JICA海外協力隊:中里 祥子さん(ボリビア派遣)

ページ番号1022661  更新日 令和1年8月23日

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  • 青年海外協力隊(保健師)
  • ボリビア移民族国派遣(2017年9月から)

あなたの近況を教えてください

間もなく2年という任期を迎えますが、活動の成果や今後の課題について教えてください。

 これまで、地域の保健所での健診に訪れる親子への保健指導や母親向けの健康教室などにおいて、疾病予防を目的に活動してきました。最初は、同僚にも母親たちにもあまり耳を貸してもらえないことが多く、言葉の問題もあってもどかしい日が続きました。ですが、目の前で明らかに健康を害する行動を何の疑いもなく日々繰り返している母親に対し、子供の将来のことを思うと黙ってはいられませんでした。同僚に私の意図や将来への具体的な影響を少しずつ説明し、理解してもらえることで保健指導時にバックアップが得られるようになったこと、同僚も少しずつ自ら母親たちに私が大事に思っていることを伝えるようになったことは、小さいですが一つの成果と言えるかもしれません。

 私が赴任した当時、健診の際に親に対して、どの程度子どもたちが成長したのかという説明はあまりされていませんでした。また、体重増加が思わしくない場合は家庭でどのように過ごしているかあまり確認することなく、親を責める場面もありました。私が活動しているのは、成長の程度が気になる子供たちのみが健診に来る部署でしたので、母親たちは心配そうにやってきます。私は母親たちのフォローをすることで信頼関係を築き、困ったときに頼れる場所になることを目指して、母親にきちんと説明をすること、家での生活の様子を個々の状況に合わせて聞き取り、必要な情報を提供すること、母親に支持的態度で接することを心がけてきました。日本では当然のことかもしれませんが、ボリビアではすでに何年も働いてきた同僚にまでこれらのことを広げるのはそう簡単なことではありません。彼らの立場や気持ちも考慮の上、あまり強く言わずに、母親と接する際の姿勢を彼らに示し続けました。赴任時と比較すると、母親への対応は少しずつ良い方向に変化してきていると感じています。これが継続されることを祈りたいと思います。

忘れられないエピソードはありますか。

 赴任当初から、体重増加不良で毎週のように母親と通ってくる女の子がいました。最初は、まだ1歳に満たなかったこともあり、体重測定の際に毎回大泣きして、私たちの部屋に入るだけで泣き出す子でした。しかし、頻繁に顔を合わせ、健診前後に少しの間一緒に遊ぶことで少しずつ心を開いてくれたのか、慣れただけなのか分かりませんが、次第に泣かなくなり笑顔を見せるようになりました。最初は活気があまりありませんでしたが、今では2歳半になり、成長も順調で2か月に1回会う際には、笑顔で私に近寄ってきてくれるようになりました。おしゃべりが好きで、拙いながら、私に色々お話してくれます。私のスペイン語も拙いので、ちょうどよいといったところでしょうか(笑)。

 子供たちは小さいながらに、私が外国人であることが分かるようです。大部分は不思議そうに様子をうかがって終わりますが、この女の子は違いました。もっと成長したらどんな子になるのか、とても楽しみです。

海外で培った経験を今後どのように活かしていきたいですか。

 帰国後は大学の看護学部で教員として勤務する予定です。日本も年々グローバル化が進んでいますので、協力隊経験を少しでも多くの学生と共有し、異文化に目を向けるきっかけ作りができればと思います。また、せっかく身につけたスペイン語ですので、もう少し語学を磨きいつか医療通訳としても日本に暮らすスペイン語圏出身の方のお手伝いができればと思っています。

岩手に関することについて教えて下さい。

岩手(日本)を離れて、あらためて感じた岩手(日本)の良いところはありますか。

 空気がきれいで食べ物がおいしいことが一番素敵なところだと思います。この地域では乾燥に伴う土ぼこりによって空気がきれいとは言えず、深呼吸をするのに躊躇ってしまいますし(もちろん標高が高いため空気が薄く深呼吸ができない)、手に入る食糧も限られます。安心して深呼吸ができ、おいしくて新鮮な食べ物がたくさんあることは健康に生きる上で非常に大事だとつくづく実感しています。

岩手県の皆さんにメッセージをお願いします。

 たくさん時間があると思っていた協力隊生活も残りわずかとなりました。上手くいかないことのほうが多い毎日でしたが、たくさんの方に支えていただきながら任期の終えられることに感謝の気持ちでいっぱいです。皆さんはボリビアと聞いてどのようなイメージを持ちますか?地球の裏側、遠い国、危なそう…などネガティブなことでしょうか?確かに日本に比べたら不便なことやびっくりすることだらけですが、ボリビア人は優しく温かい人が多く、実は見どころもたくさんある国です。私が紹介できるのはボリビアのほんの一部のことだけですので、ぜひボリビアについて検索してみてください。このレポートを通じて、少しでも多くの県民の方に南米そしてボリビアに興味をもっていただければ嬉しいです。本当にありがとうございました。

写真:JICAプロジェクトサイトの様子

写真:JICAプロジェクト集合写真
JICAプロジェクトサイトにて
この後、皆でキヌアのケーキを作りました
写真:ボリビアの赤ちゃん
ボリビアでよく見かける「グルグル巻き」の赤ちゃん。
生後3から6か月頃によく見られ、姿勢をよくするため、などと信じられています。

写真:チャヤの儀式に捧げる料理

写真:大家さんとその友達
大家さんとその友達が「Cha’lla(チャヤ:大地の母へ捧げる儀式)」に呼んでくれました。
場所は神聖な「蛇の岩山」。紙テープと紙吹雪で参加者自身も飾らなければなりません。
ビールを飲みながらコカの葉を噛んで日暮れまで過ごしました。

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