岩手県知事追悼式辞(平成24年3月11日)

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ページ番号1002273  更新日 平成31年2月20日

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あの凍りつくような衝撃と胸が張り裂けるような深い悲しみの日から一年の本日、ご遺族の皆様、ご来賓のご参列のもと、「東日本大震災津波岩手県・陸前高田市合同追悼式」を挙行するにあたり、犠牲になられたお一人おひとりの御霊に謹んで哀悼の誠を捧げます。

東日本大震災津波により、本県において、沿岸地域を中心に四千六百名を超える尊い命が奪われ、関係者の皆様の懸命な捜索にもかかわらず、千数百名を超える方々が未だに行方不明であります。

ここ陸前高田市は、県内で最も大きな被害を受け、千五百名を超える方々の尊い命が失われました。素晴らしい景勝の高田松原や商店街、学校や病院、そして数多くの住宅―暮らしや、なりわいをかたち作っていたほとんどすべてのものが津波に破壊されました。

私が大震災津波の一週間後に被災地で黙とうを行った際、海に向かって目を閉じると、今までの三陸の沿岸と変わらない波の音と海鳥の鳴き声が聞こえるばかりでした。しかし、目を開けて振り返るとそこには、壊れた住宅や、車や漁船、変わり果てた街の姿が広がり、津波による被害のすさまじさは、この世のものとは思われませんでした。

犠牲になられた方々は、普段通りにお仕事や生活をされていた方々でありますが、その中には、住民の避難誘導や水門閉鎖に当たられた消防団員、消防職員、警察官などの方々、病院などで避難誘導に当たられた方々もおられました。痛恨の極みであります。

犠牲になられた方々は、ご家族にとってかけがえがなく、また、地域のためにもそれぞれの分野で一生懸命ご努力いただき、豊かな自然と誇りある歴史の下、全国とつながる活力ある経済産業と人情味あふれる地域社会を特徴とする、沿岸地域の発展に大きな貢献をいただける方々でありました。岩手が失ったものの大きさは計り知れず、最愛の肉親を失われたご遺族の皆様の深い悲しみはいかばかりかと思うと、痛恨の想いと、哀惜の念に堪えません。
重ねて、心から哀悼の意を捧げます。

あの日から一年、津波被災地には更地が広がり、復興への歩みはまだ初期の段階です。しかし、この一年、岩手県民はかつてないような底力を発揮し、かつてないような「つながり」の力を得て、被災者支援、復旧、復興を力強く進めてきました。
県も、被災者一人ひとりが復興の主役となり、生活の再建を果たすことができるような支援体制を作り、津波被災地が前よりも安全・安心、前よりも豊かになれるような、まちづくりと産業再生の仕組みを作って参りました。

御霊をお慰めするためにも、犠牲になられた方々のふるさとへの思いをしっかり受け継いで、「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」そして「希望郷いわて」の実現に向け、岩手全体が復興を強力に推進して参ります。
磯の香り、働く人の汗、子どもたちの笑い、お年寄りの笑顔、街の賑わい、そして祭りの活気が、住む人々も訪れる人々も元気にして幸せにする岩手の沿岸を、私たちは必ず甦らせます。
復興の道のりは険しいと思われますが、この大震災津波からの復興を必ずや成し遂げることを御霊にお誓い申し上げますので、どうか私たちをお導きくださり、力をお与えくださるようお願いいたします。

犠牲になられた方々の御霊が安らかでありますように、そして、ご遺族の皆様をいつまでもお見守りくださいますよう願ってやみません。
ここに、岩手県民心をひとつに、ふるさと岩手・三陸の再建、再生を果たすことを誓い合い、追悼の式辞といたします。
平成24年3月11日

岩手県知事 達増拓也

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