岩手県東日本大震災津波追悼式での知事式辞(令和6年3月11日)
令和6年3月11日(月曜)に盛岡市にて開催された「岩手県東日本大震災津波追悼式」より、知事による追悼式辞を掲載します。
追悼式辞(全文)
東日本大震災津波から13年となる本日、岩手県東日本大震災津波追悼式を執り行うに当たり、尊い命を失われたお一人お一人の御霊に、岩手県民を代表し、謹んで哀悼の誠を捧げます。
13年前の3月11日、マグニチュード9.0の巨大地震が引き起こした凄まじい津波により、本県において、4,675人もの方々の尊い命が奪われ、また、この震災に関連して471人の方々が亡くなられました。
無情な津波は、今もなお、1,107人の方々を行方不明にしたままです。御家族の皆様の切なる想いが報われることを祈ります。
私たちは、東日本大震災津波によって、自然災害はいつでもどこでも誰にでも起こり得ることを知り、人と人とが支え合うことの大切さを改めて実感しました。
犠牲になられた方々のふるさとへの思いを受け継ぐこと、そして、東日本大震災津波の事実と教訓を確実に次世代に伝承し、復興の姿を国内外に発信することは、この災害を経験した私たちの責務であります。
この13年間で、岩手県では、防潮堤などの津波防災施設の整備が進み、災害公営住宅の完成などにより、応急仮設住宅にお住いの方々全てが、恒久的住宅に移られました。
復興道路等の完成により、県土の縦軸、横軸を構成する新たな道路ネットワークが構築され、沿岸と内陸が一つになりました。
内陸市町村においても、被災地への職員派遣や、被災された方々の帰還支援・定住支援など、切れ目のない様々な取組が為されてきました。
国や市町村、復旧・復興に携わってきた企業、団体、個人など、全ての方々の尽力により、復興の取組は着実に進んできました。
一方で、復興は、まだ終わっていません。残る社会資本整備を早期に進め、被災された皆様のこころのケア、新たなコミュニティの形成など、一人ひとりの状況に応じたきめ細かい支援を続けます。
主要魚種の不漁、エネルギーや資材の高騰への対策など、復興を支える水産業の再生や、復興により大きく進展した交通ネットワークを活用した交流人口の拡大に取り組み、地域社会の活性化につなげていきます。
一人ひとりの様々な「生きにくさ」を「生きやすさ」に変え、全ての岩手県民と岩手に関わる人々が、希望をかなえられる岩手を創っていきます。
私たちは、「誰一人取り残さない」という理念のもと、「いわて県民計画(2019~2028)」の第二期「復興推進プラン」に沿って、将来にわたって持続可能な新しい三陸地域の創造を目指し、復興のその先を見据え、取組を進めて参ります。
昨年は、天皇皇后両陛下御臨席のもと、高田松原津波復興祈念公園で第73回全国植樹祭を開催しました。
天皇陛下からは、「震災を乗り越えて全国植樹祭が開催されることは誠に意義深く、復興に向けた地域の人々のこれまでのたゆみない努力と大会関係者の尽力に深く敬意を表します」とのおことばを賜り、国内外からの御支援への感謝と復興の姿を改めて発信することができました。
東日本大震災津波伝承館は、日本を代表する震災学習拠点として、開館から、93万人もの方々が来館しています。
本年1月1日には、令和6年能登半島地震が発生し、多くの方々が犠牲になられました。国内外で大きな自然災害が起きている中、私たちは、自然災害に強い社会の実現に向けて、震災の事実と教訓を今後も伝承していきます。
私たちは、これまでも、何度も大きな津波被害に見舞われてきましたが、決してくじけず、県民が協力し合い、苦難を乗り越えて参りました。
将来、発生が予想される日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震に対しても、過去の災害の経験と教訓を忘れず、常に災害に備え、津波による犠牲者を決して出さないという強い決意で、市町村と連携し、全力を挙げて対策に取り組んで参ります。
3月11日は、「東日本大震災津波を語り継ぐ日」です。私たちは、過去の災害の大きな犠牲の下で学んだ教訓を、今後決して忘れることなく、次の世代に語り継ぎ、一人ひとりの大切な人に想いを寄せ、ふるさと岩手を築いていくことを誓います。
犠牲になられた方々の御霊が安らかでありますように、そして、御遺族の皆様と私たちをいつまでも見守り続けてくださいますようにお祈りし、追悼の式辞といたします。
令和6年3月11日
岩手県知事 達増 拓也
このページに関するお問い合わせ
復興防災部 復興推進課 伝承・発信担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
電話番号:019-629-6945(内線6945) ファクス番号:019-629-6944
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。