合同追悼式での知事式辞(平成26年3月11日)
平成26年3月11日(火曜)に山田町にて開催された「東日本大震災津波岩手県・山田町合同追悼式」より、知事による追悼式辞を掲載します。
追悼式辞(全文)
慣れ親しんだふるさとの風景が瞬く間に一変し、多くのかけがえのない命が奪われたあの日から3年となる本日、ここ山田町において、「東日本大震災津波岩手県・山田町合同追悼式」を挙行するに当たり、犠牲になられた方々の御霊の前に、謹んで哀悼の誠を捧げます。
本県においては、4,672名もの方々の尊い命が東日本大震災津波により奪われました。
3年という歳月を重ねた今もなお、失った大切なご家族や友人への想いは薄れることはなく、日々の暮らしの中で、在りし日の姿や交わされた言葉を絶えず思い起こされていることと拝察いたします。
また、今もなお、1,142名の方々の行方が不明となったままです。3年という年月の無情な流れの前に、つむぐ言葉も見つかりません。ご家族の皆様には心からお見舞いを申し上げます。
ここ山田町は、あの日、強固に築かれた津波防潮堤をはるかに超える巨大津波とその後発生した猛火により、住み慣れたふるさとが消失し、672名の方々の命が失われ、多くの方々が行方不明となる、筆舌に尽くし難い苦しみと悲しみに包まれました。
犠牲になられた方々は、多彩な歴史や文化、豊かな自然に恵まれた山田町で、それぞれの分野で活躍され、希望に満ちた未来を見据え、高い志を持って地域社会を支えてこられた方々です。その中には、自らの命を賭して住民の避難誘導や水門閉鎖に当たられた消防団員の方々もおられました。失われたものは余りにも大きく、哀惜の念に堪えません。
時の経過とともに、この大災害について報じられる機会が減少するなど、大震災津波の風化が懸念されています。今を生きる私たちは、犠牲になられた方々の遺志に報いるためにも、東日本大震災津波の惨状やその経験の中で得られた教訓を改めて心に刻み、後世に伝えていくという使命を果たしていかなければなりません。
今、岩手の被災地では、復旧・復興への取組が一歩一歩着実に進められています。山田町でも、各漁業協同組合の御努力によりカキやホタテの養殖施設の整備が徐々に進み、現在開催されているソチパラリンピックには、山田町出身の阿部友里香(ゆりか)さんが出場し、活躍するなど大きな希望となっています。被災された方々をはじめ、県全体の底力と、日本全国、更には世界に広がる様々なつながりの輪を一層強固なものとし、復興への大きな力としていかなければなりません。
県としても、本年を本格復興推進年と位置付け、市町村や国と一体となり、様々な方々と連携しながら、防災施設の整備等による安全の確保、住宅・宅地の整備をはじめとする生活の再建、水産業などのなりわいの再生を更に進め、未来につながる復興を強力に推し進めて参ります。
発災以来、全国、そして世界各地からたくさんの温かいお見舞いや激励、義援金の提供など様々な御支援が寄せられており、心から感謝申し上げます。本格復興を進める岩手に対し、より多くの皆様の一層の御支援、御協力をお願いするものであります。
犠牲になられた方々の御霊が安らかでありますように、そして私たちをいつまでもお見守りくださいますよう願ってやみません。
ここにすべての岩手県民が心をひとつに、「いのちを守り、海と大地と共に生きる、ふるさと岩手・三陸」を実現すべく復興に邁進することを誓い合い、追悼の式辞といたします。
平成26年3月11日
岩手県知事 達増 拓也
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