現在、先ほどの紹介のほかにも盛岡観光コンベンション協会の理事とか、それから地元のプロジェクトであるわいわい手つなぎとか、それから雪まつり関係の事務局長ということで、いろんな役を実質的にはやらされているというのが実際なんでございますけれども、そういうふうに思います。
まず、県政に対して一番いろんな自分の経験を通して感じる部分で、何が今時代的に違っているかというと、やはり仕組みではないのかなと。前というのは、昭和40年代、50年代という高度成長期においては1つのシステムとして、現在の形づくっているシステムが機能しているんだと。しかし、やはりこれはバブルの崩壊に伴って、当然今知事がおっしゃるようなグローバル化に伴って、いわゆる日本じゅうがある部分で旧来の自慢できたものがひっくり返っちゃったというところが今の現状で、そこで右往左往しているというのが現状ではないかなと思うんです。ですから、県政においても何を基本的に変えなくちゃないかというと、やはり仕組みではないのかなということを痛感しております。
では、どういうふうなことかというと、やはり行政の部分というのはあくまでも企画立案に特化して、そこの部分よりいろんな知識、技能というか、それを企画することに特化をすると。実行部分においては、やはり民間の活力をいかに、NPO含めていかにそれを使うかと。というのは、私も観光協会を通じて当然周辺町村とのつき合い、県とのつき合いがございます。そうすると、やはり我々から見ると余りに着手が遅いといいますか、やはりこれでは大手、要するに東京とか世界には勝てないなということを今身近に痛感しております。そのいい例が、例えばインバウンドですが、やはり我々が動いても、台湾、韓国、香港、営業しているわけです。では、どういうスタンスが現実問題行動パターンとして持っているかというと、なかなか、総論はありますが、具体的な部分の指針なりそういうものはないんじゃないのかなというふうに思います。それの例としますと、今中国に岩手県としては一番経済的な部分というのは進んでいるわけですが、多分観光面から見ると、経済的な側面とか企業誘致、または物資の交流というのは早々に進む効果がある。しかし、観光面から見ますと、僕らはあと3年から5年絶対かかる。というのは、やっぱり中国側のマーケットを見るとそうなっているというふうな部分ですね、そういう部分について、じゃ台湾はどう攻めるか、韓国はどう攻めるか、中国はどう攻めるかというふうな部分の具体的なものを、いつ、だれが、どうやるかということまで入っていかないと具現化はしないというふうな感じを持っています。
それから、大きな部分においての岩手のソフトというふうな部分ですが、これは当社はことし116年目の会社でございますが、明治23年、1891年でして、100年を超える会社ということで、非常に岩手の姿と似ている部分があるのかなということで、自分はオーバーラップしてずっと見ております。どこが違うかといえば、岩手では非常に大きな自然が最初からあったと、小岩井の場合は全然何もない原野から木を植えて今日の森、林をつくったという違いかなとは思いますが、いわゆる第1次産業をどう生かすか、どうブランド化するということは、ここの原案にもございますが、それはもうまさにうちのような会社として1次産業が成り立つということ自体が日本でも世界でもなかなか珍しいわけで、その1つの例がいいにつけ悪いにつけ、そういう例がやはりうちの会社の姿なのかなということで、やっぱり最終的にはじゃ現金収入はどうするんだと、所得をどうするんだという源泉になっているのは、やはり残念ながら小岩井農牧でも観光部門だろうと思います。
それと、1つのブランドというふうな部分においては、ランクを自負できる小岩井ブランドというものもあるので、何か形成の仕方とかということは非常に参考になるのかなと。要は中間材、生産材だけをつくっていて、そこに付加価値がないと収入は上がらないという仕組みですから、そこが岩手県の今の現状、または次にどうするかというヒントがあるのかなというふうに感じております。
以上でございます。

達増知事
ありがとうございました。
では、高家さん、お願いいたします。

高家卓範
地域づくりネットワークもりおかの会長という立場で出席させていただきましたが、ネットワークもりおかにつきましてはクレヨン通信、99、100号をお持ちしていましたので、ちょっとごらんいただければどんな活動をしているかというのがおわかりいただけると思いますが、10年たちました。その間、いろんな団体が加入したり、脱退したりしてきましたが、今10年たって残っている団体に共通しているのは、行政が呼びかけてつくった団体ではなくて、みずから立ち上げた団体、例えば滝沢の劇団ゆうですとか、矢巾百笑倶楽部とか、そういったみずから起こしたグループが残っているなという感じを受けております。
私は、葛巻町で、旅の手帖をコピーしていただきましたんですが、それにあります水車を使って粉をひいたそばを出しています森のそば屋、それから産直、農村レストランのみち草の驛、こちらは今盛岡に、肴町ですとか、材木町のよ市ですとか、朝早くいろんな昔ながらのお菓子をつくって盛岡へ持ってきて販売しているのが主力になっていますが、そういったコミュニティービジネスといいますか、そういうのをやっておりまして、そちらのほうから地域づくりネットワークに参加しております。
先ほど所得の話がございましたが、今葛巻でも、多分東北でも、あるいは日本の山村全部がそうだと思うんですが、月収15万にならないような給料で働いている人たちがたくさんいます。それは、葛巻にもたくさんいて、大学終わって何年かはそれでもいいと思うんですが、30代、40代になったらせめて25万、年収300万ぐらい欲しいなと、それぐらいの収入が実現できれば葛巻でも暮らしていける、やっていけるのじゃないかというふうに考えています。たまたまこういう話を福祉の大学の先生に話ししたら、福祉関係も実は15万前後の人たちが随分多いんですよと、介護士とか、福祉施設とか、仕事がきつい割には給料が安い、確かにそれも25万ぐらいになったらみんながいいのにねという話をしておりましたので、何とかそれぐらいの所得が上げられる岩手県なり地域になれば、いっぱい人が帰ってくるなと思っています。
じゃ、私がやっているみち草の驛がそれを実現できているかといいますと、残念ながらできていませんが、ただ今みち草の驛では月15万の給料は払えます。というか、それぐらいはできるんですが、足りない分を産直のほうで、自分がつくった野菜とか、あるいはとってきた山菜なんかでカバーして、100万から150万収入を上げてもらえば300万になる。そこまできている人が今1人、2人はおりますが、全体の活動に参加している人の中ではまだごく少数です。何かそういった、やっぱり所得がある程度ないことには、どんないい話をしても山村には人は向かわないし、お金がある都会のほうに行くと思うんですが、でもだからといって都会にみんなが移ってしまって、日本がそれでいいのかというと、私はそうじゃないと思います。何とか知事さんがさっきおっしゃったみたいな岩手県の所得が上がる方向を目指していただければと思います。
あと、コミュニティーに対しても少し言いたいことがございますが、次の機会にしたいと思います。

