貝毒情報
貝の毒について
貝の毒って?
貝が持つ毒のことで、毒を持ったホタテガイなどを人間が食べると中毒を起こします。細菌と違い、普通に煮たり焼いたりしても毒はほとんどなくなりません。貝毒には下痢性と麻痺性の2種類あります。
中毒の症状
- 下痢性貝毒
症状:下痢、腹痛、嘱吐 - 麻痺性貝毒
症状:しびれ、麻痺、言語障害、頭痛、吐き気、(呼吸麻ひ)
原因は?
プランクトンです。春から夏(一部秋)に海水中に毒を持ったプランクトンが増え、これをホタテガイなどのプランクトンを餌にしている貝類が食べると、毒が貝に移り、貝が毒を持つことになります。下痢性貝毒の原因となるプランクトンはディノフィシス、麻痺性貝毒の原因プランクトンはアレキサンドリウム、と言います。
貝毒量の変化は?
時期的には春から夏に高くなることが多いです。ただし、年により高かったり低かったりします。
私達が食べるホタテガイは大丈夫?
岩手県では県内を12の海域に区分して、その中に13ヵ所の監視定点を設け、ほぼ毎週1回ホタテガイを検査しています。その結果が国が定めた基準を超えると、その海域のホタテガイの出荷が規制されることになっています。スーパーなどで販売されているものは、この検査を通ったものですから安全です(安全なものには「安全証紙」が付けられて売買されます。)。
(基準:下痢性貝毒 0.05MU/g、麻痺性貝毒 4MU/g(MU:マウスユニット(ネズミ単位))
貝毒への対策は?
原因がプランクトンですから、取り除くことができればよい訳ですが、現実問題としてこれは不可能です。また毒を持ったホタテガイの毒を滅らせればいいんですが、これも減らす方法はあるものの、経費がかかることや処理に長時間を要する、などの問題があるため、利用されていません。このようなことから、現在は、「毒が発生したら出荷を止める」という、消極的対策にとどまっています。
水産技術センターで貝毒問題に対して行っていること
貝毒の原因プランクトンがいつ頃増えるのか、ホタテガイの毒がいつ頃発生するのか、などについて調査し、得られた情報を関係者に提供しています。また、貝毒の原因プランクトンが増えるのを抑制する方法がないか研究しています。
貝毒に関するQ&A
岩手県では、貝毒を原因とする食中毒の防止を目的として、県と業界が一体となった貝毒監視を行っています。このページでは、貝毒に関して一般の方々から質問の多かった項目について、Q&A形式でまとめて解説しておりますが、内容についてご不明な点がございましたら県庁水産振興課または水産技術センターまでお問い合わせください。
また、この貝毒に関するQ&Aは、今後も新たな知見等を加えて改訂してまいりますので、よろしくお願いいたします。
- 県庁水産振興課 電話:019-629-5817
- 水産技術センター 電話:0193-26-7919
1 貝毒とは何ですか?
貝に蓄積して人間の健康や生命に害を与える物質のことを貝毒と呼び、ツブ(ヒメエゾボラ)のだ液腺のように貝がもともと持っている貝毒と餌を通じて貝に取り込まれる貝毒があります。このページでは、ホタテガイなどの貝類が餌を通じて蓄積する貝毒で、岩手県で発生が確認されている「まひ性貝毒」と「げり性貝毒」の2種類について説明します。
2 貝毒はどうして発生するのですか?
海水中に貝毒の原因となるプランクトンが発生し、これをホタテガイなどのプランクトンを餌にしている貝類が食べると、毒が貝の体内に移り、貝が毒を持つことがあります。ホタテガイの場合は主にウロ(中腸腺)と呼ばれる黒い部分に蓄積します。
3 貝毒の発生は海の富栄養化と関連しますか?
貝毒の原因となるプランクトンは、自然に発生するごく少量の発生でも貝に毒を蓄積することがありますので、海の富栄養化とはあまり関係がありませんが、安全な水産物を生産するには清浄な漁場環境を維持、保全することが大切です。
4 貝毒はいつごろ発生するのですか?
気海象の条件等により年によって異なりますが、岩手県では一般的にげり性貝毒は春から夏、まひ性貝毒は春から夏及び冬に発生します。
5 貝毒の量は貝の種類によって違うのですか?
