鳥インフルエンザウイルスに対する市販消毒薬と消石灰の効果
鳥インフルエンザの侵入防止には防鳥ネットの設置とともに鶏舎内外の定期的な消毒が重要である。ここでは鶏舎内や踏み込み消毒槽に使用されている市販消毒薬および鶏舎周辺の消毒に用いられている消石灰の有効な活用法を紹介する。
市販消毒薬の効果(迫田ら、日本獣医師会雑誌平成19年(2007年)7月)
試験に用いられた5種類の消毒薬(カチオン、逆性石けん、塩素、フェノールの各系、複合剤)のいずれもが、(1)鳥インフルエンザウイルスの亜型および病原性に関わらず、高希釈でウイルスの感染性を消失させ、また(2)希釈した消毒薬の凍結と融解を繰り返しても消毒効果は持続した。しかし、(3)低温下(5度)や有機物(5%の鶏糞)が混入した際に、消毒効果は減少し、その程度は消毒薬により異なった。
消石灰の効果(石倉ら、全国衛指協会報平成20年(2008年)9月)
消石灰は(1)ペーハーが12以上の高アルカリ性の効果により感作後30分以内に鳥インフルエンザウイルスの感染性を消失させ、(2)その効果は均一な散布が可能であれば1平方メートルあたり0.5キログラムの量で期待できる。
市販消毒薬および消石灰の効果的な活用法
以上の試験成績から、鳥インフルエンザの予防や防疫に市販消毒薬や消石灰を使用する際は以下の事項に留意する必要がある。すなわち、市販消毒薬では、(1)低温下で消毒薬を使用する際は、用法の範囲内で高濃度の希釈液を調整するか、低温による影響を受けにくい消毒薬を使用する。(2)管理器具や長靴などに付着した有機物を取り除いてから消毒薬を使用し、有機物が混入した踏み込み消毒槽の消毒薬は早めに交換する。
消石灰は比較的安価であり、有機物の存在下でも消毒効果が期待できるが、(3)野外で高いアルカリ性を長期間維持することは困難であり、消石灰を2週間程度の間隔で散布する。また、(4)均一に散布することが困難な野外における散布量は1平方メートルあたり1.0キログラム程度が適切である。
消毒薬の市販名等の詳細は中央家畜保健衛生所にお尋ねください(電話:019-688-4111)。
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