達増知事
では、甲山さんお願いします。

甲山知苗
NPO法人アイディングから参りました甲山と申します。まさに今、所得の話が出ましたが、NPOというのは月収が年収にして平均200万いかないというまさに低所得な世界であります。
アイディングなんですが、アイディングは造語でして、アイデアとINGをくっつけまして、アイデアを出し続けながら地域をよくしていこうと、そういうふうな思いを込めてつくったNPO法人です。平成17年の1月に設立いたしまして、活動の目的は地域の連携を図って行政、企業、団体、地域住民と力を合わせて地域の活性化に取り組んでいこうということで活動しております。きょうは、皆様のお手元に手づくりの資料なんですが、18年度の、昨年度の主要内容を簡単にまとめた資料のほうをお渡しいたしましたので、こちらを見ながらお話をさせていただければと思います。
まず、主な事業内容といたしましては、後ろの5ページのところにあるんですが、地域振興事業と、それから中間支援事業、それから3つ目が活動拠点管理運営事業ということで、今は指定管理者をやっております。具体的には、中の3ページを見ていただければいいんですが、地域振興事業では夏祭りをやったり、それからこれから冬になりますと盛岡の駅前にイルミネーションがかかると思うんですが、あちらの中の1つのコーナーでツリーを市民参加でつくろうというのでツリーをやったり、それから地元アーティストの方の発表の場をつくったり、あとは中間支援事業ということで、今メーンでやっているのは盛岡NPO連絡協議会といいまして、市民活動団体と、それから財団法人さんですとか、町内会さんとかと一緒に連携してこれからの地域づくりを考えていこうというようなところの事務局をやっております。それから、もう一つは指定管理者ということで、盛岡市の中高年齢勤労福祉センターの指定管理者ということで、主な収入はこの指定管理者のほうがベースとなって、そのほかの小さな事業で若干プラスが出ればというような形で何とか運営しております。
今企業さんのほうからいろんな過程と岩手が世界からブランドを発信していくかというような話をお伺いしたんですが、私たちはどちらかというと地域の中で、お金があったほうがいいんですけど、まずなくてもどうやってつながりを持ちながらコミュニティーの中で暮らしていける仕組みをつくっていくかということが大きな、連携してという部分はそこなんですが、今実際にNPOとか市民活動団体が抱えている課題は大きく3つ挙げられていまして、1つは住民の方が公共というものに対して傍観者になっている。公共サービスの消費者としてで、自分がそれを提供するという立場に立つという意識が非常に昔に比べて薄れている、担い手だという部分が薄れている。それから、実際にそれに取り組んでいるNPOそのものとしては、運営力ですとか財政基盤が非常に弱くて、まだまだ企業さんと同じように自分たちで収益を上げて、その利益をもって社会貢献活動していけるようなサイクルに乗っていくにはとても力が弱い。それに対して、企業さんとか、行政とか、それからほかの団体とうまく連携しているかというと、まだうまく連携ができていなくて、自分たちで自分たちの取り組んでいる課題を抱え込んで必死になって自転車操業しているというのが現実ではないかなと思っております。
実際にもう一つ最近課題として出てきているのが、NPOだけではなくて地縁組織さんとどうNPOがうまく有機的に結びついていくかという部分で、なかなかうまくNPO側から町内会、自治会さんに協働とか協力を持ちかけても、まだNPOというもの自体が理解していただけなくて、そういった部分に結びついていないということで、この前盛岡NPO連絡協議会でNPOさんと地縁団体さんにヒアリング調査をしました。その中で出てきた課題というのは、なかなか対比しておもしろかったのでちょっと触れさせていただきたいのですが、NPOのほうは何が課題かというとまず活動資源、お金であったり、人であったり、まずお金と人、それから場所ですとか、物ですとか、お金があれば解決できるようなもの。それから、次は運営力ですね、企画力であったり、広報力であったり、助成金を獲得したり、それから地域のニーズをどう把握していくか、これはマーケティング能力という部門ですが、そういったものがない。それから、連携したい、学校と連携したい、地域と連携したい、企業と連携したい、だけれども、どうやってその糸口を見つけたらいいかわからない。それから、行政とのかかわりで、何かかかわろうと思うと行政はまず縦割りの部分で、くじける。今度うまくつき合っている団体さんでも、やはり委託料金とか指定管理料という部分でどうしても人件費の部分がボランティアとか非常勤職員並みの部分しか予算が認められないということでなかなか難しい。寄附を募ろうかと思うと税制度がそういう優遇制度になっていない、整っていないので苦しいというふうに言われていました。
それから、地縁団体さんのほうの課題としては、まず住んだら会員ということなんですが、実際には会員になりたくないという人たち、それから会費などがかかるわけです。それから、お金は払っていても行事には一切参加しない。固定化して高齢化している。人材不足、リーダー不足、資産不足、それから住民のニーズが把握できない。それから、マンションやアパートの方たちとの関係、地域にかかわりなくないからマンションやアパートに住むということで、そういう人たちにどうかかわっていくか。それから、もう一つNPOと違うなとすごく感じたのは、NPOは1つのテーマ、問題に対して取り組んでいるんですが、地縁組織に対してはごみから空き家から子供たちの防犯、それから防災、そういったすべての問題が本当にごく少数の高齢者の方が担っている活動にすべて覆いかぶさっていて、非常に過剰な労働になっていて、新しいことを持ちかけても今すぐ余裕がない、そういった部分をどう解決していって、NPOと地縁団体がたて糸とよこ糸のようになってコミュニティーを再生していくかということが1つの大きな課題になっています。
そのためにこれから私たちが取り組んでいきたいなと思うのは、まずNPOや地域活動を多くの人に知ってもらうこと、それから参加や応援したいなと思うような、共感できるような事業をやっていくこと、共感したら参加や応援の仕組みをつくっていくこと、それをするためには企業や地縁団体、NPO同士と連携をすること、住民がまちづくりに主体的に参加できる仕組みづくりをつくっていくことということで、そのために一番大事なのがきずなづくりとか、つながりづくり、こういったことをテーマに活動しています。
以上です。

