「脱炭素経営事例」の紹介について
1.「脱炭素経営」とは
脱炭素経営とは、気候変動対策(≒脱炭素)の視点を取り入れた企業経営のことで、経営リスクの低減や成長の機会を捉え、経営上の重要課題として全社を挙げて取り組むものです。
脱炭素経営は、「(1)知る」、「(2)測る」、「(3)減らす」の3ステップで取り組みます。
脱炭素経営に取り組むことで、「(1)優位性の構築」、「(2)光熱費・燃料費の低減」、「(3)知名度・認知度向上」、「(4)社員のモチベーション・人材獲得力向上」、「(5)好条件での資金調達」の5つのメリットを獲得することができます。
2.「岩手県脱炭素経営事例集」の公表
事業者の脱炭素経営を後押しするため、県内事業者の取組事例を公表します。
脱炭素経営に取り組むにあたって、類似する業種や企業規模の事業者の実践内容や効果等を参考としていただければ幸いです。
本事例集が、事業者にとって有益な学びの機会となり、脱炭素経営の理解と実践が一層広がることを願っています。
掲載事業者
番号 | 業種 | 事業所名 | 所在地 |
---|---|---|---|
Case1 |
電気工事業 | 岩手電工株式会社 | 盛岡市 |
Case2 | 情報通信業 | 株式会社アイシーエス | 盛岡市 |
Case3 | 運輸業 | 株式会社サンクス・エクスプレス | 矢巾町 |
Case4 | 卸売業・小売業 | 株式会社平金商店 | 盛岡市 |
Case5 | 専門・技術サービス業 | 株式会社吉田測量設計 | 盛岡市 |
Case6 | 生活関連サービス業・娯楽業 | 有限会社装美 | 盛岡市 |
Case7 | 建設業 | 株式会社伊藤組 | 花巻市 |
Case8 | 製造業 | 株式会社東北タチバナ | 花巻市 |
Case9 | 製造業 | 株式会社エレック北上 | 北上市 |
Case10 | 製造業 | 株式会社根岸工業所 | 奥州市 |
Case11 | 宿泊業・飲食サービス業 | 株式会社プラザ企画 | 奥州市 |
Case12 | その他サービス業 | ニッコー・ファインメック株式会社 | 一関市 |
Case13 | 建設業 | 陸中建設株式会社 | 宮古市 |
Case14 | 製造業 | 森下水産株式会社 | 大船渡市 |
Case15 | 製造業 | 有限会社中村家 | 釜石市 |
Case16 | 農業・林業 | 有限会社越戸きのこ園 | 久慈市 |
Case17 | 農業・林業 | 有限会社土里夢農場 | 一戸町 |
3.「いわて脱炭素経営カルテ」提出事業者の取組事例
令和5年度に「いわて脱炭素経営カルテ」の提出・公表に同意した事業者の中から、以下の視点で他社の参考になると思われる事例を県がピックアップして紹介します。
- LED照明の導入
- 自家消費型太陽光発電設備の導入
- 風力発電等の活用
- 車両のEV化
- 省エネルギー診断の活用
- 建築物のZEB化
LED照明の導入
株式会社ベルジョイスでは、本部棟、各店舗にLED照明を導入しています。店舗では基本照明や冷ケースの照明を調光型LEDに順次変更し、明るさ、色を調節しています。
店舗の照明はレンタル契約で、順次LEDへ更新しています。
また、冷蔵ケースにはナイトカバーを設置し、商品補充などの準備作業の際は部分的に開けながら、冷気漏れを防いでいます。
そのほか、店舗に電力の計測器を設置して、電力の見える化を図り、月別データにして全店長会議での報告、本部から各店舗への発信を行っています。
これらの取組により、令和4年度のCO2排出量は前年度より20%削減となっています。
自家消費型太陽光発電設備の導入
株式会社PJ二戸フーズでは、令和5年3月に自家消費型太陽光発電設備を導入し、エネルギー消費の多い工場での電気需要の約1割を賄っています。
太陽光発電設備の設置には環境省の補助金を活用しており、同社の試算によると、概ね7年程度で設置に要した投資を回収でき、以降は会社の利益アップにつながる計算になります。
同社も含めた十文字チキンカンパニーグループ全体の方針としてCO2削減に取り組むこととしており、グループ全体として令和5年度中に7カ所で太陽光発電を稼働させています。
風力発電等の活用
いわて生活協同組合では、岩手県内の44事業所中38事業所を「CO2排出ゼロの電力」に切り替えました。
みやぎ生協、コープあきたと共同で建設した風力発電施設のほか、バイオマス発電施設への出資、地熱発電や水力発電からの電力調達などにより、事業所の電気使用量の146%相当を再エネで確保しています。
また、事業で使用する電力だけでなく、組合員に再生可能エネルギー100%の電気を供給する電気小売事業「コープのでんきCOCOENE」も行っています。
再エネ電力の活用のほか、様々な省エネの取組と合わせて、令和4年度のCO2排出量は、前年度と比べて20%の削減、2013年度(平成25)比では67.5%削減を達成しています。
車両のEV化
守山乳業株式会社 葛巻工場では、ガソリン車ゼロを目標に、リースの更新に併せ、全6台のフォークリフトのうち5台をバッテリー車に更新しました。令和6年度には、残りの1台も更新予定です。
さらに、フォークリフトへの充電も含めて、工場で使用する電気を、令和4年度から再生可能エネルギー100%の電気に切り替えています。
このほか、工場全体のトラブル低減、稼働率の向上、生産集約に取組み、令和4年度のCO2排出量は前年度より44%削減となっています。
同社は業務用の製品も製造しており、取引先からエネルギーも含めた品質保証の認証取得を求められ、エネルギー分野を考えるようになりました。
省エネルギー診断の活用
株式会社アマタケでは、令和4年に省エネルギー診断を受診し、工場の省エネに役立てています。
省エネ診断での指摘事項の一つである、ボイラー室配管回りの断熱材の設置は、ホームセンターで断熱材を購入して社員の方が自前で作業を行いました。
少額での対策ですが、断熱したことでボイラー室の室温が2~3℃下がったとのこと。稼働時間の見直しなどと合わせて、重油使用量は前年度比で3%削減されました。
また、ヒートポンプ型冷温水発生器の更新に併せて、能力の見直しや必要時のみの稼働とする変更等を行っています。
そのほか、デマンド監視システムを設置することでピークカットに努めることなど、省エネ診断の指摘事項の改善以外の省エネ対策にも取り組んでいます。
建築物のZEB化
令和5年度に「いわて脱炭素経営カルテ」を提出された事業者の中には、ZEB化の事例はありませんでした。
なお、県内でZEBの登録を受けている建物は令和7年2月28日時点で3事例あります。
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このページに関するお問い合わせ
環境生活部 環境生活企画室 グリーン社会推進担当
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