沿岸地域の地価動向等(平成25年度第4四半期短期地価動向調査結果)
平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波で被災した沿岸地域において、地価が上昇していることから、県では、短期地価動向調査等を実施して価格や土地取引動向を注視し、国土利用計画法の規定に基づく監視区域の指定について検討するとともに、調査結果等を公表していきますので、沿岸地域における土地取引の指標としてご活用ください。
【短期地価動向調査の概要】
1 調査主体
岩手県(一般社団法人岩手県不動産鑑定士協会へ委託)
2 調査地点数
沿岸南部6市町19地点(住宅地16地点、商業地3地点)
市町村名 |
陸前高田市 |
大船渡市 |
釜石市 |
大槌町 |
山田町 |
宮古市 |
計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
住宅地 |
2 |
3 |
3 |
3 |
2 |
3 |
16 |
商業地 |
0 |
1 |
1 |
0 |
0 |
1 |
3 |
合計 |
2 |
4 |
4 |
3 |
2 |
4 |
19 |
3 価格時点
平成26年1月1日
4 調査方法
一般社団法人岩手県不動産鑑定士協会に委託し、平成24年7月1日に地価調査した基準地(調査地点)を中心に、沿岸南部6市町の代表的な住宅地及び商業地のうち、震災以降も土地取引が活発に行われる可能性が高い地点について、地価調査・地価公示と同じ鑑定評価方法で鑑定評価を行う。
5 調査内容
基準地19地点の鑑定評価、沿岸南部6市町における地域別の取引件数及び価格の動向、宅建業者からの聞き取り調査、投機目的や復興の妨げとなる土地買い占め等の実態調査、今後1~2年の価格及び取引動向の見通しなど、監視区域指定の検討に必要な地価動向と土地取引情報を収集・分析する。
市町村名 |
用途 |
調査地点 短期地価動向 |
調査地点 基準地 (※大槌 |
調査地点 所在地及び住居表示 |
---|---|---|---|---|
宮古市 |
住宅地 |
宮古D-1 |
宮古(県)-4 |
八木沢1丁目3番40 『八木沢1-5-22』 |
宮古市 |
住宅地 |
宮古D-2 |
宮古(県)-6 |
佐原3丁目22番143 『佐原3-1-34』 |
宮古市 |
住宅地 |
宮古D-3 |
宮古(県)-10 |
田老字向新田109番2内 |
宮古市 |
商業地 |
宮古D5-1 |
宮古(県)5-2 |
保久田6番46 『保久田3-4』 |
大船渡市 |
住宅地 |
大船渡D-1 |
大船渡(県)-2 |
猪川町字前田5番5 |
大船渡市 |
住宅地 |
大船渡D-2 |
大船渡(県)-4 |
盛町字宇津野沢12番15 |
大船渡市 |
住宅地 |
大船渡D-3 |
大船渡(県)-9 |
末崎町字大田37番4 |
大船渡市 |
商業地 |
大船渡D5-1 |
大船渡(県)5-1 |
盛町字内ノ目1番13 |
陸前高田市 |
住宅地 |
陸前高田D-1 |
陸前高田(県)-1 |
高田町字鳴石119番33 |
陸前高田市 |
住宅地 |
陸前高田D-2 |
陸前高田(県)-2 |
米崎町字松峰59番7 |
釜石市 |
住宅地 |
釜石D-1 |
釜石(県)-1 |
大只越町2丁目10番 『大只越町2-2-6』 |
釜石市 |
住宅地 |
釜石D-2 |
釜石(県)-2 |
甲子町第15地割65番5 |
釜石市 |
住宅地 |
釜石D-3 |
釜石(県)-3 |
大字平田第1地割16番5 |
釜石市 |
商業地 |
釜石D5-1 |
釜石(県)5-1 |
上中島町1丁目96番2外 『上中島1-1-33』 |
大槌町 |
住宅地 |
大槌D-1 |
大槌(県)-1 |
桜木町450番 『桜木町6-27』 |
大槌町 |
住宅地 |
大槌D-2 |
大槌-2 |
大槌第16地割字大石前20番49 |
大槌町 |
住宅地 |
大槌D-3 |
大槌(県)-3 |
大ケ口1丁目175番194 『大ケ口1-12-35』 |
山田町 |
住宅地 |
山田D-1 |
山田(県)-1 |
長崎4丁目10番8 『長崎4-10-11』 |
山田町 |
住宅地 |
山田D-2 |
山田(県)-2 |
豊間根第2地割71番5 |
計 |
住宅地16地点 商業地3地点 |
短期地価動向(⇒詳細は別添資料1参照)
1 調査結果の概要
- 前期(10月1日)からの3ヶ月平均変動率は、住宅地(1.4%)、商業地(0.7%)ともほぼ横ばい。
- 住宅地の震災前からの年間平均変動率は3.1%、前期2.9%と比較して上昇幅がやや拡大。
- 投機目的等の悪質な土地取引は確認されていない。
- 取引件数は、復興関連事業等により増加。取引価格は、当面現在の価格水準で推移。
- 地価が継続的に上昇する可能性は低いと予測。引き続き地価動向を注視する。
2 用途別の地価動向
(1) 住宅地(16地点)
※( )内は前期(10月1日)の平均(年間)変動率(単位:%)
区分 |
震災前比較 |
1年前比較 |
直近3ヶ月比較 |
---|---|---|---|
平均(年間)変動率 |
3.1(2.9) |
5.6(7.8) |
1.4(1.5) |
直近3ヶ月比較(平成25年10月1日からの変動率)
平均変動率は1.4%(前期1.5%)とほぼ横ばい。
- 4地点(大船渡D-1、釜石D-1、大槌D-1、山田D-2)で上昇幅が拡大。