達増知事
ありがとうございました。
日影さん、お願いします。

日影孝志
八幡平市のリンドウの育種を担当しております日影と申します。
きょう、知事のお話をお聞きしまして私なりに感じましたのは、やっぱり岩手なりのセーフティーネットをきちんとつくるということと、そのセーフティーネット、その上に、情報発信力を身につけるんだと、そして我々産業の側からいけばその発信力でもって新しい需要をつくっていくんだということに私ども今受け取っております。私としては、すごくセーフティーネットをきちんとつくるということと、きちんと情報発信力をつけてやっていくということが両立するということの難しさといいますか、そういうことをちょっとお話ししたいと思っております。
実は、私ども育種をやって、リンドウの花をつくって、生産者も努力して、昭和45年から努力して日本一の産地になりました。そして、私どもが転職してきまして、平成7年に転職してきたんですけれども、そのときは日本一の産地になっていまして、どんどんとにかく量をいっぱいつくればいいんだということで、どんどん量をふやしていったんですが、平成7年を境に生産量はどんどんふえていくんですけれども、所得といいますか、総額が変わらない、要は単価が落ちてきているということで、結局頑張ってみんなでゼロから1をつくって、1から9まで伸ばしてきたわけです。これを9を10にするということをみんなして一生懸命やっているわけで、お盆にちゃんと出そう、彼岸にちゃんと出そう、もっと前の東京のほうも調整しようと、要するに需要のあるところに出そうと。それは、9を10にする努力なんです。これは、完璧にやってやっと10になるんですけれども、その努力だけではだめなんじゃないかと、ゼロから1をつくる努力をもう一つやんなきゃいけないんじゃないかということをそのときに感じました。
どうしてそういうことを感じたかというと、私どもがつくった品種をニュージーランドに持っていって栽培委託をするということで、ニュージーランドから日本に逆輸入して新しい需要をつくろうというプロジェクトを立ち上げて取り組みまして、その中でニュージーランドの生産者に、どうして日本の生産者はこんなにいいものを輸出しないんですかと、私ども日本に輸出するよりヨーロッパとかアメリカに輸出したほうがずっと高いので、日本には輸出したくないですと言われまして、それは大変なショックでした。今私どもが苦しんでいることは、9を10にする仕事、プラス、ゼロを1にして新しい需要をつくってまた1から9に持ち上げていくようなことをしなきゃいけないと思っていたやさきだったものですから、ゼロを1にする仕事、輸出に取り組んできたわけです。
実際やってみると、ゼロを1にする仕事というのは、1から9にするとか、9から10にする仕事とは全く違って、先ほどお話しいただきましたように、向こうの需要をよく知るとか、それから全くやり方を変える、そういうことが必要で、私どもが日本で切るときは仏様に上げるものですから、お墓に持っていって30分見ればいいわけです。ところが、ヨーロッパで出すときには持っていったものが1週間は消費者は見たいのだと、何で咲いたのを出すんですかと、おまえたちがいいものを先に見ておいて、おれたちは見れないじゃないかというふうに言われまして、全く考え方が違って、今度はそれに対応して、品種から何から全部新しいものをつくっていかなきゃならないということがわかりました。
それから、実際オランダに行って市場調査をしてみますと、岩手県の品種は、我々がつくった品種がどんどん繰り返しをされて新しい品種をつくっているということで、私どもがせっかくいい品種をつくってもそれをきちっと保護できないと、やっぱりヨーロッパとの競争では負けていくということに気づきました。ですから、そういうことでもちろんオランダでも品種登録を始めましたし、もう一つ今国の事業をお借りしましてDNAの鑑定の技術をきちんと確立するという事業にも今取り組んでいるんですが、そういう意味で中国とか台湾とかいろんなところに輸出する場合も、今逆に菊なんかでは中国とか何かで勝手にふやされて日本に逆輸入されているというふうなことがありまして、相当気をつけなきゃいけないんだろうなと思いました。
ちょっと話をまとめますと、一生懸命新しい品種をつくる、価値の創造、創造したらやはりきちんと保護する、きちんとそれを活用すると、活用するには9を10にする活用だけじゃなくて、やっぱりゼロを1にする活用をしていくと。ゼロを1にしたらば、1を9にするためにまた新しい品種をつくっていくと。逆に価値の創造、保護、活用がサイクルとして回って初めて所得の向上ということに連なっていくのではないかと。日本一になるときもそうでしたし、これから世界一を目指しているわけですけれども、世界一になるにもそうなんではないかなと思っております。
そういう意味で、人材が実際は価値の創造のところには配置されているんですけれども、ところが活用のところにきちんと配置されていないということを私どもやっていて感じております。しかも、それがさらに価値の創造につながっていくと、そういうサイクルにするには相当の人材、パワーを育成、活用していく必要があるんじゃないかなというふうに感じております。
以上でございます。

