合同追悼式での知事式辞(令和3年3月11日)
令和3年3月11日(木曜)に陸前高田市にて開催された「東日本大震災津波岩手県・陸前高田市合同追悼式」より、知事による追悼式辞を掲載します。
追悼式辞(全文)
10年前の3月11日、マグニチュード9.0の巨大地震が東北地方太平洋沖で発生し、海洋の激烈な変動が、津波となって東日本を襲いました。
岩手県では、多くの場所で10メートルを越える高さの海水が、沿岸部の街や村に押し寄せ、かつて経験したことのない大きな被害をもたらしました。
突然に4,675人の命が奪われ、関連して470人の方々が亡くなりました。犠牲になられたお一人お一人の御霊に、謹んで哀悼の誠を捧げます。
10年を経て、ますます募る、御遺族の皆様の深い悲しみを思うと、痛恨の思いと哀惜の念に堪えません。
無情な津波は、10年を経てもなお、1,111人の方々を行方不明にしたままです。御家族の皆様の切なる想いが、報われることを祈るばかりです。
私たちは、東日本大震災津波によって、自然災害はいつでもどこでも誰にでも起こりうることを知り、家族や友人、地域、国内外の人たちとの絆や人と人とが支え合うことの大切さを改めて実感しました。
天皇皇后両陛下をはじめ、皇室の方々が、被災の状況や復興の様子を御覧になり、私たちは、心の隅々にまで染み入るような、慰め、ねぎらい、励ましをいただきました。
海外からも多くの支援がありました。令和2年逝去されたバイオリニストのイヴリー・ギトリス様は、9年前の陸前高田市と県の合同追悼式で演奏され、その後も私たちの復興を、天に広がる祈りで包んでくださいました。
この10年間、私たちは、国内外から数多くの御支援をいただきながら、復旧・復興に全力を挙げて取り組みました。
私たちは、犠牲になった方々の果たせなかった想いを引き継ぎ、未来のために力を合わせて、より良い地域を創造し築いていくことに、力を尽くして参りました。
今、「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」という復興の目指す姿を、実感できる場所や機会は増えてきましたが、生活やなりわいに関する課題は目の前に多くあります。
私たちは「誰一人取り残さない」という理念を胸に、国連のSDGs「持続可能な開発目標」が示す方向に向かい、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」を基本目標とする「いわて県民計画(2019~2028)」に沿って、更なる段階の復興を進めて参ります。
新型コロナウイルス感染症が復興にも影を落としていますが、私たちは、震災と復興の経験を活かして、感染対策を徹底し、危機を克服して参ります。
岩手県は、3月11日を「東日本大震災津波を語り継ぐ日」とする条例を制定しました。
高田松原津波復興祈念公園には、東日本大震災津波伝承館があります。
私たちは、東日本大震災津波により亡くなった尊い命に追悼の意を表し、東日本大震災津波の教訓を伝承するとともに、これまでの復興に向けた歩みの中で得られた多くの絆を大切にし、一人ひとりの大切な人に想いを寄せ、ふるさと岩手を築いていくことを誓います。
犠牲になられた方々の御霊が安らかでありますように、そして、御遺族の皆様と私たちをいつまでも見守り続けてくださいますようにお祈りし、追悼の式辞といたします。
令和3年3月11日
岩手県知事 達増 拓也
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