主に周辺環境の変化等により、生活の利便性が向上したことによるもの。 - その他、4地点(大船渡D-3、大槌D-2・D-3、山田D-1)で横ばい、7地点(陸前高田D-1・D-2、大船渡D-2、釜石D-2・D-3、宮古D-1・D-2)で上昇幅が縮小。
1年前比較(平成25年1月1日からの年間変動率)
年間平均変動率は5.6%(前期7.8%)と上昇幅が縮小。
- 5地点(大船渡D-1、釜石D-1・D-2・D-3、山田D-2)で上昇幅が拡大。
変動率が10%以上上昇した釜石市の2地点(D-2・D-3)は、直近3ヶ月変動率では上昇幅が縮小。
なお、平成25年1月1日時点価格が大幅に上昇した大槌D-3(大ケ口)は-12.0%(前期14.6%)と大幅に下落し、継続的に上昇する可能性は低い。 - その他、7地点(陸前高田D-1・D-2、大船渡D-2・D-3、山田D-1、宮古D-1・D-2)において上昇幅が縮小。
震災前比較(平成22年7月1日からの年間変動率)
年間平均変動率は3.1%(前期2.9%)と上昇幅がやや拡大。
- 8地点(大船渡D-1・D-2・D-3、釜石D-2・D-3、大槌D-1、宮古D-1・D-2)で上昇幅が拡大。
前期同様、釜石市の1地点を除く全地点で震災前価格を上回った。
変動率が10%以上上昇した地点は、大槌D-3(大ケ口)及び山田D-2(豊間根)の2地点。
大槌D-3は18.4%(前期19.8%)と上昇幅が縮小、継続的に上昇する可能性は低い。
なお、山田D-2は11.0%(前期11.0%)と横ばい。 - その他、4地点(陸前高田D-1・D-2、山田D-1・D-2)で横ばい、3地点(大槌D-2・D-3、宮古D-3)で上昇幅が縮小。
(2) 商業地(3地点)
※( )内は前期(10月1日)の平均(年間)変動率(単位:%)
区分 |
震災前比較 |
1年前比較 |
直近3ヶ月比較 |
---|---|---|---|
平均(年間)変動率 |
-0.9(-1.1) |
4.3(5.1) |
0.7(0.8) |
- 直近3ヶ月の平均変動率は0.7%(前期0.8%)とほぼ横ばい、1年前比較の年間平均変動率が4.3%(前期5.1%)と上昇幅がやや縮小。
- 大船渡市は震災前の価格水準に回復。その他2地点(釜石市及び宮古市)は、震災前の価格水準に回復していない。
- 引き続き、今後の短期地価動向調査(平成26年4月1日基準日)を見守っていくこととする。
土地取引動向(⇒詳細は別添資料2参照)
- 個人の取引件数は597件で、震災後最多。
震災前の平成22年10月~12月(271件)と比べ120.3%増。 - 法人の取引件数は143件で、震災後最多。
震災前の平成22年10月~12月(49件)と比べ191.8%増。
法人の取引面積は1,104haで、震災後最大。
岩泉町において素材生産業を行う法人の大規模取引による増加。 - 国・地方公共団体等による取引件数は2,735件で、全体取引(3,475件)の約8割を占める。
【土地取引件数の動向】
1 沿岸12市町村の土地取引件数(買主が地方公共団体、国等を除く)
- 平成25年10月~12月の法人・個人の取引件数は、740件で震災後最多。
震災前の平成22年10月~12月(320件)と比べ、420件、131.3%増。 - 平成25年10月~12月の個人の取引件数は、597件で震災後最多。
震災前の平成22年10月~12月(271件)と比べ、326件、120.3%増。
2 法人取引の状況
(1) 取引件数について
- 平成25年10月~12月の法人取引件数は、143件。
震災前の平成22年10月~12月(49件)と比べ94件、191.8%増。 - 法人取引件数の全体(740件)に占める割合は、約2割(19.3%)。
(2) 取引面積について
- 取引面積は1,104haで、震災前の平成22年10月~12月(64ha)と比べ、大幅に増加(1,040ha増)。
- 大幅な増加要因は、岩泉町において素材生産業を行う法人による大規模な山林取引があったため。
(3) 取引内容について
- 利用目的
平成25年10月~12月の取引内容は、被災企業の再建用地等の取得、ハウスメーカー等による分譲・仲介用の取得等、概ね適正な利用目的。 - 転売状況
- 仲介目的以外での短期転売(宅建業者からハウスメーカー等)は確認なし。
- 転売が確認された14件のうち6件は、最終転売先が域内の個人。
3 地目別取引の状況(買主が地方公共団体、国等を含む)
(1) 件数について
- 平成25年10月~12月の土地取引件数は3,475件(対前期比34.2%増)。
- 全体取引のうち約8割(78.7%)が国・地方公共団体による取引。
- 地目別では、「宅地」の取引が約6割(60.7%)で最多。
- 「宅地」取引の8割強(84.5%)が国・地方公共団体による取引。
(2) 面積について
- 平成25年10月~12月の取引面積は、1,403haで震災後最大。
- うち、「山林」の取引が約9割弱(88.2%)を占める。
- これは、前述に記載のとおり、岩泉町で素材生産業を行う法人による大規模な山林取引があったことによる。
次期短期地価動向調査結果等の公表予定
平成26年度第1四半期(平成26年4月1日基準日)短期地価動向調査結果等は、平成26年6月下旬に公表予定。
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