達増知事
山本さん、お願いします。

山本玲子
石川啄木記念館で学芸員をしております山本です。石川啄木記念館は、盛岡市立ではありません。財団法人です。ですので、今のところ運営は入館料とか、いろいろグッズなどを売ったり、本を売ったりして、その利益で職員が給料をもらうというのが基本になっております。でも啄木という人の名前は全国、世界にも伝わっておりますし、盛岡市としましてもほうっておけないという、そういう人物ですので、盛岡市から少し補助金をいただいております。そして、その中でぎりぎりで運営をしております。啄木記念館の職員は5名おりまして、たったの5名なんです。常勤は私1人で、あとは非常勤2人、臨時職員2人です。ですので、私はフル回転しておりますけれども、こうして長年勤めてまいりまして、また周りなどを見渡しながら常々感じておりますことは、博物館とかこういう記念館、それから公民館、そこの館長になる人は、学校の校長先生を退職した人が館長になっております。何年というふうに決められているところもありますし、こちらの啄木記念館の場合は決まりがありません。何年というのがありません。館長には任期がありませんので、本人が勤めたいだけ勤めるというふうなことになっております。そうしますと、これはちょっとひどい話になりますけれども、一般的な感じでお話しいたしますけれども、学校の校長先生が退職金をたくさんもらって、そしてその後年金をもらって、さらに公民館ですとか、そういった類似施設に館長として長年勤めているということになりまして、またそこでも給料をもらうわけです。臨時職員が週休2日制で、2日休みをもらって、常勤職と同じように働いているにもかかわらず、給料は最低賃金なんですね。館長は、それなりにお給料を臨時職員以上の給料をもらっていますし、非常勤ですので1日置きぐらいに出てくるというふうになっております。それでも一生懸命アイデアを出して働く方であれば私はいいかなと思うんですけれども、こうしましょう、ああしましょうというアイデアが職員みんなあるにもかかわらず、館長は余り責任をとるようなことはしたくないというような感じにだんだんなってきまして、職員が身動きがとれないというのが現状です。その割には、啄木の場合は、結構マスコミにも出たりするので、余り職場のほうまでは多くの皆様にはなかなかそこまでは気づいてはもらえないかと思いますので、私はきょうはこれは言わなければいけないと思って申し上げております。そしてまた余り格好いいことばかり言ってもだめで、本当に新しいいい岩手をつくっていくためにはこの現状をお話ししなければならないなというふうに思っております。
そういう中でありながらも、一生懸命頑張って活動しておりますが、皆様のお手元に啄木記念館の袋に入っております資料をちょっとごらんいただきたいと思います。去年から今年にかけて啄木記念館で……啄木記念館と言いましてもほとんどが啄木記念館のほうで事業をするときには市の応援があります。ブランド推進室、それから教育委員会の応援をいただきながら活動をしております。去年は啄木生誕120年でしたので、ザ・啄木展というのをやりまして、そのときの図録を皆様のほうにお土産に持ってまいりました。これは盛岡市内の先人記念館、青春館、手紙館、啄木記念館4館合同でやりました。この4館合同でやるに当たりましても、運営基盤が違うものですから、大変苦労をいたしました。でも、啄木生誕120年記念ということで、多くの来館者が、おととしよりも来館者数は多くなりました。
また、去年から短歌甲子園というものが始まりまして、ことしもやりました。チラシは去年のチラシを持ってまいりましたけれども、甲子園ですので高校生が主役になります。全国から高校生たちがやってきて3行書きの短歌を詠むという、そういうことをやっております。この短歌甲子園は、私は審査員なんですけれども、担当しているのは盛岡市のブランド推進室です。全国から高校生たちを集めるということと、高校生たちに啄木の短歌に触れてもらおうという、そういうこともねらいにあります。北海道から九州の高校生たちがことしもやってきました。去年よりも参加数がふえております。これは高校生なので、短歌甲子園、これはこれでいいんですけれども、最近考えておりますことは高校生ばかりじゃなくてもっと普通の人が気軽に短歌を詠むという、そういうことができたらいいなというふうに思っております。
私の理想としましては、岩手の人は文学というものをそんなに高い位置に置かないで自分らの生活の中に密着しているんだよと、話しかければすらすらと何かすてきな言葉が、短歌にならなくてもすてきな言葉が岩手県人からは出てくる、さすがに啄木や賢治が生まれたところだねというふうになるような、そういう岩手の姿を理想としております。
そしてまた、そんなふうになるためには、気負わないで文学に触れるということですし、また生活の中から生まれてくるということで、まず生活をしっかり見詰め、生活を大切にするということであろうと思います。啄木の文学の基盤になっているのも生活です。生活が歌に詠まれております。そういうことを思っております一方で、私自身は生活の中で、ふだんこうして生活する中で啄木を感じるということを私のスタイルとしております。それから、こうして集まっている中でも、いろいろと岩手の名産が出てきたり、いろんな発展的なお考えを聞いている中で私は啄木と結びつけております。啄木に触れるということは特別扱いをしないで、生活している中で文学に触れるということです。
あと、ことしは「千の風になって」で一躍有名になりました新井満さんをゲストにお迎えしまして、啄木祭をいたしました。新井満さんは、大変啄木ファンでいらっしゃいまして、ことし6月でしたか、県公会堂で対談をなさったときに、そのときに岩手に住んでみたいなというふうにおっしゃいました。それくらい新井満さんは岩手に目が向いて、心も向いております。呼べばすぐ風のごとくやってくる、そういう状態になっております。その新井満さんは「千の風になって」の第2弾として啄木の歌に曲をつけてくれました。これがこの中にあります「ふるさとの山に向ひて」、こちらは組曲のほうです。今こういう方のお力をかりるということが大切だなというふうに思っておりまして、私にとりましては大変力強い味方がふえたなというふうに思っております。
ちょっと新井満さんのことをもう少しお話ししますと、新井満さんは啄木の歌に曲をつけたわけですけれども、新井満さんの曲というのは啄木の歌はこうでなければならないというふうに、ある程度イメージしていた今までの人の考え方を覆すような、そういう曲になっています。新井満さんはこうおっしゃるんです。「20世紀の啄木との触れ合い方は、それは20世紀の人のやり方であっていいだろう。21世紀、私たちは新たな啄木との触れ合い方をしていいのではないか」、だから曲につきましても新たな曲を新井さんは考えてくださったということで、この考え方はいろいろご意見があるかと思いますが、私は啄木の考え方にも通じるものがあって、啄木が「明治40年代以後の詩は明治40年代以後の人々の言葉によって語られなければならない」というふうに言っているこの啄木にも通じるというふうに思っております。
また、あとはちょっと簡単に1分で申し上げますけれども、啄木学級というものをやっておりまして、ふるさと講座もありますけれども、資料にありますのは啄木学級文の京(ふみのみやこ)講座で、東京で開催しているものです。こちらのほうも盛岡市産業振興課の協力で開催しております。こんなふうにあれやこれやと活動をしております。気負わずに文学に触れていくということを私は願っております。それがまた岩手らしさというふうに思っておりますし、それから難しい考え方、難しい言葉じゃなくて、わかりやすい言葉で表現する、これもまた岩手ならではというふうに思っております。

