岩手県食の匠236 大向ヨシエさん(久慈市) つぼ(つぼっこ)
料理の紹介(いわれ・特徴)
久慈の漁家でお正月やお祝いの膳に作られた煮物で、「つぼ」と呼ばれる蓋付きの木椀に盛り付け食べられた。昔は正月にはたくさん作り置きをして温め直して食べられた郷土料理であり、ハモはご馳走であった。
材料(5人分)
- 干しハモ(アナゴ)小 2分の1枚
- 干し椎茸 大2枚
- ごぼう 150グラム
- 焼き豆腐 200グラム
- 岩のり 25グラム
- にんじん 100グラム
- ゆり根 大 2分の1個
- こんにゃく 200グラム
- 昆布 10センチ
- 醤油 50cc
- 酒 15cc
- 水 5カップ
- 塩 小さじ4分の1
作り方
- 鍋に水と昆布を入れておく。
- 干しハモは表面に油がしみ出るくらいまで、焦げないようにさっとあぶる。あぶったハモをキッチンペーパーで挟んで、麺棒などを使って表面を軽くたたいてしみ出た油をとり、1センチ程度のぶつ切りにする。
- 岩のりは細かく刻んでおく。
- 干し椎茸はひたひたよりやや多めの水につけ冷蔵庫で一晩戻し、1センチ程度のさいの目に切る。にんじん、ごぼうは厚さ5ミリ程度のいちょう切りにし、ごぼうは水にさらした後ザルに上げておく。
- ゆり根は1片ずつほぐし、塩少々を入れた熱湯にさっとくぐらせ、ザルに上げておく。
- 焼き豆腐とこんにゃくはさっと湯通しし、1センチ程度のさいの目に切る。
- 1の鍋にハモ、椎茸(戻し汁も)、ごぼうを入れ火にかけ、沸騰直前に昆布を取り出す。ごぼうが柔らかくなるまで煮る。
- 7ににんじん、こんにゃくを加え、あくを取りながら中火で野菜が柔らかくなるまで煮る。
- 8に酒、醤油、塩を加え調味し、焼き豆腐を加えて弱火で煮込む。
- 最後にゆり根を加え、一煮立ちしたら火を止める。
- 器に盛り付けたら、岩のりをのせる。
料理・技術のポイント及び工夫している点
- 干しハモの油や強い風味が気になる場合は、作り方2であぶったハモをぶつ切りにして、鍋に沸かした熱湯に湯通ししてから使うとよい。
- 干しハモの骨が硬く危険なので、つぼを提供する際には必ず注意喚起すること。
- 久慈地域で通称ハモと呼ばれるものはアナゴのことである。この地域で獲れるアナゴには3種類あり、マアナゴが一番美味しく、まなぐおっき(ギンアナゴと類推)、アブラハモ(クロアナゴと類推)は味が劣る。
- ハモは秋の始め頃から獲れ始めるので、獲ったものはその都度、丸ごと冷凍庫で保存しておく。干す時期になったら、解凍し内臓を取って洗い、寒風にさらす。
- ハモは11月頃に干す。長く干すと油やけして美味しくないので、乾燥具合を見ながら寒風に1~2週間ほどさらし、干しあがったら冷凍庫で保存する。
- 完全に干したハモでなくても、半乾燥させたハモでも同様に調理できるが、半乾燥のものは身が砕けやすいので注意する(近年では半乾燥のハモを使う家庭が多い)。
- 岩のりが無い時は乾しのりを戻して刻んでもよい。
- 好みでしめじやちくわやさつま揚げなどの練り物を入れてもよい。練り物を加えると甘みが出る。しめじは1片ずつほぐし、工程(8)で加える。ちくわやさつま揚げは1cm角程度に切り工程(9)で加える。この他、サツマイモやささぎ豆を入れる家庭もあり、家庭ごとの味がある。
- この地域では昔は各家庭でゆり根が栽培されていた。ゆり根は茹ですぎると溶けるので、茹で加減に注意する。
- ハモはご馳走であり、煮しめ、つぼ、お吸い物など、特別な料理として食べられた。
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