高病原性鳥インフルエンザ・侵入防止の徹底を(鶏病性鑑定事例の紹介3)
渡り鳥が飛来する季節を迎えています。高病原性鳥インフルエンザは飼養規模に拘わらず発生します。小規模鶏群や愛玩鶏の飼養者も本病の侵入防止に努めてください。
小規模鶏群や愛玩鶏の飼養者に、県内の鶏にどのような病気が発生しているかをお知らせする目的で、過去に実施した鶏の病性鑑定事例を順次紹介しています。
今回、紹介する病気は「Salmonella Enteritidis感染症」です。
発生状況
平成17年6月に、1肉用鶏農場(4鶏舎で19,000羽を飼養)で発生しました。発生は4,900羽を収容する1鶏舎に限局し、4日齢から26日齢までの22日間に下痢を呈して518羽(10.6%)が死亡あるいは淘汰されました。
検査成績
22日齢の異常鶏14羽を検査しました。肉眼的に、心外膜炎、肝包膜炎、肝臓の腫大および粟粒大白色巣散在、気嚢炎、ならびに卵黄嚢の遺残が観察されました。病理組織学的に線維素化膿性心外膜炎、漿膜炎および気嚢炎、肝臓の多発巣状壊死、関節炎、ならびに卵黄嚢炎がみられました。細菌学的に、内臓諸臓器からSalmonella Enteritidisが分離されました。
診断
以上の検査成績から本病をSalmonella Enteritidis感染症と診断しました。
予防法
有効なワクチンはなく、予防は困難です。したがって、本菌の侵入防止が予防対策となり、基本的な飼養管理の徹底が重要となります。
本事例では、発生鶏群および同一農場内の他の鶏群を同時に淘汰した後に、全鶏舎を消毒しました。その後に導入された鶏群から本菌は分離されませんでした。
(病性鑑定課)
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