達増知事
ありがとうございました。
行政というのは、明治時代とか戦前には取り締まりというのが主でありまして、何かお上に逆らえれば抑えるとか、あと許可でやらせて、ちゃんとやっていないところは取り締まるとか、それが戦後になってきてお金で解決といいますか、いろんな問題をお金で解決する、そのお金の分配というのが行政のメーンみたいになってきて、それは我々にもなじみのいわゆる行政ということなんですけれども、21世紀になってきて情報化社会にもなってきて、今度は情報の結節点ということですよね。工藤さんが行政は企画立案ということをおっしゃっていたのは、お金を使って事業するというよりは、お金を分配する企業より、むしろ情報収集、分析、そしてそこから提案をしていくような人が行政に期待されているということだと思うんですけれども、そこがやはり行政に1つはまず期待されているし、もう一つはお金がないからそれしかないというところがあります。ただ、お金はあるところにはある世の中なので、まずお金は外国にかなりお金があちこちにあって、いかに外国のお金を持ってくる、そういう知恵をつくっていくかということだと思います。あとは、国とか地方自治体のお金というのは、使えるお金がどんどん減っている現状ではありますけれども、実は日本国民、庶民の間のお金というのは、これは集めると物すごい額で、ここ3年ぐらいアメリカ国債とかインド株とか、そういう普通の人が外国に投資する額がこの3年間で20兆円ぐらいふえているんだそうで、その20兆円が地方に回っていればもっと地方が楽になると思うんですけれども、あるところにはあるお金をどう持ってくるかということが知恵の出しどころなんだと思いますね。
一方では、NPOの仕事でありますとか、大量のお金を引っ張り込むことが目的ではないんですけれども、多分お金というのは信頼、信用のところにお金が来るという原則がありまして、企業の場合でも立派な事業計画があって、これでやっていけばどんどんもうかるとなれば、銀行はもうむしろぜひ借りてくださいと銀行が押しかけてくるような感じなんじゃないでしょうか。NPOの場合もやはり運営力というところがきちっとしてくれば、ぜひこのお金をというような感じになってくるんだと思います。そうしたところの情報、あとはそういう知恵といいますか、そういうのは行政というところは、仕事や生活の現場に一番近いのは企業であったり、NPOであったり、生産者であったりするんですけれども、あるいは歌を詠む生活者でもあるんですが、そうしたあらゆる情報に接しているところが行政の長所だと思いますので、ぜひそういう行政を中心としたというか、あるいは行政が周辺をめぐりながら今伺ったような情報をそれぞれがまた役に立つような形で活用できればと思います。啄木記念館の貴重な実態を伺いましたけれども、そういった情報も、これは取り締まりとかということではなく、情報の共有みたいな形で問題解決にも役立てていければいいんじゃないかなというふうに思いました。
また、今いろいろお互いのご意見を聞き合いながら、また言い足りなかったことも含めてもう一巡いきたいと思いますので、予定の時間は6時半まででありますから3分ぐらいずつになってしまいますけれども、岩清水さんからまたお願いいたします。

岩清水晃
うちの資料、ちょっと見ていただきたいんですが、確かに輸出はそれなりに好調なんですけれども、ただ現状といたしましては非常に中国の商品とか、今はベトナムもつくっていますよね。そして、やっぱりレベルとしてはまだこんな差はあります。ただ、値段ですごく安いの出ていまして、あと模造品なんかされまして非常に困っておりますけれども、ただうちの場合は長年の信用と品質である程度浸透してやっていますから、皆さんが理解してくれまして、うちの商品がトップレベルでアメリカにしろヨーロッパにしろ出ておりまして、そしてそれなりに……ちょっとこの表で低くなっているところは、為替の関係で低くなって、去年は相当の数字になってきましたし、今回も伸びておりますし、着実に外貨を獲得して岩手県に貢献したいと思っていますので、ぜひご指導をよろしくお願いします。

