高病原性鳥インフルエンザ・侵入防止の徹底を(鶏病性鑑定事例の紹介6)
渡り鳥が飛来する季節を迎えています。高病原性鳥インフルエンザは飼養規模に拘わらず発生します。小規模鶏群や愛玩鶏の飼養者も本病の侵入防止に努めてください。
小規模鶏群や愛玩鶏の飼養者に、県内の鶏にどのような病気が発生しているかをお知らせする目的で、過去に実施した鶏の病性鑑定事例を順次紹介しています。
今回、紹介する病気は「壊死性腸炎」です。
発生状況
平成17年3月に、1肉用鶏農場(16鶏舎で110,000羽を飼養)で発生しました。発生は1鶏舎に限局し、26日齢から27日齢までの2日間に8,000羽中102羽(1.3%)が急死しました。
検査成績
27日齢の異常鶏10羽を検査しました。肉眼的に、腸壁は弛緩し、暗赤色内容物を容れていました。優勢な組織学的変化は小腸下部に観察され、粘膜の広範な壊死、多数の大桿菌の付着、コクシジウム感染が見られました。病原学的に空腸内容から1グラムあたり106-108コロニーフォーミングユニットのClostridium perfringens A型が分離されました。なお、気管およびクロアカ粘膜から赤血球凝集ウイルス(鳥インフルエンザ、ニューカッスル病)は分離されませんでした。
診断
以上の検査成績から本病を分離菌に起因する壊死性腸炎と診断しました。コクシジウム感染が分離菌の増殖を誘発する要因のひとつとして関与した可能性が伺われました。
予防法
予防には鶏舎の消毒と誘発要因(コクシジウム、伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)ウイルスの感染など)の除去等の基本的な飼養管理の徹底が重要です。治療にはペニシリン系、テトラサイクリン系などの抗菌剤の経口投与が有効です。
本事例では、抗生物質や抗菌性物質を使用せず、正常な腸内細菌叢の構成を促す競合排除(CE)法製品と生菌剤の経口投与、コクシジウムとIBDのワクチン接種、鶏舎の除糞・消毒を実施して再発を防止しました。
(病性鑑定課)
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