岩手県では、ホタテガイ、ムラサキイガイ(シュウリ)、マガキ(カキ)、マボヤ(ホヤ)等で貝毒が発生していますが、水産技術センターの調査研究結果から貝の種類や養殖する水深によって蓄積の度合いが異なることが確認されています。
6 貝毒による食中毒はどのような症状ですか?
まひ性貝毒では毒量に応じてしびれや呼吸困難などを起こし、個人差はありますが一定量を超えると死亡します。げり性貝毒では主にげりやおう吐などを起こします。通常、げり性貝毒で死亡することはありませんが、体調不良の際にはさらに症状を悪化させる原因となりますので注意が必要です。
7 貝毒は加熱すればなくなりますか?
貝毒は、煮たり焼いたりという一般家庭の調理方法ではほとんどなくなりません。また、お酢や薬味等も全く効果がありませんので注意してください。
8 一度貝毒が蓄積した貝はもう食べられないのですか?
貝類は餌として食べたプランクトンから貝毒を蓄積することがありますが、貝の体内で貝毒の成分が変化したり排泄されることがわかっています。海水中に貝毒を持ったプランクトンがいなくなると、貝の体内に蓄積した貝毒は自然に少しずつ排泄され、国の定める規制値を下回ると食べられるようになります。また、Q2でも説明していますが、ホタテガイの場合は主にウロ(中腸腺)に貝毒が蓄積しますので、毒化の程度に応じてウロを除去する等の適正な加工処理を行うことにより食べることができるようになります。
9 貝毒を効果的に除去する方法はないのですか?
現在のところ、効果的な方法は見つかっていませんが、水産技術センター等の研究機関で開発が行われています。
10 貝毒が発生しないようにする方法はないのですか?
自然に発生する少量のプランクトンでも貝を毒化させることがあり、現在のところ効果的な防除方法はありません。
11 貝毒はどのようにして検査するのですか?
貝をすりつぶして抽出した液をネズミに注射し、死亡するまでの時間等により毒値を測定します。検査方法は国の法律で定められていて、一定量を超える貝毒が検出されると出荷の自主規制を行います。現在は、機械による検査方法への変更も検討されています。
12 貝毒の検査結果は公表されているのですか?
岩手県漁業協同組合連合会(以下「県漁連」と略します。)のホームページで毎週の貝毒検査結果を公表しています。
岩手県漁連ホームページトップページから、「ほたてがい貝毒検査結果」ページをご覧ください。
13 岩手県の貝毒監視体制はどのようになっているのですか?
春から夏は毎週、その他の時期でも最低限月に1回、12の生産海域毎に調査定点を定め、県漁連がホタテガイの貝毒検査を行っています。また、この貝毒検査と同時に、12の調査定点における貝毒プランクトンの量を水産技術センターが調査しています。調査の結果、一定量を超える貝毒が検出された場合には、検査の回数を増やすなどの対策を講じています。
14 貝毒について、岩手県はどのような取り組みをしているのですか?
貝毒の原因となるプランクトンの調査や毒化の予知、解毒方法に関する研究や生産者を対象とした研修会を開催しています。
15 貝毒について、生産者はどのような取り組みをしているのですか?
県漁連が定期的に貝毒検査を行い、検査結果を公表しています。検査の結果、規制値を超えた貝類は出荷の自主規制を行いますが、貝毒の原因となるプランクトンが急激に増えた場合には、規制値を下回っていても自粛するなどの安全面の強化を図っています。
16 貝毒について、流通業者はどのような取り組みをしているのですか?
貝毒の検査に合格したホタテガイに、安全を確認したことを証明するシールを貼って出荷します。このシールが貼られていないホタテガイは流通することができません。
17 貝毒について、加工業者はどのような取り組みをしているのですか?
国で定める規制値を超えたホタテガイでも、岩手県と県漁連が承認した加工場において、加工業者がウロ(黒い部分)を適切に除去したホタテガイは出荷することができます。岩手県と県漁連はこの加工場について、定期的に巡回指導や検査を行っています。
18 貝毒による食中毒対策について、消費者ができることは何ですか?
市場や小売店で販売される岩手県の貝類は、定期的に検査して出荷されたものですが、潮干狩りのように自分で海から採捕する場合は、インターネット等を利用し、その海域の貝毒発生状況を確認してください。
関連情報
このページに関するお問い合わせ
環境生活部 県民くらしの安全課 食の安全安心担当
〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10-1
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