達増知事
「イワチュー」のほうが外国では通りがいいんですね。

岩清水晃
そうです。

達増知事
南部鉄器って、ナンブ・アイアン・クラフトワークとかなんとかと言うよりも、「イワチュー」のほうがわかりやすいですね。

岩清水晃
ただいま知事さんおっしゃったように、要は南部鉄器よりメイド・イン・ジャパンなんですよね。やっぱりジャパンというのが、そして今うちで「イワチュー」というのも浸透しましたから、そしてちょっと違う、横に入りますけれども、今から5年前ですか、韓国のステンのメーカー、器を作っているところからうちに手紙来まして、うちの名前使わせてくれないかと来たんですよね。そして、300万のロイヤリティー払うというので、これはうちは断ったんですよ。ただ、どうしてうちの名前が欲しいかというのを聞きましたところ、やはり韓国の名前で日本にしろ、ヨーロッパにしろ、アメリカにしろ、出てもやっぱり二流、三流に見られる、ということで、やっぱりメイド・イン・ジャパンで出している岩鋳の名前で売りたいから貸してくれないかと来たのです。そのぐらい結構やっぱりメイド・イン・ジャパン、鉄器では「イワチュー」というのが、すごい浸透しているんだと逆に思いましたけれども。

達増知事
じゃ、工藤さん、お願いします。

工藤敏英
先に、さっき一部申し上げたんですが、やっぱり一番手っ取り早い現金収入といいますか、外貨、財貨の獲得というところで、やはり今これだけの2,000万人を超えるくらいの観光客がいらっしゃっていますけれども、じゃこれにどういうふうにして、物を買っていただいたり、また食したり、またリピーターとして細かくそうするか、そこら辺の知恵の世界じゃないかなとすごく思うんですね。それをここの中でやるとやっぱり広域、いわゆる盛岡に来る方は盛岡の客ではなくて岩手県に来ているというとらえ方、それがどうもなかなかまだその部分で京都とかに比べると立ちおくれているというか、正確に言えばしたたかさがないというか、商売人じゃないと、そういうところは非常にあるのかなと。やはりこれはどうしてもやっぱり行政の枠を超えた、盛岡に来る客は岩手だ、岩手に来る客は北東北に来る客だと、北東北に来る方は東北6県に来るという物事のとらえ方をきちっとしておかないと、何か隣に行くと関係ないやと、今の観光地図がみんなそうですね。市町村単位で、隣の市町村の地図さえないという、来る側から見れば不便できわまりないという部分がすごくあります。やはりその部分で広域というものは、市町村合併するとかしないではなくて、実務的な結びつきというのをどう構築するかということが、ここが大事かなと思います。
それから、もう一つ従来の考え方の転換ということで、どうもいろんな観光協会を含むいろんな行政絡みのほうだと、金がないとできないという、そういう先入観がある。やはりこれを払拭しないと、私はやっぱりそれは逆であって、やったことに対してお金をつけるという考え方でないと、どうもお金をもらうことが目的になっているという、それを使って活用して収入を得るんじゃなくて、そのもらうこと自体がどうも、手段が目的化しているものが非常にいろんな一連のイベントとか何か見ると多いので、この考え方を変えていくことが大事かなというふうに思います。
今うちのほうでも、非常に小さいことなんですけれども、こういう温泉のスタンプラリーのをつくって、これは行政から一銭ももらっていないで、メリットがあるところはお金出してやったらいいじゃないかということで、今こういうことを始めているということですし、もう一つの今度の今月末の食と観光フェスタも旧来農水部が主体ということで、農水関係だけでやっていた。やっぱりそれでは観光との連携がないということで、ここに観光関係、商工関係が一体になって、多分こういうイベントは、JRさん、JTBのエージェントさんに聞いたら、こういうイベントないそうですね、全国で。だったらこれを岩手県としてどんとそういうところにねじ込んでしていただいて、食していただいて、ここからリンゴでも何でも多く発送すればすごくいいと思います。何かそういう外貨を獲得するということでこの資料をお持ちしました。
それから、現にこれはJRさんのあれですが、本来のJR本体さんといろいろ、盛岡支社でも、いわゆる東北とか岩手はやっぱり足がなきゃだめです。エアーはやっぱり弱いです、まだまだ。ですから、こういう部分でJRさんともっともっとこういう商品をどんどん、春夏秋冬つくっていけばいいんじゃないかということで、これを一応参考にお持ちしました。
それから、もう一つの、空中散歩とありますが、これ旧来みんなそれぞれにハードは持っていらっしゃるんですよね、リフト。でも、協調していないんですよ、みんな。安比さんは安比さんで別、雫石さんは雫石さん。だったら、同じものなんだから、それ連携して料金統一して県外の方を呼んだらいいんじゃないかというのは案です。これは別にそんなに知恵も工夫も要らない、ただ連携するだけでできるんじゃないか。これは、同じことが多分スキー場とかゴルフ場とかでも言えるのかなということです。
あと、先般やりましたいわて夏まつり、これはやはり祭りというと伝統芸能、伝統のものばかりやっているとかそうじゃなくて、やっぱり新しいものを何かつくろうよということで、最初は行政さんから支援はちょうだいしますが、いずれこれは独立してスポンサーを得て、行政から支援を得ないで独立させようと思っていますけれども、そういうので新しいこともやっていくというようなことで、やっぱり若い人たちをこういうのにどんどん連れ込んでいくということが重要かなということでお持ちしました。
あとこれは、ちょっと手前みそになりますけれども、雫石町は非常に、踊り、歌、非常にすぐれていまして、やはりこれだけの感性があるんだから、ここにやっぱり今後の子供たちのことを考えて洋を取り入れてやればいいんじゃないかということで、思い切って東京芸大に行って相談しました。そうしたら、簡単にいいよということになりまして、こういうことも、要するに動けばできるといいますか、その例としてお持ちしました。
以上でございます。

