合同追悼式での知事式辞(令和2年3月11日)
令和2年3月11日(水曜)に釜石市にて開催された「東日本大震災津波岩手県・釜石市合同追悼式」より、知事による追悼式辞を掲載します。
追悼式辞(全文)
東日本大震災津波から9年となる本日、岩手県と釜石市の合同追悼式を挙行するに当たり、尊い命を失われた方々の御霊に、岩手県民を代表して謹んで哀悼の誠を捧げます。
9年前の3月11日、我が国観測史上最大規模の巨大地震が生み出した凄まじい津波により、本県において、4,674名もの方々の尊い命が奪われ、また、この震災が原因となって469名の方が亡くなられました。
失った大切な御家族への想い、御友人、お世話になった人への想いは幾年月を経ようとも薄れることなく、在りし日を偲ぶ方々の思いは一層深くなっているものと拝察いたします。
また、今もなお、1,112名の方々が、行方不明であります。9年という無情な時の流れを越えて、御家族の皆様の想いが報われることをお祈りいたします。
ここ釜石市でも、強固に築かれた湾口防波堤をも打ち砕く巨大な津波により、郷土の先人達が築き上げてこられた街並みや産業基盤が破壊され、1,064名の方々の命が失われました。
犠牲になられた方々は、産業が発展し、人情豊かな生活文化を誇る釜石市において、各分野で活躍し、地域社会を支え、あるいは、未来の希望を託されていた方々でありました。その中には、自らの使命を果たすべく、住民の救助活動に当たられた消防団員の方々もいらっしゃいました。失われたものは余りに大きく、哀惜の念に堪えません。
私たち、岩手県民は、犠牲になられた方々のふるさとへの思いを受け継いで、この東日本大震災津波の事実を踏まえた教訓や復興の姿を後世や国内外の人々に伝えながら、復興を進めていかなければなりません。
今、岩手の被災地では、平成28年台風第10号、昨年の台風第19号による災害も乗り越えながら、復旧・復興の歩みを進めています。
ここ釜石市でも、宅地の整備をはじめとする暮らしの再建、東北横断自動車道釜石秋田線や三陸沿岸道路の開通などの復興事業が進むとともに、釜石港コンテナ物流の拡大などの産業振興、三陸鉄道など台風災害からの復旧が進められています。
今後、新たな交通ネットワークを活用した国際貿易拠点として、一層の発展が期待されています。
県では、「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」を基本目標とする「いわて県民計画(2019~2028)」のもと、復興を更に進めて参ります。
昨年は、沿岸地域の災害公営住宅が全て完成し、復興道路等も整備が進み、令和2年度中に全区間が開通する見通しとなるなど、復興事業が大きく進みました。また、三陸防災復興プロジェクト2019や、釜石鵜住居復興スタジアムでのラグビーワールドカップ2019™岩手・釜石の開催を成功させるとともに、東日本大震災津波伝承館を開館し、復興が進む岩手の姿を全国、海外に発信することができました。
今年は、「復興五輪」を掲げる「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会」が開催されます。大会に向けて、3月20日に三陸鉄道の全線運行再開、聖火リレーに先立ち、22日から23日までは「復興の火」として展示を行いますとともに、ここ釜石市をはじめ県内市町村によるホストタウンの取組により、多くの県民が参画する中、復興の姿と併せ、岩手の魅力を積極的に発信し、世界各国の人々との交流・絆を一層深めながら、復興、そして地域振興の力につなげて参ります。
さらには、東日本大震災津波の際に、諸外国が称賛するような危機対応の姿勢を、岩手を含めた日本の人たちが示したところであり、そのような経験を、今回の新型コロナウイルス感染症対策にも生かしていくことで、危機を克服して参ります。
これからも、復興の歩みは続いていきます。
失われた尊い命は還ることはなく、災害の衝撃や心の傷はたやすく癒えるものではありませんが、私たちは、個人の尊厳を基本的価値とし、誰一人として取り残さないという理念のもと、一人ひとりがお互いに支えあいながら幸福を守り育てるための取組を進め、「いのちを守り、海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」を目指して復興を進めることをお誓いいたします。
犠牲になられた方々の御霊に、心から御冥福をお祈りし、御遺族の皆様の御平安を祈念申し上げ、追悼の式辞といたします。
令和2年3月11日
岩手県知事 達増 拓也
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