合同追悼式での知事式辞(平成27年3月11日)
平成27年3月11日(水曜)に野田村にて開催された「東日本大震災津波岩手県・野田村合同追悼式」より、知事による追悼式辞を掲載します。
追悼式辞(全文)
かけがえのないふるさとが一瞬にして破壊され、多くの尊い命が奪われたあの日から4年となる本日、ここ野田村におきまして、「東日本大震災津波岩手県・野田村合同追悼式」を挙行するに当たり、犠牲になられた方々の御霊の前に、謹んで哀悼の誠を捧げます。
本県におきましては、4,672人もの方々の尊い命が東日本大震災津波により奪われました。
4年の歳月が経過しましたが、最愛の家族を失われたご遺族の皆様の悲しみは癒えることなく、在りし日を偲ぶ思いはますます深くなっているものと拝察いたします。
また、ご家族の祈りにもかかわらず、今もなお、1,129人の方々が行方不明となっています。4年という時の重みを痛感いたします。ご家族の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
ここ野田村におきましては、あの津波によって、郷土の先人達が長年にわたり整備してきた防潮堤や防潮林、築き上げてきた街並みや産業基盤が消失し、大きな被害を受けました。
この地で犠牲になられた38人の方々は、豊かな自然に恵まれ、「塩の道」をはじめ、誇りある歴史や文化を有するこの地域で、お互い喜怒哀楽を共にしながら、日々の暮らしを営み、野田村発展への希望を託されていた方々であります。その中には、自らの使命を果たすべく、住民の避難誘導や水門閉鎖に当たられた消防団員の方々もおられました。まさに痛恨の極みであります。
私たちはこの東日本大震災津波の惨禍が決して忘れ去られることのないよう、私たちの経験と教訓を未来に語り継いで参ります。そして、犠牲になられた方々のふるさとへの思いを引き継ぎ、県民皆が力を合わせて、復興に邁(まい)進して参ります。
今、岩手の被災地には、復興の主役として立ち上がった地元の皆さんの底力と、岩手県内に加えて全国や海外から寄せられる様々なつながりの力により、暮らしや仕事、そして学びの場に、力強い動きが現れてきています。ここ野田村におきましても、野田村漁業協同組合が民間企業等とのプロジェクトにより「荒海ホタテ」というブランドを立ち上げ、村の産業全体の活性化に取り組んでいます。また、全国的に人口減少社会と言われる中、村の出生数は医療費や保育料の助成などの村の手厚い支援により、過去3年連続で増加しており、地域の大きな希望となっています。
県では、これまで災害廃棄物の処理を終了し、海岸保全施設の約9割、災害公営住宅の約6割で着工したほか、三陸鉄道の全線運行再開、漁船や養殖施設の一括整備、グループ補助金を活用した事業所の早期再開など復興を着実に進めて参りましたが、本年は復興まちづくりに向けた事業が最盛期を迎えます。県は、本年を本格復興邁(まい)進年と位置付け、市町村や国と一体となり、様々な方々と連携し、被災者すなわち復興者に寄り添い、県民の皆さまとともに全力で、復興に取り組んで参ります。
発災以来、全国、そして世界各地からたくさんの温かいお見舞いや激励、義援金の提供など様々な御支援が寄せられており、心から感謝申し上げます。本格復興を進める岩手に対し、一層の御支援、御協力をお願いするものであります。
犠牲になられた方々の御霊が安らかでありますように、そして私たちをいつまでもお見守りくださいますよう願ってやみません。
ここにすべての岩手県民が心をひとつに、「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」を実現すべく復興に邁(まい)進することを誓い合い、追悼の式辞といたします。
平成27年3月11日
岩手県知事 達増 拓也
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