達増知事
ありがとうございます。
では、高家さん、お願いいたします。

高家卓範
グローバルな話から、突然ローカルな話に落ちてしまいますけど、森のそば屋、みち草の驛、実は両方合わせても売り上げで1億手前で足踏みしていまして、岩鋳さんの資料を見ると指を折らないと数えられない、すごいなと思っていますが、ただ私どもはできる人を選んでグループをつくったんじゃなくて、参加したい人全部でやりましたので、できる人もできない人もいます。できるところをやればいいんだということでやっていますので、いわゆる効率とかそういった点ではよそに太刀打ちするということはできないんですけれども、でもみんなでやっていこうということで、その中でもお給料は2つの店合わせて2,500万、それから産直の手取りが1,500万、4,000万ちょっとは地域に、みんなのところに落ちているという面では、小さな地域にとっては結構な経済効果にはなっているかと思っております。そういったコミュニティービジネスが岩手の各地にできてくれば、ある面ではいいのかもしれない。年金もらいながら働いている人が多いわけですけれども、よその地域の人が江刈川という地区だったら私もお世話になれたのにねというお年寄りもかなりいらっしゃいますし、そういったのも1つの切り口になるかもしれないと思っています。
それから、コミュニティーのところでずっと自治会活動もやっておりますけれども、さっき支援組織の問題が出されましたが、そういった部分がたくさんあります。そこのところはよく理解しておいてほしいなと思いますのは、原則全員一致じゃないと動かないというようなところがあります。ですから、何か新しいことを取り組んでほしい、自治会なり町内会の組織に呼びかけても、必ずしもその組織はダイナミックには動かない。そこのところ、そういう組織にだけ働きかけていると、本当は別なところへ働きかければできるのができないでとまってしまうということが多くあると思います。
それから、県と市町村、コミュニティーとの関係、(説明図では)私がこれから話をするようになってはいないんですが、県から市町村を通じてコミュニティーあるいは地域づくり団体、すべてこのラインでいきますと、市町村によっては道路で交通渋滞を起こすように、赤信号が多い市町村ですとそこまで行くのに時間がかかるとか、そういったときにバイパスが必要だなと。ムカデは足がいっぱいあって同方向に動いているけれども、中に数本勝手に動いている足があるんだそうで、それは障害物にぶつかったときに勝手に動いている足のほうに指令が向くというようなところもあるそうで、そういった部分ではすべてを市町村を通じてじゃなくて、8割ぐらいはそれが大原則でしょうから、残りの1つ、2つは市町村じゃなくても県と直接、地域づくり団体とやりとりするようなところがあることのほうがいろんな面で動きがよくなるんじゃないかなと、そういうようなことをふだん感じております。

達増知事
その点については、やっぱり県としてもコミュニティー、地域と直結するところをつくったほうがいいんじゃないかなと思っていまして、それは市町村専らというわけじゃなく、確かに市町村行政を一緒にやるというところがかなりを占めるんでしょうけれども、例えば地域振興みたいなところですよね、そういう地域の活性化とか、そういう部分、何かクリエイティブなものが求められるような分野とかについては、町内会とか行政区が、これはいきなり世界に飛び出してもいいような分野については県がそこに直結していってもいいと思っていまして、そういう地域振興的なところでいい仕事をやっていくようなことを考えたいと思っています。
あとは、そういう地域での本当にローカルな活動は、お金のやりとりがなくてもすごい付加価値をつけているということがいっぱいあると思うので、私が今県庁の中で言っているのは、何かそういうのをはかる新しい物差しみたいなのを工夫して、日本円ではかられる尺度については、それはそれでやっぱりグローバル化のそういう市場社会はそういう通貨ではかられる尺度というのは、これは絶対必要なので、それはそれで持っていなきゃだめなんですけれども、それではかれない価値もちゃんとはかった上で、そうするとかなり岩手はリッチなんじゃないかと、ゴージャスなんじゃないかというところを確認できると思うんですね。この間宮古で外食産業の人たちが岩手の食材をお試しするという企画があって、そこで天狗という居酒屋チェーンの仕入れ担当の人が、もっと岩手はグルメとかそういう感じの売り出しでやっていっていいんじゃないかと。つまり今まで純情米、純情野菜とか、比較的清貧なイメージ、清く貧しいイメージでアピールしていたところがあるんですけれども、むしろぜいたくな岩手とか、そういう食産業とか、一部かもしれませんが、そういうアピールがいいようなところもあり、ですから通貨のやりとりはNPOにせよ、そういう地域のビジネスにせよ余りないのかもしれないのですが、得られるものは物すごいぜいたくだ、ゴージャスだみたいなことを言っていると、おっと思って、じゃちょっとそこに行ってそばを食べてみようかとか、そこに住んでみたいとか、地域活動にも参加してみたいとか、そういう展開になるんじゃないかななんてことで今考えておりました。

高家卓範
葛巻病院に来た先生が、この間、職員の病気とかいろいろ話ししていましたけれども、岩手は所得が低い、だから糖尿病だとか、生活習慣病だとか、豊かな暮らしをしているために出てくる病気は少ないと思って来たら、実はそうじゃなかった。確かに所得は少ないかもしれないけれども、でも来てみると食べるものはおいしいし、お金の割にはいいものを食べているんじゃないかという、最近そんな印象も持っていると。

達増知事
肥満の割合は全国平均より高いでしょうね。
では、甲山さん、お願いします。

甲山知苗
先ほど小岩井の工藤さんからこれを、行政のお金を使わずにつくってやっていらっしゃるというふうにおっしゃられたんですが、一応ことしの舟っこ流しは行政の事業ではなくて、企業さんからの協賛金と、それから個人の参加者からの協賛金で何とか運営してやりました。やはりこれから行政の方にお願いとしては、NPOとか地域活動に対するお金の出し方、余り大きなお金をかけてぽんと補助金とかを出してしまうと逆に続かないということですよね。続いていく事業というのは、やはり地域の企業とか住民の方からサポートされたり、共感されたりするということが非常に重要なので、そこができない事業というのは、よっぽど行政が取りかからなきゃいけないものは必然的にあるでしょうけど、そうじゃないものに関しては、やはり住民がイニシアチブをとって、そしてお金も基本的に集めて、行政さんにはちっちゃなお金か、あともっと別のもの、例えば場所だとか、ノウハウだとか、機械だとか、人的な支援だとか、サポート、そういった部分で協力をしていただいたほうが住民の力がついていくんじゃないかなというふうに感じております。そこの部分で企業さんといかに連携していくかというのは、またこれは大きな課題だと思っています。
それから、もう一つ、今ずっと外貨を稼いでくるという需要の話が続いたんですが、外貨を稼ぐこともすごく重要なんですが、もう一つは外に持っていかれない仕組みというものをもう一度考え直す、見直す。人材にしてもそうですが、例えば今ここでおそばを買うときに、高家さんのところのおそばを買うか、ナショナルブランドのおそばを買うか、何げに私たちはスーパーで手にとっちゃいますけれども、10円高くても岩手産のものを買うことが自分たちの経済、それがひいては雇用に、自分たちの地域の経済に戻ってくるということを私たち知らない、そういう教育を受けていないですね。ですので、今NPOの世界ではお金の地産地消ということがすごく言われていまして、そういう活動をしていっている団体さんも結構あります。エネルギーの地産地消、葛巻ではかなり取り組んでいらっしゃるんですが、エネルギーの地産地消、それからお金の地産地消。郵貯に預けたお金は国の事業に使われますから地元に残りません。地元の労金さんとか、あとは最近NPOバンクなんていうのはやっていますが、そういった地元の銀行にお金を預けて、地元企業を支援するようなお金の使い方、そういうふうに地元にあるお金を外に出さない幾つかの切り口ってあるはずですので、そういった部分をもっとPRして、地域の方に地域経済を豊かにしていくための暮らし方というのはぜひ発信していただけたらなと思っております。

達増知事
日影さん、お願いいたします。

日影孝志
一言言い忘れましたのは、実は輸出という仕事がすごくいろんな失敗をするんです。それで、行政も入って失敗するものですから、批判が非常に多いんですね。行政が入って失敗は許されないという雰囲気がある中で、私ども非常に苦しんだ時期がございます。ただ、そのときは県のほうから支援いただきまして本当に助かったことがございます。県のほうでそういう目で全体の戦略というんですか、とらえてくれていたのが、本当にそのときは助かりました。飛行機1台分全部焼却したこともございます。何百万、1,000万近い額でした。そういうことを輸出というのはやらなきゃできない仕事なんですね。そういうことをやるためには、上に立つものがきちっとした戦略を持って取り組まなければいけないと。それと、セーフティーネットをきちっとつくってやらなきゃいけないということで、そういう教訓を持ちましたので、今回知事さんのお話になっているセーフティーネットの話と発信力をつけていくというお話は、私非常にすばらしいなと思っております。
以上です。

達増知事
山本さん、お願いします。

山本玲子
私は、今までの博物館とか、記念館、美術館に対する考え方を改めたほうがいいのではないかなというふうに思っております。ほかのほうはわかりませんけれども、啄木記念館について言いますと、記念館は経営ではないかというふうに思っております。私は学芸員として研究に専念いたしますけれども、全体は経営という考え方にしなければいけないなというふうに思っております。いろんなアイデアを出して、いろいろなグッズを出したり、また企業の方々と手を組んでいろんなものを出していくという、そうやって生活と結びつけ、県外にも物と一緒に啄木が伝わっていくし、海外にも伝わっていくというふうに考えております。
文学と観光を一緒にすることを今まで結構遠慮があったように思うんですけれども、私は観光というのは光を観るということですばらしいことだと思っておりますので、遠慮しないで観光と結びつけ、経営と結びつけていくことがこれからのあり方ではないかなというふうに思っております。

知事所感

達増知事
ありがとうございました。短い時間でございまして、もう終わらなければならないんですけれども、きょうのこの1時間半の間でも岩手の盛岡広域圏内、県央広域圏内に非常にすばらしい支援と、そして人がいるということがよくわかりまして、ぜひぜひまたそれらがうまくそれぞれに携わる人たちの幸せにつながるように県としても頑張ってまいりたいと思いますので、きょうは第1回目というような形で、引き続き個別にでもまたこういった場を設けれれば設けたいと思いますし、ご協力をよろしくお願いいたしまして終わりたいと思います。ありがとうございました。

閉会

宮舘局長
それでは、以上をもちまして県央広域での知事との県政懇談会「岩手フロンティア懇談会」を終了させていただきます。本日は長時間にわたりまして大変ありがとうございました。県会議員の先生方も大変おいでいただきありがとうございました。ご意見をお伺いしたいところですけれども、また別の機会に。ありがとうございました。

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